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2017年10月31日

くらしに美術館を!

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10月21日(土)、有楽町にある無印良品にて、
MOT美術館講座(出張版)を行いました。
無印良品では、毎月くらしにまつわるイベントを
店内のOpen MUJIというスペースで開催しており、
その一環で開催させていただきました。

タイトルは「くらしに美術館を-MOTサテライトに行こう-」。
現代美術館から学芸員の3名がトーカーとして登壇し、
クイズを交えながら現代美術館や現代美術についてのレクチャーを行ったあと、
現在開催中のMOTサテライト「むすぶ風景」について紹介しました。

みなさん熱心に我々の話に耳を傾けてくれました。
終了後のアンケートには、
「現代美術に対する見方がかわった」
「MOTサテライトに行きたい」
「ふだん聞くことができないお話がたくさんあり楽しい時間だった」
など、好意的なご意見をたくさん頂戴することができました。

MOTサテライト期間中(会期11月12日まで)のイベントとして、
土・日・祝の14時30分と15時30分の2回、
当館ガイドスタッフによる「トーク&まち歩きクルーズ」を実施しております。
集合場所は、MOTサテライトの「案内所」です。
ぜひご活用ください。(G)

2017年9月20日

「食と言葉」の関係

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今回のMOT美術館講座は、アーティスト、
料理家である岩間朝子さんに企画をお願いしました。

テーマは「食と言葉」。

全部で2回行われるその第1回目(実施日9月10日。
2回目は11月4日に実施予定)は、岩間さん同様、
料理家であり、アーティストでもあるジェローム・ワーグさんを
ゲストに迎えてワークショップを行いました。
(現代美術館は現在休館中のため、
場所はトーキョーワンダーサイトレジデンスを使用しました。)

「Rules and Tools」と題された本ワークショップでは、
アーティストから課される「Rule」の下、
さまざまな「Tool」を使って「Gift」(=ラビオリ
※ただし、ワークショップ中は「ラビオリ」という
言葉は使用しないルール)を作り、
他の参加者とシェアして食べるというものでした。

最初に、参加者は会場に入るとインストラクションの入った封筒が渡されます。

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封筒には「PLEASE MAKE A CIRCLE / CIRCLEになってください」と書かれ、
中には一枚のカードが入っており、その表面には
「KNOW THE RULES / RULEを知る」
「USE THE TOOLS / TOOLを使う」
「MAKE THE GIFT / GIFTを作る」
という3つのインストラクションが書かれています。

一方、裏面には、
「Is the body a tool? / 身体はtoolですか」
「Is language a tool? / 言語はtoolですか?」
「Is art a tool? / アートはtoolですか?」
「Is togetherness a tool? / 共にある事はtoolになりますか?」
の4つの質問のうち一つだけが書かれています。
ワークショップはこのインストラクションに沿って進められました。

①「PLEASE MAKE A CIRCLE / CIRCLEになってください」
まず初めに、ジェロームさん、岩間さんから
「CIRCLEになってください」
と指示が伝えられ、参加者はテーブルを囲んで、ひとつの円を作ります。

②「KNOW THE RULES / RULEを知る」
次に、ジェロームさんがパスタ生地を引き伸ばし、
切り分け、生地で具を包んで、「Gift」を作る一連の流れを見せます。
このデモンストレーションの過程を見ることによって、
参加者はこのワークショップの「RULEを知る」ことになります。

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③「USE THE TOOLS / TOOLを使う」
テーブルの上には25種類の具が並べてあり、
岩間さんが
「これからToolを使ってGiftを作ってください」
と言うと、参加者が25種類の具から選んで各自が思い思いの
「Gift」を作ります。
この具がGiftを作るためのToolであり、
インストラクションのカードの裏の質問にもある
「身体」「言語」「アート」「共にある事」もToolになります。

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④「MAKE THE GIFT / GIFTを作る」
参加者は、誰に対してのGiftなのかを考えたり、
他の参加者と話したりしながら、
いくつかの具を選んで詰めてGiftを包んでいきます。
三角形に包んだり、巾着状に包んだり、リボンをつけたり、
包み方もそれぞれ違います。
参加者が作ったGiftを岩間さんとジェロームさんが茹で、
一枚の大きなお皿に盛り付けて、
最後にベシャメルソースをかけて出来上がり。
そのGiftを一つ隣の人に取り分け、自分が作ったものが
誰のもとに渡るのか気になりながら、お皿を回していきます。

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実食。
他の参加者が作ったGiftの中に何が入っているのか
ドキドキしながら口にしていきます。
他者が手で作ったものを食べることに抵抗感を感じる人も
いるのではないかと懸念していたのですが、
皆さん抵抗なく食べていました。

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食事の後は、トークの時間。
はじめに岩間さんが今回のワークショップの意図や
インストラクションの意味について説明。
かつて岩間さんはカリフォルニアにあるレストラン
「シェパニーズ」でジェロームさんと出会い、
そして、岩間さんがベルリンから日本に戻り、
ジェロームさんはアメリカから日本に移り住んできた時に
二人は再会し、そこで日本の社会で共有されている
"文化のコード"について話したことがきっかけで、
今回のワークショップが企画されたことが説明されます。

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次に、ジェロームさんがこれまでのキャリアについて語ります。
両親がアーティストだったこと、そして母の友人だった
フルクサスのアーティスト、ロバート・フィリウの
「アートは人生をよりもおもしろくするもの」という言葉に
影響を受けたことなどが語られました。
また、ジェロームさんにとってアートは自分が世界の一部となるための
ツールだったと言います。

その後は、参加者を交えてフリートーク。
ここでは、具が何か分かりにくいものもあり、
他の参加者に聞いたりすることによって
自然とコミュニケーションが生まれた、
Giftの中身がわからないからこそ普段以上に味わって食べた、
などの意見が出ました。
そして、「Gift」をどう捉えるか、
誰に向けてものなのかなどその受け取り方は
参加者それぞれで異なっていたことも話の中でわかってきました。

なお、ドイツに暮らしていた岩間さんから
「Gift」は英語では「贈り物」という意味があるが、
ドイツ語だと「毒」という意味もあると伝えられると、
参加者からは「えっ!」と驚きの声があがりました。

最後に、一人の参加者から、最近料理が数値化されたり、
レシピ本などによって型にはめられているように感じていたが、
今日は異なる形で食について考えることができ、
参加してよかったという意見もいただきました。

今回のワークショップを通じ、
「調理する」「食べる」という行為を改めて捉えなおし、
日本社会の中で共有されているコードについて考える
きっかけになった一日となりました。(KY)

2016年4月 8日

「豊嶋康子レクチャー ーほかの見方」

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今年度最初のMOT美術館講座は、4月3日(日)に、
現在開催中のMOTコレクション「コレクション・オンゴーイング」にて
特別展示を行っている美術家の豊嶋康子さんにレクチャーをお願いしました。

豊嶋さんは、90年代よりアーティストとして
活動を開始し、近年あらためて注目を集めていらっしゃいます。
今回の特別展示は、収蔵作品に特別出品を交え、作家自身の
インスタレーションによって構成されています。

本レクチャーでは、豊嶋さんの膨大な作品群の中から
自らセレクションした作品をスライドで見せながら、
そのコンセプトや制作経緯について語っていただきました。

豊嶋さんがレクチャーのタイトルに付けられた「ほかの見方」。
裏面を覗き込まないと細工がわからない作品=〈パネル〉シリーズを観る者は、
既成概念にとらわれがちな自分に気づかされます。
「自らが社会の中でどのように形成されているのか」という問いかけが、
あらゆる作品となって表出していることを、丁寧に解説してくださいました。

なお、今回の講座では試験的に手話通訳を導入し、
今後の当館におけるアクセスプログラムの実用の可能性も探りました。
実際に聴覚に障害のある方も数名ご参加いただき、
運営についてのご意見も頂戴することができました。
(J.O./ G)

2016年1月 5日

MOT美術館講座(企画展関連)

2015年の11月・12月に、企画展関連企画として2回にわたり
MOT美術館講座を開催しました。

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まず、「オノ・ヨーコ|私の窓から」展の関連企画として、
11月21日(土)に「前衛の源流を考える―戦前と戦後をつなぐ」と題し
レクチャーを行いました。

小野家の戦前における美術との関わりを中心に、
ロシア・アヴァンギャルドや大正期新興美術運動を専門とする
筑波大学教授の五十殿利治氏にご講演いただきました。

オノ・ヨーコの伯母の姉にあたるワルワーラ・ブブノワが執筆し、
父・小野英輔らが翻訳した「現代に於けるロシヤ絵画の帰趨に就て」。
この論文が日本にもたらしたロシアの前衛芸術について、
また、従兄弟である石井茂雄の戦後の活動についても紹介されました。

参加者をみると、「オノ・ヨーコ」展の観覧者層と同様に女性が多く、
熱心にメモを取る様子が見受けられました。
講演後にいただいたアンケートでも「今後作品を見る時の参考にしたい」
との声がありました。


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12月23日(水・祝)には、「"TOKYO"―見えない都市を見せる」展の
関連企画として、レクチャー「YMOと80年代、その文化的展開」を開催しました。

講師は劇作家、演出家、作家として活躍されている宮沢章夫氏。
本展覧会中のキーワード「文化事象としてのYMO」の展示をキュレーションした
宮沢氏は、80年代から東京のカルチャーの現場に深くかかわってきました。
80年代を象徴するアーティスト・YMOから派生した非身体的文化や、
お笑いを中心としたサブカルチャーについて、
当時の貴重な映像を交えてお話しいただきました。

宮沢氏の講演会によく来られる方にお話を振られるなど
アットホームな雰囲気の中で、鋭い論説が展開しました。
質疑応答では、放送作家の倉本美津留氏との掛け合いもみられました。

作家や研究者をお招きし、現代美術に関する講座やイベントを行うMOT美術館講座。
現代美術をより深く鑑賞する手立てになれば幸いです。(J.O.)

2014年12月 5日

「カロ展を語る―カロをめぐる写真と美術館」

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今回のMOT美術館講座は、
「開館20周年記念 MOTコレクション特別企画 第2弾 コンタクツ」展の
関連イベントとして行いました。
展覧会のなかでは「彫刻とカメラの対話―アンソニー・カロ×安齊重男」
と題し、カロの作品と安齊による写真を展示しています。

アンソニー・カロ(1924-2013)は、1995年に東京都現代美術館で
個展を行った最初の作家でした。
20世紀彫刻を代表する力強く色鮮やかな作品群が企画展示室や
屋外にも展示され、安藤忠雄のディスプレイ・デザインとともに
大きな話題を呼びました。
そのときに展示された《シー・チェンジ》や《発見の塔》は、
当館の代表的なコレクションとなっています。

安齊重男氏は、1970年以降現代美術の作家や作品に寄り添い、
写真に留め、それを広く伝える仕事を続けています。
なかでも1990年からカロの依頼により
その作品を世界各地で写真におさめており、
当館でのカロ展の折にも多数の記録を残しています。
「コンタクツ」展では、こうしたカロと安齊氏の関わりを紹介しています。

1995年の当館でのカロ展を担当したのが、齊藤泰嘉氏でした。
齊藤氏は、当館の前身にあたる東京都美術館時代から
「今日のイギリス美術」展をはじめとする数多の企画展や
コレクション形成に携わるほか、現在は筑波大学で、
東京府美術館や、近・現代彫刻に関する研究を継続しています。
当日は、安齊氏と齊藤氏の対談により、多数の資料映像を交え、
「カロ展への道」、「映像でみるカロ展」、「アンソニー・カロ、人と作品」
について、語られました。

齊藤氏は、東京府美術館建設に貢献した佐藤慶太郎氏が
常設展示のある美術館を望んでいたこと、
それは、東京都現代美術館へと引き継がれ、
世界に肩をならべる美術館として、大規模な国際展や
現代美術の常設展示を行うことが使命であったことを述べました。
そうした理念が、世界に誇れるよい美術館を造ろうとする
多くの人々の協力により、「カロ展」の実現に至ったと語りました。

安齊氏は、カロとの出会いや制作現場での様子、
各地で目にした作品の魅力を語り、
自身もアートドキュメンタリストとして仕事をされるなかで、
日本の現代美術を常設展示することの重要性について強調しました。

当館でカロ展が開催されてから20年。
客席には、若い世代の方も多く見受けられました。
カメラを通してみたカロとその作品、
さらに美術館という場とカロの作品との関係について、
当事者の視点から語られたこの対談は、これまで美術館が辿ってきた
歴史とその課題を再確認し、次世代へとつなぐ貴重な機会となりました。
(事業係・F)

2013年8月24日

ミシン大活躍で、大変身!

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企画展「オバケとパンツとお星さま」の関連企画、
第47回MOT美術館講座最終回(5回目:8月24日実施))は、
「変身コーナー」を担当しているゼロゼロエスエスの
松岡武さん(写真上)、伊藤弘子さん(写真下)、
そしてスタッフのみなさんによる変身アドバイスを行いました。

展示室最後の部屋にある「変身コーナー」では、
たくさんの布や端切れ、紐や毛糸などが用意されており、
これまで体感した「オバケ」「パンツ」「お星さま」の感覚をさらに覚醒し、
自由に衣装やグッズを創作できるコーナーです。

オバケになるも良し、自分だけのヒーローになるも良し、
お姫様になるも良し、展覧会をみて、感じて高まった意識を
「布」というツールを使って発散してもらえる場所です。

この日、ゼロゼロエスエスさんたちは、
展示室内に3台のミシンを持ち込み、
参加者に変身のアドバイスもしつつ、
また「ワンピースを作りたい」「蝶ネクタイにしてほしい」など
難易度の高いリクエストにも応えながら、縫製作業を行いました。
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3台のミシンはフル稼働で常に行列ができ、ゼロゼロエスエスさんらは、
一生懸命ミシン掛けに勤しんでいました。
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一枚の布がみるみるうちに素敵な変身アイテムに変わってくと、
参加者のみなさんの顔もみるみる笑顔に。
さすがプロ! ゼロゼロエスエスさんたちも、
直に参加者の反応を伺う事ができ、またみなさんのアイデアに感心しきり。
「布」の魅力、そして参加者のみなさんの創作力に脱帽です。

展示室を出ても変身したままの家族や子供たちの姿がたくさんみられるのも
この展覧会ならではの風景です。
そのまま外にでて走り回るこどもたちもいます。
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自宅に帰ってからも、この変身アイテムを見ながら
展覧会のことを思い出してくれたら嬉しいです。(G)

写真撮影:後藤武浩

2013年8月23日

「ぱんつのくに」へ出発!!

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企画展「オバケとパンツとお星さま」の関連企画、
第47回MOT美術館講座。全5回の内の4回目の今回は、
「パンツ」を担当しているはまぐちさくらこさんの展示室内で、
本人による絵本絵画作品の読み聞かせを行いました。
音楽家のコテルさんの生演奏も付きました。

展示室の真ん中にドーンと置いてある「はだかちゃん」の
ぬいぐるみの上では、開始時間になる前から、
ぴょんぴょん飛び跳ねたり、ごろごろ寝転がるこどもたちで
あふれかえっていました。

そんな中、はまぐちさくらこさんがおもむろに登場。
「ガタン、ゴトン!」「ガタン、ゴトン!」と電車に乗っているような声を出して、
会場のみなさんの注目を集めます。
そしてはだかちゃんがはいている巨大なぱんつちゃんをぬがせて、
はだかちゃんとぱんつちゃんの旅の物語の始まりです。
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今回の展示室には、四方の壁全面を覆う巨大な絵画作品が
展示されています。緑、赤、黄色そして青。それぞれの色の世界で、
はだかちゃんがぱんつのくにを旅するお話しが展開しています。

作品には、小さな文字でいろいろなお話しや言葉が書かれており、
はまぐちさんは、描かれた風景やキャラクター、時に文字を読み
上げたりしながら、この巨大な絵本作品を読みきかせてくれました。

しかし、ただ読み聞かせるのではなく、はまぐちさんがお話ししている間に、
コテルさんがハモニカや鈴、木琴やマラカスなど簡単に音の出る楽器を
会場内のこどもたちに配りだし、それを手にしたこどもたちが反射的に
即興で音を出しはじめました。
にわかに会場内は、楽器の音であふれかえり演奏会がはじまりました。
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はまぐちさんもそうしたこどもたちの様子や反応をうかがいながら、
「こっちに来て」とか、「この絵はなにをやっているんだろうね?」など、
言葉巧みに話しかけ、こどもたちを自分の世界に引き込んでいきます。
コテルさんも笛をふいたり、キーボードをならしたりして、
こどもたちの即興演奏をつなぎます。
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一方的に読み聞かせるのではなく、会場にいるこどもたちや時に
大人も巻き込みながら、まるで演劇をみているかのような
読み聞かせが展開していきました。
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遠巻きで見ていたこどもたちもはまぐちさんのまわりに寄っていって、
一緒に話の輪に加わったり、ちょっと照れくさがって、周りで見ていたり、
参加の仕方も様々。
決してはまぐちさんやコテルさんも参加を強要することなく、
自然な流れにまかせて話を進めていきます。
時折こどもたちにじゃれつかれて話が中断することも・・・。

山を冒険し、争いがおき、太陽が昇り目をさまし、そしてまた夜になる。
はだかちゃんとぱんつちゃんとの旅は、実に壮大です。
最後は、こどもたちと一緒にぱんつちゃんをはだかちゃんに
はかせてお話しは終わり。
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パフォーマンスが終了しても、展示室内に残っている親子も多く、
「あっ!ここにさっきのはだかちゃんがいるね」「こっちもみてみよう」など、
改めて作品をじっくりと鑑賞し、親子でお話しをしながらいろいろ
発見している姿が多くありました。

はまぐちさんも終了後、「不思議なうずの中にいるような気持でできて、
幸せでした」とコメントをくれました。(G)

写真撮影:後藤武浩

2013年8月14日

オバケに会えたかな?!

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企画展「オバケとパンツとお星さま」の関連企画、
第47回MOT美術館講座の3回目の今回は、
「松本力+VOQ ライブパフォーマンス」と題し、
「オバケ」を担当しているアニメーション作家の松本力さんと
その映像に音楽を付けているVOQ(ボック)さんのお二人による
ライブパフォーマンスを開催しました。
(実施日:2013年8月11日日曜日)

展示作品の一部のようになりたいとおしゃっていたお二人。
ですので、ライブも展示室の中で行いました。
VOQさんの透明感溢れる歌声に重なるアコースティックギターや
サンプラーの音色、そして松本さんのアニメーション作品。

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今回はライブなので松本さんがその場で映像を操作し組み合わせ、
時に即興で手書きした映像も交え、独特の映像と音の世界が
作り上げられていきました。

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ライブの後半では、会場のこどもたちに呼びかけて、
こどもたちの声を即興で録音し、音源として使用し盛り上がる場面も。
松本さんもオリジナルのダンスパフォーマンスを披露してくれました。

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映像に重なった松本さん自身のくねくね動く影を見ていて、
松本さんが担当している「オバケ」が現れたような感覚に見舞われました。
この展示室で松本さんが掲げたテーマは「オバケはどこにいるか?」。
会場にいたみなさん、ライブパフォーマンスを見ながらそれぞれに
オバケを感じ、出会えたのではないでしょうか。(G)

写真撮影:後藤武浩

クールでカオスなパフォーマンス

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企画展「オバケとパンツとお星さま」の関連企画、
第47回MOT美術館講座。全5回の内の2回目の今回は、
「ステージのない音楽会―みんなで音の雲になろう!」です。
(実施日:2013年8月10日土曜日)

「お星さま」を担当しているデタラメ星座協会代表の村井啓哲さんが
講師として登場しました。

村井さんの「お星さま」の展示室では、鑑賞者がサイコロの
出た目に従ってオリジナルの星座をつくり、その出来上がった
星座が壁面に投影されていきます。作品名もずばり《デタラメ星座群》。

今回の講座では、お星さまに関連し、お星さまをさえぎるもの=「雲」に
なってみるパフォーマンスを行いました。
雲といっても水蒸気の気分になるのではありません。
お星さまの展示室では、デタラメ星座が音を奏でていることから、
みんなで「音の雲」になってみようというもの。

村井さんの自己紹介のあと、「まずは練習してみます。
こどもたち集まって!」という問いかけに会場のこどもたちも
「何が始まるのだろう?」とちょっと緊張の様子。
保護者のみなさんもそっと見守ります。

袋からなにやら意味不明な文字の書かれたシールを取り出す村井さん。
「このシールにはひらがなが書いてあります。意味はありません。
これは、展示室でみなさんが作ってくれたデタラメ星座の星座の名前です」。
そう、このシールはデタラメ星座の名前が書いてあるのです。
例えば、「げそたがそ」「ちみゆ」「へぶごへばど」「んへを」など
意味をなさない言葉ばかり。

引き続き村井さんからの指示。
「いっせいにほうりなげるので、ひろって自分以外の人の
背中にシールをはってください」。
シールが宙を舞うと、こどもたちは「わー」と一斉にひろって、
相手の背中に貼り始めました。もうこの段階でパニック状態です。

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シールを貼り終えると横一列に整列。次に村井さんが取り出したのは、
筒状のアルミホイル。整列したこどもたちに腕を肩幅で広げて前にだして、
アルミホイルをつかんでいるようにと指示をだすと、
どんどんアルミホイルをのばしていきます。

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今度は村井さん、団扇を手にしています。
「この団扇で一人ひとり仰ぐので、風を感じてちぎれたアルミホイルを
つかんだまま舞い散ってください。みなさんは雲です!
雲は風で飛ばされますよ。」

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この時点でかなり不思議な状況ですが、こどもたちもいわれるがままに
団扇で仰がれてふらふら、ゆらゆらと動きます。
微妙にアルミホイルが小さくカシャ、カシャと音をたてます。
実はこの音が「伴奏」になります。
風に仰がれながら相手の背中に貼られた文字を小さな声で
読み上げるよう村井さんからさらに指示がでます。
この文字を読み上げる声が「歌」となります。
この声とアルミホイルの音が重なって「音の雲」の誕生です。
実にシュールで混沌としたパフォーマンスなのです。

さて、いよいよ本番、エントランスに出向き、練習と同じような流れで
「音の雲」の音楽会が始まりました。
保護者にも団扇を渡して仰いでもらいます。
本番では、長い長いエントランスをアルミホイルを持ってひらひら、
カシャカシャしながら、何やら謎の言葉をつぶやく小さな集団が
右往左往している様子に館内にいたお客様も一体何事?
という表情で立ち止まっていました。「クール!」という外国人も。

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最後団扇で仰がれながら村井さんのところに集まってきて、
村井さんがビニール袋を膨らませて勢いよく「バーン!」と
割ると子供たちは一斉に悲鳴を上げて講堂にもどっていき、
パフォーマンスは終了。

「運動会」みたいになっちゃったと村井さん。
その場で行うパフォーマンスだからこそ味わえる予想外の展開も
また楽しいものとなりました。(G)

写真撮影:後藤武浩

2013年8月 7日

逆さまの世界を体験?!

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現在開催中の企画展「オバケとパンツとお星さま」の
関連企画として第47回MOT美術館講座を開催しました。
(実施日:2013年8月3日土曜日)

今展に参加している5組(人)の作家が各回(全5回)それぞれ
講師を務めます。初回は、「お化け屋敷」を担当している
トラフ建築設計事務所(鈴野浩一、禿真哉)が講師として登場。
題して「トラフの逆さまに美術館を見てみよう!」

トラフさんたちは、日頃の何気ない風景や出来事を建築的な
視点から眺め、発想の転換を行い、新しい風景や場を構築する建築家です。
今回のお化け屋敷も通常、化かされる側の人間が化かし役になる
という発想の転換から出来ている作品です。
そんなふうに物事を逆さまに考え、見てみる体験として、今回の講座では、
トラフさんの「逆さめがね」を使って、ダイレクトに風景を逆さまに見てみる体験をしました。

「逆さめがね」とは、鏡面になった板を目の下にあてがうことで上方の景色が
逆さまに映し込まれ、天地が反転するめがねです。
美術館という非日常の空間を逆さまに見てみる事で、さらに今まで経験した
ことのない不思議な空間を味わってみることもこの講座の狙いです。

参加してくれたのは、小学生のお子さんのいるご家族や友人同士など16組。
初めにトラフのお二人から自己紹介があり、次いで、逆さめがねの原理を
使った映像が紹介されました。
それは乗り物の先頭に備え付けられた鏡に天空や周りの景色が
逆さまに映り込み天地がつながった不思議な映像です。
まるで近未来都市を浮遊しているそんな感覚になれる映像を見てもらい、
トラフさんたちによる逆さめがねのデモンストレーション後、
いよいよ実際に逆さめがねを装着して館内外を散策してみます。

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参加者のみなさん、はじめは恐る恐るすり足で講堂内をうろうろ。
天井が映り込んだ足下におびえながら慎重に歩きます。
次に講堂を飛びだして廊下へ。廊下には天窓があり、
そこに差し掛かると急に空が足下に映ります。
一瞬穴が開いたような感覚に陥り、「キャー!」っという悲鳴も。
でも、みなさん口々に恐さと楽しさ両方が入り交じった感想を連発していました。

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さて、廊下を歩いた後は、外へ行ってみます。
講堂の横から外に通じている扉を開けてサンクンガーデンに出ます
(普段は閉じていますが、この日は特別に解放しました)。
広々とした空が広がる中庭で、ぐるぐると散歩し、
廊下とはまた違った空間を体験しました。さらに階段をのぼって、
水辺のあるエリアへ移動。足下の池に落ちないように気をつけながら、
そのまま石の坂を登って、公園口からエントランスに入ります。

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長いエントランスでは、三角の柱が回廊の用につながり
これまた不思議な気分になったようです。
そのままエントランスを抜けてまたまた外へ。
最後は野外彫刻《カタツムリのようにB》に近づいていって
自分の身の回りが作品に取り囲まれるような感覚を味わって
終了(これはやってみた人じゃなければ伝わらない感覚です)。

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講堂に戻る際にも、逆さめがねを装着したまた階段を降り、
天井の溝が足下にみえるせいか、実際には無いはずの溝を
飛び越えようとしてジャンプするこどもたちの姿がありました。

トラフさんたちのモノの考え方の一端を体で実際に追体験できた今回の講座。
ちょっとした発想の転換で日常が楽しくなりことをみなさん実感できたようです。
(G)

写真撮影:後藤武浩

2012年12月23日

“うた降る”μseum

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今年最後のMOT美術館講座を12月23日(日)に開催しました。
現在開催中の展覧会「アートと音楽」の関連企画として実施したもので、
ミュージシャンの青葉市子さんによるギターの弾き語りコンサートです。
ゲストは、パーカッショニストの齋藤功さん。

写真(撮影:タイコウクニヨシ)のように、青葉さんは、妖精のような白い衣装で登場し、
ゲストの齋藤さんも頭から木の枝を生やしたトナカイのようないでたちで、
お二人ともとても不思議な雰囲気での演奏となりました。

青葉さんの透き通った美しい歌声とそれに呼応するかのような
齋藤さんのパーカッション、会場には、まさに粉雪のような
うたが降ってきました。

満員となった会場のお客様のアンケートには、
「素敵な声だった」「涙がでました」「空間が心地よかった」
「ひと声きいただけで胸がいっぱいになりました」
などなど、感動とともにコンサートを楽しんでくれた様子が
書かれていました。

コンサート最後には、会場のお客さんを巻き込んだ曲も演奏してくれて、
とても楽しいエンディングとなりました。(G)

2012年12月18日

“共感覚”の魅力

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12月15日(土)、「アートと音楽」関連企画として
MOT美術館講座(2)「共感覚の魅力~なぜ芸術家、
教育者、心理学者は惹きつけられてきたのか
―二つの世紀転換期におけるいくつかの事例を中心に―」と題し、
慶應義塾大学文学部教授の眞壁宏幹氏を講師にお招きし、
ご講演いただきました。

今回の展示でも扱われている「共感覚」について、
20世紀および21世紀の二つの世紀転換期において、
どのように多くの芸術家、心理学者、芸術教育学者らが
惹きつけられてきたのか、その歴史的な研究の変遷や
クレーなどの作家を例に、具体的な創造過程をわかりやすい
語り口でお話しくださいました。

ブログで全てをお伝えすることはできませんが、
今回の本展カタログにも真壁氏による「共感覚」に関する
論考が掲載されていますので、ご興味のある方はぜひ
ご覧になってください。

尚、次回MOT美術館講座(3)は、12月23日(日)15時から、
地下二階講堂にて、青葉市子さんによるギターの弾き語りによる
コンサート(先着200名、無料)を予定しております。

こちらもぜひご参加ください。(G)

2012年11月18日

音楽が跳ね!映像が躍る!

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現在開催中の企画展「アートと音楽」の関連企画
第46回MOT美術館講座のその1として、
11月18日(日)に「d.v.dライブ・パフォーマンス」を実施しました。

d.v.dとは、音楽担当のイトケンとjimanicaによるドラムデュオと
映像担当の山口崇司からなる新型トリオです。

ドラマー二人が映像を操作し、映像が曲を奏でるインタラクティブな
ライブ・パフォーマンスは、まさに、「音が跳ね!」「映像が躍る!」という感じです。

今回の聴衆の中には、d.v.d初体験の方も多く見受けられました。
終了後のアンケートには、
「目で見て楽しく、耳で聞いて楽しい!」
「仕組みも興味深かった」
「見ていて大変エキサイティングだった」
「未体験を味わえた」
などなど参加したみなさんの満足げな様子が伝わってきました。

ただ、床に長時間すわっていただいたので、椅子がほしかったなどの
声もあり、今後の運営の課題も頂戴しました。

来月もMOT美術館講座として15日には、
「“共感覚”の魅力」と題し、慶應義塾大学教授の眞壁宏幹氏による講演と
12月23日には青葉市子さんによるギター弾き語りによるコンサートを
予定しています。

こちらもぜひ、みなさまふるってご参加ください。(G)

2012年1月 9日

練習をみるのはかっこわるいことか?

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新年あけましておめでとうございます。
本年も教育普及プログラムブログをよろしくお願いいたします。

さて、新年初回は、現在開催中のブルームバーグ・
パヴィリオン・プロジェクト※第2弾「音楽からとんでみる3 蓮沼執太」
(1月15日まで)の関連企画、第45回MOT美術館講座の報告です。

(※現代美術館の敷地内に建てられたパヴィリオンを舞台に、
1年間に渡って若手のアーティストの個展や公募展、パフォーマンス
などを開催していくプロジェクト)

「練習をみるのはかっこわるいことか?」と題し、1月7日(土)に
音楽家である蓮沼執太の練習風景をみなさんに見てもらう
蓮沼執太フィル公開リハーサル/アーティスト・トークを開催しました。

蓮沼さんは、自らが率いるメンバーからなる「フィル」と呼ぶライブ活動もしており、
メンバーは流動的ですが、今回は総勢13名での練習を公開しました。
(写真:上、キーボードが蓮沼さん)

観客は出入り自由で、好きな場所や位置から練習を見ることができ、
気になるミュージシャンたちのすぐ近くで演奏の様子をうかがうことができます。

また、練習なので何度も演奏をやり直したり、
まだあまり形になっていない曲を聴くことができたり、
メンバー同士のやり取りなどを直に体感できる、
ちょっとかわった音楽体験となりました。

この公開リハーサルを見て、これは本当に練習なのか? 
いやリハーサルという名のライブなのではないかと頭の中が
混乱しつつも、その場にいた観客のみなさんも思い思いの見方で
この目の前の出来事を楽しんでいたように思います。(G)

2011年1月 2日

現代美術と落語のコラボレーション!?

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正月開館の特別企画として2日、「落語で楽しむ現代美術!」と題し
MOT美術館講座を開催しました。

200枚用意した整理券も全てはけ、桟敷席も追加で40席用意。
満員となった講堂は、いまかいまかと開始を待ち望むお客様の
熱気で満たされました。
副館長の年頭のご挨拶の後、早速、二つ目の小蝠さん、健太郎さんの司会で
「美術館なんでもクイズ」からスタート。クイズの解説は加藤学芸員。
三人の会場とのやり取りも楽しく、和やかな雰囲気に包まれました。

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次いで、今回のチャレンジ企画、現代美術をテーマにした
創作落語「パワースポッターMOTとアンデパンダンの因人」を健太郎さんが熱演。

《学芸員がこどもたちを引きつれ美術館を案内。途中バックヤードにもでかけるが、
そこで思わぬ事件が発生。収蔵庫に閉じ込められるというハプニングが・・・》。

冒険ミステリーばりのネタを披露してくださいました。

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続いては、特別ゲスト・歌司師匠の登場。
美術館のご近所にお住まいの師匠だけあって熱心な
歌司ファンも多数いたようです。

ネタは「小言念仏」。(噺に入る前の《まくら》もたっぷりの30分!)
念仏を日課としているおじいさんが、家人にあれこれ小言をいい、
ちっとも念仏に集中していないという噺。

軽快な話芸に会場はあっという間に大爆笑の渦に。
やはりベテランは違います! 

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さて、トリは、古典落語「井戸の茶碗」を小蝠さんがじっくりと聞かせてくれました。
落語にも芸術や美術を扱った噺が多数あり、これもその一つ。

最後に会場の皆様へ美術館からのお年玉ということで、
お楽しみ抽選会で大いに盛り上がり終了しました。

皆様本年も現代美術館をどうぞよろしくお願いいたします。(G)

2010年9月25日

“病院”が育つということ

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「こどものにわ」に関連したMOT美術館講座2回目は、
医師の山口悦子さんをお迎えし、
「おもろい病院の作り方 こどもにとって、本当によい環境とは?」と題し
お話をうかがいました。

山口さんが勤務する大阪市立大学医学部付属病院では、
2003年頃より本格的に病院内にアートプロジェクトという
概念を持ち込み、さまざまなプログラムやイベントを実施しています。

山口さん自身、以前は小児科医という立場でしたが、
今は、“病院のお医者さん”という病院内の安全管理を司る立場で
お仕事をされています。

病院とアートといってもそれは単なる癒しやセラピーのようなものではなく、
「アーティストと患者さんたちの真剣勝負のようなもの」と、山口さん。

実際に取り組まれてきた様々な興味深い事例を紹介していただきました。
初めは山口さんら小児科医を中心に小児病棟のこどもたちに向けた
プログラムを行っていました。そのうち、大人の患者さんにもやってほしいと
内部職員からのリクエストを受け、大人のプログラムも実施するようになったそうです。

そうする中でだんだんと病院内の職員の意識も変化し、
今では患者さんたちの度肝をぬかすような「おもろい」ことを
仕掛ける病院をめざして医師、看護師、そして事務方の職員が
一体となってこのアートプロジェクトに取り組んでいるとのこと。

これは単なる面白おかしい、おふざけではなく、
治療一辺倒の病院生活をいかに豊かな生活に変えていくかという
病院の前向きな姿勢のありかたのように思いました。

病院もどんどん成長し、患者さんらの笑顔とともに育っていくのだと感じました。(G)

2010年9月12日

赤ちゃんから学ぶ赤ちゃんの「心」

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今日は、「こどものにわ」に関連したMOT美術館講座の1回目が開催。
赤ちゃん学の開一夫(東京大学教授)氏をお迎えしました。

開演前から長蛇の列ができ、会場は超満員。
開始前から、赤ちゃんの鳴き声で賑わいました。
日曜日ということもあって、お母さんばかりでなく、
お父さんの姿も多数見受けられました。

開始早々「こんなにたくさんの赤ちゃんの前で話すのは
初めて」と少々戸惑い気味の開氏。
講演では、赤ちゃん学の歴史や脳科学、社会的意義など
ちょっと難しいお話もありましたが、
熱心に聞き入る参加者の姿が印象的でした。

後半は、いよいよ赤ちゃんを使っての実験。
「ものまね」や「宝探しゲーム」ほか、
鏡をつかった実験などが紹介されました。
先生の指示にしたがって、早速実験をしてみる参加者の皆さん。

今回は、赤ちゃんといっても、月齢も幅広く、
一概に実験対象の年齢でなかったということもあり、
うまくいく人もいれば、なかなかうまくいかない人もいました。

先生自身も、会場内の鳴き声に圧倒され気味で、声も枯れ枯れ。
後半はお疲れのご様子でした。
しかし、講演終了後、沢山のお母さんたちに囲まれ質問攻めにあっていました。
今回の講座への関心の高さが伺えました。

赤ちゃんを通じて学ぶ赤ちゃんの「心」。
まだまだ分からないことが多い研究分野ですが、
お家に帰ってぜひもう一度実験してみてほしいです。(G)

2010年1月11日

シェイクスピアの傑作を和訳ラップで新解釈!

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「ラグジュアリー:ファッションの欲望」関イベント、
第41回MOT美術館講座の3回目となる今回は、
ラッパーの長澄によるラップ・パフォーマンスを開催しました。

ラップの題材となったのは、
シェイクスピアの傑作「ロミオとジュリエット」。
本展覧会の導入でも展示されている17世紀の絢爛豪華な
衣装を身にまとった王侯貴族たちも当時目にし、耳にしていた
であろう本作。

その傑作を日本語で現代語訳し、かつ主人公をパリスという脇役の
視点におきかえ、さらには現代演劇界に対する批判も痛快に交え
ながらの見応え、聴き応えある30分間でした。

若手の無名パフォーマーに対し、
観劇者からの終演後のアンケートには、
「新鮮だった」
「ラップをみるのは初めてだったが楽しめた」
「衝撃だった」
「すごく入り込めた」
「他のも見てみたい」
などなど、多数の賞賛の声が寄せられました。

その他には、「無名の新人にチャンスを与えたことは
公共機関としてとても評価できる」という声もあり、
当館のミッションのひとつである若手支援を来館者に
向けて伝えて行く事ができたと思います。(G)

2009年11月22日

見たことのない新しいかたちの建築! 妹島和世による親子ワークショップ

ラグジュアリー展の特別展示において
空間構成を担当した建築家の妹島和世さんによるワークショップを行いました。
妹島さんのワークショップに参加したい人は驚くほど多い中、
なんと今回のワークショップは小学生のいる親子限定!
参加者の中には2年前に当館で行った「SPACE FOR YOUR FUTURE」展で
SANAAの建築模型を見て以来ファンになったという親子や、
これまでもよくクルーズに参加してくれているお子さんが
今回はお父さんがどうしても参加したい!ということで申し込んだ親子など、
それぞれ思い入れが強いようです。

講堂に集まった参加者に、まずは
妹島さんの不思議な形の建築のかずかずを紹介。

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その後、「ラグジュアリー」展の会場に実際に足を運び、
妹島さんのしなやかで透明感があって明るい空間を体験しました。

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講堂に戻ってからはいよいよ制作開始です。
今回は「不思議な形の小屋」を作ります。
まずはスポンジを使って試作品作り。
親子で意見を出し合い、設計図を書いたり。

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全体の感じがきまったら、とうとう本番です。
1m×1mの白いスポンジを4枚使って大きなものを作ります。
試作ではうまくいっていたのに、
大きくしてみると立ち上がらなかったり、
いろいろ変更点が出てきます。
妹島さんもそれぞれの親子の制作しているところを巡ってアドバイス。

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コンニャクをひねったような形が集まってふしぎな小屋ができたり、
それぞれとても個性的で楽しい形がいっぱいです。
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最後は発表会。それぞれ工夫したところや見てもらいたいところを発表です。
妹島さんから、よく工夫されている点やおもしろいところについて
一言ずつコメントもありました。

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ワークショップ前にはたてものは四角いものと思っていた人も、
帰りには見たことのない形を想像したり、
いろいろな形のたてものがあってもいいんだということを感じてくれたようです。
この参加者の中から、将来の建築家が生まれるかもしれませんね。
                                   (武)

2009年11月21日

現代のラグジュアリーとは?

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現在開催中の「ラグジュアリー:ファッションの欲望」展に
関連したMOT美術館講座一回目は、
哲学者の鷲田清一氏をお迎えしまた。
開演前から列ができ、会場はほぼ満員状態。
ファッションというテーマのせいか20代の若者の姿が
多く見受けられました。

「ファッションの話をするのは久しぶり」と
開口一番切り出した鷲田氏。
講演では、ファッションにおける豪華さの意味を
歴史の中でひも解きながら、
現代にみられるラグジュアリーの意味について
「時間」や「性」「待つこと」「聞くこと」そして、
「ケア」や「農業」など、先生のこれまでの様々な
論考と結びつけながら、時に笑いも交えて痛快に
お話いただきました。

「何に一番手間隙をかけるのか」それが
「生き方に影響をしている」という言葉が印象的でした。
ファッションを通じた我々の身体性を再認識させられる
大変興味深い講演となりました。(G)

2008年3月20日

満員御礼

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3月1日から始まったMOT美術館講座。
今日はその第4回目、最終回を迎えました。
お陰様で、開演前から長い列ができ、会場は超満員。
早くから並んでくださった皆様、ありがとうございました。

さて最終回を飾る講師は人類学者の中沢新一さんです。
講演では、
西洋のアヴァンギャルド芸術の歴史をひも解き、
人間と自然との関係性、知覚の変化にまで話が広がりました。

そうした時代の背景が見えてくると、
岡本太郎がなぜ美しい芸術と言われるものに敵意を燃やしていたのか、
そこから何を立ち上げていこうとしたのか、
鮮やかに立ち現れてくるような・・・
ずっしりとした聞き応え充分の講演でした。

それにしても、
満員の観客を前にして、
原稿無しでエネルギッシュに語りかける中沢さん。

今ここで、新しい発想が芽吹き、
そしてそこから深い問いが芽生えてくるような・・・
ライブ感溢れる2時間の熱演でした。

中沢さん。おつかれさまでした。(C.M.)

2008年3月16日

《明日の神話》の修復家

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今日、第三回目となるMOT美術館講座「生きている太郎」に
登場してくださったのは、
《明日の神話》を修復された吉村絵美留さんでした。

岡本太郎がこの作品を描いてから37年。
長らく行方不明だったこの壁画が発見された時は、
損傷も激しく、汚れも相当にひどかったようです。
写真を見るとまさに満身創痍の状態。

その巨大壁画を1年以上もかけて丁寧に修復し、
今、私たちが目にしている色鮮やかなものに蘇らせた
その人が、修復家の吉村さんでした。

メキシコの高温、低湿度の中での解体作業の様子や、
四国でのパーツの接着作業・・・そして超純水による洗浄。
一つ一つ写真を使ってのお話は、
まるでスペクタクル映画を見ているようでした。

私が一番驚いたのが、
《明日の神話》の全面に残っている描き直しの跡のお話。
吉村さんに指摘されなければわからない微かな痕跡です。
炎の先や、きつねのような動物の足など・・・。

岡本太郎はその瞬間の勢いで即興的に絵を描いているかのような
イメージがありますが、
こんなに細部を描き直しているのは意外でした。

岡本太郎の鋭いバランス感覚と繊細なこだわりが、
ひたひたと伝ってくる事実です。
みなさんもぜひ今度、本物で確認してみてください。

吉村さんの講演を聞き逃してしまった方は、
ぜひその著書
『岡本太郎「明日の神話」修復960日間の記録』(青春出版社)を
どうぞ!(C.M.)

2008年3月 9日

岡本太郎の中のメキシコ

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MOT美術館講座も第2回目となりました。
今日は川崎市市民ミュージアムの
仲野泰生さんをお迎えしました。

仲野さんは川崎市岡本太郎美術館に長く勤務され、
岡本太郎とその時代について
丁寧な調査と研究を重ねてこられた方です。

今日はその広い見地をもとに、
「岡本太郎の中の何がメキシコの何と共鳴したのか?」
という問いに沿ってご講演いただきました。

お話の途中には、
太郎も見たであろう古くて貴重なメキシコの映像も紹介されましたが、
そこに映されていたのは、
「死者の日」に楽しそうに骸骨のモチーフと戯れる人々。
(骸骨の形をしたジョッキでビールを飲んだり、骸骨のダンスをしたり。)

メキシコで描かれた岡本太郎の《明日の神話》の中央に
なぜかくも堂々たる骸骨が描きこまれたのか、
その理由の一端がわかったような気がしました。

メキシコ美術が日本のアーティストにおよぼした影響、
メキシコとシュールレアリスムとの関係など、
当時の様々な美術・社会状況も鮮やかに浮かびあがり、
岡本太郎を通して、戦後美術の課題が浮き彫りにされた
盛りだくさんの1時間30分でした。

仲野さん。ありがとうございました。(C.M.)

2008年3月 1日

針生一郎氏“太郎を語る”

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今日からMOT美術館講座(全4回)が始まりました。
シリーズタイトルは《生きている太郎~岡本太郎をめぐる4つのアプローチ》。
その第一回目は、
生前の岡本太郎を良く知る
文芸・美術評論家の針生一郎さんをお招きしました。

講演では、
針生さんだけが知る岡本太郎のエピソードも紹介され、
意外な太郎の素顔も垣間見ることができました。

花田清輝、安部公房、岡本敏子・・・。
針生さんの口からは、
岡本太郎を取り巻いていた人たちの様子が生き生きと語られ、
観客もその時代にタイムスリップして、目撃しているよう。

そんな不思議な錯覚を起こしてしまうような、
針生さんならではの魅惑的な90分でした。

来週(3月9日)は川崎市市民ミュージアムの仲野泰生さんを
お招きします。
みなさまのご参加をお待ちしております。(C.M.)

2006年6月29日

変わってゆくイレズミ

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 第2回のMOT美術館講座。今回の講師は”刺青研究家”、都留文科大学専任講師の山本芳美さんです。山本さんもすてきな台湾のドレスで登場。当日はあいにくの雨の日でしたが、多くの方にお越しいただきました。

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2006年6月25日

ポストモダン・アートの「装飾」とは?

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 第36回MOT美術館講座の取(とり)をつとめるのはお茶の水女子大学助教授の天野知香先生です。アンリ・マティスと19世紀後半から20世紀初頭のフランス美術を専門とされています。

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2006年6月23日

装飾の否定とは?

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 第36回MOT美術館講座もいよいよ後半戦。7月1日(土)は武蔵野美術大学教授の柏木博先生を講師にお招きいたします。モダンデザインと社会の心理との結びつきを指摘する鋭い語り口は常にかわらず新鮮です。
 柏木先生には近代の出発点に立ち返り、ご演題のとおり「近代はなぜ装飾=図像を嫌ったのか?」をお話しくださることになっています。おそらく装飾を語る場合にこの点を確認することはたいへん重要と思われます。

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2006年6月14日

「装飾」の重要性

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 いよいよ第36回MOT美術館講座「装飾宣言」が始まりました。第一回目は多摩美術大学教授の鶴岡真弓先生。開場1時間前からお越しいただいた方も含め、熱気につつまれた会場に、鶴岡先生はすてきなトルクメニスタンの衣装で登場されました。

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ひとはどうしてイレズミをするのでしょうか

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 好評の第36回MOT美術館講座「装飾宣言」。18日(日)にお話をいただくのは、都留文科大学の山本芳美さん。イレズミを研究されている方です。

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2006年5月25日

4回通し券

今回のMOT美術館講座から、シリーズをすべて聞いていただこうということで4回通し券を作ります。1000円なので、3回聴講の方でもお得です。

いよいよ土日は「カルティエ現代美術財団コレクション展」の開催に合わせた「親子でたのしむギャラリークルーズ」を行います。こどもたちはロン・ミュエクの巨大な女性やトニー・アウスラーの目にどんな反応をするのか楽しみです。きっとビーズで出来たライザ・ルーのお庭はみんな大好きになるでしょうね。

2006年5月24日

鶴岡真弓先生

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早いもので、MOT美術館講座もあと二週間後に迫りました。第一回の講師は多摩美術大学教授の鶴岡真弓先生です。NHKテレビで連続講座をされていたので、ご存知の方も多いかと思います。
私が鶴岡先生の仕事を知ったのは、最初の『ケルト/装飾的思考』でした。1989年の当時、この著作はとても衝撃的なものでした。たまたま、上司が鶴岡先生と同じ研究室であったのでこの本のことなど、いろいろ話しをしたことを記憶しています。それから約20年、鶴岡先生は一貫して、「装飾」をキーワードに研究を続けられ、いまやケルトにとどまらず広く人類の文明が考察対象となっています。ご著書・訳書はなんと30冊近くもあり、当館の美術図書室にも10冊収蔵しております。どの本も刺激に満ちたイメージの冒険を楽しむことができます。

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2006年5月23日

これはなんでしょう? ...つづき

先のイメージは中国南西部のミャオ族のジュエリーです。造形のみならず、着用方法も変わっていて背面に着用します。正確には着用というよりも、美しい刺繍の胸飾りを付けるために金具として背中側に着けるようです。
それにしても渦巻き文様となんとも不思議な箱状の装飾は不思議な力強さを持っています。

今回のMOT美術館講座の当日、「装飾」のテーマと関連して、日本宝飾クラフト学院コレクションのアジア・アフリカ地域の興味深いジュエリーを40点ほど、ご拝借して、受付付近に展示させていただきます。みなさん楽しみにしていてください。

2006年5月19日

これはなんでしょう?

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渦巻き模様に四角い箱が付いた不思議な形。これはいったいなんでしょう?