MOTアニュアル2000 低温火傷

展覧会概要

「MOTアニュアル」は、当館が昨年度よりスタートしたシリーズ企画です。このシリーズは、開館記念展「日本の現代美術 1985-1995」を引き継ぎ、日本そして東京を立脚展として、新しい美術の成果を毎年グループ展の形式で紹介していくものです。「ひそやかなラディカリズム」展に続き、第2回目となる本展は、「低温火傷」というタイトルのもと6作家により構成されます。

「低温火傷」とは、熱いとすら感じない程度の熱に、長時間肌をさらすことによって生じる火傷のこと。むしろ心地よいほどの暖かさにすすんで身をおくうちにいつのまにか侵食する痛み―今日の社会においては何事もなく繰り返される日常ほど、そんな痛みとつねに隣り合わせなのではないでしょうか。情報と物質の「豊かさ」を享受しながら、多くの人がどこかで不安や満ち足りなさ、乾きを抱え込んではいないでしょうか。

高度経済成長の達成からバブル期の狂騒、そしてその崩壊後の失速感や価値観・未来像の変容にゆれる現代を、本展では「低温火傷」の時代ととらえます。この展覧会が提示するのは、まさにそうした時代に生まれ育った作家たちが、美術家/表現者として、また一個人として、自分の日常を見つめ直すことを通じて生み出した作品です。それらは、視点や表現こそ異なるものの、切実な欲求に基づきながら淡々とした冷静さを持って、この時代がはらむリアリティをそれぞれ浮き彫りにしています。

いかにささやかであろうとも、自分の身体や意識が否応なく示す反応こそが、あたりまえのものとして受け入れてきた矛盾や問題点を解きほぐす確かな手がかりなのではないでしょうか。本展は、「低温火傷」をキーワードに、私たちをとりまく風景[Land/mind/body-scapes]を改めて見つめ直す機会を、アートの実践の中に探ります。


展覧会情報

展覧会名
MOTアニュアル2000 低温火傷
会期
 
2000年1月18日(火)~3月26日(日)
休館日 
毎週月曜日(ただし3月20日は開館、3月21日は休館)
開館時間 
10:00~18:00 毎週金曜日は21:00まで(入場は閉館30分前まで)
観覧料 
一般500円、小中高生250円
主催 
東京都現代美術館
特別協力 
日本マクドナルド(株)
協力 
(株)セブン・イレブン・ジャパン/ (株)am/pmジャパン/ (株)ファミリーマート/ (株)ローソン/ 東亜レジン(株)/ 藤倉プラスチック(株)/ 朝日エティックk.k/ (株)燦英


アーティスト

平川典俊
高島陽子
ホンマタカシ
中村政人
守章
木村太陽

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