展覧会概要

日本の南に広がる東南アジア。そこは世界有数の経済成長エリア、一大観光エリアとして今日、多くの人々の熱い視線を集めています。しかし一方で、この地域は90年代において、都市問題の深刻化、自然破壊、農村の衰退、労働者の人権や女性をとりまく社会問題など、急激な近代化がもたらした数々の矛盾に直面しています。また東南アジアは、伝統文化、西洋的な植民地文化、あるいは移民がもたらした中国文化やインド文化が混在する地域ですが、現代ではさらにアメリカ型の消費文化が流入し、複数の文化が共存し、ぶつかりあう中から特有のエネルギーが生まれています。

この展覧会は、このような社会的/文化的現実と向き合い、自らの立脚点を踏まえながら、独自の表現を追及する東南アジアの注目すべき美術家たちの活動を、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイの5カ国、17作家/グループの作品、約80点により三部構成で紹介します。

出品作家のうち7作家1グループが来日し、絵画、インスタレーション、パフォーマンスを新たに制作・発表するのも本展の大きな特徴です。例えば、フィリピンの5人組「サンガワ」による巨大絵画の公開共同制作や、タイ農村部の伝統的な腰巻布「パーカウマー」を入場者のみなさんに無料配布し、実際に日常生活の中で使ってもらおうという「有限会社ナウィン・プロダクション」によるプロジェクト《パーカウマーの旅》など、単なる作品展示を超えたダイナミックな交流の場が現出します。出品作品のひとつひとつが、東南アジアの美術家たちから日本の観客に向けたメッセージであり、かけがえのない贈り物と言えるでしょう。
この春、美術館は「来るべき美術」の姿を探る実験場となります。


展覧会情報

展覧会名
東南アジア1997 来るべき美術のために
会期
1997年4月12日(土)~6月1日(日)
休館日
月曜日(ただし5月5日は開館、翌5月6日は休館)
開館時間
10:00~18:00(金曜日は21:00まで) 展示室入室は閉館30分前まで
観覧料
一般1,000円、児童・生徒500円
主催
東京都現代美術館/ 国際交流基金アジアセンター
協賛
株式会社資生堂/ アサヒビール株式会社


アーティスト

1. 文化の交差点から
From the Crossroads of Culture

ブレンダ・ファハルド(フィリピン) Brenda V. Fajarado (The Philippines)
チャンドラセカラン(シンガポール) Chandrasekaran (Singapore)
リュウ・クンユウ(マレーシア) Liew Kung Yu (Malaysia)
モンティエン・ブンマー(タイ) Montien Boonma (Thailand)
有限会社ナウィン・プロダクション(タイ) Navin Production Co., Ltd (Thailand)

2. ゆれうごく「私」の領域
The Shifting Region of the "I"

アグス・スワゲ(インドネシア) Agus Suwage (Indonesia)
チャーチャイ・プイピア(タイ) Chatchai Puipia (Thailand)
エン・フュウチュウ(マレーシア) Eng Hwee Chu (Malaysia)
イメルダ・カヒーペ=エンダーヤ(フィリピン) Imelda Cajipe-Endaya (The Philippines)
ピナリー・サンピタック(タイ) Pinaree Sanpitak (Thailand)
ウォン・ホイチョン(マレーシア) Wong Hoy Cheong (Malaysia)

3. 社会の中で―発言する美術家たち
Artists Making a Social Statement

アラフマヤーニ(インドネシア) Arahmaiani (Indonesia)
ダダン・クリスタント(インドネシア) Dadang Christanto (Indonesia)
ムルヨノ(インドネシア) Moelyono (Indonesia)
ヌネルシオ・アルバラード(フィリピン) Nunelucio Alvarado (The Philippines)
サンガワ(フィリピン) Sanggawa (The Philippines)
セムサール・シアハーン(インドネシア) Semsar Siahaan (Indonesia)


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