2025年09月12日(金)

手話解説動画で屋外彫刻作品をご紹介!

その他

このたび、当館敷地内(屋外・館内)にある作品、鈴木昭男《道草のすすめ―「点音(おとだて)」and “no zo mi”》の手話解説動画を制作しました!

この動画には、手話による解説のほか、字幕と音声ガイドもつけています。ろうの監修者・出演者、手話通訳士、音声ガイド制作会社の方々とともに、それぞれの専門知識を出し合って制作しました。そこで、今回の協働制作の過程をお伝えしたいと思います。

1. 日本語原稿の作成
はじめに、学芸員が作品解説の日本語原稿を作成します。この作品は「聴くこと」が重要な要素なので、どのようにしたら作品の魅力が鑑賞する人に伝わるかを意識しました。

2. 日本語原稿から手話への翻訳
ろうの手話監修者が出来上がった日本語原稿を元に、手話への翻訳をします。作品を表すうえで大事な言い回しは、翻訳された手話表現を監修者と学芸員で確認します。

3. 下見・打合せ
撮影者、出演者と学芸員で実際に撮影場所を下見し、手話の見やすい位置や明るさ、カメラの画角を相談しながら、カット割りや撮影場所を決めます。

4. 撮影
撮影は、ろう者スタッフと聴者スタッフがスムーズにコミュニケーションを取れるよう、手話通訳士を介して進めていきます。

5. 編集
撮影者がカットをつなぎ合わせて、日本語字幕をつけ、5分程度の動画に編集します。さらに、編集された動画を確認し、手話と字幕の表現に食い違いがないようにして、手話表現や字幕がより見やすくなるように修正します。同時に、音声ガイドを読み上げるための時間も考慮してカットの長さを調整します。

6. 音声ガイド制作
音声ガイド制作会社が、日本語原稿と編集済の動画を元に、音声ガイドの原稿を制作します。音声ガイドとは、情景描写や人物の動きなどの解説を行い、視覚情報を補完するものです。音声ガイドナレーションに加えて、字幕の読み上げの音声も吹き込むと動画は完成です。

このように、完成するまでにはさまざまなプロセスを要し、5分の動画を制作するのに、およそ3カ月かかっています。各専門分野のスタッフと話し合いや作業を重ねていく中で、動画を視聴する人にとってどのような情報があったらよいのか、自分だけでは気づけなかった視点を持つことができました。今後も立場の異なる方々の声を聴きながら、多くの人たちが現代美術に親しめる機会をつくっていきたいと思います。

この作品のほか、2024年度には下記3点の屋外彫刻作品の手話解説動画を公開しています。こちらも併せてご覧ください!(S.O

◆アンソニー・カロ《発見の塔》
◆リチャード・ディーコン《カタツムリのように B
◆髙田安規子・政子《修復/東京都現代美術館(入口壁面)》

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