シンディ・シャーマン展 展覧会概要
1980-90年代アメリカを代表する女性アーティスト―シンディー・シャーマン。
シャーマンはマスメディアに登場する様々なタイプの女性を演じ、その姿を写真に収めたセルフ・ポートレイトで一躍脚光を浴びたアーティストです。
白黒映画のノスタルジーあふれるヒロインに扮した「アンタイトルド・フィルム・スティル」で1977年に鮮烈なデビューを飾ったのを皮切りに、ある時はテレビのメロドラマの主人公、ある時は男性雑誌のピンナップ・ガール、あるいはデザイナーズ・ブランドのファッション・モデルと、まるでシャーマン自身が女優であるかのように次々と早変わりを繰り広げてきました。80年代半ばにはおとぎ話の世界に住む醜いモンスターに扮した「フェアリー・テール」で話題を集めた後、腐乱した廃棄物によって現代人の深層心理を描き出した「ディザスター」、泰西名画の登場人物になりすました「ヒストリー・ポートレイト」と意表をつく展開をとげ、ポスト・モダンといわれる混沌とした美術状況の中でゆるぎない評価を獲得しました。90年代には人形を配した「セックス・ピクチャー」で性の領域に踏み込み、近年は人々の恐怖心をあおるようなホラー映画を思わせるイメージに挑戦しています。
本展はシャーマンの20年間にわたる変貌の歴史を、最新作「マスク」のシリーズを含めた約90点の作品によって構成する日本で始めての本格的な回顧展です。シャーマンが紡ぎ出す交錯したイメージの世界は、われわれの脳裏に眠っていた記憶を揺り動かし、想像力をかき立て、未知なる世界へと誘うことでしょう。