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2014年5月10日

MOTアニュアル2014ブログ No.24 パラモデルの林泰彦による展覧会ファイナル・トーク

いよいよ展覧会もあと2日になりました。
今週末はそれぞれイベントを予定しております!
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10日(土)15:00~吉田夏奈 
  詳しくは→MOTアニュアル2014ブログ No.21

11日(日)15:00~パラモデル(林泰彦)
場所:企画展示室 地下2階
参加費:無料(チケット不要)
定員:40名程度
*開場は15分前。展覧会場とは別の場所になりますのでお間違いなく。
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パラモデルのアーティスト・トークは、じつは展覧会初日の2月15日にも実施したのですが、その日はあいにくの大雪。交通機関も動いていないところもあり参加できなかった方も多かったため、今回、特別にお願いして最終日に林さんの"再登場"が実現しました。

林さん.jpg
制作中のパラモデルの林さん(撮影:後藤武浩)

今回の新作についての制作プロセスや作品の背後に潜むコンセプトなどお話いただけることと思います。ご本人に会ってみたい方、直接、お話がしたい方、ぜひお越しください!

2014年5月 8日

MOTアニュアル2014ブログ No.23 インターンのカノさんのお薦めスポット

これまで出品作家のインタビューなどを担当していただいたインターンのカノさんですが、一年間のインターン期間を終え、4月末に無事に当館を卒業されました。
最後に「MOTアニュアル2014」展を担当した感想やお薦めスポットについて、
記事をまとめてくれましたので、お届けします!

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インターンとして一年間、「MOTアニュアル2014」の展覧会作りのお手伝いをさせていただきました。

 展覧会を内側から見てみて、空間作りのために作家の皆さんと学芸員が話し合いを重ね、全体としてより美しい展示空間を作っていこうとしている姿を知ることができました。作品の魅力を最大限に引き出す空間を作るには、作品を深く理解することや、様々な方向から鑑賞の可能性を考えることが必要なのだとわかりました。

 また、作家へのインタビュー等を通して、6組それぞれに、他の誰かが作ったものへの思い入れがあることを知りました。作品はとても新しいもので、それだけで独立しているかのように見えるけれど、作品の背後には必ず、作家と周りの世界との濃厚な関係があることがわかりました。作品について本当に深く知るには、まだまだ知るべきことがたくさんあると感じます。

 私のおすすめは、3階の展示を見終わった後にある2階の小さな展示室、「fragments of FRAGMENTS もう一つのフラグメント」です。6組の作家たちの展示室からこぼれ落ちたフラグメントを集めた小部屋であり、個々の小さな作品とじっくり対話できます。薄暗い小部屋の中に6点の作品が浮かび上がる空間全体を、展示室の入り口から眺めるのもおすすめです。

2階展示室.jpg
2階の展示室「fragments of FRAGMENTS」(撮影:伊奈英次)

また、「MOTアニュアル2014」の展示は、実は会期中にどんどん変化しています。作家が美術館に来て制作し、新しく増えた作品や展示もあります。会期も残りわずかとなりましたので、まだ見ていない方はもちろん、一度来られた方もぜひもう一度お越しください。

修復シリーズ.jpg
会期中に制作された髙田安規子・政子の「修復」のシリーズ(撮影:伊奈英次)
(美術館の屋外に設置された作品です。)



2014年5月 7日

MOTアニュアル2014ブログ No.22 髙田安規子・政子によるワークショップ

ゴールデンウィークも終わりましたが、皆様、いかがお過ごしですか。
さて先週の土曜日、5月3日に出品作家の髙田安規子・政子さんよる「地図のミニワークショップ」を実施しました。
お二人の地図の作品といえば≪富士山≫。
富士山の地図を等高線に沿って切り取った細かな作品が、展覧会に出品されています。
このワークショップは、そうした作家の制作のプロセスの一端を、参加者にも挑戦していただこうという企画です。

富士山2.jpg
髙田安規子・政子《富士山》(山頂の部分)撮影:伊奈英次

そんな細工ができる器用な人がいるのか?
やりたい人がいるのか?
・・・・という心配もありましたが、お陰様で定員をこえる応募者に、ほっと胸をなでおろす場面もありました。

さてお二人は、今回のワークショップのために、地図をテーマにした過去作品も多数ご用意くださいました。

これはニューヨークの地図。すごく大きく、細かいです。
ニューヨーク.jpg

航空路線図だけを残した地球儀も!
地球儀2.jpg

テムズ川を中心にしたロンドンの地図
ロンドン.jpg

そうした作品をお二人のレクチャー付で鑑賞した後、東京の3種の地図の中から、お好きなものを選んでいただき、ひたすらカットしていく作業に専念。

デザインカッターを使って。
WS風景.jpg

みなさん、黙々と・・・。静かです。
WS風景2.jpg

切り取り方を説明する髙田姉妹。
「どこを残すかが重要」とのこと。
髙田さん.jpg

これは髙田姉妹が作ったサンプル。
道路を残して、他を切り抜いています。
サンプル2.jpg

わずか2時間のワークショップだったので、制作途中・・・という人も多かったのですが、みなさん力作揃いでした。

地図の裏返すと、青地に浮かび上がる不思議な模様。
無題.jpg

東京の半分が完成しました。半分は未完成のままでも面白そう。
作品2.jpg

こちらは高速道路を残した作品?
作品3.jpg
髙田姉妹曰く、「作ってみないとわからないことがあり、切り抜いて初めて街の形が理解できる。」そうです。
参加者の皆さんの感想は、
「地図自体は同じものなのに、見る人によって、捉え方が違ったり、感じるモノが違ったりすることを、それぞれの人が地図を切っていく場所や残す場所が違うことでとても強く感じました。」
「普段、目的地に向かうための地図をこんな風に切り取ることで、思わぬ模様に出くわしました。何気ないものでも、見方によって視点が変化したり、思いもつかないような発見があるのだと気づかされました。」
そして、
「集中力が必要な作業で、思っていたよりも大変でした。富士山の等高線の作品に一年かかる意味がわかった気がします。」というものも。

驚くほど細かな作業の積み重ねによって生まれた≪富士山≫を、ぜひもう一度、展示室で。







2014年5月 5日

MOTアニュアル2014ブログ No.21 吉田夏奈によるアーティスト・トーク

ゴールデンウィークの只中ですが、いかがお過ごしでしょうか。
さて展覧会もラスト一週間ですが、様々なイベントが続きます。
今日は5月10日(土)に行われる、出品作家の吉田夏奈さんによるアーティスト・トークのお知らせです。

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吉田夏奈≪Face to the Green≫(撮影:早川宏一)

吉田さんはいつも全力投球の作家です。山に登る、湖を渡る、海に潜る・・・様々なご自身の冒険を経て生み出される作品は、"風景画"の領域を超えてゆくものです。その制作のプロセスについて、今回のトークではたくさんの画像もご用意いただき、ひも解いてくださるようです。
先日も、私が展覧会のギャラリートークをしていた時、お客様から、「吉田夏奈さんのこの作品、どうして≪ポテト・インテリア≫なんですか??」と質問を受けました。≪ポテト・インテリア≫というのは、展覧会のために制作された新作で、下にある展示風景写真の中央に写っている角柱の作品群です。

展示風景.jpg
吉田夏奈の展示風景  (撮影:伊奈英次)

≪ポテト・インテリア≫は、作家の住む小豆島にあるバリエーション豊かな石や岩を描いているそうですが、確かに'なぜ固い石がじゃがいもに?'と疑問に思いますよね。

それが明かされるのももうすぐです。
アーティスト・トークの前後には、展示室での公開制作も予定しています。会期最後ではあるのですが、展示室にはまだ白い壁面が残っているので、そこにクレヨンでドローイングを加えていきたい!と意欲的な吉田さんです。
展覧会まだの方も、そして一度ご覧いただきました方も、ぜひこの日に合わせてお越しください。

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展示室で≪ポテト・インテリア≫の仕上げをする吉田夏奈(撮影:後藤武浩)

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吉田夏奈によるアーティスト・トーク
日時:2014年5月10日(土)15:00~16:00
場所:企画展示室 地下2階(開場は15分前)
参加費:無料(チケット不要)
定員:40名
*トークの前後に作家が展覧会場にて公開制作をいたします。そちらは入場の際に展覧会チケットが必要です。
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2014年5月 4日

MOTアニュアル2014ブログ No.20 メールでQ&A「パラモデル 中野裕介」

こんにちは。学芸員の森です。
さて「MOTアニュアル2014」も、もうあと少しになりました。
さて出品作家のインタビューシリーズですが、今回は、パラモデルの中野裕介さんの回をお届けします。
じつは中野さんは何度か美術館に来ていただいていたのに、正式なインタビューの機会が取れず、今回、改めてメールで質問させていただき、解答を文書でいただきました。
長文にはなりますが、掲載させていただきます。
(最初にいただいた文章はさらに長かったので、ご本人の了承を得て、一部割愛させていただきました。)

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1.今回、中野さんは本をテーマに展示されていますが、中野さんにとって本とはどのようなものなのでしょうか。

幼い頃から、長いテキストに少し挿絵の入った子供向けの読み物、そしてもちろんマンガなど、次から次に読む、本の虫でした。今は普段、近所の大学図書館で働いてもいて、いつも大量の本に囲まれて過ごしています。
このWeb時代、電子書籍・図書館など、情報自体は洪水のように溢れ、優劣の議論もされていますが、やはり、二つの間には位相や機能の差異があるんだな、と思います。
本をいろんなレベルで扱えば扱うほど、作品の中で考えるほど、電子的雰囲気とはまた異なるある感触、モノとしての「本を感じる」ことが、やはり僕自身の充実感としてはまず大事なのかな、と改めて感じました。
それらは単なる情報ではなく、やはり、情報の「模型」であり、オブジェであり、ブロック玩具などに近いものかなあと。
図書館という宇宙模型のような世界の中で、情報をブロック玩具のようにして「遊ぶ」事、たまたま隣り合わせ、意想外の連鎖が産まれる事は、誰にとっても楽しいことだと思います。そして能動的に遊んで、何かを自分なりに創り出して、ようやく自分の「心の」本達になる。心に「書」を持ち、一体化して、「外」へ出ること。そのように想像していくと、物質的な本と電子的な本の意味合いは、かなり接近もしてくるように思います。人間の生や存在自体が、非物質的な出来事と物質的な出来事との混淆の狭間に流れる「水」、あるいは狭間に吹く「風」だとすれば、「本」という存在は、テキスト内容とその外殻(挿絵などのパラテキスト群、または電子環境)の隙間において、実にそうである、というのが今僕が思う、「本」の有り様です。

2.美術図書室を展示の中心に選んだ理由はありますか。
また、図書室に展示した感想を教えてください。

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図書室で展示をする中野さん (撮影:後藤武浩)

図書館が好きで、図書館で働き、図書館をよく利用する僕が図書館をモチーフにすることは、自然な成り行きでした。そしてMOTの図書館は日本の美術館の中では最も充実していますし、ここで何か出来ないかな、と単純に思いました。
美術館と図書館を比較して考える時、美術館での展覧会は、全て展覧会記録・図録という形で図書館にアーカイブされ収斂し、そこを胎盤に培養されてゆく、と考えることは、極論ではあるけれど、思考遊戯的には十分可能ではないでしょうか。視点を変えれば、MOTの中枢はもしかしたら美術図書室が担っているかもしれない。あくまで空想遊びに近いニュアンスですけど、そんな視点から何かがまた新しく見えてこないかな、と思いました。
今回、図書館と美術館の立ち位置の顛倒、書物と美術作品の立ち位置の顛倒、という思考遊戯がどれほど示せたかといえば、まだまだです。本来、純粋な図書館でこそ大々的にやるべき実験かもしれない。ただ、今や僕にとって作品はまず、図書館や書物により近いものですし、近くあって欲しいし、何なら来るべき書物に情報を載せたい、その書物を眺めたい、図書館に納めたいから作品を作る、という逆さまの順序が、僕にはしっくりくる感触さえあります。

3.中野さんは、美術館全体を"巨大な架空の書物『Paramodelliana』の建設現場"に見立てましたが、未完の書物のテキストがこれから生まれるとしたら、どのような内容になるでしょうか?

今回は、美術館の建築空間全体を、巨大な架空の書物の生成状態に見立て、そのパラテキスト(G.ジュネットの研究によると、書物の根幹となる「テキスト」を取り囲み延長し、「書物」を形成する周辺諸要素であり、タイトル・表紙・挿絵・図解・目次・帯・序文・あとがき・解説・奥付・註釈・参考文献・参照など)を館内に分散させ、その仮想プランの仕組みの中で「遊ぶ」ことで、「書物」生成の実相を最大限拡張して、模型的・遊戯的に、何かしら示せるのではないか、と作品群を構想しました。

図書室風景.jpg
図書室での展示 (撮影:伊奈英次)

その書物の内容面は、パラモデルの一点としての僕の根源に寄り添った、web上で密かにアップデートを続ける流動的な電子テキストと、J.ブスケの著作『傷と出来事』をベースにした、僕自身の草稿テキストにひとまずは基づいています。ただ、それらは常に構想の段階であり、「テキスト(本文)」だけはいつまでも不足した状態ですから、空想的でとめどない「パラテキスト=仮想の遊びの痕跡」のかけら達がその消失点に向かって随時発生し、お互いに影響し合い、予想外の展開で未知の収束に向かって行く、というような空想遊びになればな、と思いました。

模型や註釈の中にイメージとして出て来た、心眼で静かに本を読む盲目の女性、幻肢で本を触り感じる盲目の小人、といった特異な読書像は、共にJ.ブスケの詩想から着想を得たものですが、「盲目の言葉と無言の像」(ドゥルーズ『フーコー』)といった、人間の生におけるある究極の形姿、また「本を感じる」というイメージを最大限讃えるものになったとは思っています。
これらの出来事を眺める観者も、永遠に顕在することのない「テキスト」を自由に想像し、「大きく空虚な物語」を巡り、移り変わり定着することのないパラテキストのかけら達と共に、架空の「書物」編集・生成に遊戯的に寄り添い(それは「編集・出版ごっこ」といってよいかもしれません)、追体験し楽しみ、また、「書物」とは一体何か?という思索を深めるきっかけになれば、と思います。
幼い頃から、子供向け読み物などで感じた、「テキスト」と「挿絵」の内容の間の、永遠に合致しないような不思議な感触が、今回の構想の一番根っこにある動機です。それを拡張した、今回の挑戦が上手くいったとは思いませんし、現在、まだ制作は水面下で続いています。そんな中、通常の意味の「テキスト(本文)」は無くとも、「テキスト(本文)」的内容は、周りに産まれるイメージに押し寄せられながら、非時空間な場に発生しているんじゃないか、という感触はここに来て感じます。
どこまでも感覚しえない「テキスト(本文)」こそがすなわち「本」そのものであり、それはもはや文字としての形状も持たず、本来、ただ心にだけ刻み込まれ得る傷にも似た何か、どこまでも合致しない狭間を通る「水」であり「風」のような、永遠に非在の何か、なのかもしれません。そしてその主語は特定の「私」を超えた「我々」であり、多声的に語られゆく何かだろう、とも感じています。

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じつはパラモデルの展示は最近になっても密かに変化しています。
「未完の書物」が生み出す様々なパラテキストが美術館のあちこちに増殖中です。

2014年4月19日

MOTアニュアル2014ブログ No.19 インタビュー「髙田安規子・政子」

こんにちは。学芸員の森です。
今日の福田尚代さん、宮永亮さんのアーティスト・トーク。
予想以上に多くの方々にご参加いただき、ありがとうございました。

福田さんの内面から紡ぎ出されるような珠玉の一言、そして宮永さんの熟考を経て抽出されていく言葉.....。
お二人の制作への姿勢がストレートに伝わったのではないかと思います。

さて今日、ご紹介するのは髙田安規子・政子さんです。
お二人は一卵性双生児の姉妹で、2004年頃よりユニットとしての活動をスタートさせました。

今回の展覧会場で、皆様に最初に紹介しているのが、彼女たちの作品です。

どれも小さな作品ではあるのですが、そこに封じ込められた壮大な世界観は、見る者に少なからぬ驚きをもたらします。

カットグラス.jpg
≪カットグラス≫2014年(撮影:後藤武浩)

では出品作家のインタビュー・シリーズの6人目、'髙田安規子・政子さん'の回をお届けします!
インタビュアーは今回も、"インターン" のカノさんです。
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作家の髙田安規子・政子さんは、一卵性双生児のユニットです。

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左が政子さん、右が安規子さん(撮影:後藤武浩)

小さなトランプに刺繍をして、大きな絨毯に見立てるなど、本来のスケールを全く変えることで作品を作ってきました。
今回はお二人に、作品の"大きさ"について聞いてみました。

カノ「スケール、日本語で言う"ものの大きさ" に興味を持ったきっかけはありますか?」

安規子「イギリスに留学してから、作品を二人で制作し始めたのですが、イギリスの生活の中では、椅子や机の高さが違ったり、ものの大きさが日本とは違いました。そういうちょっとしたズレがあることに驚きを感じ、"スケール" というテーマに興味を持ちました。
彫刻におけるスケールの問題は、私たちが勉強したイギリスでは、それひとつで長いディスカッションができるような、重要な課題でもありました。」

政子「スケールを、彫刻の問題として、きちんと伝えられるような作品を作っていきたいと思っています。」

カノ「二人で制作していて良かったこと、難しかったことを教えてください。」

政子「二人で制作していると、双子であってもいろいろな意見の違いや、物事に対する認識の違いが出てきます。アイディアを出したときに、相手が納得するところまで持っていかなくてはいけないところが難しいです。今までの作品とのつながりを汲み取ってもらえない時に、もう一度アイディアを考え直して、相手を説得します。」

安規子「相手に対するプレゼンには苦労しますね。自分がその作品をすごく作りたい、という情熱を相手に伝えないと、作品制作まで至らなかったりします。
以前は、アイディアのうち実際に作品になるのは3、4割でした。
最近になって、お互いの反応が分かるようになってきて、今は5、6割。
トランプを絨毯に見立てた作品は、アイディアを出してから5年越しで作品になりました。

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≪切り札≫2011年(撮影:伊奈英次)

相手を説得しないと作品にならないことが、二人で作っている難しさでもあり、楽しさでもあります。
そういう経験が出来ることが良かったことかな、と思います。

今回の展覧会では、私たちのスケール感が揺さぶられる作品が数々展示されています。
大きいはずのものが小さい。小さいはずのものが大きい。
スケールが変わると自分の身体感覚も変わります。
ぜひそれは展覧会場で。」
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こっそりお知らせ!
その1)
二人のワークショップがゴールデンウィーク中の5月3日(土)に開催されます。こちらは4/18に募集を締め切りましたが、当日、彼女たちにミニトークをしていただけるようリクエスト中です。
詳細が決まりましたらブログやホームページでお知らせします!

その2)
二人が会期中に密かに手掛けた≪修復≫シリーズ。
美術館の屋外に、まるで小人がコツコツ修理したかのような、痕跡が・・・・。4月初旬より公開されています。
これも見逃さずにどうぞ!(探せない人も続出しているようです・・・)。
詳細は「MOTアニュアル2014ブログ No.16」をご覧ください。

展示中の髙田さん.jpg
展示中の髙田安規子さん(右)・政子さん(左)(撮影:後藤武浩)

2014年4月18日

MOTアニュアル2014ブログ No.18 アーティスト・トークのお知らせ

みなさん。こんにちは。学芸員の森です。
さて今週末の4月19日(土)に、出品作家の福田尚代さん、宮永亮さんをお迎えして、アーティスト・トークを行います。

展覧会がオープンしてから、改めて作家の皆さんと、じっくりとお話する機会は、じつはあまりなく・・・・、
今回は、じつは私自身もとても楽しみにしている企画です。

まず福田尚代さんには、今回の福田さんの展示の根底に流れるテーマについて、お話をうかがう予定です。

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福田尚代さん(撮影:後藤武浩)

現在、展示室には「『フラグメント』をめぐるノート、或いはさまざまな角度からの断片。」という作品についてご自身のコメントをまとめた資料が置かれていますが、それを読むと、シンプルな作品がどこか深い井戸の奥底にも通じているかのような感覚におそわれます。
今回、展示室に置かれた一冊の書物『バートルビーと仲間たち』を中心に、お話をうかがっていく予定です。

宮永亮さんには今回の出品作≪WAVY≫を語る上で重要と思われる、他の映像を幾つかお持ちいただき、それを上映しつつ、制作について語っていただきます。

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宮永亮さん(撮影:後藤武浩)

今回、アーティスト・トークの会場は、
展覧会場ではなく、"企画展示室の地下2階の特別スペース"で行います。
椅子もご用意しますので座って聴講していただけます。
但し、定員は40名。無料ですので既に展覧会をご覧になった方も、ぜひもう一度、ご来館ください。

★アーティストトーク★
4月19日(土) 15:00~ 福田尚代、15:45~ 宮永亮
場所:企画展示室 地下2階(開場は15分前)

二人の作品を事前に予習したい方はこちらをどうぞ!

●福田尚代インタビュー
http://www.mot-art-museum.jp/blog/staff/2014/03/mot2014no15.html

●宮永亮インタビュー
http://www.mot-art-museum.jp/blog/staff/2014/04/mot2014no17.html

2014年4月11日

MOTアニュアル2014ブログ No.17 インタビュー「宮永亮」

こんにちは。学芸員の森です。展覧会も残すところあと一ヶ月!
今朝、いつの間にか展覧会が終わっている、そんな夢を見てしまいました。
作家や関係者のスケジュール調整、そして作品返却のトラックの段取りなど、
展覧会撤去の仕事に追われているせいかもしれません。

さて出品作家のインタビュー・シリーズの5人目、'宮永亮さん'の回をお届けします!
今回、宮永さんは《WAVY》というタイトルの新作を発表しています。
「波のように」を意味するタイトルですが、街並、家並など様々な「なみ」が矢継ぎ早に現れては消えてゆき、そしてまた現れる・・・
展覧会前に初めて宮永さんから見せていただいた時に、その迫力に呆然としたことを覚えています。
見終わった後、頭の中にその残像と残響が一気に押し寄せてくる、そんな映像作品です。

調整中の宮永さん.jpg
映像の調整をする宮永亮さん (撮影:後藤武浩)

では今回も、"MOTアニュアル展インターン"のカノさんによるインタビューで、お届けします。
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映像作家の宮永亮さんは、風景の映像を旅して撮影し、集めた複数の映像を何層にも重ねていくことで映像作品を作ってきました。
今回はその宮永さんに、作品づくりについて聞いてみました。

カノ「宮永さんの作品は、画面の中に様々な風景が何層にも重ね合わされていて、画面の様々な部分がどんどん変化していきます。
一度見ただけでは、映像の多様な動きに目が追いつきません。
しかし、二、三度繰り返し見るうちに、新たな発見が生まれてきます。
それはどうしてなのでしょうか。」

宮永「コマーシャル映像や映画は、一つの画面の中で、カメラがフォーカスした(焦点を合わせた)一つの視点が、そのまま観客の視点になるのですが、僕の作品はそうではありません。
僕の作品は様々な映像を何層にも重ね合わせているので、そこに複数の視点が生まれます。
たくさんのフォーカス(焦点)が存在していることによって、それぞれのフォーカスが相互に関係し合い、複雑に揺らいでいくこともあります。
映像を何層にも重ねていった結果、僕自身が意図した関連性だけでなく、僕自身も意図していなかった関連性も作品の中に生まれてきます。
作品の編集段階では、制作途中の作品を繰り返し見ながら作っていくのですが、その時々の時間や、気持ちの状態、精神状態によって、僕自身が作品のどこを特に注意して見るか、という、僕の視点も変わっていきます。

完成作品を見て初めて、『あ、こことここが同じ。』と、作品の部分と部分に関連性が出てきたように見える意外な瞬間もあったりするのです。」

カノ「また、宮永さんの作品は、始まりもなければ終わりもなく、永遠に続いていくようにも見えますが、それは意図していますか。」

宮永「映像は、ある程度ループ(循環)の構造を意識して作っています。何回か繰り返し見てもらって、新たな発見をしてもらうために、繰り返し繰り返し調整しつつ作っているところがあります。」

WAVY.jpg
WAVY2014

今回の展覧会では、≪WAVY≫を巨大画面で上映しています。
北海道の美瑛、新潟の田畑、京都や名古屋や東京の高速道路、そして奈良の家並など、様々な風景が登場する約10分の映像ですが、何度か繰り返し見ていただくことで、見落としていたディテールも浮かび上がり、新たな発見をもたらす魅力ある作品になっています。

展示室にはクッションも用意されていますので、そこでくつろぎつつ、ゆっくりと、ご鑑賞ください。

【お知らせ!】
来週、4月19日(土)に宮永亮さんのアーティスト・トークがあります。
当日は15時より福田尚代さんのトークがあり、その後、15時45分頃より宮永亮さんが登場します。
最近、奈良の石舞台古墳という特殊な場所に映像作品を投影した宮永さん。
そのお話や≪WAVY≫以外の映像も上映するという楽しみな企画です!
場所は企画展示室の地下2階。
予約不要ですのでお気軽にご参加ください。

2014年4月 6日

MOTアニュアル2014ブログ No.16 髙田安規子・政子による特別作品 本日(4月6日)より公開!

こんにちは。
4月6日(日)から、髙田安規子・政子による
特別作品《修 復/東京都現代美術館》が公開されます。
展覧会がオープンしてから、二人はコツコツとこのプロジェクトを密かに進行していました。

手がかりとなるのはこの地図です↓
髙田安規子・政子マップ.jpg

美術館の外壁や敷石などの欠けたり壊れた箇所・・・。
そこをささやかに"修復"するプロジェクトです。

と言っても、髙田安規子・政子が手がけるものですので、小さな見逃してしまうような箇所です。
まるで小人が一生懸命に修繕しようとした跡のようにも見えます。

2人はこのプロジェクトを各所で進めてきました。
去年は川崎市市民ミュージアムでも、美術館の床や周囲にあるグランドのネットなど様々な場所に、小さな修復を施し、話題になりました。

すでに「MOTアニュアル2014」をご覧になった方も、ここは無料ゾーンですので、ぜひもう一度、足をお運びくださいね。
あるいは次回、ご来館された時にチェックしてみてください。
サブエントランスから出るのが近道です!

2014年3月24日

MOTアニュアル2014ブログ No.15 インタビュー「福田尚代」

こんにちは。
学芸員の森です。
先日は「学芸員によるギャラリー・ツアー」に多くの皆様にご参加いただきありがとうございました。
予想外の反応をいただき、新たな発見もあり、刺激的なひと時でした。

さて、今日は、
出品作家のインタビュー・シリーズの4人目、'福田尚代さん'の回をお届けします!
消しゴム、鉛筆の芯、栞の紐、原稿用紙・・・等を文具を用いた繊細な作品は、一度見たら忘れられない深い印象を残します。

残像 引き潮.png
《残像:引き潮》2010-14 撮影:伊奈英次

では今回も展覧会インターンのカノさんによるインタビューで、お届けします。
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作家の福田尚代さんは、文字や言葉、本にまつわる作品を制作する傍ら、回文(上から読んでも下から読んでも同じ音の文章)を数多く作ってきました。今回は福田さんに、まずは本の作品について聞いてみました。

福田バートルビー.jpg
≪翼あるもの 『バートルビーと仲間たち』≫2013 撮影:伊奈英次

カノ「例えば、本の頁を折り込んで、一行だけを見せる作品があります。
本の頁を折る、という行為は、とても強い行為だと感じました。
福田さんは、どのような思いで身近なものに手を加えているのでしょうか?」

福田「本に危害を加えている、と思われるかもしれません。
特に、本が好きな方は、本そのものを大切にする心を持っていらっしゃいます。
でも、私は本を傷つけたいのではなくて、
動機は愛にあると思っています。
愛にはいろいろな種類があるのではないでしょうか。
本と私との間に起きた、私的な事件は、他の人には知りようもないことですが、
私にとってその本と自分との関係は、人との関係くらい強いものです。
本の頁を折るだけでなく、文字の上に刺繍をしたり、
本の頁に針で無数の穴を開けていったりもします。
そういった行為によって、本と私が一体化していくように感じます。
本の中に入っていきます。」

カノ「福田さんの作品は、本だけでなく、けしごむやしおり等、
身近なものを素材にしているので、感情移入しやすいと思います。
作品を見た人の反応を見て、いかがでしたか。」

福田「作品を見るとき、人は自分が見たいものを見るって言ったらおかしいのかな、
自分自身をそこに発見している、と感じることが多くて。
私はそれを面白いことだな、と思います。
そういう、誰でも映せるような、鏡のような作品ってすごくいいな、と思うんです。
懐が深い、余地のある作品に憧れる気持ちがあります。」

今回の展覧会では、本だけでなく、様々な素材を使った作品を展示しています。
展示室で、一つ一つの作品との対話をお楽しみください。

本展覧会にて展示をする福田尚代さん.jpg
本展覧会にて展示をする福田尚代さん 撮影:後藤武浩 
(《ランボーの手紙》を1枚1枚丁寧に並べています。)

福田尚代さんのアーティストトークは4月19日(土)15:00~です。
ご参加お待ちしております。

(学芸担当 森)

2014年3月20日

MOTアニュアル2014ブログ No.14 ギャラリーツアー(3/21)

学芸員の森です。
展覧会が始まって早くも約1ヶ月。
カタログの編集も終わり、
慌ただしい日々にやっと余裕が出てきました。

さて急なお知らせですが、
明日(3月21日)に「学芸員によるギャラリーツアー」を実施します!

                            吉田夏奈《木々》
RIMG1185.JPG


約1時間で展覧会を一周しようというツアーで、
私のお薦め絶景スポット(ここから見ると作品がさらに面白く見える)、
作家のエピソードなどもご紹介しつつ、
楽しく皆様と一緒に展覧会を巡りたいと思います。

時間は15:00~。
ご希望の方は展覧会チケットをお求めの上、
3階企画展示室の入口にお集まりください。
皆様のご参加をお待ちしております。

展示室以外の場所にも作品があります。お見逃しなく!

(学芸担当 森)

2014年3月 2日

MOTアニュアル2014ブログ No.13 サンデー・ツアー

今日(3月2日、日曜日)から始まるサンデー・ツアーのお知らせです。
「MOTアニュアル2014」では、解説スタッフと一緒に作品を鑑賞するツアーを行います。
このツアー限定で、公開される制作の秘密や資料あり。
初心者の方にも楽しめるツアーです。
この写真は、特別に青田真也さんからお預かりしているもの。

aota.jpg
実際に触っていただける作品です。

私もトライしたところ「あれっ?」と意外な感触でした!
予約不要ですので、展覧会のチケットをお求めの上、15時にMOTアニュアル3階入口に集合ください。

(学芸担当 森)

2014年2月24日

MOTアニュアル2014ブログ No.12 パラモデルの公開制作が無事終了しました!

2月21日(金)にパラモデルの新作《command p》が完成しました。
2月4日から雨の日も雪の日も、2週間以上にわたり制作を続けた作品は、今回初の試みとなる幅10m以上にもなる巨大な壁画でした。

パラモデルの林さんは、完成の翌日、海外に旅立っていきました。
とにかく忙しそうです。
3月4日からまた数日、美術館にやってくるそうですが、何かたくらんでいるのでしょうか?

《command p》は完成したものの、まだまだ先がありそうなパラモデルでした!

パラモデル0224.jpg
高所作業用タワーなど制作のに用いた用具もあわせて展示中。

2014年2月20日

MOTアニュアル2014ブログ No.11 続・パラモデル公開制作中

パラモデルは本日も公開制作中。
今日は、パネルに貼ったマスキングテープを剥がし始め、いよいよ、作品が姿を現し始めました!
林さん0220.jpg
数日前に壁に設置したレールのあとがあらわれてきました。


公開制作は2月21日(金)までの予定です。
みなさま、完成をどうぞお楽しみに!

2014年2月18日

MOTアニュアル2014ブログ No.10 パラモデル公開制作中

おかげさまで「MOTアニュアル2014 フラグメント-未完のはじまり」が2月15日(土)に無事オープンしました。
前日の大雪がまだ残る中初日を迎えましたが、15日におこなった青田真也さん、パラモデルのアーティストトークにも多くのお客様がお越しくださいました。お足元の悪い中お越しくださったみなさま、どうもありがとうございました。

さて、これまで何度かご紹介してきましたパラモデルの展示作業は、一部現在も公開制作をしながら続いています。

paramodel021801.jpg
紫の絵の具を

paramodel021802.jpg
塗って、塗って

パラモデル0219.jpg
2月18日現在の展示室の様子

これまでから一転し、紫の絵の具が一面に塗られています。

パラモデルの林さんは2/21(金)まで会場で作業続行中。
作家に会えるチャンスはこの時のみ!
気軽に声をかけてみてくださいね。

また、この後の様子もこのブログでご紹介する予定ですので、どうぞお楽しみに!

2014年2月12日

MOTアニュアル2014ブログ No.9 「2月10日 夜遅くの展示室」

パラモデルno9.jpg

プラレールが、消えた!?

2014年2月11日

MOTアニュアル2014 ブログ No.8 「2月9日夜の展示室」

パラモデルno8.jpg

このブログは、パラモデルの定点観測になってきました。
やっとここまで来ました!

2014年2月10日

MOTアニュアル2014ブログ No.7 「インタビュー 吉田夏奈」

2月8日、9日の東京の大雪。みなさま大丈夫でしたでしょうか?
そんな悪天候の中、海に囲まれた美しい小豆島から、作家の吉田夏奈さんが美術館にやってきました。
小柄ながら、海に潜ったり、本格的な山登りをしたり、とてもアクテイブな作家です。
今朝、展示室に姿が見えないと思ったら、こんなことをしていたみたいです。

吉田さん1.jpg

雪の上に描かれた'太陽'が美術館に出現?
吉田さんによれば、転がりながら、身体全体を使って絵を描いたとのこと。
今日はお天気が良かったので、お昼頃には溶けてしまいましたが、雪の降った朝にしか見られない、貴重な絵に偶然出会えて嬉しくなりました。

では、今日は、吉田夏奈さんのインタビュー記事を、お馴染みのインターン、カノさんがお届けします!
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作家の吉田夏奈さんは、山に登ったり、海に潜ったりと、自然の中を実際に探検しています。
そして、自然の中で得た体験をクレヨンで描き、様々な形に組み立てることで、作品を作ってきました。
今回は吉田さんに、制作について聞いてみました。

カノ「吉田さんの作品は、写真のように自然をありのままに再現するのではなく、私たちが見たことのない形へと風景を変換し、見せてくれるように感じます。
どのように自然を体験し、どのように制作に結びつけているのですか?」

吉田「まずは、徒歩で山の中を探検したり、海に潜ったりします。
自然の中に直に身を置くことで、その様子を私が全身でキャッチするというよりも、裸にされる感じです。
外から見える風景としての自然と、実際に中に入って体感する自然って、全く違うんです。
例えば、海の中に潜ると、目からの情報はもちろんですが、加えて、水温や浮遊感覚、水中で呼吸できない恐怖感など、それら全部ひっくるめて、記憶されていきます。
そして、海面を境にぐっと地球の中心に近づいてるんじゃないか、というような実感が芽生えたりします。
次に、そこで得た体験をもとに、どうにかしてそれを表現します。
技術や論理的思考はもう気にしません。
"とにかくなんとかあの感じ"が唯一の羅針盤になります。
それは、平面を飛び出して立体になったりインスタレーションにならざるを得なくなってきています。」

カノ「完成作品は、吉田さんが考える自然の本当の姿を表現しているのですか?」

吉田「実際に地球の一点に立って、一寸法師のように自然の在り様について考え、
自分のフィルターを通して構築しています。
最近は、作品が完成したら、まず宇宙に提出しているつもり。自然のクイズに回答するように。
面白いことに、宇宙からの返事は来ているような気がしています。次の作品が作りたくなるので。」

今回の展覧会では、広い展示室を使って様々な自然への捉え方がバリエーション豊かに表現されます。展示室でぜひご体験ください。

吉田さん2.jpg展示室でプランを考えてスケッチを始める吉田夏奈さん(2013年に来館された際の写真です)

*吉田夏奈さんのアーティスト・トークが5月10日(土)15:00からございます。ぜひご参加ください。

2014年2月 6日

MOTアニュアル2014ブログ No.6 「2月6日 昼の展示室」

パラモデル3.jpg

今日もパラモデルの設営は続きます。
だんだん大きくなってきました。
アシスタントの皆さんもやっと美術館に慣れてきた感じです。
林さんはやはり展示室でも帽子でした。

MOTアニュアル2014ブログ No.5 「2月5日 夜の展示室」

パラモデル2.jpg

壁面にレールが! 少しずつできていくパラモデルの2日目。
設計図通りにレールを並べるのは、想像以上に時間のかかる大変な作業です。
アシスタントの皆様、おつかれさまです。

展覧会のキーワード「フラグメント」(断片やかけらといった意味)にちなんで、展覧会設営中に発見した「フラグメント」のドキュメント。
なにげない断片を探してご紹介していきます!

2014年2月 5日

MOTアニュアル2014ブログ No.4 「2月5日 朝の展示室」

パラモデル1.jpg

青いレールを繋げて繋げて......これからどうなるのか楽しみな、パラモデルの展示室です!
多数のアシスタントとの共同作業が始まりました。

2014年2月 4日

MOTアニュアル2014ブログ No.3 「インタビュー パラモデル 林泰彦」

こんにちは。学芸員の森です。

MOTアニュアルの会場設営(壁を新たに作ったり、色を変えたり)も大詰めを迎え、
今日は初めて作家が現場にやってきました。
一番乗りはパラモデルの林泰彦さんです。
オーストラリアの「パース・フェスティバル2014」での作品設営を終え、
帰国するや否やの来館です。

今日はそんな林さんのインタビュー記事を、前回のようにインターンのカノさんが
お届けします!

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アート・ユニットのパラモデルは、林泰彦さんと中野裕介さんの2人組です。
おもちゃのプラスチックレールを使ったインスタレーションや平面作品・ビデオ等、多様な
作品を制作しています。今回は林さんに、制作のルールについて聞いてみました。

林さん.jpg
パラモデルの林泰彦さん。お会いする時は、いつも帽子です。


カノ「パラモデルは、プラレールや配管用パイプなど、同規格で均質なパーツを使って作品を構成していますが、作品全体は有機物のように自由に増殖していくように見えます。作っていくときに特別なルールはありますか?」

 「実家が東大阪の工場で、発泡スチロール、アルミ、木材、プラスチックを扱っていました。だから、幼い頃から素材の"定型サイズ"や"工業規格"になじみがあります。今でも、作品を構成する時、それぞれの素材の規格サイズを意識しています。例えば、平面作品でベニヤ板を使う場合も、サブロク(3×6)板というごく普通に流通している規格サイズをそのまま使っていて、それをカットすることはほとんどありません。別のサイズにする根拠が見当たらないんです。規格サイズにゆだねる、みたいな姿勢が好きですね。
 サイズだけではなく、素材の組み合わせにもある程度、自分の中でのルールがあります。例えば、パイプを使ったインスタレーションでは、パイプを繋ぐ角度も決まっていて、展示空間に置く机の重ね方にもルールがあるんです。斜めに重ねることもできるけれど、斜めにはしない。
そういう風には見えないかもしれませんが。」

カノ「最近では、日本だけではなく、世界のいろいろな地域で活躍しているパラモデルですが、海外で何か発見はありましたか。」

 「アジアは、資材屋さんの陳列方法が面白いです。とても狭いところに、ぎゅうぎゅうづめに物が置かれていたり。そういうのは見るだけで面白いですね。海外で見つけた珍しい部品を作品に使うこともあります。
海外で新しい部品を手に入れたり、日本とは違った規格に触れたりすることによって、作品もこれからどんどん変わっていくかもしれません。」


 今回の展覧会では、これまでに制作した平面作品を構成してインスタレーションにしたり、展示室以外の場所を使って制作したりする予定です。林さんと中野さんによる展示空間で、パラモデルの世界観をぜひ体感してください。


*パラモデルのアーティスト・トークが2月15日(土)15:00からございます。ぜひご参加ください。

2014年1月28日

MOTアニュアル2014ブログ No.2 「インタビュー 青田真也」

「MOTアニュアル2014 フラグメント」でご紹介する作家たちは、全部で6人/ユニット。
これから少しずつその横顔を紹介していきます。

紹介してくれるのは、展覧会インターンのカノさんです。
大学院生のカノさんは、展覧会の準備は初めて。
そこで各作家に制作について、素朴な疑問を投げかけてみました。

ではまず、青田真也さんのインタビューをお届けします。

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作家の青田真也さんは、洗剤のボトルやガラスの瓶、木製の民芸品など生活に身近な日用品の表面をやすりで削ぎ落とし、表層を曖昧にする立体作品を制作しています。
今回は青田さんに、素材選びの話から聞いてみました。

カノ「身近な日用品や、民芸品など、見慣れたものを削って作品にされていますが、何を素材にするかは、どのように選んでいるのですか。」

青田「最初はランダムにいろいろなものを削っていましたが、作業していく中で、普段見ているイメージが強いものや、作品を見た人が元の形を想像しやすいものを選ぶようになりました。

青田さん作品画像.jpg
 青田真也《untitled》2006

青田「僕の中で、ここまで削る、という基準があって、元の形が分かる程度にとどめます。作品を見た人が、『見たことがあるけれど、もしかしたら違うかもしれない』と感じるような、曖昧なものにしておきたいです。
機能も、出来る限り残しておきたいです。例えば、プラスチックのボトルだったら、ボトルが破れるまで削ってしまったら、それは作品ではなくなってしまいます。」

カノ「作品を見た人の意外な反応はありましたか。」

青田 「これはどのような素材で制作したのですか、と聞かれることが多いです。
プラスチックボトルの作品は、粘土で作ったものですか、と言われたり。
この間、視覚障害のあるこどもたちとワークショップを行った際は、手触りだけだと、布を巻いているのですか、と言われたりしました。
そのような反応を聞くのは作家としてすごく面白いです。
多くの人が見たことがあるようなものを素材に使うのも、見る人がどう感じるのか知りたいからかもしれないですね。」

今回の展覧会では、ボトルの作品を多数用いてインスタレーションとして発表する予定です。
ぜひ展示室で、作品の質感に注目してみてください。

展示室の青田さん.jpg
*作品サンプルを使って、展示室で展示プランを考える青田さん

*青田真也さんのアーティスト・トークが2月15日(土)15:00からございます。ぜひご参加ください。
*サンデーツアー(3月2日~5月4日の毎週日曜日、15:00~)では、参加者限定で、青田真也さんの作品を触ってご鑑賞いただける予定です。

2014年1月27日

MOTアニュアル2014ブログ No.1「未完のはじまり」

はじめまして!東京都現代美術館の学芸員、森です。
2月15日(土)からはじまる「MOTアニュアル2014」を担当しています。

1月19日(日)に「吉岡徳仁」展、「うさぎスマッシュ」展が無事に終了し、
現在、展示室は準備が急ピッチで進行しています。

壁を移動.jpg
次の展示に備えて壁を移動中


次の展覧会が始まるまで、あと約2週間。
現場の様子や出品作家のプロフィールを随時お伝えします!
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さて今回の「MOTアニュアル2014」のサブタイトルは‘フラグメント―未完のはじまり’です。
‘フラグメント’は聞きなれなれないかもしれませんが、
‘かけら’や‘断片’を意味する言葉で、
最近ではIT用語として小さく断片化されたデータや、不連続なメモリーを指す言葉として、
時々、耳にするようになってきました。

今回のMOTアニュアルでは、
私たちの身の回りにあるごく普通の日用品や日常風景の断片を素材にして、
それに丁寧に手を加えることにより、作品を立ち上げていく作家たちを紹介します。

作家は全部で6人/ユニット。
青田真也、髙田安規子・政子、パラモデル、福田尚代、宮永亮、吉田夏奈。
いずれも当館では初めての紹介となります。
どのような作家なのか?これからアニュアル2014ブログで紹介します。