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「ゼロ年代のベルリン」作品紹介-1(オマー・ファスト)

早いもので「ゼロ年代のベルリン―わたしたちに許された特別な場所の現在(いま)」展も残すところあと一ヵ月となりました。
何かと忙しい師走ですが、ぜひ皆様にもっと本展を知っていただきたいと思い、まだ展覧会を見ていない方に(そしてすでに見られた方にも)本展出品作品の紹介として、これから何回かにわたって作品の見どころや背景について少しお話していきます。


第1回
オマー・ファスト《キャスティング》
2007年、4チャンネル・デジタルフィルム

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オマー・ファスト《キャスティング》2007年 Photo: Nick Trikonis © OMER FAST


本作品は、イスラエル出身のオマー・ファストによる、二つのスクリーンの表裏にそれぞれ投影された計4つの画面からなる映像作品です。作家がアメリカ軍兵士にインタビューし、そこで兵士が語る二つのエピソードが元となっています。一つは、イラク派兵時に誤って民間人を撃ってしまった出来事、もう一つは、ドイツで自傷行為を繰り返す女性とクリスマスを過ごした話。この時間も場所も異なる二つのエピソードを、ファストはカットアップし、精緻につなぎ合せることにより、まるで一つの物語かのようにその再現映像が表面のスクリーンで展開します。一方、裏面では、インタビューの光景が映し出されます。
こうした編集によって恣意的に物語が紡がれることは、私たちが日々接しているマスメディアが発信する情報においてもしばしば指摘されていることです。ファストの本作品は、こうした情報や記憶の恣意性を私たちにあらためて気づかせてくれます。

(本展担当学芸員 吉崎)

次回は、フィル・コリンズの《スタイルの意味》についてお話します。


「ゼロ年代のベルリン―わたしたちに許された特別な場所の現在(いま)」

開催中~1月9日(月・祝)まで
HP http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/128/