中西夏之展 白く、強い、目前、へ
- 1997年01月18日(土)〜03月16日(日)
展覧会概要
中西夏之(1935生)の活動は、様々な様式、メディア、領域を横断しながら展開されてきました。しかし、その全体を注意深くたどれば、ある特徴的なイマージュが繰り返し登場していることにきづきます。《韻》(1959-60)の表面に散在する砂粒のような微粒子、洗濯バサミがきらめかせる散光(《洗濯バサミは攪拌行動を主張する》1963)、《夏のための》(1981)の表面を覆う白い絵具の瘢痕...。分散し、蝟集し、浮遊する微粒子が、ある垂直面を定位するこの構造は、「絵画」と呼ばれるあの装置の、一つの祖型にほかなりません。
実のところ中西は、「ハイ・レッド・センター」(1962-64)などのプロジェクトを通じて芸術概念自体の融解を画策していた1960年代の半ばにおいてさえ、「絵画」への偏愛を捨てることはありませんでした。早くは1964年から、画家は自らの絵画を再編成する試みを開始し、それは《山頂の石蹴り》連作(1969-71)で頂点に達します。そして《弓形》連作(1978-82)以降、《夏のための》や《紫・むらさき》など、絵画の生成の身振りを再演し続けるかのような一連の作品は、その鋭い緊張感と官能性とによって、今日の絵画の到達点の一つとして高い評価を受けるに至りました。
本展は、中西のたゆまない活動を、「絵画」というモデルを媒介として検証し、それを一つの「場」として提示することを目指したものです。40年近くにおよぶ達成のなかから選ばれた40点あまりの絵画に、アトリウムの大空間を駆使した紗幕面による巨大なインスタレーション作品が「新作」として加わり、展覧会全体は一つの緊密な統一体として構成されます。画家が絶えず立ち返り、様々な形で追求し続けてきた「絵画」、それは何よりも、「絵画」という体験が提示される場であり、またそれが現実の空間や社会に対峙するときに発生する意味を聴き取るための場でもあるのです。
展覧会情報
展覧会名
中西夏之展 白く、強い、目前、へ
会期
1997年1月18日(土)~3月16日(日)
休館日
月曜日
開館時間
10:00~18:00 (金曜日は21:00まで) 展示室入室は閉館30分前まで
観覧料
一般500円、小中高生250円
主催
東京都現代美術館