ミッション∞インフィニティ|宇宙+量子+芸術
「ミッション[宇宙×芸術]」展(東京都現代美術館)から10年、国際量子科学技術年(2025年)にあわせて、宇宙や量子などのサイエンス領域とアートのコラボレーションによって「世界の成り立ち」や「見えない世界」について考える企画展を開催いたします。
科学者らの宇宙研究やアーティストの「宇宙」に関する作品群に加え、国産量子コンピュータによる初のアート作品など、「時と空間」が不思議なふるまいを見せる「量子」の領域に取り組む、新たな表現の可能性を紹介します。いつの時代も、何かを超えようと試みることはアートの重要な役割です。やがて宇宙への旅が日常となり、量子研究が次の100年へと向かういま、先駆者に続いて表現領域を拡張しようとする作り手らの試みを、多様なインスタレーションやXR展示で体験的に展開します。会期中のイベント(研究者とアーティストの対話など)を通して「量子ネイティブ」な創造的アイデアのヒントを探ってみましょう。
参加作家・機関 (順不同)
久保田晃弘+QIQB、平川紀道、ARTSATプロジェクト(久保田晃弘|平川紀道)、逢坂卓郎、落合陽一、江渡浩一郎+アラレグミ、安藤英由樹+田中成典、古澤 龍、森脇裕之、片岡純也+岩竹理恵、藤本由紀夫+永原康史、田中ゆり+有賀昭貴+パヴレ・ディヌロヴィッチ、吉本英樹、JAXA宇宙科学研究所(ISAS)/ 天文仮想研究所(VSP) / 東京藝術大学、アンリアレイジ、Useless Prototyping Studio、種子島宇宙芸術祭実行委員会、量子芸術祭実行委員会 他
落合陽一《リキッドユニバースII》 2024年
安藤英由樹+田中成典《量子生命閃視(せんし)》 2025年
平川紀道《datum》 2016/2025年
久保田晃弘+QIQB『Quantum Computer Art Studies』より表紙 /《Two Humans 250718》 2025年
逢坂卓郎《生成と消滅》 2025年
作品資料
文部科学省「一家に1枚 量子と量子技術」、科学・芸術領域の先駆者資料、量子コンピュータ関連資料 他
みどころ
1 拡張するアートのフロンティア
いつの時代にも、何かを超えようと試みることはアートの重要な役割です。宇宙への旅が日常となりつつあり、量子研究が次の100年へと向かう今、領域を拡張しようとする作家たちの多様な試みを紹介します。
2 貴重な映像によるインスタレーション、アーカイブ
宇宙や量子の研究に基づくデータ可視化・可聴化の試みを、ダイナミックな映像インスタレーションとして展示します。また、導入展示では、戦後からEXPO‘70の前後にかけて、科学と芸術の両域において先駆的活動を展開した科学者・芸術家らの貴重な資料を、現在に重なる特異点として紹介します。1970年の大阪万博がいわば「古典コンピュータアートの黎明」であるなら、今回展示される、2025年の大阪・関西万博で発表された作品群は、国産量子コンピュータによる「量子コンピュータアートの黎明」と言うべき試みを創出しています。
3 体験型展示・イベント
メタバースやゲームの形式で宇宙や量子を体感できる作品群やXR展示、流転を続けるインフィニティ空間や、宇宙から届くミューオンやニュートリノを身近に感じさせる試みを展開します。また会期中には、参加アーティストや協力機関の研究者・開発者らが、アートとサイエンス/テクノロジーについて、「かさねあわせ・もつれ・かんそく」など、量子的な概念に基づく創造的思考について語りあいます。
アンリアレイジ《PLANET》 2022年
片岡純也+岩竹理恵「KEK曲解模型群」より《すり抜ける紙飛行機》 2017/2025年
理化学研究所《量子コンピュータXR》(制作:ライノスタジオ) 2025年
古澤 龍《Mid Tide #3》 2024年
吉本英樹《DAWN》 2023年 Photo: 板東成留
Useless Prototyping Studio《Black Hole Recorder》 2021年
基本情報
- 会期
2026年1月31日(土)~5月6日(水・振休)
- 休館日
月曜日(2月23日、5月4日は開館)、2月24日
- 開館時間
10:00~18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
- 会場
東京都現代美術館 企画展示室B2F、ホワイエ他
- 観覧料
一般1,800円(1,440円)/大学生・専門学校生・65歳以上1,260円(1,000円)/中高生720円(570円)/小学生以下無料
※( ) 内は20名様以上の団体料金
※本展チケットで「MOTコレクション」もご覧いただけます。
※小学生以下のお客様は保護者の同伴が必要です。
※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方と、その付添いの方(2名まで)は無料になります。
※ 毎月第3水曜(シルバーデー)は、65歳以上の方は無料です。(チケットカウンターで年齢を証明できるものを提示)
※家族ふれあいの日(毎月第3土曜と翌日曜)は、18歳未満の子を同伴する保護者(都内在住を証明できるものを提示/2名まで)の観覧料が半額になります。
[学生無料デー Supported by Bloomberg]
2月21日(土)~23日(月・祝)は中高生・専門学校生・大学生は無料です。(チケットカウンターで学生証を提示)
[Welcome Youth 2026]
3月1日(日) ~4月5日(日)の期間、18歳以下(2007年4月2日以降生まれの方)は無料です。(年齢を確認できる証明書を提示)- 主催
東京都現代美術館
- 共催
CG-ARTS(公益財団法人 画像情報教育振興協会)
- 助成
オーストリア文化フォーラム東京
- 協力
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)他
展覧会について
国連宣言による国際量子科学技術年(2025年)にあわせて、宇宙や量子などのサイエンス領域とアートのコラボレーションを通して「世界の成り立ち」や「見えない世界」について考える企画展を開催いたします。
科学者らによる宇宙研究と、アーティストによる宇宙をテーマとした作品群に加え、国産の「量子コンピュータ」による初のアート作品など、「時と空間」が不思議なふるまいを見せる「量子」の領域に取り組む、新たな表現の可能性を紹介します。
今世紀に入り、宇宙と芸術に関する企画展が次々と開催されました1)。「理想郷としての宇宙/身近になる宇宙」、「アーティストによる宇宙/リアルな宇宙」、「歴史的視点から見た宇宙」等をテーマとした美術展に加え、近年は国内外のサイエンス・ミュージアムでも、アーティストによる作品が展開されています。
本展では、次世代へ向けて「量子的なセンス」の重要性について問いかけた「エンタングル・モーメント―[量子・海・宇宙]×芸術」展(大阪・関西万博、2025年)の試みをふまえ、宇宙開発による「物理的宇宙」の探求のみならず、多元宇宙や量子宇宙の世界観を作品表現や技術・資料展示を通して取り上げ、我々をとりまく世界をアートとサイエンス領域から考察します。また、芸術領域を含む人文社会科学から宇宙をとらえる視点をもとに、アーティスト・イン・レジデンスを実践する国内外の研究機関の協力を得て、その成果を展示します。リアルインスタレーションに加え、XR展示やメタバース上の展開など重層的な展示を行い、研究者とアーティストの対話を通して「量子ネイティブ」2)な創造的思考・アイデアのヒントを探ります。
1)「SPACE ODYSSEY 宇宙の旅」(水戸芸術館、2001年)、「ミッション・フロンティアー知覚の宇宙へ」(東京都写真美術館/日本科学未来館、2004年)、「ミッション[宇宙×芸術]―コスモロジーを超えて」(東京都現代美術館、2014年)、「宇宙と芸術展:かぐや姫、ダ・ヴィンチ、チームラボ」(森美術館、2016年)など。
2)デジタルネイティブと同様に、量子の知識や技術を使いこなし、次への発想に活かせる人材。
関連事業
講堂などを会場に、参加アーティスト・研究協力者・学芸員によるトーク、作品上映、ワークショップ、国内外の協力機関・芸術祭等との企画連携によるイベントやサテライト展示等を会期中に開催します。内容・参加方法などの詳細は本ページに順次公開予定です。
