2019年03月18日(月)

アーティストの一日学校訪問(末永史尚さん)レポート3

アーティストの1日学校訪問

【5校目】 2019年1月19日(土) 国立市立国立第八小学校 6年生 42人
 授業テーマ:「組み替え絵画をつくる」

5校目の国立第八小学校では「組み替え絵画」に取り組みました。

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制作は2段階に分かれています。
まず、末永さんが考えたパターンが記された画用紙から
好きなものを1つ選び、それぞれテーマを設定して
自由に絵を描きます。
絵は、抽象的でも具象的でもOK!
"白い下地を残さないで描く"ことだけがルールです。

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「春夏秋冬」をテーマに具体的に描いたり、
「いろんな気持ち」をテーマに、色や形で表現したり、
思い思いに取り組みます。

45分ほどかけて絵が完成したら、次の制作に向けての説明です。
末永さんから、紙を裏返すように言われて裏側を見ると、
タングラム・パズルの線が。
この線に沿ってはさみでカットするように伝えられると、
こどもたちからは「えーっ!」と驚きの声が上がっていました。
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切り離したパーツは自由に組み替えて、動物や人の形など、
具体的な何かに見える形を探していきます。
描かれた絵をよく観察しながら新しいイメージを創出。
これぞという形が決まったら、台紙を選んで貼ります。
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完成した作品は最後に皆で鑑賞しました。
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"山"をイメージして描いた絵は、切り離したパーツを
組み替えることで"カマキリ"に。
対照的な色を組み合わせて描いた絵は、家の形に。
海の青を意識して描いた絵は、翼を持った生き物になるなど、
それぞれに創意工夫に富んだ展開をみせていました。

最後に末永さんから
「今日はテーマを設定して色を塗り分けました。
自分の色や絵を見直すために"自分の作品を良く見ること"が
作品をつくる上で大切なことです。それを知ってもらいたくて
今回この授業をやりました」とのお話がありました。

先の展開が明かされずに進行した今回の授業。
自分が想定した完成形とは異なる、その先にある創作は、
固定概念から解放され、想像する面白さを味わうひと時と
なったのではないでしょうか。

【6校目】 2019年1月19日(土) 東村山市立南台小学校 5年生 65人
 授業テーマ: 「かわる絵でかわれ場」

最後の実施校となった南台小学校では、2クラス合同で、
3~6時間目まで4時間連続で授業を行いました。
学校内のさまざまな場所でタングラム・パズル作品を作ることで、
普段見慣れている場所をいつもとは異なる視点でとらえ、
表現することが目的です。

こどもたちは4人グループになり、事前に学校内をよく観察して
気になる場所を決めておきます。
選ばれた場所は、音楽室や理科室、プレイルーム、ランチルーム、
昇降口、屋上へ続く階段、渡り廊下など。

当日、末永さんのお話を聞いたら、
グループで決めた場所に出かけ、その場所にあるもの、
あるいは、その場所から見えるもの、その場所から感じたことなどを
画用紙に表現していきます。
具体的な何かを描いても良し、その場所の印象を色や形で表しても良し。

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全18チームが校内のさまざまな場所にでかけて制作を行います。

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目に映るものを具体的に描く子もいれば、
窓から降り注ぐ光が作り出す影の印象を描く子、
教室の壁のニュアンスを抽象的に表現しようとする子と人それぞれ。
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中にはみんなでイメージを統一して描くグループも。

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約1時間の制作時間を経て、図工室に戻ってきました。
4人の作品を四角いパネルの上に並べて置いたところで4時間目は終了。
昼休みの間に、大人たちで絵をパネルに貼り付ける作業を行います。

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5時間目が始まると、秘密となっていた後半の内容が明かされます。

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4人の絵が貼り付けられたパネルを裏返すとタングラム・パズルの形に
切込みが入っています。
その線に沿ってパーツをカットしたら、絵を描いた場所で組み替えて
新しいイメージを創出してきます。

パーツを持って制作場所に戻り、どんなイメージで作るか考えます。
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グループ内で、展示位置などを相談しながら、
パーツを組み替えて形探しを行いました。
形探しと展示は30分ほどかけて行い、展示が終わったグループから、
他グループの作品を鑑賞しに行きました。
全員が図工室に戻ってきたところで、撮影した写真を元に鑑賞会です。

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こどもたちは、それぞれの部屋の特徴を考えながら展示していました。
中には天井に貼ったり、立体的な設置を試みていたり、
渡り廊下の光降り注ぐガラス壁を生かしたりと、工夫を凝らします。

組み替えて生まれたイメージは、「竜宮城」「ロケット」「イカ」など。
形や色などのつながりから新たなイメージを探したり、
各ピースの形を組み合わせたりと、自分たちが描いた絵をよく見ながら、
新たな発想でイメージを生み出していました。

南台小学校では、訪問授業後に展示鑑賞期間が設けられました。
普段は自由に入れない場所も作品が展示されているこの期間は
特別に出入りOK!
先生が作成したマップと手作りスタンプを用いたスタンプラリーも
開催されました。
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こどもたちからは、
・たくさんの人に見てもらえて嬉しかった。
・校内のいろいろなところにいろいろな形の作品が飾ってあってすごかった。
・下学年があの絵を楽しそうに見ていたのが印象的だった。
・自分たちがつくった作品を見てくれて「すごい!」と言ってくれたのが
うれしかった。
などの感想が寄せられました。

今回の末永さんによる学校訪問では、
いずれの授業も、自分なりの視点を大事にしながら
ものと向き合うことを大切にした内容でした。
表現するプロセスを楽しみながら、新たなものの魅力と出会うことを
通してこどもたちはそれぞれに発見があったようです。
アーティストならではの独自の視点による授業を通して、
美術の捉え方の世界が広がる経験になったのではないでしょうか。
(A.T)

    

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