2016年11月21日

「空っぽの展示室」を見てみよう!

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現代美術館の常連校、江東区立元加賀小学校。
この学校では3年生以上になると現代美術館に
団体鑑賞で来館することになっています。
そのため休館中でも何か連携ができると嬉しいと
校長先生からリクエストを頂戴していました。

そこで、休館中のため何も展示されずに空っぽの状態の展示室を見てもらい、
通常の見慣れた展示室と比較することで、その機能や仕組みを知り、
また、自分たちの作品を展示室に展示する体験を通じて
学芸員の仕事の一端についても学んでもらうのはどうだろう?と
早速学校に提案したところ是非にということで実施しました。
見学に来てくれたのは3年から6年までの4学年。
日を分けて4回来館してもらいました(2016年10月3日~21日にかけて実施)。


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休館中のため、入館も職員通用口から入り、
バックヤードを通って1Fの企画展示室へと通じる
狭いドアを開けて裏側から入室しました。
突然目の前に現れた何もない展示室の広さにこどもたちからは
「わー!」と感嘆の声が上がりました。

まずは、整列しこれまでどんな展示が行われていたか過去の展示室の風景を紹介。
展示室内に水を張っていたり、真っ暗だったり、天井から作品が
吊り下げられていたりと展覧会ごとに展示室は表情を変えることを伝え、
いろいろな状態にできるのは展示室自体に様々な仕掛けがあり、
今回の見学では展示室のひみつを紹介しますと説明。
ひみつは全部で3つ。


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1つ目は「天井の電気のひみつ」。
点けたり消したりするのはもちろんのこと、
天井の区画ごとに消せることや明るさを調整し薄暗くすることが
可能だということを体感してもらいました。
広い展示室が一気に明るくなったり暗くなったりするだけで大興奮のこどもたち。
照度を50%にすると夕方みたいと言い、
この明るさが一番好きと多くのこどもたちが言っていました。


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続いてのひみつは「壁のひみつ」。
よく見わたすと黒い壁や白い壁があります。
展覧会によって色を塗り替えることを説明し、
黒い壁は展示室を真っ暗にするために天井の電気を消すだけではなく、
このように壁も黒くすることを伝えました。
本来ならば次の展覧会のためにいったんすべて白く塗りなおすのですが、
休館中のためその必要がなく、
前回使用した黒いままになっているとも説明しました。

そしてよく見ると壁にはたくさん穴が開いています。
作品や解説パネルなどを展示する時には、
直接壁に穴を開けてフックなどをつけて展示し、
展覧会が終わるとこの穴もまたふさぐということも伝えました。
直接指で触ったり、壁をたたいてその硬さも実感してもらいました。

さらに壁にはもっとすごい秘密があります。
それは動くということ。
可動式の壁を一枚出しておき、実際に動かして見せました。
自分たちの目の前の壁が動き出すと、まるで手前に倒れてくるような
錯覚に見舞われて皆一様に後ずさり。


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電気や壁のひみつがわかったところで、
最後は、この広い展示室を自分たちのカラダをメジャーがわりにして、
サイズを測ってもらいました。
友達と手をつないで何人分あるか、
歩いて何歩分か、自分の身長何人分だろうかと、
カラダをもって展示室の広さを体感してもらいました。

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今回の見学では、自分たちが図工の時間に制作した作品を持ち寄り、
展示室に自分たちで展示してみるという特別メニューも用意しました。
学校には事前に相談し、平面や立体作品などバリエーションのある作品を
用意してもらいました。
平面作品では、目線をそろえたり、整然と飾るのではなく、
ランダムに配置してみる工夫も体験。
また、立体作品では、自分の好きな場所に配置してもらう
インスタレーションの醍醐味も味わってもらいました。
さらに、紙袋でお面をつくった学年は、実際にそれをかぶって自分たちが
彫刻になってポーズをとり、展示室にたたずむ
パフォーマンスを体験してもらいました。

<来館したこどもたちの感想(抜粋)>
「美術館にはひみつがたくさんあって
『くふうは、おもしろい』と思いました。」(小3)
「自分たちが作品になってはずかしかった。でも楽しかった。」(小4)
「初めて知ったことばかりで勉強になった。」(小5)
「いつも学芸員さんは準備が大変だなと思った。」(小6)
(G)

2016年11月 2日

江東区民まつりに出展!

10月15日(土)、16日(日)に現代美術館が隣接する都立木場公園で
「江東区民まつり中央まつり」が開催されました。
現代美術館は「MOTおもしろプログラム」と題して出展。
ブースを訪れた方が気軽に参加できる塗り絵とまちがい探しをご用意するとともに、
休館のお知らせと来年2月から3月にかけて開催するMOTサテライトの
キックオフイベント(11月9日実施)のご案内も行いました。
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両日共に天候に恵まれ、子どもから大人まで幅広い世代の方が足を運んでくださったMOTブース。
教育普及のキャラクター「MOTちゃん」が登場する塗り絵とまちがい探しは
各2種類ずつご用意。まちがい探しは、20箇所の違いを見つけてもらいます。
集中してまちがい探しを行う大人の方の姿が印象的でした。
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参加者にはオリジナルの缶バッヂをご用意!
30種類ある缶バッヂは、中身の見えない箱の中から引いてもらうため、
何が当たるかわかりません。
中には1個しかないレアバッヂも・・・。
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MOTブースに来てくださった方からは「休館はいつまで?」
「何を工事しているの?」といった質問から、再開の日を心待ちにする声も
多く寄せられました。
朝から夕方まで途切れることなく、多くの方が足を運んでくださったMOTブースには
2日間通して697人の来場がありました。
(A.T)

2016年10月31日

声でレポートしよう!(その2)

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引き続き2回目の授業の様子を紹介します。

2回目の授業は前回録音したみんなの「レポートした声」を聞く授業。
いわば鑑賞の時間。

5台のカセット・テープ・レコーダーを
図工室や家庭科室など5か所の教室に用意し、
それそれのグループが録音したカセット・テープを各自聞いて回りました。
同時に、こどもたちにはワークシートを手渡し、
自分や友達の録音を聞いて思ったことや感じたこと、
この授業の感想などを記述してもらいました。
自分の声を聞いて違和感を感じ嫌がる子や恥ずかしがる子、
自慢げに自分たちの録音を薦める子など反応もさまざま。

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ワークシートには、
「録音しているときは楽しかったけど、いざ聞くとなると恥ずかしい。
自分の声がなんか変でいやだ」
「Mさん、Kさんの声がとてもやさしくて細かく出来事を話していて
ほほえましい会話で面白かった」
「人それぞれの個性的な思い出は、人の性格を映すとても
素晴らしいものだと思った」
「自分の過去を振り返ることができた」
「大きくなってからまた聞いてみたい」
「初めて知ったこともあっていろいろ考えながら聞くのも楽しい」
「6年生最後の教室だからその場所を選んだと聞いて、共感しました」
「今までの図工の授業はほとんど工作をつくることが多いけど、
初めてみんなと声を録音してとても面白かった」
「この録音を未来の自分が聞いたらどのように思うか見当もつかないけど、
たぶん小学校時代は楽しかったのだと思うと思います」
と感想が書かれていました。

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自分と向き合い、声で表現することは、絵や文章を書くことが
苦手でも自分を表現する手段のひとつとして有効にはたらいていました。
そして、なによりも先生が知りたかった今どきの子たちの本音も
垣間見ることができた授業になったのではないでしょうか。(G)

声でレポートしよう!(その1)

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休館中の現在、美術館の外に出向いて活動するいわゆるアウトリーチとして
「学芸員の出張授業」を行っています。
既存のプログラムを実施することもありますが、基本的には毎回、
学校の先生との相談によって授業の内容を考え作り上げていきます。

今回紹介するのは、江戸川区立下小岩第二小学校6年生での授業の様子。
(実施日:2016年10月14日、20日の2回実施)
こんな図工担当教員の相談から始まりました。
それは、6年生が本当に興味のあること、面白いことって何なのだろう。
視覚的ではない身体感覚を働かせて活動することが何かできないか、
というものでした。
いいこどもたちだからこそ、先生の提案したことを受け入れてくれる、
今どきのこどもたちなのではないか?という疑問。

そんな相談内容に答えるべく、ならば直接こどもたちが考えていることや
気持ちをダイレクトに聞いてみる授業はどうだろうか?
絵でも工作でもない「声」という自分の身体を使った表現を行う。
6年生だからこそ感じている6年間の思い出がたくさんつまった学校という「空間」、
また精神的、肉体的にも大きく変化する年齢の「声」という今の自分を特徴付ける
身体を使う。

授業は2回に分けて行いました。

(1回目)
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学芸員の自己紹介のあと、今回の授業の流れを説明。
こどもたちには事前授業で、学校内のお気に入りの場所を
考えておいてもらいました。
その場所で何をし、どのように表現するかについては説明していません。
そのため今回の授業で初めてその表現方法を知ることとなります。
それは自分たちの「声」で表現すること。
しかも、カセット・テープという古いメディアを使用し、
お気に入りの場所を自分の声でレポートし録音するというのが
今回の授業です。
それを知って「えー!」と一様に驚きの声があがりました。
いつもは、絵を描いたり、工作をしたりといった表現を
用いることが多いですが、今回は「声」という"身体表現"。
カセット・テープは、メディアとしては古くてなじみが無くても、
こどもたちにとっては"新鮮な道具"となります。

声は長年保存されるということを実感してもらうために、
図工担当教員が赤ちゃんだった時の声を、父親が録音していたものを聞かせました。
次いで、カセット・テープの操作に慣れてもらうために、
別室に用意されたカセット・テープ・レコーダーにカセット・テープを
入れて録音の練習。録音の要領を得たところで、
グループ毎にお気に入りの場所へいって、レポート&録音作業を行いました。

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ちなみに、こどもたちが選んだお気に入りの場所は、
「図工室」「図書室」「体育館」「校庭」「給食室の前のベンチ」
「屋上につづく踊り場」「6年生の教室」の7か所。
そこから見える風景や置いてあるものをレポートする子もいれば、
その場所での思い出を同じ場所を選んだメンバー同士で語り合う子、
中にはラップ調でリズミカルにレポートするこどもたちもいて、
各自それぞれ工夫をこらしながらレポートし録音していました。

図工担当の教員は、
「録音ということで、抵抗感のあるこどもたちも居るのではないかと
心配していましたが、予想に反して、どの子も笑顔で活動していたのが
印象的でした。普段、控えめにしている子も、抵抗感なく録音する姿が
見られ、どんな子でも、声に出したい気持ちがあるのだなと感じました。
声に出すこと、とても身近でシンプルな表現方法だと思いました。
普段、あたりまえのように毎日会話をしている私たちは、
毎日表現しているということを改めて考えさせられました。
人が生きていることも、そういうことなのだと思えた一日でした」
さらに、
「こどもたち一人ひとりが、場所を感じ取っていることに、
その場所に真摯に向き合っている姿に驚かされました。
どのテープも、その場所で録音するからこそ起こる反応、
声に魂がやどるというか、そのような感じを覚えました。
毎日使い慣れた声だからこそ、みえない何かに即座に反応
できるのかも知れません」
「最近転校して来た子が、ここからの景色は好きな電車も見れるし、
お母さんが働いているお店も見えるし、ごはんのいいにおいもするし、
この街に来てよかったなどと録音していて、心が温かくなりました」

みな無事に録音を終えて授業1回目が終了。
次回2回目は、みんなの録音したレポートを聞く「鑑賞」の時間です。
(その2に続く)(G)

2016年9月14日

かかし作りに挑戦!

東京都現代美術館近くの深川資料館通り商店街で
毎年開催されている「かかしコンクール」。
19回目を迎える今回、地元地域との連携の一環として、
当館ガイドスタッフがかかし作りに挑戦しました。

かかしのベースとなる骨組みは商店街の方が用意してくださいました。
美術館スタッフも加わって、制作スタート!
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ガイドスタッフは、自宅から古着や使わなくなった素材などを持参。
事前にこんなかかしを作りたい!と計画を立ててきた人もいれば、
どんなかかしを作ろうか頭を悩ませる人も。

美術館ならではのオリジナリティあるかかしを作ろうと、想像力を働かせます。
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アーティストや当館が所蔵する作品から着想を得たかかしが
だんだんと姿を表してきました。
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特にテーマカラーを決めたわけではないのに、
赤・青・黄と色の個性が分かれたかかしが完成!
完成したかかしは、深川資料館通り商店街に
9月1日~25日までの期間、設置されます。
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《やよいちゃん》

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《ヘアリボンの女》

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《なんちゃって?デュシャン》

お近くにお立ち寄りの際には、ぜひMOTかかしを探してみてください!
(A.T)

2016年9月12日

学校をクイズにしちゃう!?

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休館に入り、教育普及係では学芸員による出張授業を
積極的に行っています。
授業内容も学校と相談しながら決めていきます。

今回ご紹介するのは、7月から9月にかけて全部で3回の授業を行った、
港区立青山小学校での様子です。

6年生が小学校生活最後の学び舎となる校舎の内外を使用し、
学校にまつわるクイズを作成。そのクイズを6年生以外の全児童が
解くという授業を行いました。
クイズ作り? と思われる方もいると思いますが、
クイズを通じて、日頃見慣れた学校空間を意識的に見ることで、
新たな発見や魅力、気づきの視点を獲得し、
美術鑑賞時に大切な「モノをよくみる目」を養うことをねらいとしています。

《授業1回目(7月7日)》
学芸員の自己紹介のあと、今回の授業の趣旨を説明し、
まずは現代美術館の紹介もかねて美術館にまつわるAB選択式のクイズを実施。
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次に、クイズ作りのコツを知ってもらうために、
事前に用意した青山小学校の図工室のみで回答をみつける
「図工室クイズ」を実施。
回答後はクイズの中身を解説し、ものの数や名称、
先生がいつも身につけているモノなど、
いろいろな視点で見渡してみることが大切など、
どんな要領でクイズを作ればよいかを伝授しました。

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次回2回目の授業までに宿題として校内外を題材に
自分たちでクイズを作るよう指示して終了しました。

《授業2回目(7月19日)》
宿題のクイズを各グループ内で精査し発表。
前回の授業を受けてものの数ばかりでなく、
学校の特長や6年生だからこそ知りうる視点で作り出された
ユニークな問題がたくさん考えられていました。

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それらのクイズは、学芸員が持ち帰り3回目の全校児童で解く
クイズ大会用に内容を整え問題用紙に仕立てます。
大会当日は6年生が班長となり活動する縦割り班で行動しますが、
班長の内4名をスペシャル・クイズを手渡す「クイズマン」に任命しました。

《授業3回目(9月3日)》
夏休みが明けてすぐに全校児童対象のクイズ大会「青小検定2016」を開催。
クイズマンも目印の青小グッズに身を包んで校内に待機します。
大会のイントロでは、青山小学校を題材にしたAB選択クイズでまずは肩慣らし。
次いで縦割り班に分かれて、6年生が考えてくれた青小クイズに取り組みました。

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制限時間は30分、全11問に挑戦!ちなみにクイズの内容はというと

「青山小学校の校歌の歌詞がかかれているのはどことどこ?」
「図工室にある人の顔のついた白い彫刻はいくつ?」

など学校内をくまなく巡って回答していきます。
クイズの内1問はスペシャル・クイズとなっており、
その問題は校内を動き回るクイズマンを探し出して入手しなければなりません。
ただし、運よく見つかっても手持ちのクイズ数には限りがあるため、
問題の配布が終了したクイズマンに当たった場合は、
他のクイズマンを探し出します。

全員体育会に戻って回答アワー。
正解が発表されるごとに一喜一憂する姿が見られました。
全問正解した班には、認定シールが配られました。
6年生はクイズを作った当事者ですが、班長として下級生の面倒みることに忙しく、
またクイズマンは迷子になった低学年を所属する班に引き渡す役も担うという
思わぬハプニングも発生。

終了後の児童の感想には、

「普段気が付かない見方ができた」
「みんなで協力してできてよかった」
「まわるルートを決めて効率的に動いた」
「来年もやってほしい」

という声がありました。

クイズというゲームを通じて観察力やチームワークにも
変化が見られたようです。(G)

校内展覧会について考える

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夏休み中に行った教員研修会の様子をお伝えします!

今回研修会を実施した場所は墨田区立曳舟小学校。
墨田区の図工部は、毎年夏休みに当館を研修の場として
活用してくださいます。
しかし、今年は休館中ということもあり、
学芸員が学校に出向いて研修会を実施(8月26日)しました。

研修担当の先生と今年はどのような研修内容にするか
事前に打ち合わせをしたところ、
毎回校内展覧会について頭を悩ますそうで、
今年はこの校内展覧会をテーマに研修をすることになりました。

新任や若手の先生にとってもベテランの先生からノウハウや校内展覧会に
対する考え方を伺える良い機会となります。

研修ではまず初めに、学芸員がこれまで見たいろいろな校内展覧会について、
その時に感じた疑問や展示の工夫などをお話しながら、
そもそもなぜ校内展覧会をやるのか? 
という基本的な問いについて、先生方とディスカッションを行いました。

「校内展は、こどもたちの図工のがんばりを紹介するだけではなく、
こどもたちの作品を通じて見た人が自分と向き合い、つながる場」

であるとベテランの先生がおっしゃってくれたことが印象的でした。
また体育館などで展示をすることが多いのですが、
そのことに関し別の先生は、

「いつも見慣れた場所が違った場所、異空間へと変化する
"わくわく感"を演出する」

と、展示空間そのものが未知なる体験の一端を担う場となる
重要性を説いてくださいました。


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さて、校内展覧会についてあれこれ議論したあとは、
美術館ではどのように展覧会が作られるのか、
その作り方をレクチャーしました。
個展やクループ展に分かれていること、展覧会の構造、テーマの設定など、
基本的な展覧会の作り方を校内展覧会と比較しながらお話しました。


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研修後半は、グループに分かれて現代美術館オリジナルの
アートカードを使って、展覧会を作ってみる実践を行いました。
テーマや見せ方、使用作品はグループ毎に考えてもらい、
全部で4つの展覧会が完成しました。

完成後は、各グループの展覧会を鑑賞し、
どんな展覧会なのかを想像してもらった後に、
グループ毎に展示テーマなどを発表してもらいました。


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「壁にたくさんの覗き穴が開いていて、穴のまわりには
キーワードが書いてあり、覗くと該当作品が見える仕掛けに」


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「展示室全体がフライパンになっていて、壁面に飾られた作品を
ぐるりと見ていくと、ひとつの料理が完成するストーリー仕立ての構成」


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「"生きる、ということ"をテーマとしたメッセージカードを
手にしながら展示室を巡り、洞窟のような場所を潜り抜け、
階段を上り下りしながら人生について考えてもらう展示」


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「作品の絵柄に合わせてアスレチックのように運動したり、
パズルをしたり、回してみたりと各所でアクティビティが用意されている展覧会」

研修会に参加した先生からは、

「展覧会のイメージが全くなかったので、
テーマの立て方や展示の仕方など具体的にイメージできました」(教員1年目)

「若手に全てをまかされているような気がしてプレッシャーを
感じていますが、アートカードでの活動を通じてもっと前向きに楽しく
展覧会作りをこどもたちとしてみたいと思いました」(教員2年目)

「空間を作り出すという発想が今まで無かった。
このようにしかけのある面白い空間を作ってみたい」(教員12年目)

「校内展覧会は、私たちにとって大きな大変な仕事ですが、
お互いがどんな思いで取り組んでいるのか相談しあえることが
出来てとても良い機会でした」(教員33年目)

などと振り返りの感想があり、今回の研修会がお互いに刺激となり、
実際の展覧会作りに向けて多数のヒントを得たようです。(G)

2016年8月 5日

学芸員の出張授業!

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(西東京市立保谷中学校での出張授業の様子)

改修工事のため、5月30日から長期休館に入った当館ですが、
教育普及係では、学芸員による出張授業(アウトリーチプログラム)を実施しています。

授業内容は、基本的に担当の先生方と相談しながら作っていきます。
鑑賞をテーマにしたい、学芸員の仕事について知りたい、
全校生徒でできるものなどなど・・・様々な要求に可能なかぎり対応しています。

既に小学校や中学校で出張授業を行いました。
授業内容を少しご紹介します。


『オリジナルのアートカードを用いた鑑賞授業』
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(日野市立潤徳小学校での出張授業の様子)

自分なりの見方を深めたり、他者と意見を交わすことを通じて、
観察力や想像力を高め、活発な言語活動の場を創出することを
目的としています。
また、現代美術への興味関心をもってもらうこともねらいとしています。

主に小学生が対象ですが、じっとカードをみつめたり、お友達と意見を交換したり、
時に笑いが起き、にぎやかな授業となりました。


『美術館学芸員の仕事とは』
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(富士見丘中学校での出張授業の様子)

こちらは、中学校、高等学校向けの授業で、美術館の機能や役割、
そこで働く専門職としての学芸員の仕事、美術館ならではの展示の工夫など、
専門的な話を中心に、「職業としての学芸員」について学ぶ授業です。

このように、休館中も教育普及担当の学芸員は、
外での活動をメインに事業を展開しております。

また、出張授業は1回で終わるものばかりではなく、
継続して関わっているものもあります。
そうした授業の様子も随時アップしていきますので、
本ブログを定期的にチェックしてみてください。(G)


2016年6月 6日

リニューアル休館イベント ガイドスタッフ・クルーズ―お気軽トーク

5月30日から大規模改修工事のため休館に入った現代美術館。
休館前、最終日となる5月29日にリニューアル休館イベントの一貫として、
ガイドスタッフによる待ち受け型トーク「ガイドスタッフ・クルーズ―お気軽トーク」を
実施しました。

当日は休館前最終日ということもあってか、開館直後から
多くのご来館の方々で賑わっていました。
常設展示室を会場に実施した待ち受け型トークは、
ガイドスタッフが「ご自由にお声掛けください」と書かれたバッヂを胸元につけ、
11時30分から13時30分までの2時間にわたってトークを行いました。

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《without records - mot ver.2015》では、
レコードプレーヤーに造詣が深い方とレコード談議に花が咲いたり、
また、ある作品の前では、かつてご家族で来館された際に鑑賞した作品との
再会に、そのときの思い出をしみじみ語られる方もいらしたり、
待ち受け型トークならではの、1対1でじっくりと作品を語り合う
様子が見られました。

トークを利用してくださった方の中には、
長期休館前最終日を目指して来られた方も多くいらしたようです。
毎日14時から行っている通常のギャラリートークの常連さんの姿もあり、
多くの方から休館を名残惜しむ声が聞かれました。
(A.T)

2016年6月 1日

こどもの表現について考える

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休館前最後の教員研修会を5月28日(土)に実施しました。
この研修会では、「図工表現の"見せられない世界"」として
こどもの表現について考えることをテーマにしました。

参加したのは、今年4月に教員になったばかりの若手から
10年以上というベテランの都内小学校図工専科の教員13名。

まずは、「キセイノセイキ」展を鑑賞し、展覧会の感想を伺った後、
日頃の図工の授業の中で表出される問題表現や、
教育的配慮から展示できない作品などについて指導上の悩みや
表現の実情について意見交換を行いました。

先生方には実際のこどもたちの作品を持ち寄っていただき、
具体的な表現例を見ながらディスカッションしました。

例えば、既存のキャラクターが描かれた絵、地獄の絵、銃などの武器の表現、
人物のオブジェの画像を細かく切って首だけを並べて構成した絵・・・などなど。

授業そのもののテーマ設定に不備があったという自己反省や、
視点を変えれば受け入れられる表現なのではないかとか、
それらを表現することの何が良くないことなのかをきちんとこどもに伝え、
互いに納得した上で表現させる。
途中で止めさせるのではなく、その後の表現の変化も見ていくことで
その子が何を表現したかったのかを見取ることも大事などと意見がでました。

また、絵で表現できないので文字で説明を描いてしまう、
棒人間(丸を頭にして一本の線で胴体と手足を表現する)しか描かないといった
悩みなどもでました。

一方、こどもから出てきてしまう表現よりも、
学校教育の立場上、周囲からは人権への配慮を促されたり、
社会の目を強く意識しなければならないといった、
現場ならではの事情や苦悩も伺えました。

今回は「キセイノセイキ」にも出品しているアーティストの小泉明郎さんに
ゲストとして研修会に同席してもらいました。
小泉さんはアーティストの立場から、
「作品を作るということはとても個人的なこと、本能や感性の表象世界。
これらが大きくなればなるほど社会と乖離していく」
と語ってくれました。

個人の表現を認めたいとする一方で、法律などの社会の規制がはたらいたり、
学校教育への配慮などが必要なのも現実。

研修会に参加した教員からは、
「図工でやって良い事、ダメな事の判断はすごく難しいと感じた」
「自分自身で規制をかけてしまっているかも」
「表現の良さや楽しさを感じられる図工の時間だが、
それらを外に向けて発表する際には、社会の反応があるのは当たり前で、
その中でうまくバランスをとっている自分がいることに今日気がついた」
「周囲からの指摘に悩むこともあるが、周りを変えていく、変わっていくことも
大事なんだと思った」
などと感想がでました。

表現によってはかなり過激なものもあり、
教員が一人で立ち向かえるほどこどもの表現は軟弱ではないことを
あらためて今回の研修会で伺い知ることができました。
リニューアルオープン後も、継続して教員研修会は実施いたしますので、
教員のみなさま、取り上げてほしい研修テーマがありましたらぜひご相談ください。(G)