展覧会概要

「MOTアニュアル」は、当館が、日本/東京の新しい美術をグループ展形式で紹介するものとして、1999年より行っているシリーズ企画です。
11回目となる本年は、「Nearest Faraway 世界の深さのはかり方」を副題に、6人の作家により構成します。
いたるところでさまざまな価値観の転換期をむかえているような現代にあって、美術の世界も例外ではありません。
本展では、身近にある素材といわば端的に手仕事と呼べるような技法を用いて、自身の足元、そのよって立つところをあらためて問うような制作を続けている作家たちを紹介します。彼ら/彼女らの素材や技法の選択は意図的にシンプルでありながら、それによって生み出される作品の数々は、私たちを遠いところへはこんでいくような、広い射程をもっています。身の回りの物事をてがかりに、「見ること」や「聞くこと」あるいは「時間」や「空間」といった、ふだんは前提とされている事象の成り立ちが、作家それぞれの仕方で、あらためて問われ、見出されていくのです。

本来的に未知である世界の深さや豊かさに触れるような、彼ら/彼女らの独自の方法=術のしなやかな強靭さ。それはまた、近視眼的になり待つことができなくなったといわれる私たちの時代において、美術がもつ一つの可能性でもあるでしょう。6人の術によってひらかれる6つの場が、見慣れた世界の風景を変えるささやかな契機となれば幸いです。

出品作家: 池内晶子|椛田ちひろ|木藤純子|関根直子|冨井大裕|八木良太



冨井大裕 《ball sheet ball》 2006
アルミ板、スーパーボール 撮影:柳場大
八木良太 《Sound sphere》 2010 ミクストメディア
椛田ちひろ 《シュワルツシルトへの回答 24のメトリック》 2009
油性ボールペン / インクジェット紙 [参考図版]
木藤純子 《空見の間》 2010 カッティングシート、ガラス、水、紙、ほか
写真提供:富山県立近代美術館 [参考図版]
関根直子 《点の配置》 2007
鉛筆 / 水彩紙 (シリウス)
池内晶子 《Knotted Thread-Red》 2009 絹糸
撮影:橋本舞 [参考図版]

展覧会情報

展覧会名
MOTアニュアル2011 Nearest Faraway|世界の深さのはかり方
会 期
2011年2月26日(土)~5月8日(日)
休館日
月曜日 *ただし3月21日は開館, 翌22日は休館
開館時間
10:00〜18:00(入場は閉館の30分前まで) *電力需給状況によって開館時間等が変更となる可能性がございます。
会 場
東京都現代美術館
主 催
公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館
協 力
江口孔版株式会社、株式会社カシマ、コエドブルワリー、田中裕之建築設計事務所、日本特殊織物株式会社、株式会社益基樹脂、三菱鉛筆株式会社
観覧料
一般1,000円(800円)/ 大学生・65歳以上800円(640円)/ 中高生500円(400円)/ 小学生以下無料  
*( )内は20名様以上の団体料金  
*同時開催の「田窪恭治展」との共通券: 一般1,600円 大学生・65歳以上1,300円 中高生800円  
*本展チケットで「MOTコレクション」もご覧いただけます。  
*身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方及びその付添いの方2名まで無料です。(手帳の提示が必要です。手帳をご持参ください)  
*毎月第3水曜日(シルバーデー)は、65歳以上の方は無料です。(年齢を証明できるものの提示が必要です。)  
*毎月第3土曜日・日曜日(家族ふれあいの日)に観覧の18歳未満の子を同伴する保護者(都内在住)2名の料金が半額となります。

同時開催
「田窪恭治展」 「MOTコレクション」


関連イベント

●八木良太×蓮沼執太
サウンドパフォ-マンス
4月2日(土)15:00~
会場:東京都現代美術館 エントランスホール
定員100名(先着)参加無料

●椛田ちひろ×林道郎 対談
4月17日(日)15:00~
会場:東京都現代美術館講堂
参加無料

●池内晶子 アーティストトーク
4月24日(日)15:00~
会場:東京都現代美術館講堂
参加無料

●池内晶子 ギャラリーツアー
4月28日(木)15:00~
会場:東京都現代美術館 MOTアニュアル2011展示室
定員:当日先着15名 要本展チケット(当日分)
参加の詳細についてはこちら

●関根直子×黒澤雄太 対談
4月29日(金・祝)15:00~
会場:東京都現代美術館講堂
参加無料

●冨井大裕×近藤恵介
彫刻と絵画をめぐるワークショップ
5月1日(日)14:00~
会場:東京都現代美術館講堂
定員:30名(事前申込制) 参加無料
お申込み方法はこちら

●木藤純子 アーティストトーク
5月8日(日)15:00~
会場:東京都現代美術館講堂
参加無料


アーティスト

池内晶子|Akiko IKEUCHI (b.1967-)
6人のなかではもっとも長いキャリアを持つ池内晶子は、絹糸を結ぶというシンプルな手法を繰り返すことで、重力という見えない法則に従いながら一貫して「空間」の成り立ちを考究している作家です。絶妙な均衡で張られた糸の集合体は、人の気配や空気の振動により微かに動き続けます。人の在/不在に応じて姿を変える作品は、どのようにして「見る」ことができるのでしょうか?繊細さと強靱さをあわせもつ彼女の作品は私たちを包み込みながらも常に部分であり続け、人と空間の関わりを問いかけます。 作品の繊細な性質ゆえ美術館で長期にわたって展示するのはチャレンジであり、これまでも国内・海外ともに高い評価を受けながら、主にギャラリーを中心に作品を発表してきました。東京の美術館での展示は今回が初めてになります。充実したスペースで作品を実見していただける非常に貴重な機会です。

1991 東京芸術大学美術学部絵画科油画専攻卒業 0氏記念賞受賞(大橋賞)
1993 東京芸術大学大学院美術研究科壁画専攻修了
1998 -00
文化庁派遣芸術家在外研修員および日米芸術家交換計画日本側派遣芸術家として、ニューヨークに滞在

ニューヨーク市立大学シティカレッジ人文科学科美術大学院、客員研究員
2003 -04 東京芸術大学美術学部絵画科油画非常勤講師

主な個展/グループ展
1991 INAXギャラリーにて初個展、以降、ギャラリー21+葉などで個展
1994 グループ展 「人間潮流94、釜山一長野、韓日現代美術国際交流展」 (長野/釜山)
1996 グループ展 「第6回富山国際現代美術展(イギリス、日本)」 富山県立近代美術館
2007 グループ展 「現代美術こうふ展」 藤村記念館(甲府市) 

椛田ちひろ|Chihiro KABATA (b.1978-)
椛田ちひろは、絵画の可能性を追求する若手の中でも今もっとも注目されているひとりです。これまで、筆を用いず自身の指と手で描いていく油彩画と、画面に接近し絶え間ない運動の連続により線を重ねていくボールペン画の双方を手がけてきました。いずれも繊細さと野性味をかねそなえ、また同時に、作品を見る者やその場の空間を意識した硬質な構造をもっているのが特徴です。特に油性ボールペンの線を幾層にも重ねることで生み出される光沢のある画面は、見る者を反射する独特の質感と筆触による奥行き感をあわせもち、絵に対峙することのつきない魅力をあらためて伝えてくれるでしょう。 美術館での初めての展示となる今回は、油彩ボールペンによる新作群とともに、彼女の作品の構造を明らかにするような立体作品をあわせて紹介し、その作品世界を多角的にご覧いただけます。

2004 武蔵野美術大学大学院修了
2009 Beijing Studio Centerにてアーティスト・イン・レジデンス

主な個展/グループ展
2006 Art Trace Gallery(東京)で初個展、以降、遊工房アートスペース(東京)等にて個展
2009 グループ展 「アーティクルアワード2009」デザインフェスタギャラリー(東京)/クムサンギャラリー(ソウル)/東京画廊+BTAP(北京)
2009 グループ展 「断続的対話」 Art Trace Gallery(東京) グループ展 「international exhibition」 Zibo museum(中国)

木藤純子|Junko KIDO (b.1976-)
展示空間と何度も対話を繰り返して構想されるインスタレーションが近年高く評価され、2010年は各所での展示が相次いだ木藤純子。自然の現象に想を得て、光と闇をモチーフとした繊細なインスタレーションを通して、とりわけ「見える/見えない」ということをめぐる私たちの知覚にアプローチする作家です。見る者がどの時点で作品に接するかによってその現れも異なり、また、長い時間をかけてその場にいることでより濃密な体験ができるというような、非常に個性的な作品を手がけています。 京都をベースに活動をしているため、東京の美術館での本格的な紹介は初めてとなります。今回は、美術館の大きなスペースと、どのような対話を見せてくれるのでしょうか? どうぞ、時間をかけて、また、展示室を何度かまわって見てみてください。

1999 成安造形大学造形学部造形美術科洋画コース卒業
2000 成安造形大学造形学部造形美術科洋画コース研究生修了

主な個展/グループ展
2000 「keep off the grass」 ギャラリー射手座(京都)にて初個展、以降、ギャラリーキャプション(岐阜)等にて個展
2001 グループ展 「神戸アートアニュアル2001 ねむい、まぶた」 神戸アートビレッジセンター
2002 グループ展 「変身願望。-いま、表現とは?」 福井市美術館
2009 個展 「Calling 木藤純子」 みのかも文化の森 美濃加茂市民ミュージアム

関根直子|Naoko SEKINE (b.1977-)
国内、海外での発表を重ね、2008年VOCA賞を受賞、2010年夏のパリ日本文化会館での二人展においても精度の高い作品が好評を得た関根直子。鉛筆/シャープペンシルと練り消しゴム、という限られた素材を用いて、描き、消す、という行為の反復と差異により、ざわめくような独特の空気感とリズムをまとった画面を生み出します。「一本の線」や「描くという行為」などの要素を丁寧に確認しながら作品を描き続けることで、関根は、「書くこと/描くこと」をめぐって文字と絵が分離していなかった時代に思いをはせているようです。そのようにして立ち上がる空間は、私たちのあらゆる感覚を静かに波立たせていくでしょう。 今回は、空間の中をさまざまに巡りながら画面と接してみたいとの思いを反映して、部屋を構成します。作品と空間を通して、その静かで濃密な気配との距離感を楽しんでください。

1999 武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業
2001 武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻油絵コース修了

主な個展/グループ展
2002 フタバ画廊 (東京)で初個展、以降、art space kimura ASK? (東京)、ギャラリエアンドウ (東京)等にて個展
2006 グループ展 「Chaosmos'05-辿りつけない光景」 佐倉市立美術館
2007 グループ展 「線の迷宮<ラビリンス>II-鉛筆と黒鉛の旋律」 目黒区美術館
2008 グループ展 「VOCA展2008-現代美術の展望-新しい平面の作家たち」 上野の森美術館 (VOCA賞受賞)

冨井大裕|Motohiro TOMII (b.1973-)
1990年代末より継続的に発表を行い、「作ること」をめぐる探求が近年注目を集めている冨井大裕。身の回りにあるものを素材としながら、それらが「作品」として成り立つ所以をさぐり、確認と反問を重ねている作家です。彼の端的な「手仕事」は、素材のもつ機能や物理を導き手として、「作る」行為の成り立ちを問いかけます。それはまるで、よく見知った物が全く別の使用法を手に入れているかのよう。私たちは、「見ること」と「作ること」をさまざまに問いかけるしなやかな強さを持った作品に、虚を突かれるかもしれません?! 2007年以来の美術館での展示として、いわゆる代表的な作品から新作まで、冨井の制作のコアの部分と近年の広がりとをご紹介します。館内のどこかにも「作品」が在るかもしれません...。今回は、新作をふくめ、冨井大裕の作品をまとめてご覧頂ける機会となります。

1997 武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒業
1999 武蔵野美術大学大学院造形研究科彫刻コース修了(修了制作優秀賞受賞)

主な個展/グループ展
1998 「周辺のカタチ」 ギャラリー現(東京)にて初個展、以降、モリスギャラリー、switch point等にて個展
2000 個展 「つくるために必要なこと」 金沢美術工芸大学アートギャラリー(金沢)
2009 グループ展 「第1回所沢ビエンナーレ美術展 ー引込線ー」 西武鉄道旧所沢車両工場(埼玉) グループ展 「変成態-リアルな現代の物質性」 Vol.2 冨井大裕×中西信洋「揺れ動く物性」ギャラリーαM (東京)
2007 グループ展 「ニュー・ヴィジョン・サイタマ ・ 7つの眼×7つの作法」 埼玉県立近代美術館

八木良太|Lyota YAGI (b.1980-)
グループ展「ウィンター・ガーデン」への参加により(《VINYL》2005年)広く注目を集めた八木良太は、「聞く」という事態の成立する際をめぐって制作し、「時間」の不可思議を探っています。さりげない、身近にあるような装置が思いもかけず広大な地平を照らし出す彼の作品は、なぞなぞや禅の公案にも似て、普遍的な領域への志向とともに私たちの感覚や与件を軽々と反転させるような一種の爽やかさを持っています。「?」が「!」、そして「!!」へと変わる瞬間を味わって下さい。 本展では、2010年11月まで半年間にわたるNYでのレジデンス後初めてとなる、本格的なインスタレーションを発表します。音と時間、そして私たちの簡単な参加によって作品が成立します。また、会期中にサウンドパフォーマンスを開催する予定です。

2003 京都造形芸術大学 空間演出デザイン学科 卒業
2010 ACC(Asian Cultural Council)の助成によりニューヨークに滞在

主な個展/グループ展
2006 無人島プロダクションで初個展
2007 個展 「クリテリオム70 八木良太」 水戸芸術館現代美術ギャラリー
2008 個展 「エマージェンシーズ8 八木良太 "回転"」 NTTインターコミュニケーションセンター(東京)
2009 グループ展 「Re:Membering - Next of Japan」 DOOSAN GALLERY / GALLERY LOOP、韓国・ソウル グループ展 「ウィンター・ガーデン」 原美術館(東京) グループ展 「サイレント」 広島市現代美術館 2010 2人展 「音が描く風景/風景が描く音:鈴木昭男・八木良太展」 横浜市民ギャラリーあざみ野 グループ展 「THE RECORD」 Nasher Museum、ノースカロライナ・アメリカ

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