イタリア美術 1945-1995 見えるものと見えないもの
展覧会概要
イタリアは、美術の歴史に大きな役割を果たしてきた国です。けれども現代においてどのような美術が創造されているのか知る機会は多くありませんでした。この展覧会は、第二次世界大戦以降のイタリア美術を、立体作品を中心とした約80点によって紹介するものです。
20年におよぶファシズム支配から解放されたイタリアの美術は、復興のなかで新たな模索を始めました。戦後ローマで活躍したブッリやコッラは、芸術の伝統的な素材ではない「もの」の物質性を表現に結びつけようと試みました。またミラノでは、フォンターナがカンヴァスを切り裂いて新たな「空間」を指し示しました。
1960年代、世界の各地で芸術家たちが、芸術の仕組みそのものを問題にして作品を制作する方向にむかうなか、マンゾーニを先駆としたイタリアの芸術家は、大きなスケールと豊かな想像力をもってこの課題に取り組みました。60年代の終わり以降「アルテ・ポーヴェラ(簡素な、貧しい芸術)」として知られるようになった、クネリスやファブロ、アンセルモやペノーネらの作品も、土や水など自然のエレメントや鉄、ガラス等の工業素材といった「もの」を用いて、文化/自然としての空間と対話をひきおこしました。こうした誌的な喚起力は、1970年代の終りから本格的に活動を開始したクッキ、パラディーノらの幻想的な絵画とも根底でつながるものです。
この展覧会では、戦後イタリア美術の出発点において提出された「もの」と「空間」の問題に注目し、その展開を探ります。この視点から、バニョーリやスパレッティら、近年活躍するイタリアの作家も紹介します。東京都現代美術館の空間を舞台にしたその展示は、視覚芸術の可能性を示すとともに、イタリアの今日をより深く理解する機会となるでしょう。
展覧会情報
展覧会名
イタリア美術 1945-1995 見えるものと見えないもの
会期
1998年2月1日(日)~3月22日(日)
休館日
毎週月曜日
開館時間
10:00~18:00 (金曜日は夜間開館21:00まで)入場は閉館30前まで
観覧料
一般1,000円、児童・生徒500円
主催
東京都現代美術館/ 読売新聞社/ 美術館連絡協議会
後援
外務省/ イタリア大使館/ イタリア文化会館
協賛
ALBERTO ASPESI/ 花王株式会社/ ILLY FRANCIS FRANCIS!
協力
アリタリア航空/ 本田技研工業株式会社
企画協力
ナンジョウアンドアソシエイツ
アーティスト
エットーレ・コッラ Ettore Colla
ルーチョ・フォンターナ Lucio Fontana
ファウスト・メロッティ Fausto Melotti
アルベルト・ブッリ Alberto Burri
マリオ・メルツ Mario Merz
エンリコ・カステッラーニ Enrico Castellani
ミケランジェロ・ピストレット Michelangelo Pistoletto
ピエロ・マンゾーニ Piero Manzoni
ジョヴァンニ・アンセルモ Giovanni Anselmo
フランチェスコ・ロ・サヴィオ Francesco Lo Savio
ピーノ・パスカーリ Pino Pascali
ルチアーノ・ファブロ Luciano Fabro
ヤニス・クネリス Jannis Kounellis
ジューリオ・パオリーニ Giulio Paolini
アリギエロ・ボエッティ Alighiero Boetti
エットーレ・スパレッティ Ettore Spalletti
ピエル・パオロ・カルツォラーリ Pier Paolo Calzolari
ジルベルト・ゾリオ Gilberto Zorioe
ジーノ・デ・ドミニチス Gino De Dominicis
レーモ・サルヴァドーリ Remo Salvadori
ジュゼッペ・ペノーネ Giuseppe Penone
ミンモ・パラディーノ Mimmo Paladino
マルコ・バニョーリ Marco Bagnoli
エンツォ・クッキ Enzo Cucchi
ドメニコ・ビアンキ Domenico Bianchi
ジャンニ・デッシ Gianni Dessi