アーティストの一日学校訪問(淺井裕介さん)レポート その2
当館収蔵作家の淺井裕介さんによる、
2016年度の「アーティストの一日学校訪問」。
内容別に、各学校での活動をご紹介しています。
<マスキングテープ>
【1校目】2016年10月25日 墨田区緑小学校 「"緑小の木"をつくろう」
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小学6年生50人が参加してくれました。
1月の展覧会に向けて、会場となる体育館の壁に
マスキングテープで"緑小の木"をつくることになりました。
まずは、淺井さんがご自身の作品をスライドで紹介したのち、
これから作る木の幹、枝、葉のかたちについて解説します。
さらに、どうやってテープでかたちを作ったらいいのか、
お手本を見せてくれました。
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早速、こどもたちは体育館の床に敷いたビニールの上に、
テープでトリのかたちを作ってみます。
横棒に羽を付けると横から見たトリ、W型に貼れば正面から見たトリになります。
あとはペンで好きな色を塗って、ビニールから剥がせばできあがり!
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こどもたちは、淺井さんの指示に従い、
さらに木の葉や枝をせっせと作っていきます。
軸となるテープからうまく剥がしていかないと、かたちが壊れてしまいます。
ゆっくりと、慎重に剥がします。
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こどもたちから受け取ったトリや木の幹、枝、葉を用いて、
淺井さんが体育館の壁に、大きな木を茂らせていきます。
もともと飾ってある校章や、100周年記念で製作された絵画をうまく活かしながら、
はしごに登って、慎重に作業を進めました。
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授業終了後も、淺井さんは制作を続けてくれました。
昼休みを利用し、手伝いに来てくれた子たちもいて、放課後にようやく完成!
自分たちの作った一つひとつのテープ作品が
大きな壁画に変身したのを目の当たりにし、大きな歓声が上がっていました。
【2校目】2017年1月27日 東京都立八王子盲学校 「自分たちの感情をかたちにしよう」
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この授業には、中学部・高等部の生徒21人が参加してくれました。
淺井さんにとって、目の不自由な生徒たちとの活動は初めてのこと。
事前に授業の様子を見学したり、先生と念入りに打ち合わせをしたりして、
「たのしい・うれしい」「いたい」「おなかすいたー」
などの感情を、体育館の壁の防護用クッションをカンヴァスにして、
マスキングテープでかたちにしてみることにしました。
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まずは、体育館の床にマスキングテープで絵を描く練習です。
あらかじめ淺井さんが画用紙の上にいろんなかたちをテープで貼り、
それを感熱性発泡紙にコピーして凹凸を付け、
指でかたちがなぞれるようにサンプルを用意しました。
淺井さんの声掛けに合わせて、ひとりずつ、サンプルを手がかりにお花を作ってみました。
次に、2人1組になって、カードで配られた「感情」をテーマに、
壁のクッションにマスキングテープを貼っていきます。
作業面の境界線には、目印になるようオレンジの養生テープを貼っておきましたが、
生徒たちは思いのほか自由にテープを壁に貼り付けていきます。
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先生方も一緒になって参加し、みるみるうちに壁面が線や面で埋め尽くされていきます。
あちこちからテープのお代わりをする声が上がり、
テープが伸びる感触そのものを楽しみ始める生徒も現れました。
やがて体育館中が、縦横無尽にテープが走る巨大な作品に変化していきました。
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作品完成後は、1組ずつ、何を思って描いたかを発表してもらいました。
わざと、壊れているはしごを作って「さびしさ」を表現した生徒がいたり、
普段はあまり関わらない生徒同士が団結して一つの作品を作ったり。
生徒や先生、そして淺井さんや私たちにとっても、驚きや発見がある授業となりました。
(J.O.)
