2014年12月05日(金)

「カロ展を語る―カロをめぐる写真と美術館」

MOT美術館講座
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今回のMOT美術館講座は、
「開館20周年記念 MOTコレクション特別企画 第2弾 コンタクツ」展の
関連イベントとして行いました。
展覧会のなかでは「彫刻とカメラの対話―アンソニー・カロ×安齊重男」
と題し、カロの作品と安齊による写真を展示しています。

アンソニー・カロ(1924-2013)は、1995年に東京都現代美術館で
個展を行った最初の作家でした。
20世紀彫刻を代表する力強く色鮮やかな作品群が企画展示室や
屋外にも展示され、安藤忠雄のディスプレイ・デザインとともに
大きな話題を呼びました。
そのときに展示された《シー・チェンジ》や《発見の塔》は、
当館の代表的なコレクションとなっています。

安齊重男氏は、1970年以降現代美術の作家や作品に寄り添い、
写真に留め、それを広く伝える仕事を続けています。
なかでも1990年からカロの依頼により
その作品を世界各地で写真におさめており、
当館でのカロ展の折にも多数の記録を残しています。
「コンタクツ」展では、こうしたカロと安齊氏の関わりを紹介しています。

1995年の当館でのカロ展を担当したのが、齊藤泰嘉氏でした。
齊藤氏は、当館の前身にあたる東京都美術館時代から
「今日のイギリス美術」展をはじめとする数多の企画展や
コレクション形成に携わるほか、現在は筑波大学で、
東京府美術館や、近・現代彫刻に関する研究を継続しています。
当日は、安齊氏と齊藤氏の対談により、多数の資料映像を交え、
「カロ展への道」、「映像でみるカロ展」、「アンソニー・カロ、人と作品」
について、語られました。

齊藤氏は、東京府美術館建設に貢献した佐藤慶太郎氏が
常設展示のある美術館を望んでいたこと、
それは、東京都現代美術館へと引き継がれ、
世界に肩をならべる美術館として、大規模な国際展や
現代美術の常設展示を行うことが使命であったことを述べました。
そうした理念が、世界に誇れるよい美術館を造ろうとする
多くの人々の協力により、「カロ展」の実現に至ったと語りました。

安齊氏は、カロとの出会いや制作現場での様子、
各地で目にした作品の魅力を語り、
自身もアートドキュメンタリストとして仕事をされるなかで、
日本の現代美術を常設展示することの重要性について強調しました。

当館でカロ展が開催されてから20年。
客席には、若い世代の方も多く見受けられました。
カメラを通してみたカロとその作品、
さらに美術館という場とカロの作品との関係について、
当事者の視点から語られたこの対談は、これまで美術館が辿ってきた
歴史とその課題を再確認し、次世代へとつなぐ貴重な機会となりました。
(事業係・F)

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