2017年6月16日

小笠原小学校と文通はじめました!

小笠原からの手紙 (1回目) ブログ 1(300x225).jpg
東京から南へ約1000kmの場所に位置する小笠原村立小笠原小学校。
今年度は、スクールプログラムの一環でこの小笠原小学校の5年生(23名)と
図工の枠で連携授業を行うことになりました。

小学校のある父島に伺うといっても、交通機関は船しかなく、
しかも概ね6日に1度しか運行していません。
そう簡単には訪問できない場所です。

そこで、小笠原小学校と教育普及担当の学芸員3名が約1年間文通(※)を行います。
題して「写真がつなぐ"船の交換便"」!!

この文通は、単なる手紙のやりとりではなく、学芸員から毎回出されるお題に
まつわる写真を撮影してもらい、学芸員も同じお題で写真を撮り互いに交換します。
こうした行為を通じて、日常の見方を変え、身近な風景を観察したり楽しんだりする
姿勢を育むことを目的としています。

5月初旬に1回目のお手紙とお題を美術館から学校に送り、
早速こどもたちはお題に挑戦し写真を撮って送ってきてくれました。
こどもたちから送られてきた写真には、学芸員がそれぞれコメントを
書いて送り返します。

さて、1回目のお題は「空」です。

こどもたちが撮影した小笠原の空をこどもたちのコメントと一緒に
いくつかご紹介します。(原文ママ)

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題《あさ日山の日の出》
「ランニングしていたら、きれいな日の出がでていたので
あさ日山でとりました。とてもきれいなのでぜひ見てください。」

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題《晴の日の空》
「ぼくは、あおぞらをとりたかったからあおぞらをとりました。
小笠原は、きれいな空ときれいな海があるので、ぜひきてください。」

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題《キセキの雨》
「雨がふりちょ水りつが約40%ふえたのできせきの雨です。
これで70%以上になりました。うれしかったです。」

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題《南国の日光》
「南国らしいヤシの木と、かがやかしい日光が上手にまざったので
この写真をとりました。
夕がたの日光ですが、光がかがやいている所を見てください。」

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題《この日世界が終わる》
「6時ごろ、家の前弟が「うわっ」と言ったので見たら
キレイなのでとった。
右の人工物を大きくだして、世界が終わるのをあらわした。
そんな色だと思いませんか?」

この連携授業を担当してくださっている図工教員からは
以下のようなコメントが届きました。

「表現方法が写真なので、かなり気楽に取り組めたようでした。
コメントもよく考えて書いていたのではっとさせられました。
それぞれが小笠原の空について自分なりに考えて撮影できたようです。」

1年間続く"船の交換便"。
こどもたちがどんな風に毎回こちらからのお題に取り組んでくれるか、
写真が届くのが楽しみです!
また様子は随時このブログでお知らせいたします。
(小笠原小学校ホームページにも連携授業の様子が紹介されています。
http://www.ogashou.ogasawara.ed.jp/)
(G)

※2014年度に現代美術館が美術家の廣瀬智央氏と教育普及担当学芸員とで企画した
ワークショップ「発見の術」プロジェクト「日・伊の『往復書簡』」の手法を
今回の連携授業用のアイデアとして引用しています。


学芸員の出張授業スタート!

足立区立鹿浜西小学校ブログ (300x225).jpg

今年度の学芸員の出張授業がスタートしました!
すでに、20校近い学校から申し込みがきており、
順次事前打ち合わせを行い、授業に出かけています。

授業の内容は、現代美術館オリジナルのアートカードを用いた鑑賞体験、
学芸員の仕事について、展覧会の作り方のレクチャーなど。
また今年は校内展覧会が予定されている学校も多く、
こどもたちにギャラリートークをさせたいので、
ギャラリートークとは何かをこどもたちに教えて欲しいという
リクエストもたくさんきています。

先日(6月12日)伺った足立区立鹿浜西小学校では、
学芸員の仕事についてお話し、次いでアートカードを用いた鑑賞体験を
行いました(対象:6年生、2クラス)。

学芸員の仕事といっても、全くなじみがなく、
でも、美術館の仕事を想像してもらうと、
「作品を選ぶ」「作品を買う」「絵を描く」「展覧会をする」「掃除をする」
などなど色々なイメージを伝えてくれました。

美術館の基本的な機能について説明した後に、
学芸員の仕事、特に教育普及担当の学芸員が行っている
作品と見る人をつなぐ仕事について具体的に知っていただこうと、
当館オリジナルのアートカードを用いた鑑賞体験を行いました。

足立区立鹿浜西小学校ブログ2 (300x225).jpg

体験といっても、そこは鑑賞の授業の一環。
作品鑑賞のコツや、大切にしてほしい視点なども伝えながら進めました。
それは「観察」と「想像」することです。

後日学校から、こどもたちの今回の授業に対する感想が送られてきました。

「いろいろな人の自分と違う考えを聞いて楽しかった」
「学芸員の仕事は楽しそうだなと思った」
「なにかわからないのにすごく芸術作品みたいになっていたのがすごいと思った」
「美術館に行ってみたくなりました」

また、図工担当の教員からは、

「児童にとって美術館が身近になり、作品の見方、捉え方において
受け手側が自由に捉えて良いという印象が持てたと思います。
興味深そうに鑑賞活動をしていました」

とコメントをいただきました。

この出張授業を通じて、美術館や現代美術に少しでも興味関心を
抱いてもらえたなら嬉しいです。(G)


2017年4月11日

"多摩地区限定"アーティストの 一日学校訪問(山川冬樹さん)レポート

"多摩地区限定"アーティストの一日学校訪問、『パフォーマンス』をテーマとした
プログラムは、美術家・ホーメイ歌手の山川冬樹さんによる「感覚をひらく!
身体(からだ)からはじまる表現」です。

実施校は、以下の6校。
町田市立鶴川第三小学校(4、5、6年生281人)
稲城市立平尾小学校(1~6年生582人)
町田市立成瀬中央小学校(1~6年生243人)
東村山市立萩山小学校(1~6年生390人)
町田市立本町田東小学校(1~6年生258人)
東京都立八王子特別支援学校(高等部3年生61人)

授業内容は、
山川さんの表現活動についてのレクチャーを交えながら、
「ホーメイ」や「心臓の鼓動」、「骨伝導」といった、
身体が生み出す音を使った山川さんのパフォーマンスを間近で体験してもらい、
かつ、児童・生徒にも実際に「からだ」を使った表現に挑戦してもらうという流れです。

代表的な授業として、町田市立鶴川第三小学校での様子をご紹介します。


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まずは、ご挨拶がわりにホーメイの歌を聞かせる山川さん。
歌といっても複雑な音色の歌声に、毎回こどもたちは
「何これ?」と一瞬戸惑いながらも、山川さんの歌に集中しています。


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続いて、山川さんがホーメイを習ったトゥバ共和国を紹介。
そして、「パ」という音を100万円で売ってしまったお話を通じて、
「価値ってなんだろう?」とこどもたちに問いかけます。


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感覚をひらく体験として、みんなでホーメイに挑戦してみます。
「オヨヨヨヨ・・・・」と発しながら、その声の中に潜む微かな
川のせせらぎのような音を見つけます。
「良く聴くことが大切です」と山川さん。


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ホーメイに挑戦したあとは、
様々なテクノロジーを用いた実演。
電子聴診器を用いて心臓の鼓動を視覚化したり、
音を大きくしたりします。


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また、骨伝道マイクで骨の音をひろい、頭をたたいたり、
歯を鳴らして打楽器のようにして演奏します。
こどもたちにも体験してもらい大いに盛り上がりました。

最後は山川さんへの質問コーナー。
「どうしてこうした表現をはじめようと思ったのですか?」
「100万円はまだありますか?」など、
一つ一つの質問に丁寧に答えてくれました。

全ての学校訪問終了後、山川さんからコメントを
いただきましたのでご紹介します。

「どの学校の先生にも『クラスにうまく馴染めない問題を抱えた子が、
目を輝かせながら積極的に参加していて驚いた』と言われたのが印象的だった。
きっとその子は問題を抱えているのではなく、周りと比べてちょっと
変わっているだけなのだ。だからものすごく変わった大人が、
1日だけ『先生』として学校にやって来て、全力で変わったことの
素晴らしさを体現してみせることは、ちょっと変わっていることで周りに
馴染めずに苦しんでいる子からすると、自分の存在が肯定されたと
感じられるのだろう。今回の機会が、こどもたちにとって自分や世界を
肯定するためのきかっけになってくれれば嬉しい。」
                            山川冬樹

撮影:中島佑輔
(G)

"多摩地区限定"アーティストの 一日学校訪問(泉太郎さん)レポート

"多摩地区限定"アーティストの一日学校訪問、『映像』をテーマとした
プログラムは、美術家の泉太郎さんによる「ビデオカメラの中を通って変わること。
映像世界のさわり心地」です。

実施校は、以下の4校。
明法中学・高等学校(高生1年生36人)
八王子市立上川口小学校(1~6年生58人)
府中市立府中第十小学校(6年生128人)
小平市立小平第十二小学校(5年生72人)

授業内容は、
泉さんの映像作品の鑑賞と作品解説を行い、その後、
体育館や校庭などで、本来ならば撮影するための機材であるビデオカメラに、
撮影されないように逃げ回るパフォーマンスを体験し、
制作して上映し鑑賞するという流れです。
ただし、学校の様子や教員のリクエストに応じて内容を変える場合もありました。

代表的な授業として、八王子市立上川口小学校での様子をご紹介します。

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初め泉さんは、ステージ裏などに隠れ、泉さんが見ているものを言葉で伝え、
こどもたちには想像だけで絵を描いてもらうワークを実施。
その後、泉さんが登場し、みんなが描いた絵を見て回りました。


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次に、
泉さんの映像作品を鑑賞。大学の卒業制作を皮切りに、
次々と作品を見ました。なぜか自然と笑いが起きます。
作品ごとに泉さんの説明がつきます。
どの学校でもそうですが、泉さんの作品は、こどもたちと相性がいいようです。


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作品鑑賞の後は、自分たちでも映像作品を作ってみます。
ビデオカメラに映らないようにするという逆転の発想で
どんな映像が撮れるかを体験してもらいます。


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撮影後は、すぐに再生して見てみます。
ある学校では、6年生最後の思い出になるような作品を作りたい
という先生からのリクエストがあり、
クラスメートを手で捕まえる映像作品を作った学校もありました。


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授業の最後は、泉さんへの質問コーナー。
「なぜ映像作家になろうと思ったのか?」
「作品の制作費はいくらか?」
などいろいろな質問に丁寧に答えてくれました。

全ての学校訪問を終え、泉さんからコメントを
いただきましたので、ご紹介します。

「今回、こどもたちが映像を通して世界を観察したり
考えていくことの過程を見られたのは僕自身勉強になりました。
一見遊びのようなシステムを使うことで自然に興味を持って
くれたのならうれしいと思います。そのうちそれが何なのか、
という解釈の楽しみに発展して、考えることの自由について
いろいろな態度が出てくると面白いと思いました。
                        泉太郎」
撮影:中島佑輔
(G)

2017年4月 7日

"多摩地区限定"アーティストの 一日学校訪問(石田尚志さん)レポート

休館中の特別プログラム、『アニメーション』をテーマとする
"多摩地区限定"アーティストの一日学校訪問を担当してくださったのは、
画家・映像作家の石田尚志さん。
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「時間を描く、踊る点と線」と題し、映像制作に関わるレクチャーと
16mmフィルムを用いた映像制作を行いました。

訪問1校目は、豊かな緑に囲まれた地域に位置する奥多摩町立古里小学校です。

一人分ずつカットした、透明と黒の2種類の16mmフィルムを用意。
石田さんから48コマ分のフィルムがいったい何秒分の映像になるかと問われると
こどもたちからは「1時間」「1分!」などの声が。
正解が「2秒」であることが告げられると、驚きの声があがっていました。
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透明のフィルムにはカラーペンを使って自由に絵や線を描き、
黒いフィルムは、カッターやニードルなどを使い、フィルムを削りながら
描いていきました。
描き終わったら、専用の機械でつなぎ合わせ、1本のフィルムにします。
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別室に移動し、石田さんご自身の作品や他の作家による映像も見せていただいた後、
完成したフィルムの上映会を行いました。
映し出された映像は、意図していた向きとは上下や左右が逆になっている部分もあり、
思わぬ面白さと出会うことができました。
一人の担当部分は2秒と短いにもかかわらず、自分や友達が描いた絵は
すぐにわかるようで、色々なコメントが飛び交っていました。

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石田さんが用意した流行のポップソングやアニメソングをかけて鑑賞したり、
影をつくって楽しむ時間も。曲によって映像から受ける印象も変わります。
さらに、こどもたちの作品に他の映像を重ねて投影。
二つの映像が交じり合うことで、複雑で奥深い映像の世界が広がっていました。

訪問2校目は、調布市立八雲台小学校です。
6年生2クラス63人合同での実施となった今回は、フィルムは切らずに
机に沿って這わせ、みんなで協力しながら描いていきました。
隣りに座っている友達と、つなぎ目となるコマをどうするか相談する姿も。
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石田さんからアドバイスを受けながら、描き進めていきます。
色面を作ったり、1コマずつ動きを意識しながら人物を描いたり。
思い思いの方法でフィルムに描いていきます。
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完成したフィルムの上映会。
コミカルに動く人物や不思議に変化するキャラクター、
抽象的な線や複雑に重なり合った色など、
個性にあふれる約4分間の映像作品が完成しました。

石田さんご自身や他の作家の映像を鑑賞した後は、こどもたちの
映像に重ねて映写。
さらにその映像の前で何人かが出てきて、バックミュージックにあわせて
自分たちの影を意識しながら動いてみたりと、
身体全体を使って映像を体験するひと時となりました。
(A.T)
(調布市立八雲台小学校での写真撮影:中島佑輔)

2017年4月 6日

"多摩地区限定" アーティストの一日学校訪問(内海聖史さん)レポート2

4校目の実施は、東星学園小学校です。
当日はインフルエンザ流行の影響により、お休みも多くありましたが、
参加してくれた3年生2クラス30人のこどもたちは、こちらが驚くほどの
意欲で取り組んでくれました。

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この日のために先生が用意してくださった、専用の絵具ボトルを使って
色を混ぜ合わせ、床に敷いた養生シートの上に紙を置き、
大きく手を動かしながら色を塗っていきます。

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絵具を飛ばしたり、手を使って描いたり、紙の上に複数の色を置いて
画面上で混ぜ合わせてみたりと、思い思いの方法で描いていきました。

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昼休みの間に、乾いた作品を内海さんとスタッフとでつなぎ合わせ、
講堂のステージ上のバトン部分に貼り付け展示を行いました。

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5時間目が始まり、鑑賞の時間がスタート。
内海さんの合図と共にバトンが動き始め、自分たちの描いた作品が
次第に目の前に立ち上ってくると、こどもたちからは大きな歓声があがっていました。
制作総数は212枚で、一人約7枚を描いたことになります。
内海さんからは「枚数を重ねて描くことで、より豊かで複雑になり、前とは違う
描き方ができるようになる」といったお話がありました。

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こどもたちの作品鑑賞が終わると、視聴覚室へ移動して内海さんが持参してくれた作品を鑑賞しました。
内海さんへの質問タイムでは、
「どうやって描いたんですか?」「何日くらいかかりましたか?」
「どうやってこの作品を持って来たんですか?」「絵描きになって何年ですか?」など、
尽きることなく質問が上がっていました。
(東星学園小学校での記録写真:中島佑輔)

最後の訪問校は、八王子市立第五小学校です。
5年生3クラス86人合同で、体育館での実施となりました。
たっぷり用意された絵具を用いて、伸び伸びと描く子どもたちの姿が印象的だった
第五小学校での実施。

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一枚目からドリッピングに挑戦したり、枚数を重ねるごとにドリッピングで
絵の具をたらす高さを変えてみたり。

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また、ロールシャッハ・テストのように絵の具を盛った画用紙を二つ折りにして開いたり、
画用紙二枚を並べて一つの絵を描いたりするなど、
描く道具が刷毛の一種類しかなかった
にもかかわらず、実験的で多彩な表現を見ることができました。

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5校時にスタッフでこどもたちが描いた318枚の作品を貼り合わせ、
用意してあった吊るための垂木に取り付けて準備。
6校時目が始まり、こどもたちがそろったところで、内海さんの合図を受けて
作品を4メートルの高さまで吊り上げて展示を行いました。
最後に内海さんの作品鑑賞タイムでは、こどもたちからは多くの質問が
あがっていました。

後日送っていただいたこどもたちの感想文には、
「内海さんの作品をみた瞬間、本当にすごい、すごいなんてものじゃないくらい
すごかった。これが心打たれるっていうことかと、人生で初めて実感しました」
「僕は色というのは決められているものだと思っていました。緑なら緑、青は青。
でも違いました。色は自分で作るものということがわかりました」
「自分は図工が好きでした。今回の内海さんの授業で、もっともっと図工が
好きになりました」
などといった感想が寄せられました。
アーティストと直に接することによって、新たな表現や考え方と出会う機会と
なったのではないでしょうか。
(A.T)

"多摩地区限定" アーティストの一日学校訪問(内海聖史さん)レポート1

"多摩地区限定"アーティストの一日学校訪問、『絵画』をテーマとした
プログラムは、画家の内海聖史さんによる「"カッコイイ"色をつくろう!」です。

絵具を自由に混ぜ合わせて、自分が思う「カッコイイ緑」を作ったら、
四つ切サイズの画用紙に塗ります。絵具が乾いたら全員の作品をつなぎ合わせ、
一つの色面を作り展示し、鑑賞するといった内容。
最後にサプライズで内海さんが持参してくださった作品も鑑賞しました。

内海さんが訪問した全5校の最初は、東京都立久留米特別支援学校です。
中学部2年生4人が参加してくれました。

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内海さんからご自身の作品についてのお話を聞いた後は、
いよいよ「カッコイイ緑」作りに挑戦!

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1枚目は、じっくり考えながら慎重に絵具を混ぜ合わせていく様子が
みられましたが、枚数を重ねるごとに、混ざりきらない状態の絵具を
使ってみたり、わざとかすれた調子で塗ったりと、
自分なりの方法を見つけながら手を動かしていました。

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完成した40枚の作品は、みんなで協力して一列につなぎ合わせ、
天井からカーブを描くようにして吊り下げて展示しました。
近くで拾ってきた草や葉っぱなどを見せながら
「絵具セットの中に入っている緑色よりも、皆が作った色の方が
自然の中にある"緑"と近いね」 と話す内海さん。

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最後に、別室に用意していた内海さんの作品を鑑賞しました。
内海さんへの質疑応答の時間には、
「ためらわずに描くことが自分の中で新しかった。この経験を絵以外でも生かしたい」
という感想を言ってくれた生徒さんもいました。

2校目は、調布市立第一小学校です。
5年生3クラス約100人が対象となったため、制作は1~2校時2クラス合同、
3~4校時1クラスと人数を分けて行いました。

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「カッコイイ緑」になるようにじっくり考えながら色を作っていきます。

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刷毛やローラーだけでなく、スポンジや歯ブラシといった道具を使ったり、
手に絵具をつけて塗ったり、絵具をたらした紙の方を動かして色をつけていったり、
試行錯誤を重ねながら描いていました。

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完成した326枚の作品は、昼休みの間に内海さんと美術館スタッフとで
つなぎ合わせ、体育館のバルコニー部分から吊り下げて展示を行いました。

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合図と共に体育館の舞台上の幕が開くと、内海さんの作品が出現。
1クラスずつ近づいてじっくり作品を鑑賞する時間も設けられました。
この授業を体験したこどもたちからは、
「いつも決まった色ばかり使っていたけれど、次からは自分でオリジナルの色をつくりたいです」
「カッコいい緑は、緑に近い色が正解なのかと思ったけど、いろいろな人の
作品を見て、色にはたくさんの種類があることに気づかされて、
やっぱり図工に正解はないなぁと思いました」などといった感想が寄せられました。

3校目の訪問は、桐朋学園小学校です。
6年生2クラス71人を対象に、2~4校時までの3校時分を使い、
カッコイイ"緑"を作る、塗る、乾かす、つなぎ合わせる、展示することの
すべてをこどもたちと一緒に行いました。

内海さんからお話を聞いた後、制作スタート。
「ただの緑色ではなく、"カッコイイ"緑を作ろう。1枚描いたら、次はそれよりも
もっとカッコイイ緑を作ってね」と内海さん。

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撮影:井上圭佑
2枚目以降になると、色みの選び方や混色の配分、塗り方などをどんどん工夫していく姿が。

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皆で協力して乾かしたり、つなぎ合わせたりしていきます。
完成した作品は、講堂の座席部分に展示しました。

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下から見上げたり、座席の横から見たり、上から見下ろしたりと、
視点を変えながらみんなで作品鑑賞を行いました。
6年生71人が描いた200枚の作品によって、がらりと変化した講堂の空間。
授業後には、他学年や教員の方々が入れ替わり立ち代り見学に来てくれました。
(A.T)
(その2へ続きます)

2017年4月 5日

"多摩地区限定"アーティストの 一日学校訪問レポート

休館中の特別プログラムとして2016年度に実施した
教育普及アウトリーチ・プログラム2016
"多摩地区限定"アーティストの一日学校訪問の様子を順番にご報告いたします。

休館前には、多くの学校団体の受け入れを行ってきましたが、
当館が東京の東端に位置しているため、
残念ながら西側エリアにある多摩地区の学校からの来館利用は
あまりみられないというのが現状です。

休館に入り通常の学校団体の受け入れを休止している今だからこそ、
現代美術の魅力を伝えるチャンスと捉え、
こちらから西側にある学校へ当館所蔵のアーティストと共に出かけて行き、
こどもたちや教師の皆様にアーティストとの出会いやその作品を通じ、
新たな感性や価値観に触れていただき、また日常の考え方や視点の転換を
促すことの大切さを実感してもらうのが、このプログラムの大きな狙いです。

本プログラムは、通常実施しているスクール・プログラムのひとつ
「アーティストの一日学校訪問」(都全域を対象)の特別メニューであり、
過去に実施したアーティストの中から4名を再セレクトし、
ジャンルも「絵画「アニメーション」「映像」「パフォーマンス」と
様々なものを用意し、幅広く作家を選定してもらえるよう工夫しました。

プログラムに参加したこどもたちや教師の皆様が再オープン後の当館に
足を運んでくれた時が、本当の意味地でこのアウトリーチ・プログラムの
成果だと考えています。(G)

2017年3月31日

アーティストの一日学校訪問(淺井裕介さん)レポート その1

2001年度から始まった「アーティストの一日学校訪問」。
アーティストとの交流を通じ、現代美術の動向を
感じ取ってもらうことを目的にしています。

DSC09735.JPG ※
                               
本年度は、収蔵作家の淺井裕介さんをお招きし、
昨年の10月から今年の1月にかけて都内の6校
(小学校5校、盲学校1校)にて実施しました。

淺井さんは、土と水、石と火、テープとペンなど色々な素材を用いて、
様々な場所に絵を出現させ、日常に穏やかな違和感を作り出しています。
今回の授業テーマは「絵が生まれてくる場所は、どこにでもある!」。
普段図工や美術では使わない場所で、普段の授業では使わないものを用いて、
絵を描いてみようという試みです。

淺井さんが授業で取り組んだのが、学校の周りなどで集めた土で描く"泥絵"、
マスキングテープによる"壁画"、そして巨大な模造紙に描かれた"ペン画"でした。
内容別に、各学校での活動をご紹介します。

<泥絵>
【1校目】2016年10月3日 品川区立小山小学校 「歩き出した大地」

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最初に参加してくれたのは、小学4年生の児童65人です。
学校創立90周年を機に、校内の吹き抜け階段の窓に、泥絵を飾ることにしました。
泥絵に使う土は、先生が学校の周りで採取したもののほか、
淺井さんがご自分の制作で集めた国内外からのものも用います。


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まず、淺井さんがご自身の作品を写真で紹介したあと、
泥絵のデモンストレーションを行いました。
次に、こどもたちは1班8人で、それぞれ窓枠の大きさに切った
8枚の不織布を取り囲み、鉛筆で好きな生き物を描いていきます。


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こどもたちの生き物が出来上がると、淺井さんが黄色い土で
その生き物を取り囲むように、大きな生き物を描いていきます。
こどもたちは、自分の生き物の中を、濃い色の土で塗ります。


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次に、今度は濃い生き物の周りを、薄い色の土で彩っていきます。
淺井さんのお手本を見た後、作業開始。
途中でいったん手を止めて、みんなで絵の周りを回って鑑賞します。
全体を見て、どこが足りないのか、どうしたらもっとよくなるかを考えます。


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やがて制作再開。しかし、途中で淺井さんが手を叩いたら、
その数だけ場所を移動して、違う絵の続きを描かなくてはなりません!
他の子たちが描いた線を活かしながら、空間を埋めていきます。
制作終了後、こどもたちからは意見や質問の手が次々と上がりました。


IMG_0332.JPGのサムネイル画像 IMG_0333.JPGのサムネイル画像
事後授業では、鑑賞してお気に入りの部分を見つけたり、
友だちと相談して、周りの色を塗ったり、落ち葉をつけたりしたそうです。
校内展示では、こどもたちが通り際に見上げる階段の窓を
大地から歩き出した生き物たちが埋め尽くしました。


【2校目】2017年1月16日 港区立笄小学校 「土の森をつくろう」

DSC00021.JPG DSC00018.JPG ※
泥絵の授業2校目は、小学5年生61人で行いました。
冬休みの間にこどもたちが集めてきた土や、
学校の近くのお寺や美術館で分けてもらった土が山ほど。
協力してくれた方々に感謝をこめて、会場の体育館に写真が展示してありました。


DSC09661.JPG DSC09703.JPG ※
先生と主事さんたちが縫い合わせた巨大な不織布が2枚、
体育館に敷き詰められています。
淺井さんはその画面に、1枚は大きなイヌを、もう1枚には大きなトリの
シルエットを描きました。
こどもたちはまず、土を使ってウォーミングアップ。
コップに入った土と筆を持って、画面の上をぐるぐる歩きます。
淺井さんが「ストップ!」と言った場所で止まり、
足元に最初は1つの点、次は2つ、3つと、模様を描いていきます。


DSC09834.JPG DSC09899.JPG ※
次に、舞台側を天、出入口側を地として絵の上下を定め、
濃い色の土で木の幹を描き始めます。
幹から伸びる枝や、そこから生える葉を5枚、葉柄をきっちり描くようになど、
浅井さんの細かい指示が次々と飛びます。
さらにその幹の根元に、生き物を描いたり、花や小鳥を加えたり。
担任の先生や見学にいらした方たちも加わって、
どんどん画面がにぎやかになっていきました。


DSC00082.JPG DSC00156.JPG ※
給食・休憩をはさんで、午後は仕上げに入ります。
今度はクラス内を2班に分けて、
1班は浅井さんが描いた生き物の中を、模様を描きながら塗りこんでいきます。
もう1班は、外の部分に描いた線と線の間の面を、
違う色で塗りつぶしていきます。
こうして、巨大なタペストリーが2枚完成しました。

CIMG3390.JPG CIMG3393.JPGのサムネイル画像
後日、校舎の表と裏に飾られたタペストリー。
泥絵の中の生き物は、冬空の下でまるで生きているかのように
はためいていました。
(J.O.)

※写真:かくたみほ

アーティストの一日学校訪問(淺井裕介さん)レポート その2

当館収蔵作家の淺井裕介さんによる、
2016年度の「アーティストの一日学校訪問」。
内容別に、各学校での活動をご紹介しています。

<マスキングテープ>
【1校目】2016年10月25日 墨田区緑小学校 「"緑小の木"をつくろう」

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小学6年生50人が参加してくれました。
1月の展覧会に向けて、会場となる体育館の壁に
マスキングテープで"緑小の木"をつくることになりました。
まずは、淺井さんがご自身の作品をスライドで紹介したのち、
これから作る木の幹、枝、葉のかたちについて解説します。
さらに、どうやってテープでかたちを作ったらいいのか、
お手本を見せてくれました。


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早速、こどもたちは体育館の床に敷いたビニールの上に、
テープでトリのかたちを作ってみます。
横棒に羽を付けると横から見たトリ、W型に貼れば正面から見たトリになります。
あとはペンで好きな色を塗って、ビニールから剥がせばできあがり!


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こどもたちは、淺井さんの指示に従い、
さらに木の葉や枝をせっせと作っていきます。
軸となるテープからうまく剥がしていかないと、かたちが壊れてしまいます。
ゆっくりと、慎重に剥がします。


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こどもたちから受け取ったトリや木の幹、枝、葉を用いて、
淺井さんが体育館の壁に、大きな木を茂らせていきます。
もともと飾ってある校章や、100周年記念で製作された絵画をうまく活かしながら、
はしごに登って、慎重に作業を進めました。


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授業終了後も、淺井さんは制作を続けてくれました。
昼休みを利用し、手伝いに来てくれた子たちもいて、放課後にようやく完成!
自分たちの作った一つひとつのテープ作品が
大きな壁画に変身したのを目の当たりにし、大きな歓声が上がっていました。


【2校目】2017年1月27日 東京都立八王子盲学校 「自分たちの感情をかたちにしよう」

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この授業には、中学部・高等部の生徒21人が参加してくれました。
淺井さんにとって、目の不自由な生徒たちとの活動は初めてのこと。
事前に授業の様子を見学したり、先生と念入りに打ち合わせをしたりして、
「たのしい・うれしい」「いたい」「おなかすいたー」
などの感情を、体育館の壁の防護用クッションをカンヴァスにして、
マスキングテープでかたちにしてみることにしました。


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まずは、体育館の床にマスキングテープで絵を描く練習です。
あらかじめ淺井さんが画用紙の上にいろんなかたちをテープで貼り、
それを感熱性発泡紙にコピーして凹凸を付け、
指でかたちがなぞれるようにサンプルを用意しました。
淺井さんの声掛けに合わせて、ひとりずつ、サンプルを手がかりにお花を作ってみました。


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次に、2人1組になって、カードで配られた「感情」をテーマに、
壁のクッションにマスキングテープを貼っていきます。
作業面の境界線には、目印になるようオレンジの養生テープを貼っておきましたが、
生徒たちは思いのほか自由にテープを壁に貼り付けていきます。


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先生方も一緒になって参加し、みるみるうちに壁面が線や面で埋め尽くされていきます。
あちこちからテープのお代わりをする声が上がり、
テープが伸びる感触そのものを楽しみ始める生徒も現れました。
やがて体育館中が、縦横無尽にテープが走る巨大な作品に変化していきました。


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作品完成後は、1組ずつ、何を思って描いたかを発表してもらいました。
わざと、壊れているはしごを作って「さびしさ」を表現した生徒がいたり、
普段はあまり関わらない生徒同士が団結して一つの作品を作ったり。
生徒や先生、そして淺井さんや私たちにとっても、驚きや発見がある授業となりました。
(J.O.)