MOTサテライト 2017 秋

むすぶ風景

MOTサテライト 2017秋 むすぶ風景

休館中の東京都現代美術館(MOT)が、アーティストたちと清澄白河のまちに!上野に!お邪魔します♪


古くは松尾芭蕉も居を構え、戦後はオリンピックの聖火が通り、近年ではカフェやギャラリーが活気を見せる清澄白河――東京都現代美術館は1995年に開館し、クリエイティブで魅力あるこの地で活動を続けてきました。「MOTサテライト」は、改修休館中の東京都現代美術館が、清澄白河エリアのさまざまな人や施設の協力を得てまちへ出かける試みです。さまざまなアーティストによる作品やプロジェクトをまち中で紹介しながら、新旧問わず活気あるこの地域の文化やコミュニティが織り成す豊かさと魅力を発信します。
第2回目となる「MOTサテライト 2017秋 むすぶ風景」では、このまちの多彩な営みにある背景や、まちが経てきた歴史的変化の軌跡をたどります。多様な人々が集ってきたこの地域の活力や風景を可視化する作品展示やワークショップ、まち歩きやトークイベント等を通じて人とまちをむすび、清澄白河との新たな出会いを創出します。
また今回は、未来の文化の創造の担い手である若い世代を対象にした展示やイベントも多数開催します。その一環として、清澄白河エリアに加え、東京藝術大学上野キャンパス内 アーツ・アンド・サイエンス・ラボでの展示やイベントも行います。

参加作家

清澄白河エリア

・下道基行(MOTスペースA. 深川資料館通り商店街協同組合事務所1F:三好3-8-5)
・鎌田友介(MOTスペースD. 三好の旧製本所:三好2-15-3)
・Atsuko Nakamura(MOTスペースE. 三好の旧建具屋:三好2-2-5)
・守章(MOTスペースF. 平野の旧印刷所:平野1-9-5)
・東京藝術大学芸術情報センター 清澄白河プロジェクト
(MOTスペースB. グランチェスター・ハウス2F:三好3-8-5)

・東京大学 廣瀬・谷川・鳴海研究室(MOTスペースB. グランチェスター・ハウス1F:三好3-8-5)
・のらもじ発見プロジェクト(MOTスペースC. 旧喫茶店:三好3-4-7)
*住所はすべて江東区です。

・錯視ブロックワークショップグループ(11/3、11/4 ワークショップ開催予定)

清澄白河エリア(MOTスポットa~i)


・石塚まこ(MOTスポット9か所
*MOTスポットの名称はアクセスを参照ください。


東京藝術大学 アーツ・アンド・サイエンス・ラボ(MOTスペースG)

エリック・ボードレール、ユリアス・コラー、ミリアム・レフコウィッツ、
ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ、冨井大裕

みどころ

清澄白河エリアでのみどころ

第1回目に引き続き、清澄白河エリアでは、町工場跡地等を利用した展示拠点「MOTスペース」(6ヶ所)にて主な展示を、店舗や文化施設の一部をお借りした「MOTスポット」(9ヶ所)にて小規模な展示を展開します。
展示は現代美術の作品を中心にした"まちの風景をえがく"と、体験型作品を中心とした"体験からめぐる清澄白河"の2つのカテゴリーに分けて紹介します。
まちの中心には、MOTサテライトの期間限定「案内所」もありますので、まずは気軽にお立ち寄りください。
地域のクリエイティブな拠点「地域パートナー」で行われる多彩な活動にも注目です。

東京藝術大学上野キャンパス アーツ・アンド・サイエンス・ラボでのみどころ

カディスト・アート・ファウンデーション(パリ)との共同企画展-
清澄白河エリアに加えて、今回は上野にも会場を広げます。東京藝術大学上野キャンパス内 アーツ・アンド・サイエンス・ラボも、もう一つの「MOTスペース」として、展示および関連イベントを多数実施します。
アーツ・アンド・サイエンス・ラボでは、パリにある芸術財団、カディスト・アート・ファウンデーションとの共同企画により、「ないようで、あるような」展を開催します。
現代美術を通じて地域や社会、人々と関わることの意義やそのあり方について考察し、議論し、実践するための展示やイベントを展開します。

*清澄白河エリアの各拠点と上野会場はARスタンプラリー「MOT Navi」で結ばれます。

主催

東京都、東京都現代美術館・アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団

後援

江東区

特別協力

深川資料館通り商店街協同組合、グランチェスター・ハウス、
東京藝術大学社会連携センター、東京藝術大学芸術情報センター、
東京藝術大学大学院 国際芸術創造研究科、東京藝術大学 古川研究室、
東京大学 廣瀬・谷川・鳴海研究室

助成

アンスティチュ・フランセ 、モンドリアン財団 

協賛

協力

東京大学地震研究所、デル株式会社、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同会社、
大阪大学大学院情報科学研究科、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科、
錯視ブロックワークショップグループ、ケイ・インターナショナルスクール東京、
一般社団法人 江東区観光協会、法政大学大学院 地域創造システム研究所、
江東区文化観光ガイドの会、株式会社中川ケミカル、株式会社 森木ペーパー、
江東区深川江戸資料館、江東区立深川図書館、Coci la elle、smokebooks、
オールプレスエスプレッソ、三河屋精米店、大久保クリーニング、ナンディニ、
御菓子司 双葉、株式会社スタートライン

平成29年度[第20回]文化庁メディア芸術祭協賛事業


地域パートナー

リトルトーキョー(しごとバー)/ 無人島プロダクション / Satoko Oe Contemporary /
アルマス・ギャラリー / gallery COEXISTーTOKYO / アンドーギャラリー / Babaghuri /
WILD SILK MUSEUM / 江東区深川江戸資料館 / GLASSーLAB / リカシツ / 江東区芭蕉記念館 /
どうぶつしょうぎcafe いっぷく/ POTPURRI/ gift_lab GARAGE/ アライズ コーヒーロースターズ/
KANA KAWANISHI GALLERY/ LYURO GALLERY(LYURO 東京清澄-THE SHARE HOTELS-) /
TAP Gallery/ Coci la elle(コシラエル本店)/ 小名木川物語製作委員会/
水辺からアプローチするアートシーンズ / 深川ヒトトナリ/ 清澄白河ガイド(しらべる合同会社)





まち[清澄白河]の風景をえがく

国内外で活躍する現代美術家たちが、地域の記憶や人々の営みから浮かび上がる風景を、作品を通して表現します。


下道基行
 (Motoyuki Shitamichi) 
会場:MOTスペースA(深川資料館通り商店街協同組合事務所 1F / 江東区三好3-8-5)

1978年岡山県生まれ、愛知県在住。
《見えない風景/深川編》
落書き、路地園芸、誰かが置いたオブジェなど、まちなかの何気ないランドマークを言葉でスナップし、地図をつくるワークショップ「見えない風景」。モニュメント化された目印ではなく、人々の営みの痕跡をたどっていくようなこの試みは、これまで各地で展開され、見慣れた場所の別の姿を浮かびあがらせてきました。今回は、この近隣を舞台に実施された「深川編」の記録映像を展示します。


鎌田友介 (Yusuke Kamata)
会場
:MOTスペースD(三好の旧製本所:江東区三好2-15-3)

1984年神奈川県生まれ、同県在住。
《不確定性の家》
深川界隈にあった日本家屋の記憶を辿るインスタレーション。一般住宅である木造日本家屋は、寺院や庁舎などランドマーク的な建造物と違い積極的な保存がされづらく、その多くが戦災や建て替え等で姿を消しています。地域の人々の記憶の中に断片的に、あるいは曖昧に、しかし強い思い出とともに残っている家屋の特徴を収集・再構成して、どこにでもありそうでどこでもない家として可視化します。

Atsuko Nakamura  
会場:
MOTスペースE(三好の旧建具屋 / 江東区三好2-2-5)

1982年石川県生まれ、神奈川県在住。
《内在する速度》
水とともに生きてきた木場の記憶を可視化する作品。新木場ができる前は、水路に浮かぶ丸太、その両脇に並び立つ材木倉庫、そしてそこで仕事をする人々や掘割を遊び場にする子どもたちの姿が、このまちを特徴付ける風景でした。本展では、会場である建具倉庫に残されていた木材を用いて、水の気配を感じさせるインスタレーションを展示します。

守章 (Akira Mori)
会場:MOTスペースF(平野の旧印刷所 / 江東区平野1-9-5)

1996年双子の兄弟ユニットとして活動開始。現メンバーは弟の守喜章(東京都在住)
《周囲内見》
かつて印刷所があった場所を舞台にしたサウンドインスタレーション。

がらんどうの空間に入ると取付けられた複数のスピーカーから人の営みを想起させる音が聞こえてきます。まるで部屋を探して物件を内見する時のように、昔そこにあったであろう想像上の生活感が浮かび上がります。変化していくまちのなかで材木店と並び地域の重要産業であった印刷所の一つが一仕事を終えた幕間のような瞬間を感じさせる作品です。

石塚まこ
(Mako Ishizuka)
1974年兵庫県生まれ、スウェーデン/パリを拠点に活動中。

会場:オールプレス エスプレッソ/ ナンディニ/ 大久保クリーニング / smokebooks / 御菓子司 双葉/ 株式会社スタートライン/ Coci la elle/ 三河屋さんの米置き場
《反転する視点》
まちの観察や人々との交流で得たインスピレーションを自身の経験と結び、その思考の地図をまちに開かれた窓に展開していくプロジェクト。東京にゆかりもなく、国外で移民として生活する作家が、清澄白河で学び、働き、暮らしている海外にルーツを持つ人々を「案内役・媒介者」としてまちを考察し、日々の営みに現れる線の引き方・越え方の中に地域特有の価値観を見いだしてゆきます。


会場:江東区立深川図書館
《二重の橋》
作家が来日前に読んだ江戸についての書籍や地域の図書館で出会った資料、海外の知識人による日本での体験記などと、自身の経験との交叉点の数々を星座のようにむすびます。

体験からみる清澄白河

教育機関に所属するアーティストや研究者たちが地域や清澄白河というまちをテーマに取り上げ、多様な視点から、体験型作品を中心としたプロジェクトを紹介します。


東京藝術大学芸術情報センター 清澄白河プロジェクト
会場:MOTスペースB(グランチェスター・ハウス2階 / 江東区三好3-8-5)


東京藝術大学情報センターは、情報メディアやファブリケーションによる講義・創作支援機関です。若い才能のショーケースとして、教職員作品と学生作品「むすぶ風景」を展示します。

■展示参加メンバー
古川聖/ 大谷智子/ 鈴木葉音野/ 田部井勝彦/ 網守将平/ 藤田佑樹/ 肥後沙結美、藤木淳(現・札幌市立大学准教授、前・東京藝術大学芸術情報センターJST研究員)、「メディアアート&プログラミングI・II」履修生チーム
 ※詳細な作家資料は*プロジェクト参加メンバー詳細をご覧下さい。

パフォーマンス/ワークショップ
会期中に、清澄白河の建築や空間が楽譜に自動生成されるプロジェクトや、まちのかたちを再発見する「サッカク・ブロック・ワークショップ」をそれぞれ開催します。
(※開催概要は「関連プログラム」欄を参照)

■パフォーマンス/ワークショップ参加メンバー
古川聖・藤井晴行・濱野峻行・小林祐貴「Architecture dreams Music / 建築が夢見る音楽」
パフォーマンス実施場所:龍徳山 光厳教寺 雲光院(江東区三好2-17-14)
古川聖(1959年東京都生まれ)、藤井晴行(1959年東京都生まれ)、濱野峻行(1985年東京都生まれ)、小林祐貴(1987年愛知県生まれ)によるプロジェクト。建築と音楽の関係を、構造や素材のみならず、構造と認知のレベルにおいてつなぐ方法を模索しています。地域に実在する建築空間から音楽表現を同時生成するコンピュータプログラムを開発し、部分的に発展させつつプロトタイプによる演奏を行い、建築空間と音楽をインタラクティブにつなぐ多次元のマッピングを行います。


東京大学 廣瀬・谷川・鳴海研究室
会場:MOTスペースB(グランチェスター・ハウス1階 / 江東区三好3-8-5)、1階 案内所(江東区三好2-17-11)
教授:廣瀬通孝、特任准教授:谷川智洋、講師:鳴海拓志から成る東京大学大学院情報理工学系研究室として、バーチャルリアリティ技術を端緒としたインタフェース技術について多様な研究を国際的に展開しています。人工現実感・拡張現実感技術、五感を扱うインタフェースやライフログ技術、ビッグデータ処理技術などの基盤技術開発に加え、技術によって生まれるコンテンツや社会展開も研究対象とし、技術を文化施設やパブリックアートに取り入れて新しい表現領域の確立を目指すプロジェクトや、高齢者のスキルを社会に役立てるための高齢者クラウドプロジェクトなどに取り組んでいます。

英国と清澄白河を往来するアーティスト/画廊オーガナイザー志村博(1949年生まれ)と、バーチャルリアリティ(VR)研究者(東京大学 廣瀬・谷川・鳴海研究室)が連携し、江東区の今と昭和の風景写真が溶け合う「思い出のぞき窓」を展示します。オリンピックの聖火が通った道や木場の風景(現・東京都現代美術館付近)にもスポットをあてます。

のらもじ発見プロジェクト
会場:MOTスペースC(旧喫茶店 / 江東区三好3-4-7)
下浜臨太郎、西村斉輝、若岡伸也らによる、古い町並みや看板に残る個性的で味のある素敵な文字たちを「のらもじ」と名づけ、発見 → 分析 → フォント化し、その魅力を再発見するプロジェクトです。今回は、清澄白河で発見された「のらもじ」を使って、インスタレーションやプロジェクトを紹介します。


錯視ブロックワークショップグループ
ワークショップ日時:2017年11月3日(金・祝)、4日(土)各日とも14:00-16:00
実施場所:江東区立白河こどもとしょかん(江東区白河4-3-19)
*参加方法等詳細は関連イベントページをご覧ください。

多分野の研究者やデザイナーが参加して、錯視ブロックを使ったワークショップを開発しているグループ(代表:東京藝術大学・大谷智子)。錯視ブロックとは、その表面の模様の組み合わせ方で多様な「錯視」を生じさせるブロックです。立体でありながら紙の上に書いただまし絵のような印象を与える不思議な立体を作成できます。この立体を見る角度が変わると、目に映る模様の組み合わせの変化とともに、錯視の生じ方が変化します。親子・小さな子どもから年配の参加者まで、年齢・場所・時間に応じて楽しめるワークショップを美術館や学校など多数の会場で開催し、現在に至っています。

東京藝術大学 アーツ・アンド・サイエンス・ラボ

アーティストと人々の対話がもたらすもの

アーティストを育む東京藝術大学で行われる展示は、地域とのつながりに根ざしたMOTサテライトのように、現代美術を通して地域や人々と関わることの意義について考えます。

アーティストは、人々との対話から何を見出し、作品として表現するのでしょうか。また作品は、関わった人々や観客が社会を見つめなおすための、どんな可能性を提示するのでしょうか。本展「ないようで、あるような」は現代美術がもちうるそのような可能性を探るものです。異なる時代や地域に生きるアーティストが、人々と共に社会を見つめ制作した作品を、フランスのカディスト・アート・ファウンデーションとの共同企画で紹介します。


エリック・ボードレール(Eric Baudelaire)
1973年アメリカ生まれ、フランス在住。
《ドラ・マール校 始まり エピソード1》(2015-2019)
ある出来事や人物に関する綿密なリサーチに基づいて制作されるボードレールの映像作品は、ひとつの解釈や結論に回収されず、記録や事実とは何かを問いかけます。今回は、作家がパリ郊外のコレージュ(中等教育)ドラ・マール校の生徒らと共に4年に渡って制作を続けている映像作品の一部を発表します。生徒たちが、学校や社会問題について、また自らを表現することについて意識的になってゆく過程が捉えられています。

ユリアス・コラー (Július Koller)
1939年チェコスロバキア生まれ、2007年スロバキア没。
《Ping-Pong(U.F.O.)》(2007)
コラーは1960年代から、絵画やアクションをはじめ、多くのメディアを用いたユーモラスな作品で、当時のチェコスロバキアの社会体制に批評的に応答しました。中でも、作品のモチーフとしてよく取りあげられたのがテニスや卓球です。スポーツと社会の成立に欠かせない「フェア・プレイ」について考えて欲しいと望んだ作家は、展覧会を行う代わりに人々を招いて卓球トーナメントを行いました。そのような行為は、当時の美術のあり方を批判するものでもありました。今回は、そのようなアクションの記録を中心に展示を構成します。

ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ (Wendelien van Oldenborgh)
1962年オランダ生まれ、同地在住。
《Après la reprise, la prise》(2009)
作家は、人々の関係性や歴史の捉え方などを検証するため、異なる背景を持つ人々と恊働し映像作品を制作してきました。今回の展示作品では、反対運動にも関わらず縫製工場での職を奪われ、その経験を演劇化したベルギーの女性労働者たちと、これから社会へと出る学生たちと協働しています。使われなくなった裁縫の教室で、女性たちと学生が自らの経験を共有し、変わりゆく労働条件や、声をあげることについて対話する様子が映し出されます

ミリアム・レフコウィッツ (Myriam Lefkowitz)
1980年フランス生まれ、同地在住。
《Walk, Hands, Eyes (Tokyo)》(2017)
人々が空間や身体をどのように知覚しているのかを探るため、観客と共に行うパフォーマンス作品を各地で発表してきました。10月14日と15日に行われるパフォーマンスでは、参加者が、ガイドとなるパフォーマーに導かれ、目を閉じてまちを歩きます。音、におい、触覚など、視覚以外の感覚を研ぎ澄ませ、かつそこから織り成される想像を通じて、まち空間を体験するというもの。展示会場では、音声とテキストによるミニマムなインスタレーションを発表します。


冨井大裕 (Motohiro Tomii)
1973年新潟県生まれ、神奈川県在住。
《body work #1-#22》(2012-)
並べる、折る、つなげるなど、冨井は自らが作ったルールに則って、日常的なモノの新たなあり方や見方を提示してきました。今回展示する《body work》シリーズでは、観客は作品を見るだけではなく、指示書に従い、用意されたマットレスの上でかたちを作る身体にもなります。実用性のないかたちを、全身を使って作ることで生じる感覚や思考について、そして、創造するとはどのような行為なのかについて考えさせる作品です。

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