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3/12(日) mi-ri meter、飯山由貴、remo[NPO法人記録と表現とメディアのための組織] 参加作家によるトーク 

MOTサテライト2017春 往来往来」の関連イベントとして、3月12日(日)14時から参加作家であるmi-ri meter、飯山由貴、remoのトークイベントが行われました。最初にmi-ri meterがこれまでの活動を画像で紹介しながらお話して下さいました。

mi-ri meterは宮口明子、笠置秀紀の二人の建築ユニット。都市空間や公共空間などの場所をリサーチし、ワークショップ、プロジェクトなど、建築に留まらないユニークな手法で個人が主体的に関わることができる視点や場を提示してきました。

mi-ri meter1

彼らの最初のプロジェクトは1999年の「MADRIX」。これは住宅の"間取柄"のレジャーシートで、当時、渋谷のセンター街で女子高校生達が地べたに座り込んでいる姿を見て思いついたのだそうです。これを道に敷けば、公共空間に私的なリビングルームが出現するというアイディアです。その後、2000年には「屋外電源コンセントマップ」を製作。こちらは、都市空間をどこでも居場所にするうえで、生活に不可欠な電力の供給源を確保するために、屋外にある電源コンセントの位置を把握しようというもの。屋外であっても、電気を勝手に使用することは違法なので、あくまで都市空間のポテンシャルを明らかにするプロジェクトでした。もし屋外電源の使用が可能であれば、携帯電話やラップトップパソコンはもとより、炊飯器で御飯も炊けてしまうので、家や建物に留まらないライフスタイルが生まれるかもしれないという考え方に沿ったマップでした。また、2005年の「TENTS24」 はコインパーキングにテントを張って1時間100円で泊まることが可能な場所として、宿泊機能を改めて問いかけるものでした。また同じく2005年にアーツ前橋で行った「SLEEP SERVICE」 は、ベッドを載せたトラックを屋外の駐車場に置いて参加者が寝ることの体験をするプロジェクトです。こちらも「TENTS24」と同じく時間制で課金されるシステムで、街中の公共の場所で身体を預けて眠るという感覚を通して、町を主体的に捉えることができるのでは?というプロジェクトだったそうです。

そして最近の活動として「URBANING-U 2DAYS CAMP」について、お話をされました。これは、都市の学校という意味合いで、1泊2日のキャンプを行い色々な体験をするイベントだったそうです。例えば「町が小さくなるまで歩き続けなさい。」というインストラクションに従って町中を歩き回ったり(町を機能としてではなく、地形として感じるため)、「町を掃除しなさい。」という指示を与えられ、それにしたがって町を自由に掃除します。丹念に掃除をすることによって、町に愛着が湧き、家の外の町がまるで自分の家の延長のように感じられてきたという感想があったそうです。そういった体験やディスカッションをしながら「町について考える」イベントだったそうです。

そして話はいよいよ今回のMOTサテライトの作品「清澄白河現在資料館」へ。

こちらは、清澄白河に長く住む人、最近住み始めた人、東京の他の地域に住む人等それぞれの視点で見た"清澄白河"に関するインタビューをまとめた映像をみることが出来ます。この作品でmi-ri meterは、インタビューすることでインタビューされた人が変わっていくといいうのが願いだと話していました。また、清澄白河は公共空間が既に非常に活用されている地域であり、それがなぜなのか?ということが作品に反映されていると思うとも話されていました。

mi-ri meter2

次はお二人目の参加作家、remo [NPO法人記録と表現とメディアのための組織]の松本篤さんです。松本さんは、紙と鉛筆のような「文房具としての映像」というアイデアを手がかりに、表現活動や日常における"メディウム(媒介)"のあり方を多岐にわたって実践・研究する非営利組織です。これまで、日本各地で8ミリフィルムや写真など私的な記録物をアーカイブするプロジェクト「AHA!」などを行ってきました。

この活動を行うきっかけとなったのは、2000年頃に映像を記録するコンパクトビデオカメラなどが手ごろな価格で普及し始めたことだそうです。以前からの活動として、「映像の句会」と題し、撮影のルールを決めて、映像のワークショップを行っています。参加者は、撮影した映像をそれぞれに鑑賞しながら映っているものを見ながら何を思ったか書きとめます。こうして他人の撮影した映像が自分の記憶となっていくことが興味深いと話していました。また、「AHA!」プロジェクトの最近の活動として、茨城県大子町での活動の紹介もありました。こちらは大子町に住む人達から、家にある〈8ミリフィルム〉を持ってきてもらい、アーカイヴ化するプロジェクトです。この映像をデジタル化した後に皆で集まって上映会をし、鑑賞することで他人の記憶の映像が鑑賞者の記憶にもなっていくという試みです。

remo

そして今回の3人目の参加作家、飯山由貴さん。彼女はこれまでに、過去の歴史資料などの綿密なリサーチをもとに、個人/共同体の物語が作られるメカニズムに焦点を当てたインスタレーションや映像作品を展開してきました。

2016年の瀬戸内国際芸術祭では「生きている百物語」と題して、直島に住む人たちへ「不思議な体験」についてリサーチを重ね、その話をベースにインスタレーションを製作しました。この作品をきっかけに島の住民同士のコミュニケーションがうまれ、人と人をつなげることができたのかなと感じ嬉しく思いましたと語って下さいました。

Iiyama

そんな2組の作家がコンセプトから話し合い、清澄白河の地域の方々から提供を受けた8ミリフィルムをもとに、それぞれの作品を製作しました。

まず、remoのプロジェクトは、三つの家族のフィルム映像と『あとを追う』と題された冊子で構成されています。冊子には、ひとりの提供者が過去の映像を見ながら発した言葉とともに東京大空襲の体験者が、自身が過去に書いた手記をもとにこの地を歩いて発したことばなども記録されています。この冊子は、飯山由貴+remo[NPO法人記録と表現とメディアのための組織]の展示会場(MOTスペース6 平野の旧印刷所)でも配布されていました。

飯山さんは《顔》と題した映像作品で、フィルム提供者のそれぞれにある顔の記憶に迫っていきます。フィルム提供者は、映像に映るかつての家族の顔に、彼の孫たちを重ね合わせていたり、現在のイメージと記憶を重ね合わせその人にしか分からない記憶を浮かび上がらせる作品となっています。

記録があるからこそ、各フィルム提供者の"記録が無い記憶"までたどりつくことができる。清澄白河の様々な記憶にアクセスできる作品となっています。

mi-ri meterのお二人、remoの松本さん、飯山さん、
貴重なお話を有難うございました!

(広報MN)