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2017年2月28日

2/25(土)カニエ・ナハ+大原大次郎「深川の漣ツアー」レポート

「MOTサテライト 2017春 往来往来」では、メイン会場の「MOTスペース」7か所展示をしているほか、「MOTスポット」と名づけた店舗や施設等でも小規模な展示を行っています。

この「MOTスポット」の17か所では、詩とタイポグラフィのコラボレーションを行ったカニエ・ナハさんと大原大次郎さんのコラボレーションによる「のれん」《旅人ハ蛙、見えない川ノ漣》という作品をご覧いただけます。
先日2月25日(土)に、カニエ・ナハさんと大原大次郎さんのお二人がこの作品を解説する「深川の漣ツアー」を実施しました。

春がもうすぐ来ることを感じさせるような暖かい陽射しの中、おふたりの作品の展示スポットをめぐりながら、詩の解題やデザインの意図、またのれんになるまでにカニエさんと大原さんの間で交わされたやりとりなどを明かしながらツアーが進みました。

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MOTスポットN(あづま屋文具店)
このお店では鉛筆に名前を入れるサービスをしているのにちなみ、カニエさんは「鉛筆」が使われている当館収蔵作品、レベッカ・ホルンの《バタフライ・ムーン》も詩の中に詠みました。
また、大原さんもそれにちなみ、のれんに鉛筆でカニエさんの詩を書いたそうです



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MOTスポットHの「しまぶっく」という古書店。
こちらの詩がのれんを設置している17か所の中でもっとも長いものとのこと。「しまぶっく」という響きから、当館収蔵作品の島袋道浩さんの《そしてタコに東京観光を贈ることにした》につながり、海、タコ、足、サッカーなどにイメージがどんどんつながっていきます。



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MOTスポットD(オールプレス エスプレッソ)ののれん。
コーヒーロースタリー&カフェのこの場所では、大原さんは「コーヒー豆の袋のプリントのような雰囲気、またその袋を開いたようなイメージにした」とお話されていました。


これらののれんをつくるにあたり、カニエさんからの投げかけに対して大原さんがタイポグラフィを考えたり、逆に大原さんから、たとえば、「お店の屋号にちなんで数字とアルファベットのものを」とリクエストを出したものに対してカニエさんが詩で応じたり、というやりとりがあったそうです。

カニエさんが「詩はもともと朗読される機会は多いが、今回の大原さんとのコラボレーションにより、大原さんが文字で詩を朗読してくれたと思う」とおっしゃったのに対し、大原さんは「カニエさんの詩をのれんに起こす("朗読"する)際は自分の声が強すぎることのないよう、観る人自身の声で詩を受け取れるよう、自分のデザインの色が出過ぎないように心がけた」とおっしゃっていました。

今回カニエさんが詠んだ詩の多くは、この地域に縁が深い松尾芭蕉や小津安二郎、伊能忠敬や平賀源内などの著名人の作品やエピソードなどを参照しているだけでなく、当館の収蔵作品、のれんを設置しているお店の情報などを幅広く参照しています。また、「水」「川」といったものを想起させるものも多く、あたかものれんや詩がまさに漣のように水面に浮かんでいて、そこから大きな池の中に潜っていくように、このまちを味わうことができるようだと感じました。

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ツアーの「延長戦」ということでまわった江東区芭蕉記念館。

MOTサテライト」の展示のメイン会場である「MOTスペース」は、木・金・土・日・祝に開場し、月~水はお休みですが、こののれんの作品は各店舗・施設の営業日に応じてご覧いただけます。

今後はMOTサテライト会場にて解題をプリントしたものを配布する予定です。同じく会場で配布しているマップとあわせてご覧になりながら、まちのあちこちで、漣のように軒先でゆれるのれんをたどる散歩にいらしてはいかがでしょう?
(カニエ・ナハ)による解題と、詩の原文

(RN)


「MOTサテライト 2017春 往来往来」の今後のイベント情報はこちら

イベント情報:
http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/mot-satellite-1.html#tabs=tabs-3

2/19(日) フェロー・プロジェクト gift_+AS「ラジオ往来往来公開録音」

2/19(日)19時~「MOTサテライト」のフェロー・プロジェクトgift_+ASの『ラジオ往来往来』の公開録音が清澄白河にあるgift_の拠点gift_labで行われました。
今回はこの『ラジオ往来往来』を製作したgift_のお二人、後藤寿和さん、池田史子さん、ASことアンドレアス・シュナイダーさん、そして「MOTサテライト」企画担当の当館学芸員 藪前知子が『ラジオ往来往来』について話しました。

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ちょうど去年、清澄白河に移ってきたgift_のお二人は以前から音をテーマにイベントやワークショップを行っており、清澄白河でも音と場所に関する地域と連携した試みが出来ないかと考えていた時に「MOTサテライト」の話があったと話されていました。
同じく清澄白河に住みながらサウンド・アートのイベントを数多く企画してきたアンドレアス・シュナイダーさんと一緒に何かしてみませんかと当館の藪前が提案し、ごく自然な流れで協働することになったそうです。話し合いをしていくなかで、音をテーマにするならラジオを作ってみようということで、今回の「ラジオ往来往来」が誕生しました。

この架空のラジオは、インターネット上でチャンネルを回し合わせることによって放送が聴ける仕組みになっていて、アンドレアスさんによると「チャンネルを合わせる行為もラジオだからそこにはこだわった」という事でした。チャンネルは全部で7チャンネルあり、ch1はMOTサテライトのできごとや、関連イベントの音を収録・配信していく「MOTサテライトレポート」、ch2「清澄白河まちおと」はまちの住人の方が収録したまちのどこかで鳴っているいろいろな音、ch3「清澄白河いろんなこえ」と題してまちに関わる人々の声・インタビューなど、ch4「清澄白河を奏でる」まちにまつわる音楽、まちを奏でた音楽、ch5は「吉増剛造チャンネル」と題して参加作家の吉増剛造さんがまちを言葉で造形する耳散歩を楽しめたり(今は同じく参加作家の花代さんの朗読が聞けます。)、ch6は「聴いてみてのおたのしみ!」ch1~7までの全プログラムのどれかの音が聴こえてくるシャッフルチャンネル(参加作家の詩人カニエ・ナハさんによる書き下ろしの時報の詩が何と本人による朗読が流れたりしますのでお楽しみに!)、ch7はサウンドアーティストsawakoさんが清澄白河で採った音とオリジナルの音楽で構成するサウンドスケープ「往来音景 all right OK 001」を聞くことができます。このch1~7のコンテンツは会期中のイベントに合わせて新しい音源が追加され変化していくので、このラジオにアクセスする度に新しい音が聞けます。

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gift_labのラジオブースのようなスペースで「ラジオ往来往来」を楽しめます。

今回は各チャンネルを作るのに協力してくださった方々もお話をしてくださいました。まずは、今回MOTサテライトの地域パートナーにもなっている映画「小名木川物語」の製作・脚本を担当された東海亮樹さんと音楽担当の岡野勇人さんがお話をされました。東海さんは今回映画の音の編集をしていく中で、音の感覚が変化していったといいます。映画では普段気づかない様な周波数のノイズが多く含まれていて、映画の編集をする中でそういった音にも敏感になったということです。音楽担当の岡野さんも音をきっかけに地域の人たちがつながっていく『ラジオ往来往来』今後が楽しみですとのことでした。ch4でも岡野さんが作られた「小名木川物語」で流れている音楽を聴くことができます。また番組の節目に流れる、まちの人たちの声による「ラジオ往来往来!」というジングルを作って下さった清澄白河に住む岡島さんがお話をして下さいました。制作にあたって清澄白河界隈を歩きながら地域の人たちにこの言葉を録音させて下さいと声をかけたところ、皆さん協力的でとても楽しかったと話されていました。そして、ch2の「清澄白河まちおと」でご協力くださった清澄白河に住む松島さんもお話をして下さいました。松島さんはアライズ コーヒーロースターズ(MOTスポットE)でアンドレアスさんと知り合いになり、それがきっかけでまちの音を録り始めたそうです。「隅田川、風の強い波音」、「ときいち餅つき(地域の餅つき大会)」、「猫のけんか」は松島さんの録音によるものです。お二人ともこの録音をきっかけに音に敏感になったと話されていました。

『ラジオ往来往来』は、自由に参加できることが最大の特徴で、今後清澄白河エリアに関するさまざまな音を募集していく予定だそうです。あなたの録音が「ラジオ往来往来」で流れるかも!?募集については、今後『ラジオ往来往来』HPで告知されるのでぜひ皆さんこちらをチェックしてみてください。http://radio.oraiorai.org
※このイベントの様子もch1で聴くことができます。
『ラジオ往来往来』は上記URLの他、gift_lab(FP1)、江東区深川江戸資料館(MOTスポットQ)、江東区立深川図書館(MOTスポットO)でも聞くことが出来ます。こんな装置が置いてありますので、黒い円の空洞の空間に頭を入れて、聴覚だけでラジオを楽しんでみてくださいね。
(広報MN)

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「MOTサテライト 2017春 往来往来」の期間中は様々なイベントを予定しています。
イベント情報に今後のイベント予定をお知らせしていますので、ご覧ください。

みなさまのご参加をお待ちしています。

イベント情報:http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/mot-satellite-1.html#tabs=tabs-3




2017年2月27日

2/19(日) 佐野文彦、ごはん同盟 参加作家によるトーク

「MOTサテライト2017春 往来往来」の関連イベントとして、2月19日(日)14時から参加作家である佐野文彦、ごはん同盟のトークイベントが行われました。
まずは、佐野さんがこれまでのご自身の作品を画像で紹介しながらお話して下さいました。佐野さんは数奇屋大工に弟子入りされた後、2011年に独立されstudio PHENOMENONを設立。一貫して興味を持ち続けているのは「日本的な空間とは何か?」というテーマだそうです。特に障子や縁側など中と外の"中間領域"に興味があると話されていました。
今まで手がけられてきた多くの作品の中でも特に気に入っているのが2012年にパリに完成した《MIWA》。日本の"折形"(贈答や室礼などの際に用いられた紙を折って物を包む日本の礼儀作法の1つ)を軸に文化を発信していく会員制クラブで、佐野さんはこの建築のために神道を勉強され、「日本の精神性を空間を使ってどう伝えるか」を考えて作っていったそうです。

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佐野文彦《MIWA》 2012年

その後も釜山ビエンナーレやNYなど世界各地で日本的な空間を発表していた頃、文化庁の文化交流使に選ばれ1年間海外へ行くことになりました。伝統的な技術を持つ大工の方々の高齢化が進む中、「15年後には日本の伝統的な技巧が消えてしまうのではないか?」という思いがあり、それならば、まずは各土地に根ざした世界中の地域文化を見たいと思い、ヨーロッパやマレーシア、フィリピンなど様々な場所で現地の素材を使ってもてなしのための空間を作るプロジェクトを行うことにしました。フィリピンでは、まずその場で木材の切り出しが始まりビックリしたといいます。材料は地域の伝統的なもの、意匠は佐野さんの考えた日本的なもの、完成するまでの過程が楽しく、限られた時間と材料の中で極限までストイックに作品作りをすることに醍醐味があるとの事でした。やはりここでも「日本的な空間認識をどう表現するのか?」ということを常に考えて空間を作り上げたそうです。

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そして話はいよいよ今回の「MOTサテライト」で発表した《139.804083,35.681083》へ。この作品はご自身もこの地域に住む佐野さんが、「清澄白河エリア」でリサーチを重ねる中で「この地域には中心がない」ということを発見したところから着想されました。この作品は『深川資料館通り商店街事務所(MOTスペース3)』に無形の中心を作るという発想から生まれました。展示室の中心には神が宿ると言われ崇められてきた「磐座(いわくら)」が置かれています。この「磐座(いわくら)」は透き通った素材で出来ており、今年の深川八幡祭りに奉納するために熟成させている酒の映像が映し出されています。さらに周辺に設置されたモニターには、地域の各所からの風景がライブ中継されていて、形がなく情報のみが集まるまちの中心を演出しています。佐野さんも来場者の方がこの展示を通して日本的な空間を感じ取ってもらえれば・・と話されていました。皆さんもぜひ実際にこの作品を見に来てください!

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ごはん同盟 (右側がシライジュンイチさん)

さて、それではこの辺で本日のもう一人のゲスト「ごはん同盟」のシライジュンイチさんの登場です。ごはん同盟は清澄白河に住む、ごはん好きの、ごはん好きによる、ごはん好きのための、炊飯系フードユニット。試作係のしらいのりこさん、試食係のシライジュンイチさんのお二人で、お米やごはんに関するワークショップ、イベント、執筆、メニュー開発などを行っています。ご夫婦でもあるお二人のチームワークはバッチリ。なぜご飯なのか?まずはここからシライさんによるお話が始まりました。実はシライさん、ご実家が新潟の米農家なんだそうです。学生時代から憧れていた編集者になったシライさん、小さい頃から慣れ親しんだお米への「愛」は不変で、東京へ出てきた後もご実家のお米をマルシェで販売などしながらお米を炊いて食べてもらうイベントを始めたことがきっかけとなり、「ごはん同盟」の活動が始まりました。シライさんの願いは「楽しくごはんを食べてもらうこと」。その思いを伝えるため、門前仲町にある深川東京モダン館で『喫茶にちよう』を不定期に営業していたり、最近では「旅する羽釜」というプロジェクトを立ち上げ文字通り『羽釜』を担いで日本全国を訪れ、ワークショップやイベントなど楽しくご飯を食べてもらう活動をされています。また、「定食採集」というおかずにごはんをつけて「定食」の形にしたものを撮影し採集するプロジェクトも継続されています。「日本以外の国だとアジアではご飯を食べているので必然的にアジアエリアで撮影した定食が多いですね。」とのこと。

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そして、現在『江東区深川江戸資料館(MOTスポットQ)』で展示されている《深川蔵屋敷弁当》。かつて深川に諸藩の米蔵があったという史実に注目したごはん同盟は、もし現在の深川に蔵屋敷があったらという設定でお弁当を作り上げました。シライさんによると清澄白河エリアは江戸時代からの埋立地であり都市が拡張していった縁という印象を強くもったそうです。現在もその拡張は続いているように感じるというお話が印象的でした。展示されているお弁当は残念ながら模型と写真で実際に食べられないのですが、そのメニューは鰯の糠漬け焼き、笹かまぼこと万願寺唐辛子の春巻き、鶏の江戸味噌漬け焼き、花蓮根の明太子詰め、枝豆の珈琲煮、そして忘れてはいけない白米と沢庵等々、どれもとても美味しそう!展示を見た後に自分でも作ってみて、友達や家族と話しながら江戸時代の深川のご飯に思いを馳せるというのも楽しそうですね。

佐野さん、シライさん興味深いお話を有難うございました!          

(広報MN)
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「MOTサテライト 2017春 往来往来」の期間中は様々なイベントを予定しています。
イベント情報に今後のイベント予定をお知らせしていますので、ご覧ください。
みなさまのご参加をお待ちしています。

イベント情報:
http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/mot-satellite-1.html#tabs=tabs-3




2017年2月20日

2/12(日)吉増剛造プロジェクト「水の音句会ライブ」

「MOTサテライト 2017春 往来往来」の第1弾イベントとして、2月12日(日)の14時から「水の音句会ライブ」が行われました。

吉増剛造さん、カニエ・ナハさん、高柳克弘さん、城戸朱理さん、朝吹真理子さん、花代さんの6名が、吉増さんのアイデアで帽子とレインコートを身に着け、芭蕉庵史跡展望庭園から吟行へ出発。
隅田川やWILD SILK MUSEUM、コシラエルや仙台堀川などを散策しながら清澄庭園を目指しました。

一方、清澄庭園の大正記念館に集まったお客様は、映像を通してその吟行の様子を見守りながら、一行の帰りを待ちます。

1時間強の吟行を終えてお客様の待つ会場へ戻った6名。いよいよそれぞれ3句ずつを出句します。

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左 朝吹真理子さん 右 城戸朱理さん

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清記をする吉増剛造さん

続いて、それぞれが良いと思う句や好きな句を3句ずつ選句し、誰がどの句を選んだのかを発表したり、その句をなぜ選んだのか、などをお互いに講評したりしながら句会は進みました。

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同じコースをめぐっても、五・七・五の17文字という限られた文字の中で表現する世界や、句のリズムなどはみなそれぞれで、どの句がどなたの詠んだものかが明かされると、「なるほど、この人のものらしいな」と思うものも、逆に意外に思うようなものもありました。

句会の最後は、会場のお客様の句の選句と講評。
お客様から集めた句の中から、6名がそれぞれ良いと思う句を選び、発表することに。ユニークな句がたくさんあり、選ぶのに苦労された様子でしたが、それぞれが選んだ句を披露し、句会は終了しました。

今回は「俳句を詠む」という目的で、このまちを歩いたり吟行の様子を映像で見たりしたことで、句会に参加したみなさんそれぞれにあらたなまちの姿に気づくことがあったようです。
「MOTサテライト」もまちなかで作品に出合ったり、まちの人たちとお話したりすることで、みなさんもきっといろいろな発見があるかもしれません。

(RN)


「MOTサテライト 2017春 往来往来」の期間中は様々なイベントを予定しています。
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