東京アートミーティング トランスフォーメーション アーティスト
AES+F
[1987年タチヤーナ・アルザマソヴァ(1955年–)、レフ・エヴゾーヴィチ(1958年–)、エヴゲーニイ・スヴャツキイ(1957年–)により、 AESを結成。 1996年より写真家ヴラジーミル・フリトゥケス(1956年–)とともに、AES+F名義で活動。ロシア在住。]
アーティスト・グループ「AES+F」は、映像や写真、彫刻を用いて、冷戦以降の現代社会における文化の融合や衝突、民族間の対立などをモチーフに制作している。近年の作品では、東西の文化や風景、ファンタジーと現実とが混在する世界で、子供達が無表情に殺し合う戦争を描いている。今回は代表作ともいえる映像作品《最後の暴動》(2007年)を出品する。
AES+F《最後の暴動2 トラック》2006 ©AES+F Courtesy: Triumph Gallery, Moscow[参考図版]
マシュー・バーニー│Matthew Barney [1967年サンフランシスコ生まれ、ニューヨーク在住] イェール大学で医学を修めた後、美術と体育を学ぶ。フットボールの特待生やファッション・モデルなどを経て、現在は作家として映像や彫刻を中心に作品発表を行っている。人間の身体における内部と外部の関係性や変容をテーマにした、長編五部作の映像作品《クレマスター》シリーズは彼の代表作である。今回は《クレマスター3》(2002年)の映像や写真、彫刻作品などを出展予定。
マシュー・バーニー《クレマスター3:マハビン》2002 Collection of the Artist Courtesy: Gladstone Gallery, New York
サイモン・バーチ│Simon Birch
[1969年ブライトン(イギリス)生まれ、香港在住] バーチは、モデルのエネルギッシュな身体を抽象的なフォルムに解体して描いたペインティングを中心に様々な領域で活動している。近年ではその範囲を映像作品やインスタレーションにも拡張している。本展で紹介する映像インスタレーション《ソゴモン・テフリリアン》(2008年)は、鑑賞者を囲むように設置された四面のスクリーン上をベンガル虎が徘徊する作品であり、動物園で見せ物とされてきた虎とその鑑賞者との主客関係を逆転させる。
サイモン・バーチ《ソゴモン・テフリリアン》2008
マーカス・コーツ│Marcus Coates
[1968年ロンドン生まれ、同在住] マーカス・コーツは、鹿の毛皮をかぶりシャーマンとして人々の悩みを解決したり、人が鳥のさえずりを再現するなど、イギリス人独特のウィットとユーモアを織り交ぜた映像やパフォーマンスを発表している。そこでは、作家本人あるいは参加者が「動物になる」ことによって、動物と人間が共有するものを再発見するとともに、人間性を再定義する契機をもたらす。会期中には、パフォーマンスおよび中沢新一とのトークイベントを開催予定。
マーカス・コーツ《下界への旅(オオバン)》2004 Courtesy: Kate MacGarry, London and Workplace Gallery, UK Photo: Nick David [参考図版]
フランチェスコ・クレメンテ│Francesco Clemente
[1952年ナポリ生まれ、ニューヨーク在住] 1980年代に脚光を浴びた新表現主義作家の一人。油彩、水彩、パステル、フレスコ、版画などを用いて、独特の色彩感覚と歪みを持つ具象画を描く。宗教や神話の他、目を誇張して描かれた作家自身がモチーフとして頻繁に登場する。そこでしばしば彼は昆虫や動物に部分的変容を遂げ、自然との精神的同一化を果たすと同時に、確固たる自我を探求している。
フランチェスコ・クレメンテ《野うさぎとしての自画像》2005 Courtesy: Galleria Lorcan O'Neill Roma
ヤン・ファーブル│Jan Fabre
[1958年アントワープ生まれ、同在住]
『昆虫記』で有名なジャン=アンリ・ファーブルを曽祖父に持つ美術家、舞台演出家、劇作家、振付家。玉虫で表面を覆った彫刻やインスタレーションの他、BIC社製のボールペンを使用したドローイング、パフォーマンスなどで知られる。理想化されていない人間のむき出しの身体への興味が、その限界や変容を通して作品に反映されている。
ヤン・ファーブル《第10章(ブロンズ)》2010 © JAN FABRE-ANGELOS
ガブリエラ・フリドリクスドッティ│Gabríela Friðriksdóttir
[1974年レイキャヴィク(アイスランド)生まれ、同在住] ガブリエラの作品は、アメーバに似た生命体を描いたドローイング、目などが欠損したモンスターや性器が変形した不気味な彫刻を特徴としている。ビョークが出演する映像インスタレーション《バーセイションズ四部作》(2005年)は、タロットや錬金術といった西洋の伝統だけに留まらず、広範な原始的宗教から引用した要素によって非合理的で野性的な世界を構成している。
ガブリエラ・フリドリクスドッティ《バーセイションズ-四部作:北》2005 Courtesy: the Artist & Hamish Morrison gallery, Berlin
石川直樹│Naoki Ishikawa
[1977年東京生まれ、同在住] 高校時代より世界各地を旅して周り、2000年に北極から南極を人力で縦断。翌年には七大陸世界最高峰登頂を当時の世界最年少記録で達成。人類学や民俗学についての造詣も深く、それらは旅の記録を記した著作などにも強く表れている。本展覧会では苛酷な環境に自ら飛び込み、徐々に極限状態へと変化していく様を石川直樹本人のインタビュー映像を通して見せる。
石川直樹《Dog Sled/ Ilulissat#4》2006
バールティ・ケール│Bharti Kher
[1969年ロンドン生まれ、インド在住] 英国に移住してきたインド人の両親のもとに生まれ、ロンドンで教育を受け、現在はインドで活動するケールは、アイデンティティーや社会における女性の役割といった問題を浮き彫りにする。インドの女性が身につける「ビンディ」を使用した美しい抽象絵画を発表する一方、女性の身体の一部分が動物へと変化する写真作品《ハイブリッド・シリーズ》では、その獰猛性と欲望が強調され、身分証明書に固執する社会や弱体化する自我に対する警告を浴びせかける。本展では、四点の彫刻と絵画および写真作品を出品予定。
バールティ・ケール《狩人と預言者》2004 Courtesy: the Artist and Hauser & Wirth
イ・ブル│Lee Bul
[1964年ヨンウォル(韓国)生まれ、ソウル在住] イ・ブルの作品は、有機的な身体と機械との融合や、四肢などが異常に発達した動物的身体など、異形の彫刻を特徴としている。彼女はこれらの身体を純白に、時には彩りを加え、光沢のある滑らかな質感で美しく仕上げることで、生命が必然的にもつ腐敗し滅びゆく一過性を超克しようとする普遍的な願望を投影している。
イ・ブル《クラッシュ》2000 Collection: Amorepacific Museum of Art Courtesy: PKM Gallery | Bartleby Bickle & Meursault Photo: Rhee Jae-yong
小谷元彦│Motohiko Odani
[1972年京都生まれ、東京在住] 小谷の作品は、木や動物の剥製、毛皮、自らの血液、写真やインターネットなど多彩なメディアが用いられ展開している。本展出品予定の《僕がお医者さんに行くとき》(1994年)は、東京芸術大学在籍時代の作品で、自身の幼少期の記憶を発端として、イボやかさぶたといった身体の一部が際限なく増殖し、グロテスクで生物的なものへと変容していく。 2010年11月、森美術館にて個展を開催予定。
小谷元彦《僕がお医者さんに行くとき》1994 Courtesy: YAMAMOTO GENDAI
及川潤耶│Junya Oikawa
[1983年仙台生まれ、茨城在住] 自身のリップノイズやささやき声をもとに電子音楽の作曲を手掛ける。及川は、PCを介して対象音の構成要素を綿密に分析し、内部にある微細な音響を有機的に拡張、伸縮させることで異質な音へと変容させる手法をとる。本展にあわせ、作家自身の声を中心に、ジェンダーや動物/人間、生物/無生物の境界を飛び越えて、自己を変容させるサウンドインスタレーションを制作予定。
「SOUND CREATORS LAB 2007」展(ASK? art space kimura、2007)におけるライブ・パフォーマンス Photo: 宮木朝子 [参考図版]
ジャガンナート・パンダ│Jagannath Panda
[1970年オリッサ(インド)生まれ、インド在住] インドや日本、ロンドンで美術を学ぶ。作品に登場する神々や動物への独特の眼差し、伝統文化と現代性、都市と自然の衝突を扱いながらもそれらが調和し同居する作風が特徴。高層ビルを背景に古い布から切り取られたヒンドゥーの神が躍動する新作絵画《叙エピック事詩III》(2010年)や凹凸のある布が貼付けられた動物の彫刻作品などを出品予定。
ジャガンナート・パンダ 《叙事詩III》 2010 Courtesy: NATURE MORTE, New Delhi
パトリシア・ピッチニーニ│Patricia Piccinini
[1965年フリータウン(シエラレオネ共和国)生まれ、メルボルン在住]
遺伝子操作をはじめとするバイオテクノロジー、生命倫理、環境への関心を主題に、彫刻、映像、デジタルプリントなど多岐にわたるメディアで作品を制作。人間/動物、人工物/生物の境界をあいまいにする突然変異体が精巧なリアリティを持って登場し、現代科学の可能性とそれに向けた警鐘、変身と進化の神秘を追及する。 本展覧会では、水中におぼれた少女がエラをもつ生物へ変身をとげる映像作品《サンドマン》(2003年)を出品予定。
パトリシア・ピッチニーニ《サンドマン》2002 Courtesy: the Artist and Haunch of Venison, New York
シャジア・シカンダー│Shahzia Sikander
[1969年ラホール(パキスタン)生まれ、ニューヨークおよびベルリン在住] パキスタンで伝統的な細密画を学ぶ。彼女の作品は政治や権力、伝統やアイデンティティー等の変化の過程に主眼が置かれている。細密画の技法を用いながら、いくつものイメージが重ね合わされ、元の意味を離れて次々と変容させてゆく。本展ではドローイングの連作と新作の絵画、そしてトレーシングペーパーを用いた巨大な壁画作品を出品予定。
シャジア・シカンダー《ネメシス》2003 Courtesy: the Artist and Sikkema Jenkins & Co, New York
スプツニ子!│Sputniko !
[1985年東京生まれ、ロンドンおよび東京在住]
2009年にメディアアートの世界的祭典アルスエレクトロニカで[the next idea]を受賞。ローリー・アンダーソンの音楽やダナ・ハラウェイの理論に影響をうける。ジェンダーやテクノロジー・ポップカルチャーをテーマにした作品を中心に制作。楽曲の作詞・作曲や作品に登場する「生理マシーン」などのデバイスもプログラミングから制作まで全て自身が行っている。映像はWeb上で協力者を募集し、それらで集まった監督・スタッフとで制作。 日本での本格的な作品展示は本展覧会が初となる。
スプツニ子!《生理マシーン、タカシの場合。》2010 Photo: Rai Royal
ヤナ・スターバック│Jana Sterbak
[1955年プラハ生まれ、モントリオール在住] 電熱線や生肉を使ったドレス、ブロンズ製の性器や内臓をばらまくオブジェなどを制作している。スターバックの作品は、限られた選択肢しか存在しない環境下である状態を提示し、見る者に普段の自分とは異なるもう一つの姿を存在させる。本展では、犬の背中に三台の小型カメラを取り付け、犬の視線からヴェネツィアの街並みを撮影した映像作品《高潮を待ちながら》(2007年)を展示予定。
ヤナ・スターバック《高潮を待ちながら》2005
サラ・ジー│Sarah Sze
[1969年ボストン生まれ、ニューヨーク在住] 発泡スチロールやペットボトルなど身の回りにあふれる大量生産品を組み上げ、サイトスペシフィックなインスタレーションを展開する。一見カオス的な作品も、色彩や形状、光を基準に細部まで秩序を持って構成されており、軌道や回路、電球など動力の集合体からなる精密な作品は、しばしば都市空間や生物機能に例えられる。 本展覧会にあわせて新作を出品予定。
サラ・ジー《崩れゆくもの》2001 Collection of San Francisco Museum of Modern Art, San Francisco [参考図版]
高木正勝│Masakatsu Takagi
[1979年京都生まれ、同在住] 2006年に国際的な映像際「RESFest」で世界のクリエイター10人に選出される。作品は主に京都や海外などの旅先で作家本人が撮影した映像をベースに作り上げ楽曲も自らが制作している。近年は古来の文化や世界各地の神話などにも関心を広げ、芸術人類学研究所と共同で「人間と動物」の関係を表現した作品《Homiĉevalo》(2008 年)を制作。 本展覧会では鳥の目線を題材にした新作を出品予定。
高木正勝《Homicevalo》2008 [参考図版]
トゥンガ│Tunga
[1952年パルマレス(ブラジル)生まれ、リオデジャネイロ在住] エリオ・オイチシカ(1937–1980)やリジア・クラーク(1920–1988)といった60年代のブラジルを代表するアーティストたちの傾向を継ぎ、その作品には身体への関心が見られる。パフォーマンスや詩など多岐に渡る芸術実践はバロック的な繁茂と自由性に富んでおり、立体作品においては、特に物質性や重力が意識されている。 70年代中ごろから二つのものの関係に着目、絡みあった蛇や髪を共有する双子のモチーフがたびたび登場する。
トゥンガ《キメラ》2004
アピチャッポン・ウィーラセタクン│Apichatpong Weerasethakul
[1970年バンコク生まれ、チェンマイ在住] カンヌ国際映画祭パルムドール(最高賞)受賞の 「ブンミおじさんの森」(2010年)やアジア・アート・アワード受賞の《ナブアの亡霊》(2009 年)で注目を集める映像作家。災厄的なプロット、虚構と現実を織り交ぜた手法などで知られる。近年の作品ではタイの歴史や記憶、伝統もモチーフとされる。 写真やサウンド、映像を使ったインスタレーションの展示も多い。本展覧会にあわせ、映像インスタレーションを制作予定。 会期中、長編映画「トロピカル・マラディ」(2004年)の上映も予定。なお、 「ブンミおじさんの森」は2011年春にシネマライズほか全国順次公開を予定している(提供:シネマライズ/配給:ムヴィオラ)。
アピチャッポン・ウィーラセタクン 「ブンミおじさんの森」Courtesy: Kick the Machine Films Photo: Nontawat Numbenchapol[参考図版]
東京アートミーティング トランスフォーメーション展のプロモーション用動画です。