2022年03月11日(金)

アーティストの1日学校訪問(風間サチコさん)レポート3

アーティストの1日学校訪問

5校目】2022114日(金) 杉並区立杉並第三小学校 5年生 27

5校目は、単学級で1年生の頃から同じ顔触れで学んできた杉並第三小の5年生を対象に実施しました。

風間さんの作品紹介では、ご自身の小・中学生の頃にさかのぼったお話も。小・中学校通して義務教育に1/3しか出席できておらず、久々に登校すると自分への悪口が聞こえてきたこと。下駄箱に行くのが嫌だったこと。そのようなこどもの頃の体験が制作の原点になっているというお話もありました。
分かりやすい言葉で、ご自身の制作にかける思いを語ってくださる風間さん。
風間さんのお話に集中して聞いているこどもたちの姿が印象的でした。

今日行う授業のデモンストレーションと、一通りの流れを確認したら、制作開始。
タブレットで撮影した自分の口の写真を参照しながら、シンプルな線に置き換えた下絵を描きます。閉じた口もあれば、歯を見せている様子の口も。下絵をゴム版に写したら、カッターや彫刻刀を使って彫っていきます。

口の消しゴム版画が、植物のように構成された作品も!

悩みながらも、それぞれに自分が作りたいアイデアが浮かんできている様子が伺えました。約1時間の制作時間を経て、オリジナルのマスクが完成しました。

  • 「おにごっこしたい(?)」

    「おにごっこしたい(?)」

  • 「ほんとうはめっちゃ食べる」

    「ほんとうはめっちゃ食べる」

最近は友達と縄跳びを良くしているので、久しぶりに鬼ごっこがしたいという本音や、ステーキ肉を1kg食べられるという驚きの事実を書いた女の子も!

  • 「昼休み短すぎ」

  • 「今は道徳がきらいです」

「昼休みが短すぎ」という、みんなのから共感を得そうなメッセージもあります。
「道徳の授業がきらい」というメッセージを書いた子に理由を尋ねてみると、「道徳の授業では一人で考えることが多いけど、友達と話した方が考えが広がるから」という理由だそうです。
マスクに書かれた言葉をきっかけに、その理由を尋ねたりと話が広がっていきます。
「正直マスク」を通して、これまで知らなかった友だちの一面と出会うことができたようです。

6校目】 2022124日(月) 杉並区立三谷小学校 6年生 50

杉並区立三谷小学校での実施では、3クラスを対象に実施しました。当初の予定では、3クラスが体育館に集まって風間さんのお話を聞く予定でしたが、コロナウイルス感染症拡大への対策として、この部分だけリモートに切り替えて実施しました。

授業が始まると、オンライン会議システムを介して図工室にいる風間さんが登場!こどもたちは各教室から映し出された画面越しに風間さんのお話を聞きます。
事前にこどもたちから寄せられた質問を交えながらお話をしてくださる風間さん。

普段の生活の楽しみは?という質問を受けて、「古い本や絵ハガキを集めるのが趣味」という風間さんが実際に収集されたポストカードを収納したファイルを持参してくれました。

そして、将来はアーティストやイラストレーターなどのアートの道に進みたいと考えている子からは、月収についての突っ込んだ質問が!「作品が売れると収入になります。作品を作って売るだけではなく、学校で教えたりして収入を得たりしている人もいます」といった現実的なお話もありました。
「やりがいはありますか?」との質問に対して「小学生のときに喘息で学校に行けなくなり、それがきっかけで学校が苦手になってしまった。勉強についていけなくなってしまったり、友達と何を話して良いかがわからなくなったりしたけど、絵を描くことが好きだったから頑張ってそれを続けて仕事にすることができた。自分が頭の中で考えた世界を絵にして表して、みんなに見てもらう。そして、みんなに自分に興味を持ってもらったり話を聞いてもらったりして人の輪ができていき、今回のように学校に招いてもらって皆さんと会えました。それを幸せに感じています」と、ご自身のこどもの頃の体験を交えて語ってくれました。

続いて、制作手順についての紹介です。こちらも図工室から書画カメラを介して、各クラスのモニターに配信しました。
手際よく仕上げていく風間さん。唇スタンプの色は、今日は寒いから水色にしました!と話しながら作っていきます。

コロナ感染対策もあり、窓や廊下の扉は開け放ち、風通しを良くして実施しました。

  • 「さむいさむい」

    「さむいさむい」

  • 温かい所へ行きたい!!」

    「温かい所へ行きたい!!」

  • 「今に自由を!!」

    「今に自由を!!」

温かい所へ行きたい!!その先は、“こたつ”だそうです。
寒い日の実施となったため、寒さに関するメッセージも多く見られました。
コロナウイルス感染症対策のために、クラス間の交流はできませんでしたが、クラスごとに鑑賞会を行いました。


今回の学校訪問を通して、こどもたちからは以下のような感想が寄せられました。
・いつもの授業ではできないことをやることが出来てとてもうれしかったです。
・美術などにはあまり興味がなかったけど興味を持ち楽しむことができました。
・作品の見せ合いっこの時間が終始とてもあたたかい雰囲気で楽しかった。
・「いやな言葉に負けず、自分の好きなことをやり通せ」という風間さんの言葉、まさに正しいと思います。僕も何を言われようと自分の好きなことをして大成功したいです。
・一番心に残ったのは挫折体験を話してくださったときで、挫折しても自分の活躍できるところで努力して、評価されていることを尊敬しました。
・「作品づくり」だけでなく、人生のこと、悩みのこと、いろいろなことを教えてくださいました。「プロ」という人は、全員、深い思いを抱き、自分の夢や、自分らしさを生かし、世の中の人たちに伝えられるスペシャリストのような人なんだなと感じられました。

コロナ禍において私たちの顔の一部と化したマスクを逆手に取り、表現手段として楽しんでしまおうという「正直マスク」のワーク。
作品作りの楽しさを味わうだけでなく、風間さんの制作にかける思いにも深く触れることができた学校訪問となりました。
(A.T)

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