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2018年1月30日

小笠原小学校との文通その4

順調に交換が進んでいる小笠原小学校との
文通プロジェクトも4回目を迎えました。
毎回こちらからお題を出して、そのお題にまつわる写真を
小学生と学芸員がお互いに撮影して船便で送り交換しています。

さて、3回目のお題は「見立ての風景」でしたが、
学芸員3名が撮影した「見立ての風景」の写真はこちらです。


お題③「見立ての風景」郷 (300x210).jpg
題《実物大のドールハウス》
「まちを歩いていると、古いお家をこわしている途中の現場を見かけます。
僕はそれを見るといつもドールハウスみたいだなと思います。
そこに住んでいた人が、どんな生活をしていたのだろう? 
と想像すると楽しいです!」


お題③「見立ての風景」鳥居 (300x217).jpg
題《空にうかぶてるてるぼうず》
「今年の2月に仕事でおとずれたスウェーデン北部のまち。
実はこれ、朝の9時ころの光景です。
太陽は低く、あつい雲におおわれ、そして気温はマイナスで川はこおっています。
そんな空を見上げると太陽の光がてるてるぼうずのように見えました。
まるで空全体が、青い空を期待しているかのように感じました。」


お題③「見立ての風景」成田 (300x225).jpg
題《夜に現れるロボット》
「いつも買い物に行くスーパー近くで発見しました。
不動産屋の建物の窓と入口がロボットの顔のように見えます。
歯が上下に8本、大きな口を開けて何かを叫んでいるように感じます。」

それぞれの学芸員の写真にこどもたちは、
「題名がいい!」「アイデアがスバラシイ!」
「私にはショートケーキに見えます」
などとコメントをくれました。

さて、
4回目のお題は「ワクワクするもの」です。
これまでのテーマとはちょっと違って、自分の内面を表すものを
探し出して撮影するというもの。ちょっと難しかったようですが、
それぞれの「ワクワク」が伝えてくれる写真が届きました。
今回もこどもたちが撮影した「ワクワクするもの」の写真を
こどもたちのコメントと一緒にいくつかご紹介します。(原文ママ)


2 かんな (300x225).jpg
題《百人一首》
「自分が好きな、百人一首をやっていると、
次に何が読まれるのか、ワクワクするのでとりました。」


6 みずき (300x225).jpg
題《大好きな食べもの》
「ぼくは、からあげを食べると元気になります。
理由はいいニオイだからです。
この写真をとった理由は大好きなからあげのニオイは最高だからです。」


7 みのり (300x225).jpg
題《かわいいミニブタ》
「私は動物が好きなのでこれにしました。
動物の中でも一番"ブタ"(ミニブタ)が好きなので"ブタ"にしました。
みなさんは何の動物が好きですか。
"ブタ"と"ミニブタ"はどっちの方が好きですか。」


8 あつひと (300x225).jpg
題《エアコン》
「すずしいからワクワクするのでとった。
すずしいよ。いいね。
これは5年教室をとったよ~。
みるだけでワクワクするよ。」


9 なごみ (300x225).jpg
題《いつも元気な「まんたまる」》
「いまは、元気じゃないけどいつもは元気で、
おちこんでいるとき、『まんたまる』を見ると元気になるから
『まんたまる』のことをとりました。
『まんたまる』とはブルドックの名前です。」

「ワクワクするもの」の写真を通じて、
こどもたちの内面を垣間見られた気がします。

次回5回目の文通のお題が最後になります。
どんなお題かはお楽しみに!(G)

2018年1月 9日

65歳からはじめよう! 映像でつくるエンディングノート

エンディングノート001.jpg

第56回目のMOT美術館講座は、
現在当館が休館中のため
同じ江東区内にある古石場文化センターと連携し、実施しました。
企画は初心者・経験者を問わず誰もが映像を制作することのできる
ワークショップを行ってきた団体remo
(NPO法人記録と表現とメディアのための組織)の
松本篤さんにお願いしました。

テーマは「もうひとつのエンディングノート」。
対象は、65歳以上の方。
通常、エンディングノートは文章で残すものですが、
今回は、動きや表情、空気感などより多くの情報を
記録できる映像で制作し、参加者の人生を振り返り掘り下げ、
生きることに向き合うことを目標として
2日間(2017年11月23日、12月9日)実施しました。

参加者は映像でつくるエンディングノートに興味がある方や
旅行で撮った映像を編集しDVDを50枚以上制作している方、
昔、スキューバーダイビングで写真を撮っていた方など
普段から活動的な方々でした。

2日間の活動内容は、「気になる風景」、「人生の最初にみた風景」、
「遺影」と「人生の最期にみる風景」を撮影し、
鑑賞するという内容でした。

エンディングノート003.jpg

撮影の際には、何を撮りたいのか
鑑賞者に明確に伝えることができるremo考案の
リュミエール・ルール(撮影条件)を使用しました。

このルールは、世界最初の実写映画を制作したとされる
リュミエール兄弟が「工場の出口」を撮影した際の条件に倣い、
ズーム無しの固定カメラで、1分間、無音で撮るという条件です。

なお、講師から2日目開催までに
「人生の最初にみた風景」と「人生の最期にみる風景」の
説明文を書いてくることが宿題として出されました。

エンディングノート004.jpg

2名の方のエンディングノート作品を紹介します。
1人目は70代の男性。
「人生の最初にみた風景」は、
戦時中に見た北朝鮮やそこから引き揚げた際に
舞鶴で見たと思われる青空と雲、

「遺影」は、亡くなった奥様の横に置くため古石場文化センター
の入口にある松林で撮影したもの、

「人生の最期にみる風景」は、
風になびく枯れた植物を撮影し、大きな自然の摂理の一部として
人の一生があることを表そうとしたもの、でした。
宿題の説明文では、短歌5首で映像の世界観を表現していました。

エンディングノート009.jpg

2人目は、60代の女性。
「人生の最初にみた風景」は、
お宮参りで初めて外に出て見た場所の象徴としての神社、

「遺影」は、植物好きの兄姉で持っている"金のなる木"を写りこませ、
兄姉が見たときに喜ぶと思い撮影したもの、

「人生の最期にみる風景」は、
若山牧水の短歌を引用し青空に飛んでいる飛行機と
ニュージーランドの天の川の写真をフェードインさせ、
死後は天の川の星の一つになって家族を見守り続けていきたいと願うもの、でした。

エンディングノート005.jpg

今回は映像で記録しているため、
1分間という短いようで長い時間の経過をどのように表現するか、
動く雲や船などを映し、試行錯誤している様子が見受けられました。

「遺影」といえば一般には、本人がメインで背景が抜けている
写真が多いですが、参加者が撮影した「遺影」は
自分と一緒に映りこむものやそれを見る人のこと、
自分の思いを写し込む様子がみてとれました。

また、時代背景が色濃く表れているものや
テーマから考えたイメージを限られた条件の中で具現化するなど、
想像力豊かな映像になっていました。

参加された方からは、
「限られた時間の中でテーマに沿った場所を探すのは、
難しかった。エンディングノートをつくるという課題を持ち、
今後もこの経験を活かしていきたい。」

「2日間、内容が濃く、やることがいっぱいで勉強することもいっぱいと思った。」

「自分のスキルをアップさせるワークショップだった。
自分なりのエンディングノートを考えていく第一章だった。
エンディングノートは時代と共にどんどん変わっていくと思うから、
これから活かしていきたい。」
といった感想をいただきました。

2日間に及んだエンディングノート制作は、
映画がはじまった頃の手法を使用し、
映像作りを通し、それぞれの人生を考え、
死生観を表現し、これからどのように生きていくのか
前向きに捉えた講座となりました。(N.M)

2018年1月 8日

「食と言葉」の関係 第2回目

「啜る/綴る」ブログ1 (300x225).jpg
MOT美術館講座「食と言葉」の2回目の報告です。
(実施日:2017年11月4日)

講師には1回目同様、アーティストで料理家の岩間朝子さん(写真下:左)以外に
ゲストを迎えてレクチャーパフォーマンスを実施しました。

「啜る/綴る」ブログ3 (300x225).jpg

「啜る/綴る」ブログ2 (300x225).jpg

今回のゲストは芸術学の上崎千さん(写真上)。

タイトルは「啜る/綴る」。
このタイトルは、今回お二人の中でテーマとした「スープ」
という発音時の口の形が、啜る、綴ると同じであることから
着想を得ています。

上崎さんと岩間さんとが協働で「スープ」の内容
(素材やそれらにまつわるテキストなど)を事前に話しあい、
今回のメニューが決定していきました。
当日は、実際に岩間さんが5種類のスープを作り参加者に提供しました。
上崎さんは、それぞれのスープにまつわるさまざまな薀蓄を語るという内容で
レクチャーパフォーマンスは進行しました。

ただし、参加者は5種類のスープ全てを食せるわけではなく、1種類のみ選びます。
上崎さんがレクチャー対象のスープについて語っている時は、
そのスープを選んだ人のみが食べることができ、
選んでいない他の参加者は、食べている人の様子を見ているのみ。

「啜る/綴る」ブログ4 (300x225).jpg

見られているほうもなんだか気恥ずかしい気分でスープを口に運びます。
目と舌で味わい、においを嗅いで、スープを啜る音、レクチャーの言葉に耳を傾け、
思考してと、まさに五感をフル活用して参加しなければいけません。

「啜る/綴る」ブログ5 (300x225).jpg

ちなみに、当日用意された5種類のスープはこれ。

【玉葱のツヴィーベルズッペ】
【トウモロコシのポタージュ】
【まこもだけの真菰粥】
【柿と牡蠣の平茸のスープ】
【ミネストローネ:遅延者のためのスープ】

上崎さんのお話は、
「はたして"スープ"自体が岩間さんのアート作品なのか、
それともおいしいスープなのか」と参加者に問いかけることから始まり、
スープに用いられている食材の話題はもちろん、
食べ物はおいしいと思考が停止するとも語り、
話はどんどん広がってダーウィンの進化論にまで触れ、
岩間さんのスープのように複雑で芳醇な話題の数々を提供してくれました。

今回の参加者は、おいしいスープを食し、時折思考停止に陥りながらも、
上崎さんのお話に耳を傾けるという困難な状況に立ち向かいながら、
最後はあまったスープに希望者が殺到し終了しました。
やはり"おいしい"ことは強力なパワーなのだと感じた
レクチャーパフォーマンスでした。(G)

2017年12月 7日

小笠原小学校との文通その3

小笠原小学校との文通プロジェクトも交換3回目となりました。
毎回こちらからお題を出して、そのお題にまつわる写真を
小学生と学芸員がお互いに撮影して船便で送り交換しています。

さて、2回目のお題は「動物の目線」でしたが、
学芸員3名が撮影した「動物の目線」の写真はこちらです。


お題「動物の目線」郷 (300x225).jpg
題《コウモリの目線》
「夕方になると黒い生き物が、ものすごいはやさでひらひらと
上下左右に飛び回っているのをみかけます。よくみるとなんとコウモリ!
昼間ねぐらでさかさまになっているのかなと思って、
コウモリがすんでいそうな場所から、さかさまの目線で写真をとりました。
電車もさかさまです」


お題②「動物の目線」鳥居 (300x225).jpg
題《都会の中の小さな森》
「ある夏の日、犬の目線になって、のんびり街を歩いていると、
都会の一角に小さな森が広がっていました。
その森には7人の小人が住んでいました。
みなさんは何をしているところだと思いますか?」


お題②「動物の目線」吉崎 (300x225).jpg
題《ハチ先輩》
「人間にとって身近な動物の犬はどのように世界を見ているんだろう。
犬の視力は0.3未満で、青色と黄色と、その中間色しか識別できない
そうです。今日は大先輩である渋谷のハチさんに会いにいきました。
よーく見ると、ハチさんのおなかの下で猫が寝ています。
そんな夢をみているのかな。」

こどもたちは、学芸員の撮影した写真を見ながら、
「コウモリだから逆さまなのか!やっぱり発想がいいね」
「7人の小人はここを守っているんじゃない?」
「どうして周りがぼんやりしているんだろう・・・」
など、感じたことを語り合ってくれたようです。

さて、
3回目のお題は「見立ての風景」です。
なにげない日常も、よく見ると電源コンセントが人の顔に見えたり、
木の形が動物に見えたり、見えている形からいろいろなものが想像できます。

今回もこどもたちが撮影した「見立ての風景」の写真をこどもたちのコメントと一緒に
いくつかご紹介します。(原文ママ)

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題《静かに見守る木の主》
「ぼくは、この木のも様が顔に見えたのでとりました。
この木の主みたいなやつは、どんな風景を見ているのか気になります。
こういう物は他にもあるかも気になります。」


10あまみ (300x225).jpg
題《自然のグリコ》
「大阪の道とんぼりにいるグリコのポーズをしている「葉から芽」の
葉っぱがなんまいかあったのでとりました。
まるで人間みたいに見えませんか??」


12れい (300x225).jpg
題《いかつい顔》
「新しくはえてきたところを目にして、
上の葉をかみの毛にしました。
うまくかみを見えるようにしてオレンジのぶぶんが
はなに見えるようにしました。」


15わかな (300x225).jpg
題《おつかれさま》
「これは学校の帰りの横だん歩道の東の止まれのマークです。
いつも安全に帰れるようにみまもってくれているように思いました。」


17すずのすけ (300x225).jpg
題《たらこ口びる》
「これは、コンセントです。たらこ口びるの顔に見えます。
さつえいした時に思ったことはおどろいているようにも思ったことです。」

こどもたちにとって見立ての風景は、少々難しかったようですが、
それでも、外や学校、自宅でいろいろなものを想像し見立ててくれました。
タイトルもイメージをよく表していて面白いです。

図工担当の教員からのコメントによると、
こどもたち同士の発表会でも、他の子の自分とは違った気づきや発見に、
盛り上がったそうです。

文通はまだまだ続きます!(G)

2017年12月 6日

アートでおしゃべり!

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学芸員による出張授業の一環で、
11月13日と14日に江東区立南砂小学校を訪問しました。
対象学年は5年生と6年生。
この学校は毎年、当館に団体鑑賞に来てくれますが、
現在美術館が休館中のため、学校で各学年に分かれて
鑑賞の授業を行いました。

授業では、12月に実施される校内展覧会用に制作した
「自転車の旅」(5年生)と「エッシャー的世界」(6年生)
という絵画作品を使用しました。
5年生の作品は、自分で描いた自転車と学校がある団地の絵、
カレンダーの写真などをコラージュしたもの。
6年生はエッシャーの作品の一部を切り抜きコラージュし、
そこから派生したイメージを水彩絵の具で描いた作品でした。

まず、美術館で働く学芸員の仕事について説明した後、
作品を鑑賞するときのコツやルールについて説明し
学芸員が進行しギャラリートークの要領で作品鑑賞を行いました。
他クラスの代表者1名の作品を使い、
感じたこと、考えたことや発見したことを発表。
作品から多くのことを感じ取ったようで、
「楽しそう」「雪の世界」「静かな感じがする」など
たくさんの発言がありました。

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その後、班ごとで活動。班の中で「会話によるキャッチボール」の
楽しさを味わうことを意識しながら、1名の作品を鑑賞し、
ワークシートにまとめながら感じたことや気づいたなどを発表しました。

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この授業のまとめとして、個人での鑑賞活動として各自に割り振った
友達の作品の鑑賞と表現活動を行いました。
5年生は「旅日記」、6年生は「物語つくり」をテーマに、
作品から想像したストーリーを書きました。

各自が友達の作品をじっくり見て、「作品をよく見る目」「感じる心」を養うこと、
書き言葉で感じたことや考えたことを表現することを目指しました。

「旅日記」では、描かれている内容から想像し、
近所の団地から海外へ旅をする物語や猫と一緒に旅をする物語などがありました。

「物語つくり」では、作品に描かれてあるモチーフをオリジナルの
ゲームキャラクターに見立てたもの、天国と地獄のストーリーなど
友達の作品に触発され、独創性豊かな物語になっていました。

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これらの旅日記や物語は、みんなの前で数名に発表してもらいましたが、
思わず笑ってしまう面白いお話が誕生していました。

授業を受けたこどもたちの感想を紹介します。

(5年生)
・今まであまり気にしていなかったことが少し見るだけで、
いろいろなことが思い浮かんだので面白かった。
・絵を見るときはよく見る、よく考える、楽しく会話するということが
大事だと分かったから、それを今度、そういう作品があったら今のようなことをやりたいと思った。
・同じ絵でも一人ひとり見方も違って捉え方も違うことがよく分かりました。

(6年生)
・一人で考えるよりみんなで考えることによりいろいろな考えを知ることができ、
また新たな考えを広げることができると思った。また、このような機会を得たいと思った。
・他の人が描いた絵からその人の考えを想像することで言葉じゃなくても気持ちが伝わる気がした。
・よく見て考える絵でこんな想像ができるとは鑑賞は楽しいと思いました。
・作った人と自分の意見が違ってびっくりしました。だけど色々な意見を知ることができてよかったです。

今回の授業での鑑賞経験を活かし、12月に実施される校内展覧会では
こどもたち自身によるギャラリートークが行われるそうです。
ぜひ、伺ってみたいと思います。(N、G)

2017年12月 5日

自分達の作品をじっくりと見る

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11月9日、台東区立黒門小学校にて学芸員の出張授業を行いました。
対象学年は6年生。
図工担当の先生からのご希望で、
ギャラリートークの体験とその方法を伝授しました。

まずは、美術館で働く学芸員の仕事、美術館の概要や
作品を鑑賞するときのコツやルールについてレクチャー。
次いで、ギャラリートークの体験。体験は三段階に分けて行いました。

<第一段階>
校内展覧会で展示する絵画作品「校内のお気に入りの場所」の鑑賞。
代表者1名の作品(校内にある冷水機を描いたもの)を黒板に掲示し、
全員でよく観察し、発見したことやなぜその場所を選んだのかを想像してもらい
発表してもらいました。

こどもたちからは、
「冷水機が実際より高い位置にある」
「細かいところまで描いている」
「壁が実際より白い」
などいろいろ気がついたことを発言してくれました。

そして、作者がなぜこの場所を描いたのか、
こどもたちが考えた理由は、
「おいしい水を飲めるから」
「たくさん水を飲むから」
「立体的なものをかきたかったから」
などでした。

その後、クラスにいる作者に理由を聞いたところ、
自分は背が低くてなかなか冷水機にとどかなかったのだけれど、
背が伸びて初めて冷水機で水を飲むことができるようになってとても嬉しかったから、
ということでした。
自分の身体的な成長への喜びを実感できたのがこの冷水機だったのです!

<第二段階>
班ごとに「校内のお気に入りの場所」作品1点を配り
鑑賞し、話した内容をワークシートに記述。
ここでは観察、想像するだけでなく、楽しく会話することも重視したので、
教室内がとても賑やかでした。
色彩やサイズ感の違いだけでなく、描いた道具の違いを発見したり
他のものに見立てたり、楽しそうに会話していました。
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<第三段階>
みんなの前で発表してもらい、ワークシートに書いた内容を共有しました。
こどもたちは少し恥ずかしながらも考えたことや発見したことをきちんと話し、
聞いているこどもたちは共感したときはうなずき、友達の発表を聞くことが楽しそうでした。
また、作品を制作した作者にもインタビューをして、
自分達が想像してみた場合と、実際の作者の制作意図とを比べて、
様々な考え方があることを知ったようです。
描きやすそうと思って描いたという理由から6年間の思い出を振り返って
制作している作品もあり、1つの作品には様々な思いが込められていることが分かりました

また、担当の図工教員からは、授業終了後以下のようなコメントをいただきました。

「難しいと言っていた児童もいたが、
よく見る・感じるがしっかりできたように思います。
作品を見られるということにとまどいを感じていた児童もいました。
もう少し学年が低い方がはずかしさといったものはないのかもしれません。
(でも本人はしっかり自分の作品について話してくれました。)
こどもたちの中に何か残るものがあったようです。」

今回の授業を元に12月の校内展覧会でギャラリートークを行うそうです。
こどもたちにとって自分達の作品をじっくりと見て、
観察力と想像力をフル活用した1日でした。(G、N)

2017年11月30日

こどもたちが作った展覧会

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学校行事のひとつに図工の成果を発表する「展覧会」があります。
通常、教員主導で組み立てられるこの学校内展覧会において、
こどもたちがより主体的に展覧会作りに関わることができないか
と江戸川区立下小岩第二小学校の図工教員から相談を受け、
学芸員による出張授業の一環で、通常の展覧会とは違った
こどもたちによる特別展覧会作りの授業を実施しました。

対象は6年生。授業回数全3回(1回90分、9月21日、22日、10月11日に実施)。

はじめに、学芸員から美術館の展覧会がどのように作られるか、
テーマ設定や、格好よく見える展示方法などをレクチャーしました。

次いで全校児童が制作した作品をくじびきで8グループに配分し、
偶然割り当てられた作品をもとに「物語」というテーマを設定し、
作品を見て感じたことから物語を創作し、並べる順番や展示方法なども工夫し、
実際に自分たちで展示を組み立ててもらいました。

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展示場所は多目的室や児童会議室、ランチルームなど学校内の様々な
スペースをフルに活用しました。

はじめはなかなか物語が思いつかないグループもありましたが、
一人ひとりの感想やアイデアをつないでいくうちに物語がふくらみはじめ、
全員なんとか物語つくりは完成。

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同時にどのように作品を配置し、展示するか
割り当てられた部屋にある机や壁、備品などを工夫しながら使用して、
丁寧に作品を扱い展示することも心がけてもらいました。

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作品の展示ばかりでなく、他学年や保護者にも見てもらうことを考え、
どのような導線が見やすいのか、どんな案内看板があればよいのかも考えてもらい、
そうしたツールも作成してもらいました。

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展覧会当日(10月13日、14日)は、こどもたちがそれぞれに物語を
説明しながら作品をみてまわる解説ツアーを部屋ごとに実施し、
保護者からは時折お話の内容に笑いもおきていました。

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また自分達の展示部屋にきてもらおうと、
呼び込みを始めるこどもたちも現れ、
この展覧会が自分たちのものであるという意識が
芽生えたようです。

通常の校内展では、学年ごとに一つのテーマ(課題)の作品を
まとめて展示してあるので、全体にうもれてしまってどれも
同じような作品に見えがちですが、今回こどもたちが作った展覧会で
展示されていた作品は一点、一点が物語の中に組み込まれて、
主役になっているので、一つひとつの作品が生き生きと動いて見えました。

授業後のこどもたちの感想には、
「保護者の方や他学年の人たちがたくさん来て楽しんでくれて
やりがいを感じ、苦労したかいがあり、展覧会は成功しました」
「一から展示をしてみることで学芸員さんたちの大変さを実感しました」
「お母さんから『この物語よく作ったね』とほめられたのでうれしかったです」
「学校でやる展覧会は、先生たちがいろいろ考えてつくるので、
その気持ちがわかりました」
「1年生から5年生までがみにきてみんながよろこんでいるのを
みてとてもうれしかったです」
「お客さんの反応がドキドキわくわくでした」
「説明をしている時にお客さんが楽しそうに聞いているのを見て
やりがいがあるなと感じました」
「とても長い間作品をあつかってきて、展覧会をつくる大変さが
とてもよくわかりました」
「一人でやるよりみんなでやったら一人の時より達成感も倍の
達成感になってうれしかった」

今回の授業を通じて、こどもたちは一つひとつの作品に意味があり、
それらを大切に扱うこと、展覧会を自分たちで作ったという達成感や
見る人の反応をダイレクトに味わうことができ充実感がもてたようです。
また学芸員の仕事の苦労なども実感してもらえたようです。

図工担当の教員からは次のような感想をいただきました。
「自分一人だけではなかなか実行に踏み切れないところを
学芸員のプロの知識とアイデア、そして情熱をいただきながら活動できた。
こどもというかたまりではなく一人の作者として向き合うことの大切さを改めて感じた」

こどもたち一人ひとりの学びもさることながら、
通常の授業ではできないこと、または難しいことが、
美術館と連携することで、学芸員のもつスキルを活用し
達成できるということ、そしてこどもたちの作品=一人の作者としての
存在を実感してもらうことができ、今回の授業は
教員にとっても大きな学びとなったようです。(G)

2017年11月27日

アートでめぐる清澄白河!

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「MOTサテライト 2017秋 むすぶ風景」関連プログラムとして、
トーク&まち歩きクルーズ「ガイドとめぐるMOTサテライト」を実施しました。
このプログラムは、ガイドスタッフが少人数の参加者と一緒に
清澄白河エリアをめぐりながら、作品の見どころや街の魅力を紹介するツアーです。

ガイドスタッフは、事前に決められたルートを回るわけではありません。
「すでにこの作品は見たので、行ってない方面を重点的に見たい!」
「アートと街と両方じっくり堪能したい!」
「テレビで見たあのショップはどこにあるの?」
など、参加された方の声に耳を傾けながらツアーを組み立てていきます。

MOTサテライトの作品解説を中心に、
カフェやケーキ屋さんを紹介したり、お酒好きという参加者には
ワインショップやおすすめの飲み屋情報を交えたりと、
ガイドスタッフ一人ひとりの個性が光るツアーが繰り広げられました。
また、少人数制のツアーだからこそ、作品から感じたことを皆で気軽に
語り合う場面も多々見られ、鑑賞を深めてもらう機会にもなったようです。

参加された方からは、
「日頃は自転車で通過してしまう街を改めてじっくり散歩できて楽しかった」
「現代美術館の展覧会は良く見に行っていたが、決まった道しか通ったことがなかった。
MOTサテライトの会場をめぐることで、清澄白河の街を知るきっかけとなった」
などといった感想が寄せられました。
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10月14日以降の土日祝、全11回に渡って開催した本プログラムには計193人が参加。
MOTサテライトの作品だけでなく、清澄白河の街全体を楽しんでもらうひと時と
なりました。
(A.T)

2017年10月31日

くらしに美術館を!

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10月21日(土)、有楽町にある無印良品にて、
MOT美術館講座(出張版)を行いました。
無印良品では、毎月くらしにまつわるイベントを
店内のOpen MUJIというスペースで開催しており、
その一環で開催させていただきました。

タイトルは「くらしに美術館を-MOTサテライトに行こう-」。
現代美術館から学芸員の3名がトーカーとして登壇し、
クイズを交えながら現代美術館や現代美術についてのレクチャーを行ったあと、
現在開催中のMOTサテライト「むすぶ風景」について紹介しました。

みなさん熱心に我々の話に耳を傾けてくれました。
終了後のアンケートには、
「現代美術に対する見方がかわった」
「MOTサテライトに行きたい」
「ふだん聞くことができないお話がたくさんあり楽しい時間だった」
など、好意的なご意見をたくさん頂戴することができました。

MOTサテライト期間中(会期11月12日まで)のイベントとして、
土・日・祝の14時30分と15時30分の2回、
当館ガイドスタッフによる「トーク&まち歩きクルーズ」を実施しております。
集合場所は、MOTサテライトの「案内所」です。
ぜひご活用ください。(G)

2017年10月 6日

ようこそ、先輩!

学芸員の出張授業として、9月8日(金)に港区立笄小学校を訪問しました。
実はこちらの学校は、当館M学芸員の母校。創立110周年を迎える今年、
卒業生を迎えた授業を行いたい、とのご依頼を受け
訪問することになりました。

6年生が対象となった授業の前半は、M学芸員によるトーク、
後半は『すてき発見、笄小』と題したワークが行われました。
現在の笄小学校校舎は、M学芸員が在校していた約40年前に竣工されたものです。
まだ真新しい当時の校舎の写真を見せながら、小学校時代について
語るところから話がスタート。
「あの公園でザリガニ釣りをした」、「給食は揚げパンが好きだった」、
「昔の笄小には天文気象クラブがあってね」など自分達に
身近なエピソードにこどもたちは興味津々。
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さらに、中学生の頃に、公園や青山霊園の中に落ちていた
5、6千年前の縄文土器の破片を拾ったことや、大名家墓所の
発掘調査を見学したことから、学芸員という仕事に興味を
持ったとの話がありました。
後日聞いた話によると、実際に話に出てきた公園に行ってみた
という子もいたそうです。

学芸員としての仕事紹介などを経て、最後にM学芸員が
6年生のときに卒業アルバムに書いた将来の夢を紹介。
「小学6年生のときは模型店の店主になりたかった。
でも、それから様々なきっかけと出会ったことによって、
現在は学芸員として仕事をしています。みなさんもたくさんの
人や出来事との出会いを楽しんでください」
とのメッセージが送られ、約1時間にわたるトークが終了しました。

続いて授業の後半では、図工担当の先生の指導のもと、
『すてき発見、笄小』と題し、笄小の特徴や良いところを探して
撮影するワークが行われました。
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子どもたちは、3~4人で1グループになり、グループごとに
デジタルカメラを持って校舎内を散策します。
撮る写真は1つの場所につき、2カット。
1枚は伝えたいと思った場所の「部分」を、
そしてもう1枚は「どこにある何か」がはっきりと分かる写真です。

子どもたちが撮影した内容を紹介すると、
図工室に昔からかけられている絵画作品や歴代の卒業生たちが
手がけた卒業制作作品、屋上の床に引かれたテープ、
二宮金次郎の像などがありました。
後日、この写真を元にして4年生に笄小の素敵な場所を伝える
クイズ作りが行われます。
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今回の出張授業では、前半に大先輩であるM学芸員が
笄小にまつわる当時のエピソードや学芸員の仕事について語り、
後半には、6年生が主体となり、笄小の魅力を後輩に伝えるという
視点で学校を散策しました。
時を越えて学校の魅力と向き合う一日となったのではないでしょうか。
(A.T)