アーティストの一日館内授業④
「光る線のダンス!/映画の始まり」
◆石田尚志氏 ワークショップ記録動画
開館30周年を記念した特別企画「アーティストの一日館内授業」のラストを飾る第4弾には、2012年度・2016年度の「アーティストの一日学校訪問」を担当した画家/映像作家の石田尚志さんをお迎えしました。(実施日時:11月15日(土)13:30~15:30)
石田尚志氏
本ワークショップは、16mmフィルムという、映像の歴史の原点ともいえる素材を実際に手に取り、「映像がどのように生まれるのか」を体験するプログラムです。黒味(不透明)や素抜け(透明)のフィルムに、ニードルで削って傷をつけたり油性マジックで描いたりと、フィルムそのものに直接手を加えながら表現を行いました。描き方にルールはなく、年齢や経験を問わず、誰もが自由に取り組める内容となりました。
プログラムの冒頭では、石田さんによる自己紹介とともに、これまでの映像作品の一部が紹介されました。線がまるで生き物のように動き出す独自の映像表現に、参加者はこれから始まる制作への期待を膨らませていきます。続いて、「フィルムに直接描き、それをつなげて上映することで、映像の原初的な体験をする」という今回の授業の趣旨が説明され、いよいよ制作がスタートしました。
石田さんの映像作品を上映
フィルム映像の仕組みについてレクチャー
制作時間には、参加者それぞれにフィルム片が配布され、思い思いの線や形が描き込まれていきました。黒味のフィルムを削って光を生み出す感触や、透明なフィルムに色を重ねていく体験は、普段の紙への描画とはまったく異なるものです。参加者は、フィルムという素材ならではの特性を楽しみながら、集中した表情で制作に取り組んでいました。
描き終えたフィルムは順番につなぎ合わされ、一本の長いフィルムへと変化していきます。個々に制作された線や模様が連なり、どのような動きとして現れるのかは、上映してみるまで分かりません。
そして迎えた鑑賞の時間。完成したフィルムを実際の映写機に通し、会場を暗くして上映を行いました。スクリーンに映し出された「光る線」がリズミカルに動き出すと、会場からは小さな驚きや歓声があがり、手作業によって生まれる映像の魅力を実感するひとときとなりました。
あわせて、アシスタントを務めた映像作家の作品や、映画の黎明期に制作された歴史的なフィルム作品の参考上映も行われ、映像表現の多様さや、シンプルな原理から広がる可能性について理解を深める時間となりました。
最後には、石田さんから今回の活動を振り返るコメントがありました。参加者一人ひとりが生み出した「光る線」の多様性や、それらをつなげることで生まれる偶然の動きの面白さについて語られ、プログラムは終始穏やかな雰囲気の中で締めくくられました。
今回のワークショップは、普段なかなか触れることのない16mmフィルムというアナログな映像メディアを通して、「映像とは何か」「動きはどこから生まれるのか」を身体的に体感する機会となりました。フィルムに直接描くという原始的な行為が、映像の時間性や素材性への新たな気づきをもたらし、参加者それぞれの創造性を刺激する充実した授業となったように思います。(M.A)
写真撮影:冨田了平
全4回の「アーティストの一日館内授業」は、これにて終了。学校から美術館へと場所を移した本プログラムでしたが、どの回も大変充実した内容となりました。多くの方々に体験していただけたことを、とても嬉しく思います。また、私たち美術館スタッフにとっては、これまでの訪問授業を振り返る時間にもなりました。本プログラムのもととなった「アーティストの一日学校訪問」は、個性豊かな作家の方々からのご協力があってこそです。そんな貴重な機会に改めて感謝し、引き続き学校現場と美術との橋渡しができるよう努めてまいります。(教育普及係一同)
※全4回をまとめた記録集はデータでご覧いただけます。
ワークショップ記録集.pdf









