スタッフブログ

カテゴリー

« 3/4(土)カニエ・ナハ「詩と本のワークショップ」レポート | メイン | 記憶の灯火を絶やさないためにー3月11日(土)remo読み歩きクルーズ「あの日の"あとを追う"-記録すること、残すこと」 »

3/5(日) MOTサテライト 参加作家によるトーク(クサナギシンペイ、松江泰治、毛利悠子)

MOTサテライト2017春 往来往来」の関連イベントとして、3月5日(日)の14時から参加作家であるクサナギシンペイさん、松江泰治さん、毛利悠子さんによるトークイベントを実施しました。

トップバッターはクサナギシンペイさん。

クサナギさんはMOTスペース7(リトルトーキョー)と、MOTスポットE(アライズ コーヒーロースターズ)の2か所に展示をしています。

アライズ コーヒーロースターズに展示しているのは、クサナギさんが2013年に発表した作品集『清澄界隈』に収められている8点。クサナギさんによると、もともとは宮本輝さんの連載のための挿絵として毎月描いたものだそうです。清澄白河エリアを歩いたことのある方は見覚えがあるのはもちろん、そうではない方の中にもなぜか見たことのある風景だと感じる方がいらっしゃるのではないでしょうか。

kusanagi.jpg

一方、MOTスペース7に展示している作品は、絵の具を何層にも重ねて描いている抽象的な絵画作品です。

具象的な風景は、そこにこめられる情報には限界がある一方で抽象的な風景にはそれより多くの情報を入れられる。いわば「一枚の絵が与える情報の容量がギガからテラに出来る」と思って描き始めたのが、MOTスペースで展示しているような絵画に向かうきっかけだったとのこと。
イラストの仕事はあらかじめ下書きなどをするため、制作途中で予想外に生まれたものを省かなくてはいけないこともあったが、このような抽象的なものはデッサンや下書きはないので、描き始めて、どういう形で出来上がるかは本人も予測ができない、それが面白いし、そういうのが良いと思っている、ということでした。
このスペースでの展示タイトルを『荒野へ』と名づけた理由を問われたクサナギさんは、完成が予測できない制作作業を、松尾芭蕉の『おくのほそ道』を例に出して、行き先を決めない旅のようで、苦しくも面白く、今後の決意もこめてつけたとお話されていました。


続いては松江泰治さん。

本展に参加するにあたりこのエリアを見て歩いても最初は「ピンと来なかった」そうですが東京都現代美術館のある場所はかつて木場(貯木場)だったのだ、と気づいてから、だんだんとイメージが沸いてきたそうです。木場の過去と現在をつなぐようなイメージを撮影したい、となったそうです。

matsue1.jpg

展示の依頼があればその土地の人より詳しく調べて、その土地の人すら知らないことも撮影してきたという松江さん。美術館からの依頼の場合は、必ず美術館を空撮するようにもしてきたそうで、上記写真に東京都現代美術館も写っています。
普段歩いている通りも、上空から見ると、そのかたちから土地の歴史や背景、そのまちがどのように形成されたかなどが分かります。会場のお客様の中には、松江さんの写真と手元のスマートフォンなどで見る地図を見比べながら聞いている方もいらっしゃいました。

matsue2.jpg
松江泰治《JP-13 02》

2016年松江さんはトークで、これが今回の「肝」とおっしゃっていました。貯木場は木場から新木場へ。現在貯木場はここと1~2か所しか残っていないそうです。

トークの中では、写真の細部に目を凝らすと気づくものがいくつもあることが明かされ、会場のお客様からは感嘆の声があがりました。これからご来場の方はぜひ会場でお確かめください。

松江さんの作品は、MOTスペース4(赤い庇の旧印刷所)1Fでご覧いただけます。


3人目は毛利悠子さん。

毛利さんは、今回の「MOTサテライト」に参加することになってから、このまちのことを見聞きしただけでなく、縁のある人とこの場所がつながっていたことなどからアイディアマップが一気に広がり、これまで考えていた見えないエネルギーによる現象を作品にしたいというアイディアをもとに「新作をつくろう」となったそうです。

mouri.jpg

展示作品のひとつ、《Voluta》はコイル状にぐるぐると巻かれたオーディオケーブルが、電流を流すことで見えないエネルギーが生まれ、磁石がゆれるなどの作用を生み出す作品です。
もうひとつの《鬼火》は、暗い部屋の中で不意に小さな光が明滅する作品です。お客様がこの作品と出会うときには、この場所へたどり着くまでに見た墓地の風景や、この一帯の歴史などを見たり知ったりすることで、科学で説明できることとはまた別の何かを感じることもあるのではないか、とおっしゃっていました。

毛利さんの作品は、MOTスペース5(F邸)でご覧になれます。


(RN)


「MOTサテライト 参加作家による連続トーク」は残すところあと1回となりました。
制作のエピソードなどを作家自らが語るめったにない機会です!
当日先着順ですので、ぜひお気軽にご参加ください。

参加作家による連続トーク
2017年3月20日(月・祝)14:00-16:00
吉増剛造、カニエ・ナハ、花代、ひがしちか
会場:三好地区集会所(MOTスペース4の北へ二軒隣)
*会場は都合により変更になる場合がございます。定員:40名(先着順)当日直接会場にお越しください。

MOTサテライト 2017春 往来往来は3/20(月・祝)まで!
詳細は⇒http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/mot-satellite-1.html