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2018年12月 3日

あたり前を見つめて

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現代美術の作品の中には、日用品を素材にしたものや、
当たり前と思っている事象を別の視点から見つめなおし、
新たな気づきや発見を促すといったものが多くあります。

今回、目黒区立烏森小学校で行った出張授業では、
そうした現代美術の表現を通じて、想像力や観察力を高め、
自分なりの見方や感じ方を深めることをねらいとしました。

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対象は6年生。2クラス合同の授業。
場所はランチルームで実施しました。
初めに東京都現代美術館について説明した後、
収蔵作家である、白髪一雄、冨井大裕、
ヤノベケンジの代表作品を紹介し、
足で絵を描く人がいることや、
スーパーボールやストロー、自動車など
日常使用するものが作品の素材となることなどを
レクチャーしました。
次いで、当館の収蔵作家である泉太郎の映像作品を上映し、
その作り方や仕掛けを考えてもらいながら鑑賞しました。

鑑賞が苦手といっていたこどもたちでしたが、
積極的に想像したことや気がついたことなどを発言してくれ、
特に泉太郎作品では、どの作品でも笑い声が上がり、
その制作方法にも関心を寄せていました。

休憩を挟み、後半の授業では、
泉太郎作品《ナポレオン》にならって、
自分たちでも同様の手法をもちいて映像作品を作ることに挑戦しました。
《ナポレオン》は、泉氏がフランスの街中を散策し
目の前の人物や木の切り株、落書きなど見つけたものに手を伸ばし、
グッとにぎってカメラの前で手のひらを広げるとそれらが
手のひらに描かれており、目の前の対象をつかみとるように見える作品です。
この作品は、あらかじめつかみ取りたい対象を手のひらに描いておくのがミソ。
あとは、あたかも対象をつかまえたかのように手をにぎったり広げたりするだけ。

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こどもたちはグループにわかれて友達同士をつかまえる感じで
映像作りをおこないました。
方法は理解していても、実際にやってみると
つかみ取るタイミングや対象との距離をとる工夫が必要で
なかなか思うようにはいきません。
しかし、だんだんと要領を得てうまく撮影が進んでいきました。

最後、完成した全作品をみんなで鑑賞。
泉氏の撮影方法にはなかった、つかみ取った後に人物が画面から消えたり、
着ていたTシャツの柄がなくなったりといったトリックめいた技を
駆使しているグループもありました。
短時間ですがあたり前に見つめている日常を変える経験ができたようです。

現代美術とこどもたちとの相性は良いと日ごろから感じています。
丁寧に現代美術の世界を伝えることで、
こどもたちはあっというまに自分たちのものとすることができます。
こうした柔軟性は、やはり小学生ならではの得意技なのではないでしょうか。(G)

2018年11月30日

オリジナルのカードでご案内

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11月、あちこちの小学校で図工の校内展覧会が開かれています。
今回、出張授業を行った江戸川区立小岩小学校からは、
この展覧会で6年生がギャラリートークを行いたいという、
相談を受けました。

そもそもギャラリートークは、
数時間で習得できるものではありません。
他校でも同様の依頼がありますが、なかなか大変です。

そこでこの学校では、ギャラリートークのやり方を少し変えて、
6年生の展示作品をカードにして来場者に配り、
それを話のきっかけにして会場内を案内し、
自分の作品の前まで誘導し、作品を解説するやり方を考案しました。
カードの裏には、こどもたちが考えたオリジナルの物語や詩が書かれています。

事前の授業では、自分たちの作品を鑑賞した後、
カードの裏面に記述する作品から発想したオリジナルの物語や詩を創作しました。
完成した物語や詩は、後日国語の授業でPCを用いてテキスト入力し、
きちんと読み易いフォーマットに置き換えてカードに印刷し完成させました。

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展覧会当日、6年生によるギャラリートークにもおじゃましました。
保護者や来場者が来るたびに、6年生が順番について、
自分達のカードを渡し、裏面のテキストを読み上げて、
会場まで案内します。
会場内では、各学年の作品を概説したり、
自分のお気に入りの作品を紹介したり、
と緊張しながらも楽しげに案内をしていました。

カードを受け取った人も、実際の作品をみながら、
こどもたちから説明を聞き、時折質問もなげかけ、
スムーズにコミュニケーションが図れていたと思いました。

自作カードというツールを媒介にした今回のギャラリートーク、
来場者と案内する6年生との間に心地よい時間が流れていました。(G)


2018年10月29日

江東区民まつりに参加!

10月20日(土)、21日(日)に開催された江東区民まつりに今年も参加してきました。
昨年は安定しない天候でしたが、今年は天候に恵まれ、2日間を通して701人に
ご参加いただきました。
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"MOTおもしろプログラム"と題し、今年も現代美術館オリジナルの
「まちがい探し」と「塗り絵」を行いました。
20個の違いを見つける間違い探しは、協力して探す親子もいれば、
じっくり腰をすえて捜す大人の姿もあり、こどもから大人まで幅広い年代の方が
集中して取り組んでいました。

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参加された方にはオリジナルカンバッヂをプレゼント。
20種類(中には隠しキャラも!)あり、何が当たるかは運次第。
中にはこのお祭りで配るカンバッヂ目当てのリピーターの方もいらっしゃり、
何年もかけて全種類集めたい!との熱い声も聞かれました。
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現美ブースには多くの方がお立ち寄りくださり、
「しばらく美術館の周りに仮囲いが立っていたけど、やっと外れて美術館の
存在を感じるようになった!」
といった声から、
「オープンの日を楽しみにしています!」「オープンしたら絶対に行きます」
など、美術館の再開を心待ちにする多くの声をいただきました。

美術館の再オープンは来年3月末を予定しています。
まだ休館中ですが、10月20日(土)より、清澄白河のまちを会場に
作品を展示する「MOTサテライト 2018秋 うごきだす物語」がスタート。
イベントも盛りだくさんですので、こちらにも多くの方のご来場をお待ちしています。
(A.T)

2018年10月26日

入院中のこどもたちと鑑賞会!

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今年度、病院内訪問学級(病院内に設けられた院内学級に通えない、
あるいは院内学級が無い病院に入院中のこどもたちへの学習保障のために
ベッドサイド等で行う授業や教育支援)と連携授業を行っています。
その関係で、授業の無い夏休み期間中に、入院中のこどもたちが
学部を超えてみんなで一緒に楽しめる活動を行うという趣旨の
イベントでも連携してほしいという依頼を受け、
「現代美術鑑賞会~夏休み教室~」を実施(8月30日)しました。

入院中で美術と触れ合う機会が少ないこどもたちが、
美術館学芸員から現代美術の話を聞くことや一緒に活動することを
通して現代美術の魅力に触れ、心豊かな時間を過ごしてもらうことを目的としています。
また、休館中の現代美術館のPRも兼ねています。

今回の授業に参加したこどもたちは、いずれも病室から出られないため、
カメラ・マイク・スピーカーを搭載した分身ロボットを活用し、
ベッドサイドと教室を遠隔で結んで授業を行いました。
ステーションとなる教室は、世田谷区の国立成育医療研究センター内にある
都立光明学園「そよ風分教室」。
この病院に入院している小学生2名と、都心の私立病院に入院している
中学生2名、学芸員との3ヶ所とを結んでの遠隔授業です。
しかし、私立病院との環境設定がうまくいかず、結局ロボットの使用は断念。
急遽タブレットを用いたテレビ電話に切り替えた授業となりました。
※プライバシーへの配慮からこちらにはこども達の様子は見えないよう設定。

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「中央の目が光っているのが分身ロボット。両脇がタブレット」

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「2択クイズに挑戦!」

はじめに担当教員から授業趣旨について説明があり、
その後学芸員による授業開始。
まずは、現代美術館や現代美術について知ってもらおうと、
2択形式で、全10問のクイズにチャレンジしてもらいました。
こどもたちの顔は見えなくてもタブレットからは音声は聞こえるので、
なるべく相槌や反応を声に出してもらうようにお願いしました。
こちらは2つのタブレットの画面に向かって話しかける必要があり、
目線やクイズの問題を交互にカメラに向かって示さなくてはならず
多少の困難を伴いましたが、慣れてくるとスムーズな進行ができるようになりました。
クイズでは、正解に一喜一憂するこども達の声が届き、
また事前にこども達には自分の似顔絵を描いてもらい、
それをタブレットの前に掲示していたので、
顔は見えずとも本人と出会っている感覚にもなりました。

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「泉太郎さんを紹介」

クイズの後は休憩を挟み当館の収蔵作家である泉太郎氏の映像作品を鑑賞。
泉氏の映像作品は、過去「アーティストの一日学校訪問」でも活用しており、
こどもたちとの相性はすこぶる良いと感じています。
今回もタブレットからはこどもたちの笑い声や、映像の作り方の妙に感心している
様子が伝わってきて、映像を楽しんでいるのが実感できました。

授業後にこどもたちから送られてきた感想を紹介します(一部抜粋)。
「画びょうで作った作品など不思議で面白い作品が見られました。
泉さんの作品で、手でつかむ作品では、
つかんだものが映らないように工夫して撮っていたのがすごいなと思いました。
そして、手がどんどん黒くなっていくのも興味深くて、
何度も消したり書いたりしたのかなと想像して大変だっただろうなと思いました。
今回、現代美術鑑賞会をして実物の作品を目で見てみたいと思いました。」(中学部1年)

「クイズで現代美術館の建物を選んだりするのは、難しかったけど、
とても勉強になりました。勘で答えた問題がたくさんあったのに、
けっこう当たったので、とても嬉しかったです。
泉さんの手が出てきて、お店の中にいた人をたたくと、
洋服だけになるのが、不思議だなと感じました。
直接会って、現代美術のお話を聞いてみたくなりました」(中学部3年)

ロボットやタブレットを使用した遠隔授業は、
今後美術館の展示室と病室とをつないだ鑑賞活動の可能性を
探ることができました。
また今回は作家の許可を得て映像作品を活用しました。
モニター越しのため画質の問題はありますが、
絵画や彫刻作品とは違い、現代美術ならではの作品表現でもあり
映像作品は、こうした鑑賞にも効果的であることがわかりました。
なによりも授業に参加したこどもたちが本物の作品を見てみたい、
直接会って話しを聞いてみたいと思ってくれたことは、
この遠隔授業の大きな成果だといえます。

今後も遠隔授業の可能性も含めて、
出会えないこども達との出会いの方法、
また外に出られるようになった後に美術館に行って
作品を見てみたいという前向きな気持ちになってもらえるような
関わり方を模索していきたいと思います。

病気と闘うこども達が、病気を治すこと以外の未来への目標を
ひとつでも多くもつことに、はたして美術館は何ができるのか?
あらためて考えるきっかけにもなった授業でした。(G)

2018年9月27日

かかしベストショット!!

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毎年、現代美術館のご近所、深川資料館通り商店街で
開催されている「かかしコンクール」(9月1日~24日)。
今年で21回目を迎えます。
街中に並ぶかかしの数は、なんと100体以上!

その数あるかかしの中から自分のお気に入りのかかしを見つけ、
ベストショットを撮影し発表する「鑑賞」を目的とした連携授業を
地元の元加賀小学校「仲よし学級」と行いました。

対象は、1年生から6年生までの18名のこどもたち。
今回使用したカメラは、インスタントポラロイドカメラ。
撮影したものがすぐに写真になって、その場で見ることができます。
こどもたちが通常知っているデジタルカメラやスマートフォンとは違って、
撮影方法が異なるため、初めにこのカメラに慣れてもらうための
事前学習も実施しました。

カメラに慣れたところで、本番の授業を実施(9月6日)。
こどもたちを《仲よしカメラマン》と命名し、
美術館の学芸員や先生がたと一緒にいざ「かかしコンクール」に出発!

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かかしを見たこどもたちは「すごーい!かわいい」「これ気に入った!」など
歓声を上げながら楽しそうに鑑賞していました。
鑑賞後は、撮影タイム。
先に目星をつけておいたお気に入りのかかしのベストショットを狙って撮影。
撮影後は、教室に戻り各自のベストショットをみんなの前で発表しました。

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《仲よしカメラマン》が撮影したベストショットは、
パネルに加工し深川資料館通り商店街事務所に9月24日まで展示し
一般の方々にも見てもらいました。

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授業の感想をこどもたちに聞いたところ、
「いろいろなかかしが見られて楽しかった」
「かかしが動き出しそうだった」
「写真をとったらきれいに撮れた」
「お家の人とまた見にきたい」
などの声がありました。

自分達が暮らす地元の商店街にも鑑賞の題材はたくさんあります。
かかしとの楽しい出会いと撮影する面白さを実感してもらったのではないでしょうか。(G)

2018年8月24日

休館中のガイドスタッフの活動

当館では、現在25名のガイドスタッフ(ボランティア)が活動しています。
通常、ガイドスタッフは、開館時の毎日14時から約1時間にわたって
MOTコレクション(常設展)の作品解説をしていますが、
リニューアル休館に伴い、常設展でのギャラリートークは現在休止中。
しかし、ガイドスタッフの活動は休みではありません!

例えば、他館を訪問して勉強会を行ったり、リニューアル準備室事務所で
研修会をしたりと、定期的な活動を行っています。
しかしながら、長期間にわたって所蔵作品のトークを行う機会がないため、
トークの腕が鈍ってしまう・・・といった声がガイドスタッフから
チラホラ聞こえてきました。
そこで、自らが話したり、他者のトークを聞いたりすることを通して、
トークのブラッシュアップをはかることを目的としたスライドトーク研修会を
6月、7月と2回にわたって実施しました。

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ガイドスタッフは、それぞれ所蔵作品の中から1点を選定し、
その作品画像をもとに5分程度のトークを行います。
作品について解説しても良し、他のスタッフを参加者に見立てて対話しながら
進めても良し。
ガイドスタッフは作品や作家について、独自に準備した資料を用いたりしながら、
自身の言葉で語っていきました。

それぞれのトーク後には質疑応答の時間を設け、
実際に展示室でトークした際に起きた参加者との印象的なやりとりや、
自分だったらこんな切り口にする、などといった横断的な意見交換も行いました。
普段自分がトークする作品も、他者のトークを聞くことで
新たな視点を得ることができます。

同じ作品でも、その伝え方は人それぞれ。
何度でもガイドスタッフによるギャラリートークを楽しんでいただけるのでは
ないでしょうか。
リニューアル・オープンの際には、ぜひガイドスタッフによるギャラリートークに
ご参加ください。

引き続き休館中の当館ですが、2018年秋に開催される
MOTサテライト 2018秋 うごきだす物語では、
10月27日~11月18日の土日の14:30~/15:30~
ガイドスタッフがまちをご案内するプログラムを行います。(詳しくはこちら
当館のガイドスタッフが参加者(1~5名程度)と一緒に清澄白河のまちを歩きながら、
作品の見どころやまちの魅力をご案内するツアーとなっています。
当館のガイドスタッフと一緒にMOTサテライトを楽しみませんか?
ご参加をお待ちしております!
(A.T)

2018年7月 2日

美術と社会

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前回の中学校に続き、今回は高等学校へ
学芸員の出張授業に行ってきました。(実施日:2018年6月26日)
場所は、明星学園高等学校、デザイン・工作室。
科目は、既存の科目の枠組みを超えた「総合科」の中の一科目「美術と社会」。

事前授業で、生徒達はラスコー壁画の専門家のレクチャーを受けたり、
西洋美術館などに出向いて名品と言われる作品の歴史を調べたりしています。
そして、今回は「現代美術」。
この授業では、「美術館の役割・学芸員の仕事」と題し、
前半は、美術館の社会的意義や役割について説明したあと、
クイズ仕立てで当館についての紹介やコレクション作品を中心とした
「現代美術」の特徴を紹介しました。

後半は、学芸員の仕事の一環である教育普及や、
展覧会の作り方などについて動画を交えながらレクチャーしました。

ほとんどの生徒にとって美術館は、
「単に展覧会を見に行く場所というイメージを抱いている」
というのは、担当教師の弁。
授業終了後の生徒のレポートには、
・「美術や美術館が、その時の社会の動きとも
  連動して深く関わっているのが面白いと思った」
・「今まで、美術館は硬いイメージだったが、
  小さいこどもから大人までが触れられるものだと分かった」
・「美術のもつ表現の広さを知った」
・「これからは展示ができたプロセスなども考えて見てみたい」
・「美術館は古い外国の絵が置いてあり、お年寄りが行くと考えていた。
  現代美術というのを今日はじめて少し理解でき、
  若い人が興味をもつ理由が分かった」
・「学芸員が美術館を支えているといっても過言ではない。
  美術は楽しくこどもでも楽しめると知った」
などと感想が寄せられ、美術館や美術に対するイメージが、
今回の授業によって変化したことがうかがえました。

高校生にとって、美術館や現代美術は、
近いようでいてまだまだ遠い存在なのだと実感できました。
高校生を対象とした教育普及プログラムの充実も図っていきたいと思います。(G)

美術館学芸員の仕事、展覧会の作り方

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富士見丘中学校にて、学芸員の出張授業を行ってきました。
(実施日:2018年6月13日)
この学校では、武蔵野美術大学と連携し、美大生の作品を用いて
展覧会作りを体験する授業が行われています。
その授業の一環で、今回出張授業の依頼があり、
「美術館学芸員の仕事」や「展覧会の作り方」について
レクチャーを行いました。

はじめに現代美術館や美術館の機能、役割について紹介した後、
学芸員の仕事についてお話をさせていただきました。

そして、展覧会の作り方について。
まず、現代美術館の展覧会にはコレクション展と企画展があること、
多くの人が関わってひとつの展覧会が作られていることを説明しました。
その後、過去実施した『オバケとパンツとお星さま』展を例にあげて、
企画立案、展示構成、実際の展覧会の様子等、
展覧会作りの流れを写真や動画を見せながら具体的に解説しました。
小学生の頃に、この展覧会を見たという生徒が一人いて、
当時の様子をよく覚えており、びっくりしました。

最後に、生徒から質問を受け、
「紫外線に弱い作品は?」
「アイデアはどうやってわいてくるのか?」
「展覧会は何年くらい前から準備をするのか?」
などがあり、美術館や学芸員、展覧会について興味関心が
深まっている様子が伺えました。

授業終了後の担当教員からのアンケートには、
「誇りをもってご自分の仕事に向かわれる方の講義は生徒達にとって
目標とする道が違っても興味深く、新たな発見ができたようです。」
と感想を頂戴しました。

学校側の目標である、生徒の表現力やコミュニケーション能力を高めることは、
「展覧会」をつくる過程においても欠かすことのできない要素であり、
展覧会を作るプロセスを通じて多くのことを学んでくれるのではないでしょうか。(G)

2018年5月16日

アートカードは楽しい!

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今年度はじめの学芸員の出張授業。
今回伺ったのは、葛飾区立梅田小学校(実施日:2018年5月8日)。
図工担当の教員からのリクエストは、
普段授業であまり「鑑賞」をやったことがないため、
アートカードを用いた鑑賞の実践について学びたい
というものでした。

そこで、現美オリジナルのアートカード
(コレクション作品の写真をカードにしたもの)を用いた
実践授業を行いました。
対象は、6年生2クラス。発言も積極的で、落ち着いたクラスでした。
とはいえ、一旦アートカードを用いた授業に入ると、
教室は盛り上がり、楽しい雰囲気に包まれました。
もちろん、こちらの話しを聞く時には、しっかりと耳を傾けてくれ
メリハリのあるこどもたちでした。

アートカードを用いた鑑賞の授業の際に提示している「めあて」は、
「観察すること」「想像すること」「コミュニケーションをとって
グループで活動すること」の3つ。
観察と想像は、作品を見る時の重要な要素。
コミュニケーションをとることは学習指導要領でも重視されている、
言語活動の充実にもつながります。

アートカードを用いた授業は、ゲーム性の強いものですが、
遊びの要素を用いることで、作品を「見る」ことへの
興味・関心を高めるには非常に有効です。

例えばこんな要領で授業は進んでいきます。
絵柄をみて、今の自分の気持ちを表すカードを選び、
どのような気持ちなのかを発表する。
裏返しにしたアートカードの山から2枚のカードを同時にめくり、
瞬時に作品を見比べて「どちらが美味しそうか」を比較する。
同じく、裏返しにした作品を一枚ずつめくりながら、
どんどんつなげて「ひとつの物語を作る」など。

目の前に提示されたアートカードを瞬時に観察し、想像することは、
かなり難しいことですが、こどもたちは柔軟に発想しゲームを楽しんでいました。

授業終了後、担当教員からは、
「今回の授業を参考に、5年生を対象に
アートカードの授業をやってみます。」
と前向きな発言がありました。

また、こどもたちからは、
「美術館にいってみたくなった。」
「おはなしがおもしろかった。」
などの感想が寄せられ、非常に満足度が高かったようです。
キラキラした表情で教室に戻っていったのが印象的でした。

今回の授業を通じて、鑑賞することの楽しさを、
こどもたち、教員共に感じてくれたのではないでしょうか。(G)

2018年3月30日

自分をリニューアルしよう!

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2018年3月3日と4日の2日間、
ワークショップ「ネオ・パーティー・キッズ」を実施しました。
その様子をレポートします!

現在、リニューアル工事休館中の東京都現代美術館。
それにちなみ、今回のワークショップでは「リニューアル」をテーマに、
こどもたちが自分自身をリニューアルするとしたら、
どういう自分に変わりたいか? 増やしたい機能は何か? 
自分が変わると世界はどうかわるか? 
などを考えてもらい、オリジナルの仮装衣装やアイテムを制作し、
「パーティー」を開いて発表しました。

「仮装」や「パーティー」という非日常的な経験を通して
創造する喜びや自分が変化していく経験をし、
他者の異なる視点を捉え、自分と世界との関係性を
考えることを目的としています。

企画・講師は、美術家の磯村暖さん。
磯村さん自身、作品の一環としてネパール移民と一緒に自宅で
パーティーを開催したり、パーティーをギャラリー空間内で再構築、
再解釈したインスタレーションも発表しています。

今回、こどもたちのリニューアルアイデアを具現化するために、
磯村さんの仲間でもある特殊造形のエキスパートもスタッフとして動員しました。
制作作業およびパーティー会場は、東京都現代美術館リニューアル準備室を使用。
普段職員用休憩室として使用している和室が、
事前にスタッフの手によってきらびやかでちょっと怪しげなパーティー会場へと改装。
この場所のことは、参加したこどもたちには、
パーティー当日のサプライズとして内緒にしていました。


【ワークショップ1日目/3月3日】
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参加したこどもたちは小4~6年生までの5名。
スタッフを紹介したのち、
磯村さんが犬の着ぐるみで登場。会場は一気に賑やかに。
着ぐるみを脱いで、早速今回のワークショップの内容について
磯村さんから説明がありました。

キーワードは「仮装」と「パーティー」。
「仮装」とは、何かになりきって表現する憑依体験、
あるいは日常の自分とは違う自分を引き出す手段、
変身願望の積み重ねであり、人間を作っていくもの。
「パーティー」は何かを祝う場であり、
いつもより少し開放的で不思議なことが起きる空間。

磯村さん自身のリニューアルとして16歳の頃から
髪の毛を染めはじめ、今は緑色にしているとのこと。
それは人に見られたいという欲望や自分にプレッシャーを
かけるためですと語ってくれました。


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次いで、こどもたちに、まず自分"リニューアル"計画&
自分"リニューアル"デザイン図を作成してもらいました。
リニューアル前の自分はどんな自分で、
リニューアル後の自分はどう変わっているのかを考え、
それを実現するための仮装衣装デザインを描いてもらいました。

ある女の子は、今の自分は要領がなくマイペースである。
それを変えるべく、頭が良くなり、手が勝手に動く。
でもマイペースでいたい。
デザイン画は、マイペースの象徴としてネコに変身し、
頭にはひらめきの電球が光る帽子を被り、
様々な事を同時にこなせる手をもったキャラクターを描いていました。

また、ある男の子は、日頃ダンスを習っているが、まだ有名ではないので、
テレビなどで取り上げられて有名になりたいという願望を派手な飾りで
装飾されたテレビ型の衣装で表現していました。

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こうしたこどもたちの考えたリニューアル後の自分を実現すべく、
特殊造形のエキスパートスタッフが、こどもたちに寄り添いこどもの意見や
アイデアを尊重しながらデザイン画に忠実に制作をサポートしてくれました。

【ワークショップ2日目/3月4日】
2日目は、前日に引き続き、仮装衣装作り。
だんだんと具現化していく衣装にこどもたちのテンションも
徐々にアップ!

昼食をとった後は、衣装を完成させ、それぞれ着飾り記念撮影。
完成した姿をご紹介します。

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「ドラゴンになって空を飛びたい!」

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「頭が良くなり、マイペース!」

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「ダンスで有名になる!」

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「ゴージャスな衣装でファッショナブルに!」

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「天才! なんでもゴザレ!!」

さて、いよいよ発表会を兼ねたパーティーの開催。
磯村さんの誘導のもと事前にスタッフの手で改装されたパーティー会場へ! 
扉を開け部屋の中を見たこどもたちは「わー!すごーい!!」と歓声を上げました。

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今回パーティーをさらに盛り上げるために、
磯村さんは、DJVJのスタッフも用意していました。
DJVJスタッフは、こどもたちの描いたリニューアルデザイン画を
事前にスキャニングし、アニメーション加工を施してくれており、
各自の発表会時に投影し大いに盛り上げてくれました。

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また、グリーンバックの小部屋も用意され、
スタッフが作成したCGの中に入り込めるクロマキー合成の映像も会場内に投影。
このクロマキー合成はこどもたちに大人気で、全員我を忘れて没入していました。

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もちろん、サポートスタッフもこどもたちと一緒にパーティーを楽しみました。

終了後、こどもたちのアンケートには、

「自分が天才だった!」(小4女子)
「みんなで協力したり、楽しく工作したのと、最後のパーティーの会場が
ごうかで楽しかった。」(小4女子)
「作る楽しさや、パーティーなど色々なことができてとても楽しかった。」(小4男子)
「リニューアルをして未来がわかった気がしてとても楽しかったです。」(小5男子)
「来年もやってほしい!」(小6女子)

などと感想が寄せられました。

今回のワークショップは、単に将来なりたいものを思い描くのではなく、
自分をどう変えたいかという今の自分との対話を通じて客観的に自分を見つめ直す
きっかけとなったようです。
そしてパーティーという刺激的な異空間で自分を表出し、互いに交流し、
発散することで、その思いはさらに昇華できたのではないでしょうか。(G)

撮影:中本那由子