アートと音楽-新たな共感覚をもとめて

展覧会概要

公式ホームページはこちらをご覧ください。

音楽とヴィジュアルアートは互いに密接な関係をもちながら進化してきました。20世紀の初め、作品がさまざまな感覚を呼び起こすような総合芸術をめざしたカンディンスキーや、音楽を記号的な正確さでイメージ化しようとしたクレーがその例です。聴覚と視覚を横断することで可能となる、豊かな感性の領域と表現の広がりは60年代のジョン・ケージらによってより実験的な形で検証されました。

そして今、デジタル技術の発達によりイメージはピクセルに分解されて記号や数値として処理され、音もPCのディスプレイ上で視覚的に作曲されるなど、アートと音楽はその創作の過程においても近似しています。一つのコンピュータで映像、画像、音を同等に扱う世代のクリエイターたちは、より密接な「新たな共感覚」というべき総合感覚をもって、多様な表現を試みています。

本展は総合アドバイザーに音楽家の坂本龍一を迎え、この二つの表現が交差、連動することで生まれてくる多様な作品の紹介を通して、「私たちの時代」における見ること、聴くことの本質的な意味を問いかけます。

展覧会によせて

アートと音楽は、二つの異なるジャンルということになっている。しかし音をもってするアート、あるいは視覚表現による音楽というものも、あるんじゃないか。また、アートとも音楽とも、どちらとも言えず、どちらとも言える表現というものもあるんじゃないか。アートと音楽による共感覚、またその境界領域を探ることで、ヒトの芸術表現の根源だけでなく、その未来も垣間見えるんじゃないか、そんな期待をこめてこの展覧会は催されます。

本展総合アドバイザー 坂本龍一

本展みどころ

世界的な音楽家のひとりである坂本龍一を総合アドバイザーに迎え、現代における音楽とアートの新しい関係について問いかけます。大きなスケールの展示空間に、「見ること」と「聴くこと」が交錯する個性豊かな作品が展示されます。

坂本龍一が世界屈指の音響デザインを手掛けるオノセイゲンや「ダムタイプ」創立メンバーの一人である高谷史郎とコラボレーションし、新作インスタレーション2点を展示します。小さな空間から無限大の宇宙を聴く、日本の茶室からインスピレーションを得た《silence spins》と、2台のピアノとレーザーを用いた《collapsed》は必見です。

国際的な活動をしている同時代のアーティストによる日本未公開の作品を公開します。フロリアン・ヘッカーの立体的なサウンド・インスタレーションやクリスティーネ・エドルンドの植物の危険信号から生み出された楽譜と音楽など国際性豊かな表現を多数紹介します。

カンディンスキー、クレーの絵画やジョン・ケージや武満徹の図形楽譜など、現代の視点だけではなく、歴史的な観点からもアーティストや音楽家がこれまでにどのように音楽と視覚芸術との関係の探求を試みてきたかを紹介します。

東京文化発信プロジェクトとは
東京文化発信プロジェクトは、「世界的な文化創造都市・東京」の実現に向けて、東京都と東京都歴史文化財団が芸術文化団体やアートNPO等と協力して実施しているプロジェクトです。都内各地での文化創造拠点の形成や子供・青少年への創造体験の機会の提供により、多くの人々が新たな文化の創造に主体的に関わる環境を整えるとともに、国際フェスティバルの開催等を通じて、新たな東京文化を創造し、世界に向けて発信していきます。www.bh-project.jp


展覧会情報

展覧会名
東京アートミーティング(第3回) アートと音楽-新たな共感覚をもとめて
会 期
 
2012年10月27日(土) ~ 2013年2月3日(日)
休館日 
月曜日 (ただし12/24、1/14は開館、12/25、年末年始(12/28~1/1)、1/15は休館)
開館時間 
10:00 〜 18:00(入場は閉館の30分前まで)
会 場 
東京都現代美術館 企画展示室 B2F・1F
主 催 
東京都 / 東京都現代美術館・東京文化発信プロジェクト室 (公益財団法人東京都歴史文化財団) / 東京新聞
助 成 
芸術文化振興基金
協 力 
NECディスプレイソリューションズ株式会社 / ヤマハ株式会社 / AURAL SONIC / SHIZUKA STILLNESS PANEL /
株式会社オーディオテクニカ / 株式会社バラッド / 山口情報芸術センター[YCAM] / 株式会社シンタックスジャパン / IASPIS
観覧料 
一般 1,100円 大学生・65歳以上 850円 中高生 550円 小学生以下無料
*20名以上の団体は2割引
*身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方と 付添者2名は無料。
*本展チケットで「MOTコレクション」もご覧いただけます。
総合アドバイザー 
坂本龍一
関連事業 
Tokyo Sonic Art Weeks」2012年10月27日(土) ~ 2013年2月3日(日)
「アートと音楽展」とテーマを共有し、館内外において公募コンペティションのグランプリ作品展示やコンサートなどを開催します。 (会場 東京藝術大学、東京都現代美術館他)
同時開催 
● 「MOTアニュアル2012 Making Situations, Editing Landscapes 風が吹けば桶屋が儲かる」   2012年10月27日(土) ~ 2013年2月3日(日) 企画展示室3F
● 「MOTコレクション 私たちの90年:1923-2013 ふりかえりつつ、前へ」   2012年10月27日(土) ~ 2013年2月3日(日) 常設展示室

公式ホームページはこちらをご覧ください。


関連イベント

参加型サウンド・パフォーマンス The SINE WAVE ORCHESTRA

サイン波は純音とも呼ばれ、音の中でも最も基本的な要素とされている音です。
このプロジェクトでは、そのサイン波のみを用いて、公募された参加者全員で演奏をおこないます。

2013年1月19日(土)15:30頃~18:00
東京都現代美術館にて
参加費:無料
*ただし「アートと音楽」展のチケット(観覧済みのものでも可)が必要です。

本パフォーマンスには事前の応募申し込みが必要です。
参加申込方法等詳細はThe SINE WAVE ORCHESTRAのwebサイトhttp://swo.jp/mot/をご覧ください。


第46回MOT美術館講座(全3回)

「d.v.dライヴ・パフォーマンス」
2012年11月18日(日)15:00~
出演:d.v.d

講演会「"共感覚"の魅力~なぜ芸術家、教育者、心理学者は惹きつけられてきたのか-二つの世紀転換期におけるいくつかの事例を中心に-」
2012年12月15日(土)15:00~
講師:眞壁宏幹 (慶應義塾大学文学部教授)

「青葉市子コンサート うた降るμseum」
2012年12月23日(日)15:00~

各回定員:200名(当日先着順) 入場無料

MOT美術館講座の当日の様子はブログでご覧いただけます。
d.v.dライヴ・パフォーマンス講演会青葉市子コンサート


出品作家によるトーク、パフォーマンス

(パフォーマンス)バルトロメウス・トラウベック/八木良太
(トーク)大西景太/ 坂本龍一+高谷史郎/ カールステン・ニコライ/ クリスティーネ・エドルンド

2012年10月27日(土)15:00〜17:00(予定)
会場:「アートと音楽」展会場
料金:無料(ただし展覧会チケットが必要です)


アーティスト

セレスト・ブルシエ=ムジュノ|Céleste Boursier-Mougenot
ジョン・ケージ|John Cage 
マノン・デ・ブール|Manon de Boer
フロリアン・ヘッカー|Florian Hecker
池田亮司|Ryoji Ikeda 
ワシリー・カンディンスキー|Wassily Kandinsky
パウル・クレー|Paul Klee
ウドムサック・クリサナミス|Udomsak Krisanamis 
カールステン・ニコライ|Carsten Nicolai
大西景太|Keita Onishi 
オノセイゲン+坂本龍一+高谷史郎|Seigen Ono + Ryuichi Sakamoto + Shiro Takatani
大友良英リミテッド・アンサンブルズ(大友良英、 青山泰知、Sachiko M、堀尾寛太、毛利悠子)
Otomo Yoshihide limited ensembles(Otomo Yoshihide, Yasutomo Aoyama, Sachiko M, Kanta Horio, Yuko Mohri)
クリスティーネ・エドルンド|Christine Ödlund 
坂本龍一+高谷史郎|Ryuichi Sakamoto + Shiro Takatani
ザ・サイン・ウェーブ・オーケストラ|The SINE WAVE ORCHESTRA 
武満徹|Toru Takemitsu
田中未知・高松次郎|Michi Tanaka / Jiro Takamatsu 
バルトロメウス・トラウベック|Bartholomäus Traubeck 
ステファン・ヴィティエロ|Stephen Vitiello 
八木良太|Lyota Yagi
(アルファベット順)

  • ワシリー・カンディンスキー 《「E.R.キャンベルのための壁画No.4」の習作 (カーニバル・冬)》1914年 宮城県美術館蔵

  • セレスト・ブルシエ=ムジュノ《バリエーション》2009年 ピナコテカ(サンパウロ)での展示風景© Celeste Boursier-Mougenot. Courtesy Paula Cooper Gallery, New York and Galerie Xippas, Paris Photo: Isabella Matheus

  • 坂本龍一+高谷史郎 《LIFE - fluid, invisible, inaudible...》 2007年 YCAM委嘱作品 Photo:丸尾隆一(YCAM) 写真提供:山口情報芸術センター [YCAM] 【参考図版】

  • 池田亮司 《data.matrix [n°1-10]》 2006-09年 © 2009 ryoji ikeda Photo: 丸尾隆一 Courtesy of Gallery Koyanagi, Tokyo

  • クリスティーネ・エドルンド《セイヨウイラクサの緊急信号》 2010年 Courtesy Galleri Riis, Oslo / Stockholm Photo: Jean-Baptiste Beranger

  • 大友良英+青山泰知《without records》 2008年 写真提供:山口情報芸術センター[YCAM] 撮影:丸尾隆一(YCAM)【参考図版】

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