東京都現代美術館の木場公園側工事フェンスに
作品展示中!
池田光宏 ワークショップ・プロジェクト

大規模改修工事のため休館中の東京都現代美術館の工事フェンスに、アーティストの池田光宏が江東区立元加賀小学校の児童のみなさんと一緒に作品を制作しました。

池田光宏(1969年横浜市生まれ)は、「見ること」「見られること」「想像すること」の関係性をテーマに、想像力と創造力から新たなコミュニケーションのきっかけを生み出すような作品をパブリックな空間のプロジェクトとして発表してきました。
木場公園の園路に沿って建てられた工事フェンスの上に、全長約150mに渡り建ち並んだにぎやかな街並み。ユニークな屋根の家々には、色とりどりの花が咲く庭や、風にたなびく洗濯物、不思議な形の照明や看板などが描かれています。これらの家々は、アーティストがみつけた清澄白河界隈の実際の風景や地域の人々の暮らしを表すキーワードを基に、こどもたちがそれぞれに想像して描きました。
この看板はあの通りのお店でしょうか?あの家の庭に座る猫はあちらの小道を散歩している猫でしょうか?実際の景色とこどもたちが「創造」した風景とが交錯する「こどもハウス劇場」。この街並みで営まれている暮らしや出来事、そして、家の窓からこちらを覗くこどもたちのまなざしの先にある景色に思いをめぐらせながらご覧ください。


江東区立元加賀小学校での作品制作ワークショップの様子


1) アーティストの池田光宏さん1)池田さんs.jpg

2) 池田さんが制作した、ひとつひとつ違うユニークなかたちの屋根のついた大きな家の画用紙に、清澄白河界隈の風景をとらえた様々な「お題」から、想像した家の様子を描きました。

2)お題s.jpg

あなたへのお題 (例)
・その家の前には青と赤のストライプの円柱形の看板が回転していて、はさみのマークが描いてある。
・その家の前には赤いメガネのような形の看板があり、隣にはパイナップルみたいな木が植えてある。
・その家の前にはとても大きな石が置いてあり、それはまるで雪山のようで、とても涼しげだ。

3) 制作の様子

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4) 完成作品を手にポーズ! 写真撮影

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5) 完成作品はフェンスに展示しました

10)完成作品s.jpg 9)完成作品s.jpg 11)完成作品s.jpg

 フェンス風景3.jpg フェンス風景2.jpg
 上記2点 展示風景  撮影:川瀬一絵(ゆかい)


主催

公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館

協力

江東区立元加賀小学校、株式会社中川ケミカル

池田光宏(いけだみつひろ)

1969 横浜市生まれ
1994 日本大学芸術学部美術学科卒業
1997 東京芸術大学大学院修士課程美術研究科修了
2008 平成20年度文化庁・新進芸術家海外派遣研修員としてスウェーデンに滞在

主な個展
2007 
「by the Window G54.v」ギャラリー54(ヨーテボリ、スウェーデン)
2008 
「by the Window "A Chair" Two Change .v 」 Two Change (ストックホルム、スウェーデン)
2009 
「Blooming Flower at Night」Kulturhuset Vita Skolan (ブロビー、スウェーデン)
2010 
「by the Window 墨東バージョン (墨東まち見世/100日プロジェクト)」墨田区住宅街(東京)
2012 
「Home Made Home」(あざみ野ナイト2012) アートフォーラムあざみ野(横浜)
2013 
「Hide and Seek」第5回恵比寿映像祭/地域連携プログラム)トラウマリス(東京)
2014 
「公開制作」府中市美術館・公開制作室(東京)「Blue Moment」トラウマリス(東京)
2016 
「Homemede Landscape」(大地の芸術祭冬2016)まつだい農舞台ギャラリー(新潟)

主なグル−プ展
2003
「越後妻有アートトリエンナーレ2003」JR十日町駅(新潟)
「こもれび展」水戸芸術館現代美術センター(茨城)
「Moving Japanese」Kulturhuset Stockholm(ストックホルム,スウェーデン)
2004
「カフェ・イン・水戸 2004」水戸芸術館現代美術センター(茨城)
「セントラルイースト東京2004」浅草橋市街(東京)
「府中ビエンナーレ2004」府中市美術館(東京)
2006
「KANDADAプロジェクト・コレクティブ・コマンドN」KANDADA(東京)
「越後妻有アートトリエンナーレ2006」 上足滝公民館(新潟)
「ときめきエンカウンター」秋葉原UDX・AKIBAスクエアー(東京)
2008
「After Hours」Askim Kulturhus(アッシム、ノルウェー)
「AKASAKA ART FLOWER 08」旧赤坂小学校(東京)
「AOBA+ART 2008」青葉区美しが丘・住宅街(横浜)
「Anonymous」Gallery Konstepidemin(ヨーテボリ、スウェーデン)
2009
「光と光とが出会うところ(収蔵作品展)」府中市美術館(東京)
「ヨーテボリ・ビエンナーレ・サテライト」Gallery Konstepidemin(ヨーテボリ、スウェーデン)
「水都大阪2009」中之島公園 (大阪)
「AOBA+ART 2009」青葉区美しが丘・住宅街(横浜)
2010
「Full Cause ・食と現代美術vol.6」BankART(横浜)
「ミマクル・ミラクル」府中市美術館(東京)
「AOBA+ART 2010」青葉区美しが丘・住宅街(横浜)
2011
「黄金町バザール」横浜市黄金町市街(横浜)
「AOBA+ART 2011」青葉区美しが丘・住宅街(横浜)
2012
「六本木アートナイト2012」六本木ヒルズ(東京)
2015
「PARK4」パブリックアート リサーチセンター(札幌)
2016
「日ノ出町芸術小路」(横浜)
「KonstZOOn」Konstepidemin (ヨーテボリ、スウェーデン)

インタビュー

「こどもハウス劇場」の作者であるアーティストの池田光宏さんに、今回の作品制作を通してみつけた、清澄白河界隈の魅力、そして、「こどもハウス劇場」のみどころについてお聞きしました。

01)池田さん小.jpg

Q1)池田さんのこれまでの作品には、パブリックな空間のプロジェクトとして制作されたものが多くありますが、そのような作品を制作する際に特に重視していることはありますか?

例えば住宅街で設置された作品があるとして、その作品の見え方は、もともとまちにある表札、窓のカーテンの柄、しまい忘れられた洗濯物、その辺の道端の石ころなどと、同じレベルとなるわけです。それがアートなのかどうか、誰が作ったのかを誰もがわかってるわけじゃない。
そういう状況でどんなことができるか?ということはすごく考えるし、掘り下げるポイントです。すでにある環境の中で紛れこむ部分と、表出させる部分との駆け引きは常に意識的ではありますし、展示する場の特徴や関係性をいかに生かすか、ということは重要視しています。
作品がうまくいくと、その前を通りすぎる人が「んっ!?」という反応を示してくれる瞬間に出くわします。ささやかな仕掛けが何らかのリアクションを誘発させる時、作品を企んだ側としては腹の内側がぐっとあったか~くなります。

Q2)東京都現代美術館の周囲に建てられた工事フェンスに、全長150mに渡り展開する今回の作品「こどもハウス劇場」の案はどのように生まれたのですか?

僕のプロジェクトに、「by the Window」と題した窓に人影の映像を映し出す作品や、個人住宅の門扉に黒板をぶら下げてもらい、その住人が食べる夕飯のメニューを公開する「青葉食堂」という作品があります。このふたつの作品では、匿名的な誰かのプライベートとパブリックとの関係を浮かび上がらせることに焦点を当てています。これをワークショップの形式で実現しようとしたのが今回の作品のアイディアのベースになっています。
現場のある仮囲いのある公園を歩いて気付いたのは、たくさんのこどもたちと出くわすことでした。
そこでこどもたちとのワークショップのプロジェクトに仕立てようと思いました。
こどもがいっぱい住んでいることはこの場所の大きな特徴に見えたからです。
絵を描いた人物は本人が描いた大きな画用紙で顔の中央部分と手足を除く体の半分以上は隠されています。描いた本人たちや仲のいい友達、家族以外は人物を判別しにくい状態です。しかし、その反面、作者の内面にある創造力のようなものが絵として表出し、人物像を想起させます。
こうやって創造が想像を誘発する作品に仕立てようと考えたのが「こどもハウス劇場」です。

02) 制作の様子 CIMG3558小.jpg

Q3)池田さんが見た清澄白河界隈はどのようなまちですか?
この界隈で発見した「もの」や「こと」があれば教えてください。

これ、という絞り込みは難しいんですが、ある建物の部分を取りあげて、彫刻って言ってみたいような形を見つけたり、日々の暮らしの中で住人の趣味や趣向が見え隠れするような装飾が伺えたり、放置なのか狙いなのかわからないお化けのように成長した植木鉢なんかも気になりました。
アートとは呼ばないにしろ、これらも「誰かの仕業」な訳ですよね。そういう見方で街を眺めると、匿名的なパブリックアートが集結した展覧会を見てるような楽しさが感じられ、リサーチの時間はすごく楽しかったです。
実はこうした発見は、今回の作品で家の屋根を模した造形の原型になっていたり、ワークショップでこどもたちに提示したお題の中に反映させたりしています。

Q4)「こどもハウス劇場」は、元加賀小学校のみなさんと一緒に制作しました。みなさんの「創造」した世界と池田さんの「想像」とが、重なったところ、意外だったところはどんなところですか?

な~んだ、みんな絵が好きなんじゃないか!というのが率直な感想です。
実はワークショップの後、余った時間で続編として描いてもらった絵がすごく良かった。
言葉からまず頭の中に描く。それを元に紙に描く。紙に描いたものが次の創造を引き出すという連鎖が生まれ、こどもたちは制作に没入していきました。
その姿がとても微笑ましく、なぜだかとても頼もしくも見えました。
ワークショップはいつもそうですが、常に僕の想像を超えるし、いい意味で裏切りがあります。
だから僕自身が不用意に完成図を描きすぎないようにしています。
そこでの人間関係の駆け引きは不要だと思うんです。僕の負けが目に見えているので。

特に印象に残ったのは、お題に「螺旋階段」と書かれていたものを描いたこどもです。実は自分でも事前に単純な図に置き換えて螺旋階段を描こうとしたのですが、すごく難しかった。でもその子はすんなりと独特な視点でいとも簡単にクリアしてしまった。完敗だと思いました。

03)制作小.jpg 04)制作小 右.jpg

Q5)今回の作品「こどもハウス劇場」について、どんな風に見て欲しいですか?池田さんからの鑑賞のおすすめポイントは?

まず、ぜひとも作品を見に来てください。何しろ150mもあります。わざわざ見に来ても展覧会に相当する見応えは確実にあります。そして作品だけでなく、作品を見ている人たちの様子を見てみてください。きっと美術館で作品鑑賞をする人たちとは違ったリアクションが見えてくるはずです。
これはパブリックな場所での展示の醍醐味の一つだと思います。
現場の設置作業の段階から、散歩に訪れた幼児たちが大きな歓声をあげていたり、ジョギングする人たちがつい足を止めたりという姿を見かけました。また、ワークショップに参加した近隣のこどもたちは様子を伺いに来て、自分の絵の出来栄えを確認したり、家族や友達を連れてきて案内していたりしていました。
作品があることで、日常にささやかなドラマを見るような、そんな出来事に出くわすこともあると思います。

(2017年10月)

05)撮影小.jpg

フェンス風景1.jpg
展示風景 撮影:川瀬一絵(ゆかい)


展示期間

2017年10月7日(土)-2018年3月末頃まで

会場

東京都現代美術館 工事フェンス
(木場公園内)

アクセス

東京メトロ半蔵門線 清澄白河駅B2出口より徒歩9分
都営地下鉄大江戸線 清澄白河駅A3出口より徒歩13分

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お問い合わせ

03-5777-8600(ハローダイヤル)
8:00-22:00 年中無休
または
03-5633-5860
(東京都現代美術館 リニューアル準備室 代表)
平日9:30-18:00

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