2023年10月17日(火)

親子で美術館体験!―デイヴィッド・ホックニーの世界をとおして

ギャラリークルーズ

デイヴィッド・ホックニーという作家の表現をとおして、美術館の色々な場所を巡りながら作品を多角的に体験してもらうために、小学16年生と保護者のペア7組(計14名)を対象にした、「親子で楽しむデイヴィッド・ホックニー クルーズ」を実施しました。(実施日時:202392日(土)10:3012:00

今回のプログラムでは、まず参加者全員でプログラムの流れと、美術館や作品を楽しむ方法についての話を聞き、その後2グループに分かれて、美術館学芸員と一緒に館内を巡りました。

参加者は、小学校低~中学年と中~高学年の2グループに分かれました。今回はそのうちの中~高学年の子どもたちが含まれたグループについて報告します。

はじめに、コレクション展示室に展示されているホックニーの7点の版画のシリーズ〈水のリトグラフ〉を鑑賞しました。まずは作品をよく観察することから始めます。途中、版画の触察ツールを使ってリトグラフについて理解を深める場面も。
「並んだ作品の中でどれが一番好き?」という学芸員の問いかけには、それぞれが作品を選び、「学校のプールみたい。外から見た時は(水が)緑っぽいけれど、プールの中から見ると青く見えるから。」「(描かれた)線が魚みたい。」と、少しずつ子どもたちから言葉が出てきました。その上で、学芸員から作品や作家にまつわる話を聞くと、最初は緊張していた参加者も、互いに言葉を交わしながらさらにじっくりと作品に目を向けていました。

また、作品をより実感してもらうための要素として、この作品に描かれている「水」というモチーフにも注目して、2グループとも実際に「水」を観察できる場所にも立ち寄りました。
コレクション展示室入口付近から屋外の水辺を眺め、〈水のリトグラフ〉シリーズの表現と比較しながら、風や光によって変化していく水面の様子や光のゆらめきを観察しました。

一方、もう1グループは、「水と石のプロムナード」を探検していました。
みなさん、「水と石のプロムナード」をご存知でしょうか?こちらは、地下1階にありながら開放的な屋外の空間で、水辺に映る景色や石の表情を楽しみながら散策できる場所です。来たことがない方はぜひ散策してみてください!

つづいて、エントランス・ホールにあるデイヴィッド・ホックニー《2022625日、(額に入った)花を見る》からつくられたフォト・スポット(実際の作品は展示室内に展示)では、「作品の中に入り込むとしたらどんなポーズをとるか?」を意識した写真撮影を親子で行いました。

皆で鑑賞している時に作品中の人物を指して、「このおじさんの服が破けているところがある!」と発見した参加者がいました。この発言を受けて、2000枚程の写真をコンピュータで組み合わせた作品だから繋ぎ合わせたようにも見える部分があること、三次元的な表現だから作品に入り込めそうな印象を受けることなどを学芸員が伝えると、参加者は花瓶や人物など、改めて思い思いに気になる箇所を見ていました。

そして、「デイヴィッド・ホックニー展」展示室内の〈春の到来 イースト・ヨークシャー、ウォルドゲート 2011年〉シリーズを鑑賞し、先ほどの「作品の中に入り込めそう」というキーワードをもとに、13枚の絵の中から参加者に自分が入り込んでみたい絵をそれぞれ選んでもらいました。その理由を発表してもらうと、「水たまりに木が映っているから。」「この道を散歩してみたい。」「かわいい感じがするから。」「爽やかな風が吹いてきそう。」などの意見が。ほかにも、「全部こわそうだから入り込みたくない。」というハッとさせられる意見も。作品をよく観察して想像力を働かせているからこそ、また複数人で見るからこそ、参加者の視点が広がるさまざまな意見が出てきました。

最後に、皆で体験してきたことを共有し、参加者には、お土産として中身の見えない箱の中から缶バッジを引いてもらいました。

鑑賞中に出てきた発言は子どもたちの年齢差や親子間でも異なり、感覚をフル活用した意見や自分なりに解釈した意見など、さまざまでした。ホックニーの多様な表現に注目しながら、親子で、参加者同士で、互いの意見に耳を傾け合い、楽しい美術館体験になったのではないでしょうか。

(S.O)

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