伊藤公象 WORKS 1974-2009

展覧会概要

東京都現代美術館では現代美術の各時代の動向を振り返り、その歴史的な意義を検証するために、日本のベテラン作家の個展を開催してきました。本展はその一環として日本を代表する作家、伊藤公象の35年間の歩みを紹介するものです。

伊藤公象は土を素材にした陶造形で知られる作家です。1932年に金沢の彫金家の長男として生まれ、十代の頃に陶芸家のもとに弟子入りしましたが、その後は伝統の世界から離れ、美術という概念を問い直すような新しい表現を土を素材にして追求してきました。ある時は土を凍らせ、ある時は乾燥による土の収縮や亀裂を創作に採り込むなど、自然現象を活かした独自の造形は早くから注目を集めました。1978年にはインド・トリエンナーレ、1984年にはヴェネツィア・ビエンナーレにそれぞれ日本代表として参加するなど、その活躍の場は国内を問わず海外まで広がり、土の造形のパイオニアとして高い評価を得てきました。

本展は作家が所蔵する主要作品を軸に、各地の美術館が所蔵する代表作を加えて、伊藤公象の作品の全貌を紹介する回顧展です。土に本格的に取り組み始めた1974年から現在に至る約35年にわたる軌跡を通して、人為をできるだけ抑え、自然の作用を採り込む有機的な創作の世界をご紹介します。また、当館の広大な展示空間にあわせて構成される大型インスタレーションや新作もご堪能いただけます。

豊かな生命力を喚起してやまない伊藤公象の作品は、自然と人間との関係性が問い直される21世紀にあって多くの示唆をわたしたちに与えてくれるでしょう。


展覧会情報

会期
2009年8月1日(土)〜10月4日(日)
休館日
月曜日(ただし8月10日、17日、9月21日、28日は開館)
開館時間
10:00〜18:00(入場は閉館の30分前まで)
会場
企画展示室B2F
観覧料
一般 1,000円(800円) 学生 800円(640円)中高生・65歳以上 500円(400円)
※ ( )内は20名様以上の団体料金
※同時開催の「メアリー・ブレア展」のチケットをお持ちの方は当日に限り本展を半額でご覧いただけます。
※本展のチケットで「MOTコレクション」もご覧いただけます。
主催
財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館 / 読売新聞東京本社 / 美術館連絡協議会
協賛
ライオン / 清水建設 / 大日本印刷
協力
日本ヒューレット・パッカード株式会社 / 深川資料館通り商店街協同組合


関連イベント

【作品を触って楽しめるトレジャーワゴン】
アンケートなどで「どんな感触なのか、触ってみたくなった」というご意見を多くいただく皆さまの声にこたえ、最終日の10月4日(日)に、本展を観覧されるお客様に特別に作品のサンプルを触ってみることができる時間帯を設けます。
その時間帯は学芸員が解説したり、ご質問にお答えしたりしますので、ぜひ展示とあわせて体験してみてください。

日 時:2009年10月4日(日)
    13:00~14:00/ 16:00~17:00
場 所:伊藤公象展会場内 アトリウム

【9月21日限定】先着 50名様 ポスタープレゼント実施!
お客様のご希望にお応えして、9月21日(月)-敬老の日に限り、先着50名様に本展オリジナルポスターをプレゼント致します。 ポスターサイズはB2サイズの縦長のものとB3サイズの横長の2種類。メインビジュアルは各サイズ、非常にインパクトのある「アルミナのエロス(白い固形は・・・)」です。ポスターサイズはご希望に添えない場合もございますので、ご了承下さいませ。 展覧会のご来場の記念に、貴重な非売品ポスタープレゼントをお楽しみに。

*お願い 
ポスターは展示室内には持ち込めませんので、『伊藤公象展』展示室入口でご入場時に
お渡しする引換券をお持ち頂き、お帰りの際にエントランスのクロークにてポスターとお引き換えください。
 
*おことわり
小学生以上のご来場者が対象です。
会場で当日券をご購入の場合、チケット購入待ち列にお並びいただく場合もございます。

【アーティスト・トーク】
アーティスト伊藤公象氏による作品解説

日 時:2009年9月20日(日)13:00~14:00
参加費:無料(ただし展覧会チケットが必要です)
ご希望の方はチケットをお求めの上、展覧会入口にお集まりください。(予約不要)

【タッチ&トーク】
作品の一部を特別に手で触って確かめながら鑑賞するツアー。

日 時:2009年8月9日(日)、8月23日(日)、9月19日(土) 11:00~12:00
参加費:無料(ただし展覧会チケットが必要です)
定 員:15名(先着順)
*当日10時から伊藤公象展改札横にて受付

【シルバーデー企画】
65歳以上の方は下記の日に無料で展覧会をご覧になれます。

日 時:2009年8月19日(水)、9月16日(水)
対 象:65歳以上の方
*年齢が確認できるものをお持ち頂き、展覧会チケットとお引き換え下さい。

◆事前申込制プログラム

【アートピクニック"ひみつの観察"】
伊藤公象展の作品をここでしかできない方法で調査して、観察日記をつくります。

日 時:2009年8月22日(土)、8月23日(日) 13:30~15:30
対 象:小学校3~6年生 
定 員:各日15名
参加費:無料
応募方法:
往復ハガキに参加希望日、住所、氏名、学年、電話番号を記入の上、
東京都現代美術館「伊藤公象展アートピクニック」係宛に8月10日までに申し込み(当日消印有効)。
*応募者多数の場合は抽選。
*ハガキ1枚につき1名まで

【ワークショップ"伊藤公象の追体験"】
作家になったつもりで、同じ方法で木の肉・土の刃をつくってみる追体験ワークショップ。作家が直接指導します。

日 時:2009年9月13日(日)13:00~15:30  
対 象:中学生以上
定 員:15名
参加費:無料
応募方法:往復ハガキに住所、氏名、年齢(学年)、電話番号を記入の上、
東京都現代美術館「伊藤公象展ワークショップ」係宛に9月1日までに申し込み(当日消印有効)。
*応募者多数の場合は抽選。
*ハガキ1枚につき1名まで


アーティスト

伊藤先生.jpg

作家略歴

1932 金沢の彫金家の長男として生まれる。
1946 九谷焼の陶芸家中村翠恒に師事。
1959 富山で作家活動を開始。
1962 東京に居を移す。
1969 茨城県笠間市に転居。
1972 「美術工房桑土舎」を伊藤知香とともに設立する。
1977 第2回北関東美術展でグランプリ受賞。
1978 インド・トリエンナーレに日本代表として参加(ゴールド・メダル受賞)。
1984 ヴェネツィア・ビエンナーレに日本代表として参加。
1990 女子美術大学芸術学部工芸科(陶芸研究室)教授(~1999)
1996 初の回顧展「土の地平 伊藤公象展」を富山県立近代美術館で開催。
2002 個展「VIRUS 伊藤公象」をテート・セント・アイヴス(イギリス)で開催。
    笠間芸術の森公園内「陶の杜」造成にアート・プロデューサーとして参加。
    金沢美術工芸大学大学院専任教授(~2009.3)

パブリック・コレクション
東京都現代美術館 / 愛知県美術館/茨城県陶芸美術館 / いわき市立美術館 / 国立国際美術館 / 世田谷美術館 / 高松市美術館 /
富山県立近代美術館 / 広島市現代美術館 / フランス国立陶磁器美術館 / 台北市立美術館 / インド国立近代美術館 ほか

  • 《木の肉・土の刃》 1991年 高松市美術館蔵 撮影:内田芳孝

  • 《土の襞―青い凍結晶―》 2007年 作家蔵 撮影:内田芳孝

  • 土の襞 踊る焼凍土(部分)》 2008年 作家蔵 撮影:内田芳孝

  • 《アルミナのエロス(白い固形は・・・》 1984年

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