ジャン・プルーヴェ展

椅子から建築まで

「ジャン・プルーヴェ展 椅子から建築まで」は、20世紀の建築や工業デザインに大きな影響を与えたジャン・プルーヴェ(1901–1984)を紹介する大規模な展覧会です。本展では、プルーヴェが手がけたオリジナルの家具や建築物およそ120点を、図面やスケッチなどの資料とともに展示します。

プルーヴェはアール・ヌーヴォー全盛期のフランスで、ナンシー派の画家の父と音楽家の母に育てられ、金属工芸家としてキャリアをスタートさせました。1930年代にはスチール等の新たな素材を用いた実験的かつ先進的な仕事へと転換し、家具から建築へと創造の領域を拡げていきます。また、第二次世界大戦中はレジスタンス運動に積極的に参加し、ナンシー市長も務めたプルーヴェは、フランスの戦後復興計画の一環としてプレファブ住宅を複数考案するなど、革新的な仕事を次々に生み出していきます。

  • 広報物イメージ Design by Tamotsu Yagi Design

  • マクセヴィルのアトリエ・ジャン・プルーヴェにて(1955年頃)
    ©Centre Pompidou-MNAM/CCI-Bibliothèque Kandinsky-Dist. RMN-Grand Palais

本展は、《「サントラル」テーブル》(1956年)、《ファサード・パネル》(1950年頃)、《ライン照明》(1954年)等のプルーヴェを象徴する作品とともに、生涯の軌跡をたどる展示から始まります。続いて、《「プレジダンス」デスク No. 201》(1955年)、《移動式脚立(特注)》(1951年)のほか、工業生産化への移行における標石のひとつとなった《引き出し付き折りたたみテーブル》(1943年)を含む代表作を紹介します。

1930年代、プルーヴェは市場の拡大にともなう大量生産の要請に応え、公共機関や大学に向けた家具を数多く手掛けました。家具のなかでも椅子はプルーヴェにとって重要であり、美しく整ったかたちを保ちつつ、剛性と人間工学に基づく合理性が交わるデザインを探求し続けました。「家具の構造を設計することは大きな建築物と同じくらい難しく、高い技術を必要とする」という彼自身の言葉が示すように、椅子はプルーヴェのものづくりの原則を反映しているといえるでしょう。本展では《「シテ」チェア》(1932年)から《「コンフェレンス」チェアNo. 355》(1954年)まで数々のモデルがまとめて展示されることにより、その変遷を体感できます。

  • ジャン・プルーヴェ《組立式ウッドチェアCB 22》1947年
    © Galerie Patrick Seguin © ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2022 C3892

  • ジャン・プルーヴェ《「カフェテリア」チェア No. 300》1950年頃
    Laurence and Patrick Seguin collection © Galerie Patrick Seguin © ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2022 C3892

1950年代、プルーヴェは国外に販路を求めて、アフリカで使われるための家具やアルミニウム製のファサードを手掛けました。こうした仕事のなかから《「S.A.M.」テーブル No. 506 アフリカ型》(1952年)や《「トロピク」アームチェア No. 351》(1950年)に加えて、ギニアのUAT航空やカメルーンの学校のためにつくられたブリーズ・ソレイユ(日除ルーバー)が展示されます。

ジャン・プルーヴェ《「メトロポール」住宅(プロトタイプ)》1949年
Galerie Patrick Seguin © Galerie Patrick Seguin © ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2022 C3892

さらに、本展の後半部分では、みずからを「構築家」(constructeur)と位置づけたプルーヴェの建築物へのアプローチにも焦点をあてます。多数の資料によって主な建築プロジェクトを取り上げるだけでなく、現存する3つの建築作品が展示されます。《「メトロポール」住宅(プロトタイプ)》(1949年)、《F 8x8 BCC組立式住宅》(1942年頃)と《6x6組立式住宅》(1944年)は、いずれも解体・移築可能な建築物として、フランスの建築史において重要な位置を占めるとともに、プルーヴェの類まれな創造性を体現しているでしょう。《「メトロポール」住宅(プロトタイプ)》は「ポルティーク」と呼ばれる構造体とファサードを別々に展開することで、構造の特徴を浮かび上がらせます。地下2階のアトリウムに建てられる《F 8x8 BCC組立式住宅》は、プルーヴェとピエール・ジャンヌレが第二次世界大戦中の極限状態で協働し設計・建設したもので、彼らの並外れた適応能力と近代化へのあくなき探求を表す作例だといえます。また、アトリウムの壁面に展示される《6x6組立式住宅》は、東フランスの難民のための一時的な住居として1944年に設計されました。

最後の展示室では貴重なプルーヴェのインタビューを含む映像を上映します。《折りたたみ天板付き講義室用ベンチ》(1953年頃)が置かれ、来場者は実際に作品に座りながら、映像を見ることができます。本展を通じて、20世紀という時代に、デザインと生産をトータルに捉え、新たな技術や素材を追い求めたプルーヴェの構築的な想像力に触れることができるでしょう。

ジャン・プルーヴェとピエール・ジャンヌレの共同設計《F 8x8 BCC組立式住宅》1942年 Yusaku Maezawa collection 「the CONSTRUCTOR ジャン・プルーヴェ:組立と解体のデザイン」(2016年、フランス大使公邸、東京)での展示風景 
Photo by Kaori Nishida © ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2022 C3892

基本情報

会期

2022年7月16日(土)- 10月16日(日)

休館日

月曜日(718日、919日、1010日は開館)、719日、920日、1011

開館時間

10:00-18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)

会場

東京都現代美術館 企画展示室 1F/地下2F

観覧料

一般 2,000円 / 大学生・専門学校生・65歳以上 1,300円 / 中高生 800円 / 小学生以下無料

※本展チケットで「MOTコレクション」もご覧いただけます。
※ 小学生以下のお客様は保護者の同伴が必要です。
※ 身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳持参者とその付き添いの方(2名まで)は無料です。
※[学生無料デー Supported by Bloomberg]
8月30日(火)~ 9月2日(金)の4日間、中高生・専門学校生・大学生は「ジャン・プルーヴェ展」が無料です(チケットカウンターで学生証の提示が必要です)。

主催

公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館、公益財団法人現代芸術振興財団

後援

在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
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協賛

ブルームバーグ L.P.

協力

ヤマト運輸

企画

パトリック・セガン(Galerie Patrick Seguin)、八木保(Tamotsu Yagi Design)

学術協力

岩岡竜夫(東京理科大学)

※開催内容は都合により変更になる場合もございます。予めご了承ください。

学生無料デー Supported by Bloomberg

8月30日(火)~ 9月2日(金)の4日間、中高生・専門学校生・大学生は「ジャン・プルーヴェ展」が無料です(チケットカウンターで学生証の提示が必要です)。

展覧会カタログ

2022年8月中旬millegraphより刊行予定

関連イベント

ギャラリートーク
8月6日(土)、8月31日(水)、9月25日(日) 各日11時より 会場:ジャン・プルーヴェ展展示室内
※参加方法やその他のプログラムは詳細が決まりしだいお知らせします。

シンポジウム「ジャン・プル―ヴェから学ぶべきこと」
7月24日(日) 13時より 会場:東京都現代美術館 地下2階 講堂
出演(五十音順):石田 潤(建築家、リンク建築設計工房主宰)、岩岡竜夫(建築家、東京理科大学教授、本展学術協力)、金野千恵(建築家、t e c o 主宰、京都工芸繊維大学特任准教授)、マニュエル・タルディッツ(建築家、明治大学特任教授)、山名善之(建築家 / 美術史家 東京理科大学教授)、横尾 真(構造家、シンガポール国立大学客員上級研究員 / 東京理科大学客員准教授)
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