展覧会概要

フセイン・チャラヤンは、1994年のデビュー以来、ファッションとアートの二つの領域を横断的に活動するクリエイターの先駆者として、大きな影響を与えてきました。

一つ一つのコレクションに込められる、現代社会に対する文明史観的な批評性や魅力的な物語性、LEDやレーザー光線など最先端のテクノロジーを駆使した革新的なデザインは、英国ファッション・アワードの「デザイナー・オブ・ザ・イヤー」を2年連続で受賞するなど、国際的に高く評価されています。アートの分野におきましても、映像作品やインスタレーションを精力的に制作し、2001年イスタンブール・ビエンナーレや2005年ヴェネツィア・ビエンナーレ(トルコ館にて個展を開催)などの国際展に参加。国内では2007年に東京で「スキン+ボーンズ」(国立新美術館)、「SPACE FOR YOUR FUTURE」(東京都現代美術館)で一部の作品が紹介され話題を集めました。

チャラヤンの表現は、従来のファッションという枠にはとどまらず、アート、建築、デザイン、哲学、人類学、科学といった複数の領域を横断して展開します。その根底にはあるのは、私たちを取り巻く環境への批評的眼差しであり、とりわけ、テクノロジーや移動、文化的環境によって、身体およびアイデンティティがどのように変容するのかを服を通して探究してきました。こうしたテーマは、南北に分裂したキプロスの国境地帯で生まれ育った彼にとって、きわめて現実的な問題だったといえます。また、グローバル化時代に生きるわたしたちが共有する今日的な問題ともいえるでしょう。分断されてしまった土地に住む恋人に、自分が着た紙のドレスに手紙を書き、送れるようにしたエアメール・ドレス、バーチャルとリアルな肉体の狭間でゆれる私たちのリアリティを反映した映像が移ろうLEDドレスなど、それは今日的な問題を反映しながらロマンティックな想像力の輝きに満ちています。

本展は、1994年から2009年までに発表されたファッション・コレクションに加え、映像作品やインスタレーションをあわせた約24点により、ジャンルを超えて展開してきた多面的な活動を本格的に紹介するものです。なお、本展覧会は、ロンドンのデザイン・ミュージアムからの巡回展を当館の空間に応じて再構成した「東京バージョン」となります。

見どころ
15年間の足跡を概観
数ヶ月間土の中に埋めたシルクのドレスを掘り起こし、それを大学の卒業制作として発表し、一躍注目を浴びた初期の「埋められたドレス」。クリスタルと15,000個の明滅するLEDでできた純白のドレスや、200個以上の動くレーザー光線が組み込まれた服など最新のテクノロジーを駆使したもの、そして2009年の新作まで、この15年間の代表的なコレクションが一堂に介します。

動きのあるマネキンによるスペクタクルなインスタレーション
チャラヤンのコレクションは、そのひとつひとつに「遺伝子」「アイデンティティ」「移民」といったテーマが込められています。彼にとってファッション・ショーの場は、そうしたコンセプトを表現するパフォーマンスとして機能しています。そのため、本展覧会の展示は通常のファッションの展覧会とは異なり、すべてのマネキンに窓をふく、壁を塗るなどのジャスチャーが伴い、その結果、ひとつひとつのコレクションが物語性をはらみ、インスタレーションとして展開します。

映像作品を一挙大公開
『ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女』(2005年)や『フィクサー』(2007年)で有名な女優ティルダ・スウィントンが主人公を演じる《不在の存在》(2005年)や、未来のロンドンからイスタンブールへ旅をする《場から旅へ》(2003年)といった映像インスタレーションに加え、これまで発表してきた短編映像作品までもまとめて見ることのできる貴重な機会となります。

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左上から
《慣性》2009年春夏、photo: Chris Moore
《アフター・ワーズ》2000年秋冬、photo: Chris Moore
《場から旅路へ》2003年、映像作品 © hussein chalayan / neutral 2003
《リーディングス》2008年春夏、photo: Nick Knight
《111》2007年春夏、photo: Chris Moore
《エアボーン》2007年秋冬、インスタレーション風景(デザイン・ミュージアム、ロンドン)、photo: Luke Hayes
《明白なる運命》2003年春夏、インスタレーション風景(デザイン・ミュージアム、ロンドン)、photo: Luke Hayes



展覧会情報

展覧会名
フセイン・チャラヤン- ファッションにはじまり、そしてファッションへ戻る旅
会 期

2010年4月3日(土)〜6月20日(日)
休館日
月曜日(ただし5/3は開館、5/6は休館)
開館時間
10:00〜18:00(入場は閉館の30分前まで)
会場
東京都現代美術館 企画展示室 B2F
観覧料
一般1,200円(960円)/ 大学生・専門学校生900円(720円)/ 中高生600円(480円)/ 65歳以上800円(640円)/ 小学生以下は無料
*( )内は20名様以上の団体料金。
*本展チケットで同時開催の「MOTコレクション」もご覧になれます。

カタログ
「フセイン・チャラヤン」2100円(税込) 日英テキスト
*当館のミュージアムショップでは完売いたしました

主 催
公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館
助 成
ブリティッシュ・カウンシル
協 力
KLMオランダ航空
後 援
トルコ共和国大使館
企 画
デザイン・ミュージアム(イギリス)
A touring exhibition from the Design Museum, London.

関連イベント

本展キュレーター長谷川祐子によるギャラリーツアー
6月17日(木)17時から、本展キュレーターで、これまで数々の美術展覧会でフセイン・チャラヤンを紹介してきた長谷川祐子が、実際に作品を見ながら解説します。

日 時:2010年6月17日(木)17:00-
会 場:東京都現代美術館 企画展示室B2F「フセイン・チャラヤン」展会場内
参加方法:ご希望の方は、展覧会チケットをお求めの上、17:00までにB2F展示室入口までお集まりください。

*なお、本展覧会では9点の映像作品を上映しております(合計上映時間:約2時間半)。ツアー後ではすべてをご覧になることはできませんので、映像作品をご覧になる方はツアー前のご鑑賞をおすすめします。

「ドリフのファッション研究室」
vol.6「フセイン・チャラヤン展をきっかけに、ファッションとアートについてもっと考えてみよう」

日 時:2010年6月17日(木)18:30 Open / 19:00 Start(21:00頃までを予定)
会 場:SNAC
出 演:長谷川祐子(東京都現代美術館チーフキュレーター)、林央子(フリーエディター)、山懸良和(writtenafterwards デザイナー)
司 会:西谷真理子(文化出版局 High Fashion ONLINEチーフディレクター)
料 金:1300円+1ドリンク
予約方法:
題名を「ドリフのファッション研究室VOL.06予約」とし、本文に「お名前・枚数・ご連絡先」を記入の上、info@drifters-intl.orgまでメールをお送り下さい。こちらからの返信を持って、ご予約完了となります。
なお、定員になり次第、受付を締め切らせて頂きます。ご了承ください。

---以下告知文引用---
現在、東京都現代美術館(MOT)で開催中の『フセイン・チャラヤンーーファッションにはじまり、そしてファッションへ戻る旅』が6月20日で終了します。巡回展とはいえ、一人のデザイナーをこれだけフィーチャーした美術展を日本で見る機会はなかなかありません。それは、フセイン・チャラヤンが、知名度の高いデザイナーであると同時に、アーティストとしての活動も評価されている希有なケースだからでしょう。とはいえ、フセイン・チャラヤンにおいて、ファッションとアートはいったいどのように交差しているのか、さらに、彼がこれまで発表してきたコレクションやアート作品は、どのように読み解かれてきたのか、どこに今日的な意義やおもしろさがあるのか等々考えていくと、展覧会は観たものの、どこか未消化な気分が残った人もいるのではないでしょうか。
今回は、MOTのチーフキュレーターで、フセイン・チャラヤンとも親交が深く、今回の展覧会を企画した長谷川祐子さんと、パリコレクションの取材を通して、ファッションとアートについて独自の視点を構築し、今回もフセイン・チャラヤンにインタビューをしたジャーナリストの林央子さん、そしてロンドンのセントマーティンズ美術大学を卒業して、ブランド名をフセイン・チャラヤンの作品名にちなみ「Writtenafterwords」にしたというファッションデザイナーの山縣良和さんをゲストに迎え、再度チャラヤンを俎上に載せて自由に語りたいと思います。
当日17時から、MOTでは、長谷川さんが、特別にガイドツアーを組んでくださることになりました(※)。まだ観ていない人は、ぜひこれに参加してから、お越し下さい。トークがさらにおもしろくなるはずです。(西谷真理子)


「アーティスト・トーク」
フセイン・チャラヤンが自身のこれまでの活動を振り返ります。
日 時:  4月3日(土) 15時~(開場/14:30 予定) 
会 場:  地下2階講堂
定 員:  200名(先着順)
参加費: 無料(ただし要展覧会チケット)

*日英の逐次通訳有り
*その他の関連プログラムは決定し次第美術館ホームページでご案内します。

4月3日のアーティスト・トークの記録映像はミュージアム・ショップ横のホワイエでご覧になれます。
ご来館の際はぜひお立ち寄りください。


アーティスト

フセイン・チャラヤン Hussein CHALAYAN

1970年 ニコシア(キプロス島)生まれ、ロンドン在住
1993年 セントラル・セント・マーティンズ・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインロンドン)卒業

【主な個展】
1996年 ウィンドウ・ギャラリー/プラハ
1998年 コレット/パリ
2003年 「無定形体」(アントワープ・ファッション美術館) 「束の間の瞑想」(ペルゴラ劇場/フィレンツェ、パレ・ド・トーキョー/パリ)
2004年 「場から旅路へ」(現代美術センター/ジュネーヴ)
2005年 「フセイン・チャラヤン」(フローニンゲン美術館/オランダ)第51回ヴェネツィア・ビエンナーレ(トルコ館/ヴェネツィア)
2009年 「フセイン・チャラヤン-ファッションにはじまり、そしてファッションへ戻る旅」
(デザイン・ミュージアム/ロンドン)

主なグループ展

1996年 「ジャム:スタイル+音楽+メディア」(バービカン・アートギャラリー/ロンドン)
1997年 「カッティング・エッジ」(ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館/ロンドン)
1998年 「今世紀を語る:100年間の美術とファッション」(ヘイワードギャラリー/ロンドン)
1999年 「身体の夢―ファッションOR見えないコルセット」(京都国立近代美術館、東京都現代美術館)
2000年 「美」(アヴィニョン)
2001年 第7回イスタンブール・ビエンナーレ 「ジャム:東京-ロンドン」(バービカン・アートギャラリー/ロンドン)
「センチュリー・シティ」(テート・モダン/ロンドン) 「ラディカル・ファッション」(ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館/ロンドン)
2003年 「女神:ザ・クラシカル・モード」(ニューヨーク近代美術館)
2004年 「21世紀の出会い-共鳴、ここ・から」(金沢21世紀美術館)
2006年 「スキン+ボーンズ-1980年代以降の建築とファッション」(ロサンゼルス現代美術館、国立新美術館/東京、2007年)
2007年 「SPACE FOR YOUR FUTURE-アートとデザインの遺伝子を組み替える」(東京都現代美術館)


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