2014年02月10日(月)

MOTアニュアル2014ブログ No.7 「インタビュー 吉田夏奈」

2月8日、9日の東京の大雪。みなさま大丈夫でしたでしょうか?
そんな悪天候の中、海に囲まれた美しい小豆島から、作家の吉田夏奈さんが美術館にやってきました。
小柄ながら、海に潜ったり、本格的な山登りをしたり、とてもアクテイブな作家です。
今朝、展示室に姿が見えないと思ったら、こんなことをしていたみたいです。

吉田さん1.jpg

雪の上に描かれた'太陽'が美術館に出現?
吉田さんによれば、転がりながら、身体全体を使って絵を描いたとのこと。
今日はお天気が良かったので、お昼頃には溶けてしまいましたが、雪の降った朝にしか見られない、貴重な絵に偶然出会えて嬉しくなりました。

では、今日は、吉田夏奈さんのインタビュー記事を、お馴染みのインターン、カノさんがお届けします!
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作家の吉田夏奈さんは、山に登ったり、海に潜ったりと、自然の中を実際に探検しています。
そして、自然の中で得た体験をクレヨンで描き、様々な形に組み立てることで、作品を作ってきました。
今回は吉田さんに、制作について聞いてみました。

カノ「吉田さんの作品は、写真のように自然をありのままに再現するのではなく、私たちが見たことのない形へと風景を変換し、見せてくれるように感じます。
どのように自然を体験し、どのように制作に結びつけているのですか?」

吉田「まずは、徒歩で山の中を探検したり、海に潜ったりします。
自然の中に直に身を置くことで、その様子を私が全身でキャッチするというよりも、裸にされる感じです。
外から見える風景としての自然と、実際に中に入って体感する自然って、全く違うんです。
例えば、海の中に潜ると、目からの情報はもちろんですが、加えて、水温や浮遊感覚、水中で呼吸できない恐怖感など、それら全部ひっくるめて、記憶されていきます。
そして、海面を境にぐっと地球の中心に近づいてるんじゃないか、というような実感が芽生えたりします。
次に、そこで得た体験をもとに、どうにかしてそれを表現します。
技術や論理的思考はもう気にしません。
"とにかくなんとかあの感じ"が唯一の羅針盤になります。
それは、平面を飛び出して立体になったりインスタレーションにならざるを得なくなってきています。」

カノ「完成作品は、吉田さんが考える自然の本当の姿を表現しているのですか?」

吉田「実際に地球の一点に立って、一寸法師のように自然の在り様について考え、
自分のフィルターを通して構築しています。
最近は、作品が完成したら、まず宇宙に提出しているつもり。自然のクイズに回答するように。
面白いことに、宇宙からの返事は来ているような気がしています。次の作品が作りたくなるので。」

今回の展覧会では、広い展示室を使って様々な自然への捉え方がバリエーション豊かに表現されます。展示室でぜひご体験ください。

吉田さん2.jpg展示室でプランを考えてスケッチを始める吉田夏奈さん(2013年に来館された際の写真です)

*吉田夏奈さんのアーティスト・トークが5月10日(土)15:00からございます。ぜひご参加ください。

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