展覧会概要

「ラグジュアリー」は日本語で「贅沢」と訳されるように、視覚的な豪華さ、そしてそれを身体にまとったときの特別な感覚、洗練をきわめるという精神的な満足感など、余剰から生み出された豊かさを意味してきました。
 現在、私たちは、産業の発展によって物質的に恵まれた生活を送ることができるようになりました。一方でそのために引き起こされるグローバルな諸問題の解決に取り組まなければならない状況にあります。そうした中で、私たちが求める豊かさの現れである「ラグジュアリー」に対する考え方も大きく変化しつつあります。
 本展は、社会の動きや私たちの欲望を何よりも敏感に反映しているファッションを通じ、「ラグジュアリー」という視座から時代や社会の価値観の変遷を再考するものです。視覚的にラグジュアリーで贅沢な表現から、より個人的で知的な遊びにも近いラグジュアリーまで、京都服飾文化研究財団(KCI)のコレクションから多角的な視点で精選した17世紀から現代までの作品約100点を展示します。

[ブランド/アーティスト一覧]  
※アルファベット順
Balenciaga / Beer / Chanel / Christian Dior / Comme des Garçons / Courrèges / Grès / Lanvin / Louis Vuitton / Madeleine Vionnet / Maison Martin Margiela / Paul Poiret / Pierre Cardin / Roy Lichtenstein / Schiaparelli / Thierry Mugler / Viktor & Rolf / Worth / Yves Saint Laurent

[展示構成]

着飾るということは自分の力を示すこと Ostentation
「着飾るということは自分の力を示すこと」と、パスカルは言っています。かつてから着ることの目的の一つは着る人の富や権力を誇示することでした。高価で希少な品で自らを過剰に飾り立てる行為は、人間の変わることない欲求といえます。一方で、この飽くなき情熱こそが職人を育て、芸術や産業を発展させていったことも歴史的な事実です。 金糸や銀糸をふんだんに用いたきらびやかな衣装や多くの人の時間と手のわざを費やして作られた豪奢なテキスタイルのドレスなど、〈見せること=顕示〉をテーマとした服を中心に展示します。

主な出展作品:
エリザベス一世にまつわるボディス(17世紀)、ローブ・ア・ラ・フランセーズ(18世紀)、ウォルトのレセプション・ドレス(1900年頃)、
仮装用衣装:ポール・ポワレのドレス「千二夜」パーティ用(1910年代)、ウォルト、シャネルのドレス、靴のヒール(1920年代)、
スキャパレリ、クリスチャン・ディオール(1940~50年代)、ロイ・リキテンシュタイン、ピエール・カルダン、クレージュ、イヴ・サンローラン (1960年代)、ティエリー・ミュグレー、シャネル(カール・ラガーフェルド)(1980~90年代)、 ヴィクター& ロルフ、バレンシアガ(ニコラ・ゲスキエール)、ルイ・ヴィトン(マーク・ジェイコブス)(2000年~)
「プレイステーション 3」の高画質画像拡大技術による、出展作品中15点の高精細画像の展示。

削ぎ落とすことは飾ること Less is more
華美な装飾が好まれる一方で、近代は行き過ぎた豪華さを避け、シンプルで日常的なスタイルを望む方向へ向いました。とりわけ快適さや機能性がデザインに強く求められている現代において、その傾向は顕著です。それを可能にするのはデザインの造形性、素材に対するこだわりや簡素でありながらも衣服を美しく見せる高い技術力の存在です。 シャネルの機能的なアンサンブルやバレンシアガの構築的なドレスなど、削ぎ落としたデザインの中に上質さと精緻な職人技が凝縮したオートクチュールの作品を中心に構成します。

主な出展作品:
ポール・ポワレ(1910~20年代)、マドレーヌ・ヴィオネ、シャネル(1920~30年代)、グレ、ディオール、バレンシアガ、クレージュ (1940~60年代)、イヴ・サンローラン、イッセイ・ミヤケ(1980~90年代)、ランバン(アルベール・エルバス)(2000年~)

冒険する精神 Clothes are free-spirited
東京文化発信プロジェクト ラグジュアリー:ファッションの欲望 特別展示 
妹島和世による空間デザイン / コム・デ・ギャルソン

ラグジュアリーであることは物質的、金銭的なものだけにとどまりません。「今までにない服」の制作に挑戦する作り手。そのような服に出会い、作り手が込めた情熱を受け止めようと努力する着用者。両者の間に生まれる〈着る〉ことをめぐる濃密な体験もまた、精神的なラグジュアリーであるといえるでしょう。 ファッションにおける〈美〉や〈洗練〉の価値転換を図ったデザイナー、川久保玲の作品を通じて、衣服の創造性とラグジュアリーの関係を考察します。
場所や利用者との関係性を建築プログラムとしてとり入れ、新たなスタイルを確立した革新的なクリエイター、妹島和世が空間デザインをおこなう特別展示としてご覧いただきます。
特別展示の詳細はこちら

主な出展作品:
コム・デ・ギャルソン(川久保玲)(1980年代~)、写真家畠山直哉による、出展作品の等倍平面写真

ひとつだけの服 Uniqueness
希少なものには付加価値がつくことは誰しも認めます。ただ、何が希少かの判断は人によって大きく変わります。たとえいつも目にするものでも、ひとたび違う文脈に置かれれば世界にひとつだけの価値ある「unique」なものになりえるのです。これは、大量消費型社会からの転換を目指している現在において非常に有効な考えではないでしょうか。 「一点もの」「リサイクル志向」「ハンドメイド」といった現在のラグジュアリーに結びつくメゾン・マルタン・マルジェラの作品を展示します。

主な出展作品:
メゾン・マルタン・マルジェラによるアーティザナル・ライン(1990年代~)

  

 

 

  

 

左上から
ドレス (ローブ・ア・ラ・フランセーズ 部分) 18世紀前半 イタリア 京都服飾文化研究財団所蔵、広川泰士撮影
ヒール フランス 1925年頃 京都服飾文化研究財団所蔵、広川泰士撮影
インド? イヴニング・ドレス、ショール 1850年頃 京都服飾文化研究財団所蔵、畠山崇撮影
インド? イヴニング・ドレス(部分) 1850年頃 京都服飾文化研究財団所蔵、畠山崇撮影
ロイ・リキテンシュタイン(テキスタイル・デザイン)リー・ルド・シンプソン(ドレス・デザイン)ドレス 1965年頃 京都服飾文化研究財団所蔵、畠山崇撮影
クリスチャン・ディオール ドレス 1952年秋冬 京都服飾文化研究財団所蔵、畠山崇撮影
バレンシアガ デイ・アンサンブル 1963年 京都服飾文化研究財団所蔵、畠山崇撮影
コム・デ・ギャルソン(川久保玲) ドレス 1992年秋冬 京都服飾文化研究財団所蔵、広川泰士撮影
コム・デ・ギャルソン(川久保玲)ドレス 1997年春夏 京都服飾文化研究財団所蔵、畠山崇撮影
コム・デ・ギャルソン(川久保玲)ドレス 1991年秋冬 京都服飾文化研究財団所蔵、株式会社コム デ ギャルソン寄贈、畠山崇撮影
メゾン・マルタン・マルジェラ ウエストコート 1989年秋冬 (c) Maison Martin Margiela, Photo by Marina Faust, Paris
メゾン・マルタン・マルジェラ ジャケット 2006年春夏 (c) Maison Martin Margiela Photo by Marina Faust, Paris
左) メゾン・マルタン・マルジェラ ドレス 2008年秋冬 (c) Maison Martin Margiela Photo by Marina Faust, Paris
右) メゾン・マルタン・マルジェラ チュニック 2009年春夏 (c) Maison Martin Margiela Photo by Jacques Habbah, Paris


展覧会情報

展覧会名
ラグジュアリー:ファッションの欲望
会 期

2009年10月31日(土)〜2010年1月17日(日)
休館日
月曜日(ただし11/23、1/11は開館・翌日休館)、12/28~1/1
開館時間
10:00〜18:00(入場は閉館の30分前まで)
会場
企画展示室B2階
観覧料
一般 1,200円(960円)/ 大学・専門学校生 900円(720円)
中高生 600円(480円) / 65歳以上 800円(640円)/ 小学生以下 無料
※同時開催の「レベッカ・ホルン展」との共通券もございます。
一般 1,800円/ 大学・専門学校生 1,500円/ 中高生 1,000円/ 65歳以上 1,400円
※本展のチケットで「MOTコレクション」もご覧いただけます。

カタログ
「ラグジュアリー:ファッションの欲望」
発行:公益財団法人 京都服飾文化研究財団
価格:2,500円(税込)、日英テキスト、207ページ

主 催
財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館 / 公益財団法人 京都服飾文化研究財団
企画制作協力
京都国立近代美術館
後 援
文化庁 / 経済産業省 / 社団法人企業メセナ協議会
特別協力
株式会社ワコール
協 力
ここのえ株式会社(メゾン マルタン マルジェラ)/ ミキモト/ ソニー株式会社 /株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント /
株式会社七彩 /吉忠マネキン株式会社


関連イベント

MOT美術館講座

「ラグジュアリー:ファッションの欲望」展に関連した連続講座。レクチャー以外にもワークショップや
パフォーマンスなど、ファッションを幅広く捉え、展覧会を多角的な切り口で考察します。
※MOT美術館講座は、現代美術をより深く学び/楽しむためのレクチャーシリーズです。

「たかが服、されど服」
哲学的な視点からファッションを考察します。
講師:   鷲田清一(哲学者、大阪大学総長)
日時:   2009年11月21日(土)15:30 ~17:00
場所:   東京都現代美術館 地下2階 講堂(定員200名)
参加費: 無料

「妹島和世によるワークショップ」
建築家・妹島和世氏といっしょに、親子で楽しむワークショップです。
企画・講師: 妹島和世(建築家)
日時:    2009年11月22日(日)13:00~16:00
対象:    小学校3~6年生とその保護者(2人一組)
人数:    15組30名
参加費:   無料・事前申込制  
お申込方法:往復はがきに 1,応募動機 2,親子の氏名 3,年齢 4,こどもの学年 5,住所 6,電話番号 を明記の上、
〒135-0022江東区三好4-1-1 東京都現代美術館「ワークショップ」係あてにお申し込みください。
*11月10日(火)消印有効*応募者多数の場合は抽選**はがき1枚につき1組2名まで申し込みできます。

パフォーマンス「RAP-韻訳ロミオとジュリエット」
シェイクスピアの傑作「ロミオとジュリエット」をラップで表現します。
出演:    長澄(ラップ・パフォーマー)
日時:    2010年1月11日(月・祝)13:30、15:30の2回公演
会場:    東京都現代美術館講堂 定員各200名 
参加費:   無料 ※詳細については美術館までお問い合わせください。

エデュケーション・プログラム

「先生のための特別研修会」
日時:    2009年11月13日(金)16:00 ~18:00
対象:    小・中・高等学校の教員 30名 
参加費:   無料・事前申込制(先着順)   ※詳細については美術館までお問い合わせください。

「ミュージアムスクール」(学校向け鑑賞教室)
日程:    2009年11月、12月の毎週火・木曜日
対象:    小・中・高等学校
2週間前までに申し込み(先着順)

「親子で楽しむギャラリー・クルーズ」
日時:    2009年12月19日(土)、20日(日) 13:00 ~15:00
対象:    小学校1~3年生とその保護者 各日20組
参加費:   無料・事前申込制    ※詳細については美術館までお問い合わせください。

大学・専門学校生向けレクチャー

ご観覧前に、京都服飾文化研究財団(KCI)の学芸員が展覧会概要と代表的な作品について
10~15分程度の解説をおこないます。
お申し込み、お問い合わせは事前に下記京都服飾文化研究財団事務局までお願いします。

対象: 大学、専門学校等
日時: 以下の日程の時間内でご希望時間をご相談下さい。
   2009年11月6日(金)、20日(金)、12月4日(金)、18日(金)の10:00~17:00

場所: 東京都現代美術館 地下2階 講堂(定員200名)
参加費:無料
参加方法:事前申込制。各日2日前まで受付。
申込、問い合わせ先:京都服飾文化研究財団 事務局 TEL: 075-321-9221
  (受付時間:平日9:00~17:00)


ラグジュアリー:ファッションの欲望展のプロモーション用動画です。


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