みることから考える 学校団体鑑賞
さわやかな5月の風とともに、東洋女子高等学校の皆さんが来館してくださいました。
東洋女子高等学校の皆さんは毎年、「100年後に遺したいモノ/伝えたいこと」を見つけるという視点を持って鑑賞をしに来てくださっています。
まずはグループに分かれて、コレクション展「MOTコレクション はじめて、びじゅつ」の鑑賞へ。同じグループの友人や美術館スタッフと対話しながら作品を味わいます。グループでの鑑賞を終えると、次は自由鑑賞の時間です。引き続きコレクション展をじっくりと見る方もいれば、企画展「エリック・カール展 はじまりは、はらぺこあおむし」や「(UN)KNOWN HIROKO KOSHINO ―新説/真説 コシノヒロコ―」の展示室へ移動し、様々な種類の展示を楽しむ方もいました。
今回は、スタッフとコレクション展を鑑賞する様子をお届けします。
こちらのグループは、大きな作品が何枚も並ぶ広い展示室へやってきました。何が描かれているのか、感じたことを共有しているようです。
「水面に映る景色のよう」
「木漏れ日みたい」
「地図に見える。あれは栃木県かも……」
同じ作品を見ていても、人によって感じ方は様々です。さらに、スタッフからこの作品のタイトルが《G/Z 夏至・橋の上 IV》であることを伝えられると「白っぽくて冬のイメージを抱いていたけれど、夏至と聞いてから見ると印象が変わった」という感想も出てきました。
自分と友人の間での見方・感じ方の違いだけでなく、自分の中での見方・感じ方の変化にも気が付く時間となったようです。
同じ頃、別のグループの皆さんも、ガラスでつくられた作品を見ながら「このかたちが何に見えるか」を語り合っていました。
「ダンゴムシに見える」
「開いていない松ぼっくりみたい」
「たしかに……」
それまでそのような見え方はしていなかったのに、「こう見える」と言われて改めて作品を見てみると、なんだかそう見えるような……。
そのように対話しながら作品を見つめていると、作品の中に自分たちの姿が映っていることに気が付きます。特殊なガラスでつくられているので、鑑賞をしている自分たちの姿が反射していたのです。どこまでが本当に目の前にあるもので、どこからが反射している像なのだろう……。見れば見るほど不思議な作品をじっくりと味わっていました。
つづいて、無数のデジタルカウンターが赤く光る作品の前にやってきました。
薄暗い展示室に赤い光を浮かび上がらせながら、様々な速度で1から9まで数えていくカウンターたちをじっと見つめていると、いろいろな気持ちがわいてくるようです。
「この作品にタイトルをつけるなら何にする?」というスタッフからの問いかけには、「日付」、「運」、「危険信号」、「円周率」など、数字や色の背景にある物語を想像できるような答えが返ってきました。
こちらのグループの皆さんがみているのは、佐藤慶次郎の《ススキ~波~》。スチロールの球が不規則に上下する、初公開作品です。
「この美術館にやってくる前は、神戸の科学館に展示されていたんですよ」とスタッフから伝えられると、「どうして科学館から美術館に……?」と不思議そうな表情をする方が何名かいらっしゃいました。「なぜススキなのだろう」、「なぜ波なのだろう」、「なぜ美術館にあるのだろう」。自分の考えたことと向き合い、友人の考えもききながら、さまざまな「なぜ?」との対話を楽しんでいました。
今回の鑑賞で、皆さんはどんな「100年後に遺したいモノ/伝えたいこと」を見つけたでしょうか。作品そのものから感じることのほかにも、それをつくったアーティストが世界をどうみているのかというところから考えることもあったかもしれません。ひとりでじっくり鑑賞することで気が付くこともあれば、他の人と対話しながら鑑賞することで得られる、新たな視点や感覚もあったかもしれません。
今回の体験をきっかけに、ぜひまた美術館にいらしてくださいね。
(インターンA.K)
