レベッカ・ホルン展-静かな叛乱 鴉と鯨の対話

展覧会概要

 この秋、ドイツの現代美術家レベッカ・ホルン(1944 - )の、日本で初めての個展を開催することになりました。
羽や角をまとうパフォーマンスで知られるレベッカは、二十歳代での「ドクメンタⅤ」展参加以来、次々と新たな領域に挑戦する精力的な活動を通して、美術のみならず、ダンスや映画の愛好者をはじめ、多くのひとびとを魅了してきました。
他者とのコミュニケーションの回復や、自然との交感を求める初期のパフォーマンスで着用した知覚の拡張装置はやがて、機械仕掛けで動く立体作品へと展開していきます。その後、滞米生活の中で着手した長編映画では、これら動く彫刻を取り込み、その意味の変容を軸とした映像世界を展開しています。また1980年代に活動の拠点を母国に移してからは、近現代史と直接向き合い、個人の体験を社会の記憶と結びつける作品は高い評価を得てきました。近年は、作曲家との協働によるインスタレーションや舞台美術、のびやかなドローイングを手がけるなど、その自由な創造をとおして、現代における芸術の可能性を問いかけているのです。
 本展は、パフォーマンスの記録から長編映画まで、映像の代表作全てと、絵画や彫刻の近作をあわせ、それぞれのメディアを関係づけながら展開してきた活動を本格的に紹介するものです。自然や人間の様々なエネルギーの流れを、目に見えるかたちに変換していく、独自の創造の軌跡を堪能するまたとない機会となるでしょう。

■映像作品一覧
「パフォーマンス1」1972年22min.
「パフォーマンス2」1973年38min.
「ベルリン-9つのエクササイズ」1974-75年42min.
「ダンス・パートナー」1978年47min. *
「ラ・フェルディナンダ:メディチ邸のためのソナタ」1981年85min. *
「バスターの寝室」1990年100min. *
「過去をつきぬけて」1995年55min. *
「妖精モルガン」2009年15min.

上記作品のうち字幕があるのは*の印のある長編映画4点です。その他のパフォーマンスの記録3点、およびドローイングと映像と音楽により構成される「妖精モルガン」につきましては字幕はありません。


◆映像作品上映スケジュール

企画展1階展示室では「MOTアニュアル2010」展の展示が始まるため、
1月26日(火)より「レベッカ・ホルン展」の映像作品は、
企画展示室3階、2階および地下2階講堂にて上映致します。
また2月11日(祝)、12日(金)、13日(土)、14日(日)は以下のとおり、
長編映画3本は地下2階講堂で、新作の短編は企画展示室2階で上映致します。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

1:企画展示室3階 
① パフォーマンス1 22min.   10:00/ 11:42/ 13:24/ 15:06/ 16:48
② パフォーマンス2 38min. 10:22/ 12:04/ 13:46/ 15:28/ 17:10
③ ベルリン-9つのパートからなるエクササイズ 42min. 11:00/ 12:42/ 14:24/ 16:06/ 17:48(途中まで)


2:企画展示室2階
⑧ 妖精モルガン 15min.
10:00/ 10:15/ 10:30/ 10:45/ 11:00/ 11:15/ 11:30/ 11:45/ 12:00/ 12:15/ 12:30/ 12:45
13:00/ 13:15/ 13:30/ 13:45/ 14:00/ 14:15/ 14:30/ 14:45/ 15:00/ 15:15/ 15:30/ 15:45
16:00/ 16:15/ 16:30/ 16:45/ 17:00/ 17:15/ 17:30/ 17:45


3:企画展示室2階
⑦ 過去をつきぬけて 55min. 10:00/ 10:55/ 11:50/ 12:45/ 13:40/ 14:35/ 15:30/ 16:25/ 17:20(途中まで)


4:地下2階講堂
④ ダンス・パートナー  47min. 10:00/ 13:52
⑤ ラ・フェルディナンダ 85min. 10:47/ 14:39
⑥ バスターの寝室  100min. 12:12/ 16:04
⑧ 妖精モルガン    15min. 17:44

機器の具合により、上映スケジュールは多少前後する場合がございます。ご鑑賞の際の目安にしていただければ幸いです。

  • 《鯨の腑の光》2002 水槽、作家による詩、ハイデン・チザムの音楽 Photo: Heinz Hefel

  • 映画「バスターの寝室」1990

  • 《アナーキーのためのコンサート》1990 ピアノ、モーター Photo: Gunter Lepkowski

  • 《ジェイムズ・ジョイスのためのヌーグル・ドーム》2004 ナイフ、モーター

  • 《妖精モルガン》2009 映像、絵の具、ハイデン・チザムの音楽

  • 《双子の鴉》1997 鴉の羽、モーター Photo: Attilio Maranzano

映画「ダンス・パートナー」1978


展覧会情報

展覧会名
レベッカ・ホルン展-静かな叛乱 鴉と鯨の対話
会 期

2009年10月31日(土)〜2010年2月14日(日)
休館日
月曜日(ただし11月23日、1月11日は開館、11月24日、12月28日~1月1日、1月12日は休館)
開館時間
10:00〜18:00(入場は閉館の30分前まで)
会 場
企画展示室 3階、1階
観覧料
一般 1,200円(960円)/ 大学・専門学校生 900円(720円)中高生 600円(480円) /65歳以上 800円(640円)/ 小学生以下 無料
*( )内は20名様以上の団体料金
*本展チケットで「MOTコレクション」もご覧いただけます。
同時開催「ラグジュアリー:ファッションの欲望」との共通チケット
一般1,800円(1,440円)/ 65歳以上1,400円(1,120円)/ 学生1,500円(1,200円)/中高生1,000円(800円)/ 小学生以下無料
主 催
財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館 / ドイツ文化センター / ドイツ対外文化交流研究所
助 成
財団法人 朝日新聞文化財団
協 賛
SHISEIDO / 日本ロレックス株式会社
協 力
日本航空


関連イベント

ガイドスタッフによるギャラリートーク
12月5日(土)から来年2月14日(日)までの毎週末と祝日の15時から、当館のガイドスタッフによる、ギャラリー・トークを行います。
時 間:15時~ (約1時間)

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講演会 「レベッカ・ホルンの〈花嫁機械〉」          

講師:香川 檀氏 (武蔵大学教授)
日時:2010年1月31日(日)15:00~
会場:東京都現代美術館 地下2階講堂
参加費:無料
定員: 200名(先着順)

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ギャラリー・レクチャー

学芸員による、展示室でのレクチャー
日時:2010年1月22日(金)14:00~
集合場所:東京都現代美術館 企画展示室 中2階
参加費:無料(ただし本展チケットが必要です)

本展覧会のインターンによる、展示室でのレクチャー
日時:2010年1月15日(金)14:00~
集合場所:東京都現代美術館 企画展示室 中2階
参加費:無料(ただし本展チケットが必要です)

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対談 「レベッカ・ホルンをめぐって」

半田真規氏(アーティスト)× 長谷川祐子(当館チーフ・キュレーター)
レベッカ・ホルンのもとでこの1年間アート・プログラムを体験した1979年生まれのアーティスト半田真規と当館チーフ・キュレーターが、レベッカ・ホルンの多彩な活動をめぐって語り合います。

日時:2010年1月14日(木)16:00~ 
会場:東京都現代美術館 地下2階講堂
参加費:無料
定員: 200名(先着順)

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アーティスト・トーク 
レベッカ・ホルン×ハイデン・チザム(作曲家)

日時:10月31日(土)14:00~
会場:東京都現代美術館 地下2階講堂
参加費:無料(ただし本展チケットが必要です)
*英語(逐次通訳あり)


アーティスト

1944 ドイツ、ミヒェルシュタットで生まれる
1963 ハンブルグ造形芸術大学に入学
1971 DAADの奨学金でロンドンのセント・マーチン美術学校で学ぶ
1972 カッセル、ドクメンタに参加
1972-81 ニューヨーク在住
1978 ファン・アッベ美術館等を巡回する個展で映画「ダンス・パートナー」を発表
ミュンスターの彫刻展で《逆向きのコンサート》を発表、後に永久設置となる
1984 サーペンタイン・ギャラリー、シカゴ現代美術館で個展
1986 パリ市立近代美術館にて個展
カッセル、ドクメンタ賞受賞
1989 ベルリン芸術大学にて教鞭とる(2009年まで)
1990 ロサンゼルス現代美術館の個展で映画「バスターの寝室」を発表
1993-94 グッゲンハイム美術館、ベルリン新国立美術館、テート・ギャラリー等にて個展
2002 作曲家ハイデン・チザムとのコラボレーションによるインスタレーションの制作を開始

現在まで欧米の主要美術館での個展多数
ベルリン、パリ在住


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