2014年08月21日(木)

ミッション[宇宙×芸術]展 西澤丞さんへのQ&A

ミッション[宇宙×芸術]展では、西澤丞&ソニー・ミュージックコミュニケーションズの写真集《イプシロン・ザ・ロケット― 新型固体燃料ロケット、誕生の瞬間》が大型パネルと映像で展示されています。
「日本の宇宙開発の最前線を、多くの方々に伝えたい」という思いから始まり、撮影日数は50日を超えたそうです。新型ロケット製造の現場、その圧倒的な迫力とそこに関わる多くの人の存在や思いを感じる空間がひろがっています。


イプシロン・ザ・ロケット.jpg


西澤丞&ソニー・ミュージックコミュニケーションズ
《イプシロン・ザ・ロケット― 新型固体燃料ロケット、誕生の瞬間》
2013
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西澤丞さんに聞く
宇宙と作品に関する「3つの質問」


ご質問への回答
1)宇宙ロケットに興味を持った時期、きっかけは何ですか?


中学生くらいの時に見た写真がきっかけです。有名なアポロやゴダードの初期のロケットの写真を見て単純に「かっこいい」と思い、「いつか自分も撮りたい」と思うようになっていました。また、きちんと記録写真を撮っておくことの重要性も痛感していましたので、今回のイプシロンの撮影ではロケットのかっこよさと記録撮影の両面で質の高いものにしようと思って撮影しました。


2)撮影する上で一番苦労された点は?


無人カメラで撮影しなければならない状況が、一番難題でした。電波を発するものや有線での遠隔操作は出来ませんでしたので、音でシャッターを切れる装置を自作して臨みましたが、事前に本番と同様の環境でテスト出来る訳ではありませんでしたので、写っているかどうかを確認する瞬間は、本当にドキドキでした。
 でも、実は撮影よりも撮影出来る立場に自分をおくことの方が遥かに大変なのです。被写体によっては、人生を賭けないといけない場合もありますので。


3)次なるミッションは何ですか?(今後の活動展開について)


「撮らなければいけない」「撮らせてほしい」ものは沢山あるのですが、いずれも簡単に撮らせてもらえるものではありませんので、今の段階では「妄想」です。それでも、撮りたいと思っていると、巡ってきたチャンスを逃さずに済みますので、常に妄想を暖めておくようにしています。


 現在は、次の写真集の企画を動かしていますが取材先からの許可が出ておらず、胃が痛くなりそうな状況です。出来上がった写真を皆様にご覧いただくまでの9割は、書類を作ったり交渉したりする裏方仕事なのです。また、とある国家的規模のプロジェクトに記録撮影としての参加を打診されています。以前から「次世代のために記録しておかなければいけない」と思っていたプロジェクトですので、実現出来ればいいなあと思っています。
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西澤さん、ありがとうございました。


西澤氏ポートレート.jpg
西澤丞 Joe Nishizawa
http://joe-nishizawa.jp
愛知教育大学美術科卒業。写真家。「日本の現場を応援する」というコンセプトのもと、「日本製」のブランドイメージ向上に努め、科学や工業に関する写真を撮影し、自身の著作物や雑誌などで発表している。日 本における工業写真の第一人者。自動車メーカーデザイン室、撮影プロダクション勤務を経て2000年よりフリーランスとして『TIME』や『ナショナルジオグラフィック(日本版)』などで活動。主な写真集に「BUILD THE FUTURE」(太田出版、2010年)など。


(ミッション[宇宙×芸術]展スタッフY)

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