2015年03月19日(木)

大切な想いを「花」と「音」に託して

ワークショップ
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2015年3月18日、東京都現代美術館は開館20年を迎えました。
これに関連し「音の花束」というワークショップを開催しました。
(実施日:2015年3月14日、15日。15日は発表会パフォーマンスも実施)

このワークショップでは、開館20周年を祝すと共に、
心に浮かんだ誰に向けて、おめでとうやありがとう、
感謝の気持ちや愛の気持ちなど、言葉では伝えきれない
たくさんの想いを音に託して「音の花」=音の鳴る花を作り、
大切な誰かに届けてもらいました。

参加人数は直前のキャンセルが相次ぎ8名と少なかったものの、
講師の後藤朋美(アーティスト)さんやスペシャルゲストの
青柳拓次(音楽家)さんらとの距離感も近く密な関わりが持てました。

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ワークショップ1日目は、参加者同士の自己紹介や今回「音の花」を
届けたい大切な誰かのことを想いながらその相手に向けてお手紙を
書いてもらいました。

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続いて青柳さんや後藤さんが用意してくれたたくさんの楽器に触れながら、
自分が演奏したい楽器を選んでもらい、青柳さんの指導のもと、
みなさんの心の想いを音にする活動を行いました。

楽器演奏は初めてという方がほとんどでしたが、
即興演奏を続けるうちに、だんだんと形になっていき、
やわらかく暖かい、心地よい音が奏でられるようになりました。
この合奏は録音し、別の音声機器に音声データとして移し、
美術館内に飾る10個の花に取り付けます。
これとは別に参加者個人が持ち帰る花にも音をつけます。
この音は各自選んだ楽器で音を出して簡易音声機器に録音します。

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音作りの後は花作り。後藤さんがあらかじめ草木染めしてきた
色とりどりの布を使って思い思いの花を作ります。
大きな花びらの人もいれば小さく可憐な花を作る人もいました。
先ほど各自で録音した簡易音声機器を花に装着し、
ブーケ状にしてワークショップ1日目は終了。

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ワークショップ2日目は、昨日作ったお持ち帰り用の花に名前を付けたり、
どんな想いで作ったのかなどを発表しました。
90歳を超えたおばあちゃんに100歳どころか200歳まで生きてほしいという
気持ちを込めた花や、平凡は幸せだと感じている気持ち、
もう一度会いたい人を想う気持ちを込めた花など胸がキュンとなる
想いの詰まった花がたくさん誕生しました。

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この後は、昨日の合奏の音が装着された花を館内に飾り付けました。
実は事前に美術館の近所にある元加賀小学校に後藤さんが出張し、
6年生のみなさんにも美術館の20周年を祝って花を作ってもらっていました。
これら小学生が作ってくれた花も館内に飾り付けました。
色とりどりの花がエントランスを中心に飾り付けられ、
つかの間の彩りを添えてくれました。
合奏の音の鳴る花は、センサーで音が出る仕掛けになっていて、
人が花の近くを通ると、そっと音が鳴り、館内のあちらこちらで
きれいな音色が響いていました。

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さて、午後は前日に皆さんで作った音の発表会パフォーマンス。
ステージ上では「音の花束」と命名されたこの合奏曲が約80名の観客の前で披露され、
引き続き青柳さんのソロ演奏で多いに盛り上がりました。

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最後は、後藤さんのドーム状の参加型アート作品
「You are my hope-You are our hope,You are your hope-」がお披露目され、
会場の皆さんが作品の中に入り美術館の20周年等をお祝いし
2日間のワークショップは終了しました。
参加者の感想には「何も無い所から自分なりに自由に作っていくことの楽しさを
久しぶりに実感できました」「個人作業だけでなく、みなさんと心を合わせて
一つのものを作り上げて、とても貴重な体験ができました」などの声があり
満足した様子がうかがえました。

誰か大切な人への想い、そして当館の20周年のお祝いの気持ちを
たくさん感じることのできた2日間となりました。(G)

記録撮影:高木考一

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