OUTLINE

展覧会概要
東京アートミーティング[第3回]/アートと音楽 — 新たな共感覚をもとめて

展覧会概要
音楽とヴィジュアルアートは互いに密接な関係をもちながら進化してきました。20世紀の初め、作品がさまざまな感覚を呼び起こすような総合芸術をめざしたカンディンスキーや、音楽を記号的な正確さでイメージ化しようとしたクレーがその例です。聴覚と視覚を横断することで可能となる、豊かな    感性の領域と表現の広がりは60年代のジョン・ケージらによってより実験的な形で検証されました。

そして今、デジタル技術の発達によりイメージはピクセルに分解されて記号や数値として処理され、   音もPCのディスプレイ上で視覚的に作曲されるなど、アートと音楽はその創作の過程においても近似しています。一つのコンピュータで映像、画像、音を同等に扱う世代のクリエイターたちは、より密接な、「新たな共感覚」というべき総合感覚をもって、多様な表現を試みています。本展は総合アドバイザーに音楽家の坂本龍一を迎え、この二つの表現が交差、連動することで生まれてくる多様な作品の紹介を通して、「私たちの時代」における見ること、聴くことの本質的な意味を問いかけます。
展覧会によせて
アートと音楽は、二つの異なるジャンルということになっている。しかし音をもってするアート、あるいは視覚表現による音楽というものも、あるんじゃないか。また、アートとも音楽とも、どちらとも言えず、    どちらとも言える表現というものもあるんじゃないか。アートと音楽による共感覚、またその境界領域を探ることで、ヒトの芸術表現の根源だけでなく、その未来も垣間見えるんじゃないか、そんな期待を   こめてこの展覧会は催されます。

坂本龍一 [「アートと音楽」展/総合アドバイザー]
坂本龍一 さかもとりゅういち
 
1990年より米国、ニューヨーク州在住。
1978年『千のナイフ』でソロデビュー。同年、細野晴臣、高橋幸宏と『YMO』を結成。散解後も、音楽・映画・出版・広告などメディアを越え活動。1984年、自ら出演し音楽を担当した『戦場のメリークリスマス』で英国アカデミー賞他を、映画『ラストエンペラー』の音楽でアカデミー賞、グラミー賞他受賞。常に革新的なサウンドを追求する姿勢は世界的評価を得ている。以後、活動の中心は欧米へ。2006年新たな音楽コミュニティの創出を目指し「commmons」を設立。1999年制作のオペラ『LIFE』以降、環境・平和  問題に言及することも多い。

2001年自然エネルギー利用促進を提唱するアーティスト団体「artists'power」を創始、2003年にはそのメンバーでもあった、小林武史、櫻井和寿に協力し非営利組織「apbank」の設立に参加した。2006年六ヶ所村核燃料再処理施設稼働反対を表明し「stop-rokkasho.org」をスタートさせた。2007年7月には「more trees」の設立を発表し、温暖化防止についての啓蒙や森林  保全、植樹活動を行うなど活動は多岐にわたっている。

3月11日の震災後「kiuznaworld.org」[http://kizunaworld.org]「LIFE311-bymoretrees」[http://life311.more-trees.org]「こどもの音楽再生基金 School Music Revival」[http://www.schoolmusicrevival.org]などの被災者支援プロジェクトを立ち上げ、継続した活動を行っている。本年7月7日、8日には脱原発を提唱する音楽イベント   「NO NUKES 2012」を組織した。

本展では 作家としても参加。高谷とのコラボレーションの新作《collapsed 》とオノセイゲン、高谷史郎とのコラボレーションである茶室から想を得た《silent spins》を出品予定。
本展の見どころ
世界的な音楽家のひとりである坂本龍一を総合アドバイサーに迎え、現代における音楽とアートの 新しい関係について問いかけます。大きなスケールの展示空間に、「みること」と「きくこと」が交錯する 個性豊かな作品が展示されます。

坂本龍一が世界屈指の音響デザインを手掛けるオノセイゲンや「ダムタイプ」創立メンバーの一人である高谷史郎とコラボレーションし、新作インスタレーション3点を展示します。小さな空間から無限大の宇宙を聴く、日本の茶室からインスピレーションを得た《silence spins》と、2台のピアノとレーザーを用いた《collapsed》は必見です。

国際的な活動している同時代のアーティストによる日本未公開の作品を公開します。セレスト・ブルシエ=ムジュノの陶器が浮かべられた巨大なプールやフロリアン・ヘッカーの立体的なサウンド・ インスタレーション、クリスティーネ・エドルンドの植物の危険信号から生み出された楽譜と音楽など国際性豊かな表現を多数紹介します。

カンディンスキー、クレーの絵画やジョン・ケージや武満徹の図形楽譜など、現代の視点だけではなく、 歴史的な観点からもアーティストや音楽家がこれまでにどのように音楽と視覚芸術との関係の探求を 試みてきたかを紹介します。

INFORMATION

展覧会情報

東京アートミーティング[第3回]/アートと音楽 — 新たな共感覚をもとめて

会期
平成24年10月27日[土] ― 25年2月3日[日]

開館時間
10:00 ~ 18:00 [入場は17:30まで]

会場
東京都現代美術館/企画展示室/B2F +1F

休館日
月曜日
ただし12/24、1/14は開館、12/25、年末年始[12/28~1/1]、1/15は休館
主催
東京都
東京都現代美術館・東京文化発信プロジェクト室[公益財団法人東京都歴史文化財団]
東京新聞

助成
芸術文化振興基金

協力
NECディスプレイソリューションズ株式会社/ヤマハ株式会社/AURAL SONIC
SHIZUKA STILLNESS PANEL/株式会社オーディオテクニカ/株式会社バラッド
山口情報芸術センター[YCAM]/株式会社シンタックスジャパン
IASPIS
観覧料
一般/1,100円[880円]
大学生・65歳以上/850円[680円]
中高生/550円[440円]
小学生以下/無料

※身体障害者手帳/愛の手帳/療育手帳
精神障害者保健福祉手帳/被爆者健康手帳をお持ちの方と付添者2名は無料。
※本展のチケットで「MOTコレクション」もご覧いただけます。
※[ ]内は20名様以上の団体料金となります。

交通案内
東京都現代美術館
〒135-0022 東京都江東区三好4-1-1 
03-5245-4111[代表]
03-5777-8600[ハローダイヤル]

◯東京メトロ半蔵門線・清澄白河駅B2番出口より徒歩9分
◯都営地下鉄大江戸線・清澄白河駅A3番出口より徒歩13分
◯東京メトロ東西線・木場駅3番出口より徒歩15分、又は都営バス(業10)「とうきょうスカイツリー駅前」行き、(東20)「錦糸町駅前」行きで「東京都現代美術館前」下車
◯都営地下鉄新宿線・菊川駅A4番出口より徒歩15分、又は都営バス(業10)「新橋」行き、(東20)「東京駅丸の内北口」行きで「東京都現代美術館前」下車
◯JR東京駅丸の内北口2番乗り場より、都営バス(東20)「錦糸町駅前」行きで「東京都現代美術館前」下車
◯首都高速「木場」又は「枝川」出口利用
関連イベント
第46回MOT美術館講座
「d.v.dライヴ・パフォーマンス」 
11月18日[日]/定員:200名/入場無料
「青葉市子ライブ・コンサート」
12月23日[日]/定員:200名/入場無料

参加型サウンド・パフォーマンス The SINE WAVE ORCHESTRA
2013年1月19日(土) / 15:30~ /東京都現代美術館にて
サイン波は純音とも呼ばれ、音の中でも最も基本的な要素とされている音です。
このプロジェクトでは、そのサイン波のみを用いて、公募された参加者全員で演奏をおこないます。
参加申込方法等詳細はThe SINE WAVE ORCHESTRAのwebサイトをご覧ください。
http://swo.jp/

展覧会カタログ
平成24年10月27日[土]
フィルムアート社より刊行予定

お問い合わせ
03-5245-4111[代表]
03-5777-8600[ハローダイヤル]
東京都現代美術館HP
http://www.mot-art-museum.jp/

総合アドバイザー
坂本龍一

同時開催
「Tokyo Sonic Art Weeks」 10月27日[土]~2月3日[日] 会場:東京藝術大学、東京都現代美術館他
「アートと音楽展」とテーマを共有し、館内外において公募コンペティションの
グランプリ作品展示やコンサートなどを開催します。

「MOTアニュアル 2012 Making Situations, Editing Landscapes 風が吹けば桶屋が儲かる」
10月27日[土]~2月3日[日] 企画展示室3F

「MOTコレクション 私たちの90年:1923−2013 ふりかえりつつ、前へ」
10月27日[土]~2月3日[日] 常設展示室

東京文化発信プロジェクト

東京文化発信プロジェクトは、「世界的な文化創造都市・東京」の実現に向けて、東京都と東京都歴史文化財団が芸術文化団体やアートNPO等と協力して実施しているプロジェクトです。  都内各

地での文化創造拠点の形成や子供・青少年への創造体験の機会の提供により、多くの人々が新たな文化の創造に主体的に関わる環境を整えるとともに、国際フェスティバルの開催等を通じて、新た

な東京文化を創造し、世界に向けて発信していきます。

東京文化発信プロジェクト
http://www.bh-project.jp/ The SINE WAVE ORCHESTRA 東京都現代美術館 東京文化発信プロジェクト

ARTISTS

セレスト・ブルシエ=ムジュノ|Céleste Boursier-Mougenot ジョン・ケージ|John Cage マノン・デ・ブール|Manon de Boer フロリアン・ヘッカー|Florian Hecker 池田亮司|Ryoji Ikeda ワシリー・カンディンスキー|Wassily Kandinsky パウル・クレー|Paul Klee ウドムサック・クリサナミス|Udomsak Krisanamis カールステン・ニコライ|Carsten Nicolai 大西景太|Keita Onishi オノセイゲン + 坂本龍一 + 高谷史郎|Seigen Ono + Ryuichi Sakamoto + Shiro Takatani 大友良英リミテッド・アンサンブルズ|Otomo Yoshihide limited ensembles[大友良英、青山泰知、Sachiko M、堀尾寛太、毛利悠子][Otomo Yoshihide, Yasutomo Aoyama, Sachiko M, Kanta Horio, Yuko Mohri] クリスティーネ・エドルンド|Christine Ödlund 坂本龍一+高谷史郎|Ryuichi Sakamoto + Shiro Takatani ザ・サイン・ウェーブ・オーケストラ|The SINE WAVE ORCHESTRA 武満徹|Toru Takemitsu 田中未知・高松次郎|Michi Tanaka / Jiro Takamatsu バルトロメウス・トラウベック|Bartholomäus Traubeck ステファン・ヴィティエロ|Stephen Vitiello 八木良太|Lyota Yagi