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オスカー・ニーマイヤー展 SANAA西沢立衛氏による作品解説⑧ニーマイヤードローイング/ニーマイヤーデザインとクリエーターたち

⑧ニーマイヤードローイング/ニーマイヤーデザインとクリエーターたち
※以下N:西沢立衛氏、H:長谷川祐子(当館チーフキュレーター)

H:では、最後の部屋に移ります。この部屋は、手仕事のようなもの、そしてある意味で親密な空間を味わってもらうということを考えた部屋です。ここで見て頂きたいのは、トミエ・オオタケさんの彫刻モデルです。トミエさんは今年亡くなられたのですが、本当に素晴らしい方でしたので、当館でも、寄贈の作品をコレクションし展示しています。それもぜひ合わせてご覧頂き、偉大なアーティストを知って頂く重要な機会にして頂けたらと思います。
それからこれは2001年にニーマイヤーが描いた、16メートルあるオリジナルのドローイングです。これを見て頂くと、彼のドローイングをつくっていく筆致が、いかに自由なものであるか見て頂けると思います。
またこれはドローイングを描きながら撮ったビデオでして、ひとつひとつの建物についての情報や、ドキュメンタリーも含まれています。みなさんご覧になると、途中で見てきた、ご記憶にある建物もあると思います。ですので、彼のなかでは全て有機的に連鎖していて、つながっていて、ひとつの彼の世界観をつくっていく、そういうパノラマとしてご覧頂けたらと思います。
西沢さんこれについてはいかがでしょうか。

⑪ニーマイヤー.jpg
"オスカー・ニーマイヤー展 ブラジルの世界遺産をつくった男"展示風景, 2015
撮影:江森康之

N:個人的な話になってしまうのですが、この巻物を見たのは僕は今回が初めてですが、これを見て驚いたのは、ニーマイヤーは建築をほんとうに大量につくっているのです。リカルド・オオタケさんも、ニーマイヤーは考える時間もないくらい働いていた、と言っていたくらいなのですが、この巻物を見ると作品が数点しか挙げられておらず、それらが今回展示したものとほとんど被っていて、僕としては感慨深いというか、セレクションが近いじゃないかと、これを見られて幸せです。

H:ニーマイヤーは幼い頃からドローイングがすごく好きな、巧みな子どもでした。建築家になろうと決めたのは、これは冗談かもしれませんが、21歳のときにアニタ夫人と結婚して、奥さんをもらったのだから稼がなくちゃ、という動機だったというエピソードがインタビューのなかで語られています。ドローイングを描いていて、そのドローイングが現実のものとして現れてくるような、そういうイメージをいつも持っていた、とも話しています。

そういう意味で、彼がつくりだすものは複雑な技術的工程を経ないで、そのまま建築に実現されている、そうしたイメージを持って頂けたら、そしてドローイングと最終的な空間の近さをみなさんにイメージして頂けたらと思います。

更にここではパウロ・ヴェルネック、先ほど申し上げたニーマイヤーと親しくしていた、パンプーリャの壁画をつくったアーティストの作品があります。タイルの可能性を見出して、それを建築の表面に使っていく。これはニーマイヤーのデザインした公共施設やホテルの壁だったりするのですが、そのためのドローイングをガッシュで描いています。そうした建築とアートの関わりというものを少しでもご紹介できれば、そして実際のタイルの雰囲気も、展示作品から見て頂ければと思います。また、ここに2種類の椅子がありましてブラジル大使館からお借りしているものです。ニーマイヤーの提案する、人の身体に沿った優雅な曲線ということと、それからひとつの造形の考え方ということを、この家具で味わって頂けたらと思います。

⑫ニーマイヤー.jpg
"オスカー・ニーマイヤー展 ブラジルの世界遺産をつくった男"展示風景, 2015
撮影:江森康之


長い間お付き合いいただき、有難うございました。

オスカー・ニーマイヤー展もいよいよ終了間近の2015年10月12日(月・祝)まで。
ぜひ何度でも「オスカー・ニーマイヤー展」へ遊びにいらしてください。

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