2026年09月25日(金)

作品と向き合い、想像する

ミュージアム・スクール

2026年7月6日に、東京都立墨東特別支援学校肢体不自由教育部門の高等部のみなさんが来館しました。当日は、10時から14時ごろまで滞在し、コレクション展や企画展の鑑賞に加え、レストランで昼食をとるなど、美術館でさまざまな体験を重ねました。

午前中はコレクション展を鑑賞しました。展示室に入る前に、学芸員から鑑賞時のポイントとして「よく見ること」「想像力を働かせること」が伝えられると、生徒のみなさんはワクワクした表情に。今回の鑑賞にあたり、みなさんはコレクション展に展示されている中から気になる作品を選び、事前に調べてきたそうです。事前学習で画像を通して見ていた作品は、実際の展示室でどのように目に映るでしょうか。

3階展示風景

3階では「フレームの内側?外側?」と題された展示室内の作品を鑑賞しました。黒田清輝の《引汐》《入汐》《入江》を事前学習で選んだ生徒さんは「3つの絵が繋がっているように見える、3つで1つの作品だと思った」と感想を教えてくれました。そのすぐ横には、五姓田義松の《清水の富士》が展示されており「山の表現がすごい」「朝焼けのような感じがする」と、作品を細部までじっくりと見つめながら話していました。

3階での鑑賞を終え1階へ向かうと、生徒さんたちから「すごい」「大きい」といった声が聞こえてきました。視線の先にあったのは、アルナルド・ポモドーロの《太陽のジャイロスコープ》です。事前学習でこの作品を選んだ人も多かったようで、実物の大きさや迫力を体験し、感動している様子が見られました。

近づいて作品の周囲をまわると、ギザギザしたパーツや、球体や三角形などを見つけました。これらの形に着目した生徒さんは「何かの装置のように見える」「ギザギザした部分は街に見える」「魚の骨のようにも見えてきた」と教えてくれました。他にも、作品の全体像から太陽や地球、宇宙といったものを想像し「鑑賞のために作品の周囲をまわっていた自分たちも、何かの惑星のようだ」と話す生徒さんもいました。

続いてこちらは、大岩オスカールの《戦争と平和》を鑑賞している様子です。

構図の似た2枚の大きな絵画には何が描かれているのか、近づいて観察することに。細部までくまなく観察すると「立ち並ぶ家々/押し寄せる荒波/燃え盛る炎や煙/戦車/畑/鮮やかな緑色/黒色」など、様々な要素を見つけました。生徒のみなさんは、2枚の絵画に描かれている場面の違いに着目し「左側は原爆投下後の風景」「左と右の絵は同じ場所が描かれていて、左から右へと復興していった」と、見つけた要素から想像したことを話していました。

さらに、2枚の絵画だけでなく、その間に配置されているライトボックスも観察すると、描かれているものが人の横顔に見えたり、配置されている場所から「ライトボックスは時計のような役割を果たしているのではないか」と考える生徒さんも。

ライトボックスを観察する様子

作品をよく見て、想像し、描かれている場面や作品の意味について思いを巡らせる時間となったようです。

コレクション展の鑑賞が終わると、昼食のためにレストランへ。午後は、昼食を済ませた人から鑑賞に向かいました。生徒のみなさんは、エリック・カール展や屋外作品などを鑑賞し、それぞれが自分のペースで集合時刻までの時間を楽しみました。

  • エリック・カール展での様子

鑑賞終了後に、感想を尋ねると「画像で作品を見たときには気がつかなかった表現や技法に気がついたり、実物は迫力がすごかった」と教えてくれる人もいました。展示室内で作品をじっくり見つめて、感じたことを友人同士伝え合い、色や形、大きさから想像力を働かせて鑑賞をさらに深めている姿を見て、作品と向き合う時間を楽しんでもらえたように感じました。現代美術館で過ごす一日はいかがだったでしょうか? ぜひまた遊びに来てくださいね。(R.T)

教育普及ブログ