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2017年8月22日

全国盲学校図工・美術研究会に参加(2日目)

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前回に引き続き、全校盲学校図工・美術研究会の2日目の報告です。

この日は、午後から会場を東京都美術館に移し、
現在開催中の展覧会「杉戸洋 とんぼとのりしろ」を
視覚に障害のある方と一緒に鑑賞するワークショップを実施しました。
講師は「視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ」のみなさん。

盲学校での美術の鑑賞の授業となると触察が主ですが、
今回は、あえて作品には触らずに、言葉のやり取りだけで鑑賞してみました。
「視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ」のみなさんが日頃行っている鑑賞は、
メンバーでもある視覚に障害のある方を進行役にして、
作品の色や形や大きさなど「見えていること」、そして感想や雰囲気などの
「見えていないこと」という2つの視点で参加者同士が互いに言葉を交わしながら
見ていきます。

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終了後、教員の皆さんからは、

「みんなで話しているうちに見方が変わった」
「作品には言葉を生み出す力がある」
「相手を肯定することが大切」
「同じ面白さを味わうことができる」

などの感想がでました。

しかし、実際の授業で同じようにやるとなると、
難しい点もありそうです。
そもそも学校は、作品を見たい児童・生徒ばかりが
集まってくるわけではありません。
また、視覚以外の障害も抱えている重複障害の児童・生徒もいて
発話が困難な子もいます。
ですので言葉だけでのやり取りでは限界もあり、
言葉を中心としたこうした鑑賞方法が向かない場合もあるでしょう。

2日間の研究会では、各学校での実践事例紹介もあり、
一人ひとりの障害の度合いや状態を把握し、
その子にあった授業内容の組み立てが必要であるということも実感できました。

今回の研究会は、昨年教員になったばかりの若手から
来年定年を迎えるベテラン教員が一緒に参加しており、
それぞれの経験や悩みなども共有でき、
何よりも視覚に障害のある児童・生徒に対する教員の皆さんの
熱意と暖かい眼差しを感じることのできた2日間となりました。(G)

全国盲学校図工・美術研究会に参加(1日目)

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この日(8月9日)東京は37℃の猛暑日!!
そんな中、全国の盲学校の図工・美術の教員のみなさんが集まり、
8月9日と10日の2日間、研究会が開催されました。
北は山形県、南は熊本県から19名の参加がありました。
場所は、都立文京盲学校。

東京都現代美術館では、スクールプログラムの一環で、
学校にアーティストが出向いて授業を行う、
「アーティストの一日学校訪問」を実施しています。
昨年は、美術家の淺井裕介さんを講師に土を使った泥絵制作や
マスキングテープを用いて絵を描く授業を展開しました。
訪問した学校のひとつに都立八王子盲学校があり、
視覚に障害のある中高生にマスキングテープを使って
いろいろな「感情」をテーマに絵を描いてもらう授業を行いました。
そうした経緯から、今回この研究会で実践事例報告を
させていただきました。

授業の流れや当日の様子、参加した生徒や教員の感想などを紹介した後、
研究会の教員の方々にも実際にマスキングテープを使用して授業でやったのと
同じ要領で絵を描いてもらう体験をしてもらいました。

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体験した教員の皆さんからは、

「小さい頃の落書きを思い出した」
「いろんな視点が広がった」
「夢中になることを実感できた」
「何をやっても正解。素材のゆるさが良い」
「全盲の子への声がけの工夫や、発達段階に応じたテーマ設定が必要」
「自分だけでやるのではなく、他の先生も巻き込んでやってもいい」
「大人数でできるのが良い」

などの感想や意見がでました。

ちなみに、授業でマスキングテープを使用する場合の
利点として次のようなことがあげられます。

1)汚れない
2)やり直しが可能
3)色に左右されない
4)はみだしても気にならない
5)線だけでなく、まるめたりすることで立体にもなる
6)一方を持ってのばすことで、つながっている安心感を生む

こうしたことなども実感していただけたようです。

この日は、他校での実践事例も紹介され、
外の暑さと同じくらい熱気に満ちた研究会となりました。(G)

2017年4月11日

"多摩地区限定"アーティストの 一日学校訪問(山川冬樹さん)レポート

"多摩地区限定"アーティストの一日学校訪問、『パフォーマンス』をテーマとした
プログラムは、美術家・ホーメイ歌手の山川冬樹さんによる「感覚をひらく!
身体(からだ)からはじまる表現」です。

実施校は、以下の6校。
町田市立鶴川第三小学校(4、5、6年生281人)
稲城市立平尾小学校(1~6年生582人)
町田市立成瀬中央小学校(1~6年生243人)
東村山市立萩山小学校(1~6年生390人)
町田市立本町田東小学校(1~6年生258人)
東京都立八王子特別支援学校(高等部3年生61人)

授業内容は、
山川さんの表現活動についてのレクチャーを交えながら、
「ホーメイ」や「心臓の鼓動」、「骨伝導」といった、
身体が生み出す音を使った山川さんのパフォーマンスを間近で体験してもらい、
かつ、児童・生徒にも実際に「からだ」を使った表現に挑戦してもらうという流れです。

代表的な授業として、町田市立鶴川第三小学校での様子をご紹介します。


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まずは、ご挨拶がわりにホーメイの歌を聞かせる山川さん。
歌といっても複雑な音色の歌声に、毎回こどもたちは
「何これ?」と一瞬戸惑いながらも、山川さんの歌に集中しています。


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続いて、山川さんがホーメイを習ったトゥバ共和国を紹介。
そして、「パ」という音を100万円で売ってしまったお話を通じて、
「価値ってなんだろう?」とこどもたちに問いかけます。


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感覚をひらく体験として、みんなでホーメイに挑戦してみます。
「オヨヨヨヨ・・・・」と発しながら、その声の中に潜む微かな
川のせせらぎのような音を見つけます。
「良く聴くことが大切です」と山川さん。


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ホーメイに挑戦したあとは、
様々なテクノロジーを用いた実演。
電子聴診器を用いて心臓の鼓動を視覚化したり、
音を大きくしたりします。


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また、骨伝道マイクで骨の音をひろい、頭をたたいたり、
歯を鳴らして打楽器のようにして演奏します。
こどもたちにも体験してもらい大いに盛り上がりました。

最後は山川さんへの質問コーナー。
「どうしてこうした表現をはじめようと思ったのですか?」
「100万円はまだありますか?」など、
一つ一つの質問に丁寧に答えてくれました。

全ての学校訪問終了後、山川さんからコメントを
いただきましたのでご紹介します。

「どの学校の先生にも『クラスにうまく馴染めない問題を抱えた子が、
目を輝かせながら積極的に参加していて驚いた』と言われたのが印象的だった。
きっとその子は問題を抱えているのではなく、周りと比べてちょっと
変わっているだけなのだ。だからものすごく変わった大人が、
1日だけ『先生』として学校にやって来て、全力で変わったことの
素晴らしさを体現してみせることは、ちょっと変わっていることで周りに
馴染めずに苦しんでいる子からすると、自分の存在が肯定されたと
感じられるのだろう。今回の機会が、こどもたちにとって自分や世界を
肯定するためのきかっけになってくれれば嬉しい。」
                            山川冬樹

撮影:中島佑輔
(G)

"多摩地区限定"アーティストの 一日学校訪問(泉太郎さん)レポート

"多摩地区限定"アーティストの一日学校訪問、『映像』をテーマとした
プログラムは、美術家の泉太郎さんによる「ビデオカメラの中を通って変わること。
映像世界のさわり心地」です。

実施校は、以下の4校。
明法中学・高等学校(高生1年生36人)
八王子市立上川口小学校(1~6年生58人)
府中市立府中第十小学校(6年生128人)
小平市立小平第十二小学校(5年生72人)

授業内容は、
泉さんの映像作品の鑑賞と作品解説を行い、その後、
体育館や校庭などで、本来ならば撮影するための機材であるビデオカメラに、
撮影されないように逃げ回るパフォーマンスを体験し、
制作して上映し鑑賞するという流れです。
ただし、学校の様子や教員のリクエストに応じて内容を変える場合もありました。

代表的な授業として、八王子市立上川口小学校での様子をご紹介します。

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初め泉さんは、ステージ裏などに隠れ、泉さんが見ているものを言葉で伝え、
こどもたちには想像だけで絵を描いてもらうワークを実施。
その後、泉さんが登場し、みんなが描いた絵を見て回りました。


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次に、
泉さんの映像作品を鑑賞。大学の卒業制作を皮切りに、
次々と作品を見ました。なぜか自然と笑いが起きます。
作品ごとに泉さんの説明がつきます。
どの学校でもそうですが、泉さんの作品は、こどもたちと相性がいいようです。


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作品鑑賞の後は、自分たちでも映像作品を作ってみます。
ビデオカメラに映らないようにするという逆転の発想で
どんな映像が撮れるかを体験してもらいます。


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撮影後は、すぐに再生して見てみます。
ある学校では、6年生最後の思い出になるような作品を作りたい
という先生からのリクエストがあり、
クラスメートを手で捕まえる映像作品を作った学校もありました。


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授業の最後は、泉さんへの質問コーナー。
「なぜ映像作家になろうと思ったのか?」
「作品の制作費はいくらか?」
などいろいろな質問に丁寧に答えてくれました。

全ての学校訪問を終え、泉さんからコメントを
いただきましたので、ご紹介します。

「今回、こどもたちが映像を通して世界を観察したり
考えていくことの過程を見られたのは僕自身勉強になりました。
一見遊びのようなシステムを使うことで自然に興味を持って
くれたのならうれしいと思います。そのうちそれが何なのか、
という解釈の楽しみに発展して、考えることの自由について
いろいろな態度が出てくると面白いと思いました。
                        泉太郎」
撮影:中島佑輔
(G)

2017年4月 7日

"多摩地区限定"アーティストの 一日学校訪問(石田尚志さん)レポート

休館中の特別プログラム、『アニメーション』をテーマとする
"多摩地区限定"アーティストの一日学校訪問を担当してくださったのは、
画家・映像作家の石田尚志さん。
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「時間を描く、踊る点と線」と題し、映像制作に関わるレクチャーと
16mmフィルムを用いた映像制作を行いました。

訪問1校目は、豊かな緑に囲まれた地域に位置する奥多摩町立古里小学校です。

一人分ずつカットした、透明と黒の2種類の16mmフィルムを用意。
石田さんから48コマ分のフィルムがいったい何秒分の映像になるかと問われると
こどもたちからは「1時間」「1分!」などの声が。
正解が「2秒」であることが告げられると、驚きの声があがっていました。
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透明のフィルムにはカラーペンを使って自由に絵や線を描き、
黒いフィルムは、カッターやニードルなどを使い、フィルムを削りながら
描いていきました。
描き終わったら、専用の機械でつなぎ合わせ、1本のフィルムにします。
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別室に移動し、石田さんご自身の作品や他の作家による映像も見せていただいた後、
完成したフィルムの上映会を行いました。
映し出された映像は、意図していた向きとは上下や左右が逆になっている部分もあり、
思わぬ面白さと出会うことができました。
一人の担当部分は2秒と短いにもかかわらず、自分や友達が描いた絵は
すぐにわかるようで、色々なコメントが飛び交っていました。

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石田さんが用意した流行のポップソングやアニメソングをかけて鑑賞したり、
影をつくって楽しむ時間も。曲によって映像から受ける印象も変わります。
さらに、こどもたちの作品に他の映像を重ねて投影。
二つの映像が交じり合うことで、複雑で奥深い映像の世界が広がっていました。

訪問2校目は、調布市立八雲台小学校です。
6年生2クラス63人合同での実施となった今回は、フィルムは切らずに
机に沿って這わせ、みんなで協力しながら描いていきました。
隣りに座っている友達と、つなぎ目となるコマをどうするか相談する姿も。
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石田さんからアドバイスを受けながら、描き進めていきます。
色面を作ったり、1コマずつ動きを意識しながら人物を描いたり。
思い思いの方法でフィルムに描いていきます。
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完成したフィルムの上映会。
コミカルに動く人物や不思議に変化するキャラクター、
抽象的な線や複雑に重なり合った色など、
個性にあふれる約4分間の映像作品が完成しました。

石田さんご自身や他の作家の映像を鑑賞した後は、こどもたちの
映像に重ねて映写。
さらにその映像の前で何人かが出てきて、バックミュージックにあわせて
自分たちの影を意識しながら動いてみたりと、
身体全体を使って映像を体験するひと時となりました。
(A.T)
(調布市立八雲台小学校での写真撮影:中島佑輔)

2017年4月 6日

"多摩地区限定" アーティストの一日学校訪問(内海聖史さん)レポート2

4校目の実施は、東星学園小学校です。
当日はインフルエンザ流行の影響により、お休みも多くありましたが、
参加してくれた3年生2クラス30人のこどもたちは、こちらが驚くほどの
意欲で取り組んでくれました。

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この日のために先生が用意してくださった、専用の絵具ボトルを使って
色を混ぜ合わせ、床に敷いた養生シートの上に紙を置き、
大きく手を動かしながら色を塗っていきます。

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絵具を飛ばしたり、手を使って描いたり、紙の上に複数の色を置いて
画面上で混ぜ合わせてみたりと、思い思いの方法で描いていきました。

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昼休みの間に、乾いた作品を内海さんとスタッフとでつなぎ合わせ、
講堂のステージ上のバトン部分に貼り付け展示を行いました。

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5時間目が始まり、鑑賞の時間がスタート。
内海さんの合図と共にバトンが動き始め、自分たちの描いた作品が
次第に目の前に立ち上ってくると、こどもたちからは大きな歓声があがっていました。
制作総数は212枚で、一人約7枚を描いたことになります。
内海さんからは「枚数を重ねて描くことで、より豊かで複雑になり、前とは違う
描き方ができるようになる」といったお話がありました。

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こどもたちの作品鑑賞が終わると、視聴覚室へ移動して内海さんが持参してくれた作品を鑑賞しました。
内海さんへの質問タイムでは、
「どうやって描いたんですか?」「何日くらいかかりましたか?」
「どうやってこの作品を持って来たんですか?」「絵描きになって何年ですか?」など、
尽きることなく質問が上がっていました。
(東星学園小学校での記録写真:中島佑輔)

最後の訪問校は、八王子市立第五小学校です。
5年生3クラス86人合同で、体育館での実施となりました。
たっぷり用意された絵具を用いて、伸び伸びと描く子どもたちの姿が印象的だった
第五小学校での実施。

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一枚目からドリッピングに挑戦したり、枚数を重ねるごとにドリッピングで
絵の具をたらす高さを変えてみたり。

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また、ロールシャッハ・テストのように絵の具を盛った画用紙を二つ折りにして開いたり、
画用紙二枚を並べて一つの絵を描いたりするなど、
描く道具が刷毛の一種類しかなかった
にもかかわらず、実験的で多彩な表現を見ることができました。

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5校時にスタッフでこどもたちが描いた318枚の作品を貼り合わせ、
用意してあった吊るための垂木に取り付けて準備。
6校時目が始まり、こどもたちがそろったところで、内海さんの合図を受けて
作品を4メートルの高さまで吊り上げて展示を行いました。
最後に内海さんの作品鑑賞タイムでは、こどもたちからは多くの質問が
あがっていました。

後日送っていただいたこどもたちの感想文には、
「内海さんの作品をみた瞬間、本当にすごい、すごいなんてものじゃないくらい
すごかった。これが心打たれるっていうことかと、人生で初めて実感しました」
「僕は色というのは決められているものだと思っていました。緑なら緑、青は青。
でも違いました。色は自分で作るものということがわかりました」
「自分は図工が好きでした。今回の内海さんの授業で、もっともっと図工が
好きになりました」
などといった感想が寄せられました。
アーティストと直に接することによって、新たな表現や考え方と出会う機会と
なったのではないでしょうか。
(A.T)

"多摩地区限定" アーティストの一日学校訪問(内海聖史さん)レポート1

"多摩地区限定"アーティストの一日学校訪問、『絵画』をテーマとした
プログラムは、画家の内海聖史さんによる「"カッコイイ"色をつくろう!」です。

絵具を自由に混ぜ合わせて、自分が思う「カッコイイ緑」を作ったら、
四つ切サイズの画用紙に塗ります。絵具が乾いたら全員の作品をつなぎ合わせ、
一つの色面を作り展示し、鑑賞するといった内容。
最後にサプライズで内海さんが持参してくださった作品も鑑賞しました。

内海さんが訪問した全5校の最初は、東京都立久留米特別支援学校です。
中学部2年生4人が参加してくれました。

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内海さんからご自身の作品についてのお話を聞いた後は、
いよいよ「カッコイイ緑」作りに挑戦!

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1枚目は、じっくり考えながら慎重に絵具を混ぜ合わせていく様子が
みられましたが、枚数を重ねるごとに、混ざりきらない状態の絵具を
使ってみたり、わざとかすれた調子で塗ったりと、
自分なりの方法を見つけながら手を動かしていました。

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完成した40枚の作品は、みんなで協力して一列につなぎ合わせ、
天井からカーブを描くようにして吊り下げて展示しました。
近くで拾ってきた草や葉っぱなどを見せながら
「絵具セットの中に入っている緑色よりも、皆が作った色の方が
自然の中にある"緑"と近いね」 と話す内海さん。

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最後に、別室に用意していた内海さんの作品を鑑賞しました。
内海さんへの質疑応答の時間には、
「ためらわずに描くことが自分の中で新しかった。この経験を絵以外でも生かしたい」
という感想を言ってくれた生徒さんもいました。

2校目は、調布市立第一小学校です。
5年生3クラス約100人が対象となったため、制作は1~2校時2クラス合同、
3~4校時1クラスと人数を分けて行いました。

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「カッコイイ緑」になるようにじっくり考えながら色を作っていきます。

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刷毛やローラーだけでなく、スポンジや歯ブラシといった道具を使ったり、
手に絵具をつけて塗ったり、絵具をたらした紙の方を動かして色をつけていったり、
試行錯誤を重ねながら描いていました。

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完成した326枚の作品は、昼休みの間に内海さんと美術館スタッフとで
つなぎ合わせ、体育館のバルコニー部分から吊り下げて展示を行いました。

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合図と共に体育館の舞台上の幕が開くと、内海さんの作品が出現。
1クラスずつ近づいてじっくり作品を鑑賞する時間も設けられました。
この授業を体験したこどもたちからは、
「いつも決まった色ばかり使っていたけれど、次からは自分でオリジナルの色をつくりたいです」
「カッコいい緑は、緑に近い色が正解なのかと思ったけど、いろいろな人の
作品を見て、色にはたくさんの種類があることに気づかされて、
やっぱり図工に正解はないなぁと思いました」などといった感想が寄せられました。

3校目の訪問は、桐朋学園小学校です。
6年生2クラス71人を対象に、2~4校時までの3校時分を使い、
カッコイイ"緑"を作る、塗る、乾かす、つなぎ合わせる、展示することの
すべてをこどもたちと一緒に行いました。

内海さんからお話を聞いた後、制作スタート。
「ただの緑色ではなく、"カッコイイ"緑を作ろう。1枚描いたら、次はそれよりも
もっとカッコイイ緑を作ってね」と内海さん。

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撮影:井上圭佑
2枚目以降になると、色みの選び方や混色の配分、塗り方などをどんどん工夫していく姿が。

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皆で協力して乾かしたり、つなぎ合わせたりしていきます。
完成した作品は、講堂の座席部分に展示しました。

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下から見上げたり、座席の横から見たり、上から見下ろしたりと、
視点を変えながらみんなで作品鑑賞を行いました。
6年生71人が描いた200枚の作品によって、がらりと変化した講堂の空間。
授業後には、他学年や教員の方々が入れ替わり立ち代り見学に来てくれました。
(A.T)
(その2へ続きます)

2017年4月 5日

"多摩地区限定"アーティストの 一日学校訪問レポート

休館中の特別プログラムとして2016年度に実施した
教育普及アウトリーチ・プログラム2016
"多摩地区限定"アーティストの一日学校訪問の様子を順番にご報告いたします。

休館前には、多くの学校団体の受け入れを行ってきましたが、
当館が東京の東端に位置しているため、
残念ながら西側エリアにある多摩地区の学校からの来館利用は
あまりみられないというのが現状です。

休館に入り通常の学校団体の受け入れを休止している今だからこそ、
現代美術の魅力を伝えるチャンスと捉え、
こちらから西側にある学校へ当館所蔵のアーティストと共に出かけて行き、
こどもたちや教師の皆様にアーティストとの出会いやその作品を通じ、
新たな感性や価値観に触れていただき、また日常の考え方や視点の転換を
促すことの大切さを実感してもらうのが、このプログラムの大きな狙いです。

本プログラムは、通常実施しているスクール・プログラムのひとつ
「アーティストの一日学校訪問」(都全域を対象)の特別メニューであり、
過去に実施したアーティストの中から4名を再セレクトし、
ジャンルも「絵画「アニメーション」「映像」「パフォーマンス」と
様々なものを用意し、幅広く作家を選定してもらえるよう工夫しました。

プログラムに参加したこどもたちや教師の皆様が再オープン後の当館に
足を運んでくれた時が、本当の意味地でこのアウトリーチ・プログラムの
成果だと考えています。(G)

2017年3月31日

アーティストの一日学校訪問(淺井裕介さん)レポート その1

2001年度から始まった「アーティストの一日学校訪問」。
アーティストとの交流を通じ、現代美術の動向を
感じ取ってもらうことを目的にしています。

DSC09735.JPG ※
                               
本年度は、収蔵作家の淺井裕介さんをお招きし、
昨年の10月から今年の1月にかけて都内の6校
(小学校5校、盲学校1校)にて実施しました。

淺井さんは、土と水、石と火、テープとペンなど色々な素材を用いて、
様々な場所に絵を出現させ、日常に穏やかな違和感を作り出しています。
今回の授業テーマは「絵が生まれてくる場所は、どこにでもある!」。
普段図工や美術では使わない場所で、普段の授業では使わないものを用いて、
絵を描いてみようという試みです。

淺井さんが授業で取り組んだのが、学校の周りなどで集めた土で描く"泥絵"、
マスキングテープによる"壁画"、そして巨大な模造紙に描かれた"ペン画"でした。
内容別に、各学校での活動をご紹介します。

<泥絵>
【1校目】2016年10月3日 品川区立小山小学校 「歩き出した大地」

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最初に参加してくれたのは、小学4年生の児童65人です。
学校創立90周年を機に、校内の吹き抜け階段の窓に、泥絵を飾ることにしました。
泥絵に使う土は、先生が学校の周りで採取したもののほか、
淺井さんがご自分の制作で集めた国内外からのものも用います。


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まず、淺井さんがご自身の作品を写真で紹介したあと、
泥絵のデモンストレーションを行いました。
次に、こどもたちは1班8人で、それぞれ窓枠の大きさに切った
8枚の不織布を取り囲み、鉛筆で好きな生き物を描いていきます。


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こどもたちの生き物が出来上がると、淺井さんが黄色い土で
その生き物を取り囲むように、大きな生き物を描いていきます。
こどもたちは、自分の生き物の中を、濃い色の土で塗ります。


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次に、今度は濃い生き物の周りを、薄い色の土で彩っていきます。
淺井さんのお手本を見た後、作業開始。
途中でいったん手を止めて、みんなで絵の周りを回って鑑賞します。
全体を見て、どこが足りないのか、どうしたらもっとよくなるかを考えます。


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やがて制作再開。しかし、途中で淺井さんが手を叩いたら、
その数だけ場所を移動して、違う絵の続きを描かなくてはなりません!
他の子たちが描いた線を活かしながら、空間を埋めていきます。
制作終了後、こどもたちからは意見や質問の手が次々と上がりました。


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事後授業では、鑑賞してお気に入りの部分を見つけたり、
友だちと相談して、周りの色を塗ったり、落ち葉をつけたりしたそうです。
校内展示では、こどもたちが通り際に見上げる階段の窓を
大地から歩き出した生き物たちが埋め尽くしました。


【2校目】2017年1月16日 港区立笄小学校 「土の森をつくろう」

DSC00021.JPG DSC00018.JPG ※
泥絵の授業2校目は、小学5年生61人で行いました。
冬休みの間にこどもたちが集めてきた土や、
学校の近くのお寺や美術館で分けてもらった土が山ほど。
協力してくれた方々に感謝をこめて、会場の体育館に写真が展示してありました。


DSC09661.JPG DSC09703.JPG ※
先生と主事さんたちが縫い合わせた巨大な不織布が2枚、
体育館に敷き詰められています。
淺井さんはその画面に、1枚は大きなイヌを、もう1枚には大きなトリの
シルエットを描きました。
こどもたちはまず、土を使ってウォーミングアップ。
コップに入った土と筆を持って、画面の上をぐるぐる歩きます。
淺井さんが「ストップ!」と言った場所で止まり、
足元に最初は1つの点、次は2つ、3つと、模様を描いていきます。


DSC09834.JPG DSC09899.JPG ※
次に、舞台側を天、出入口側を地として絵の上下を定め、
濃い色の土で木の幹を描き始めます。
幹から伸びる枝や、そこから生える葉を5枚、葉柄をきっちり描くようになど、
浅井さんの細かい指示が次々と飛びます。
さらにその幹の根元に、生き物を描いたり、花や小鳥を加えたり。
担任の先生や見学にいらした方たちも加わって、
どんどん画面がにぎやかになっていきました。


DSC00082.JPG DSC00156.JPG ※
給食・休憩をはさんで、午後は仕上げに入ります。
今度はクラス内を2班に分けて、
1班は浅井さんが描いた生き物の中を、模様を描きながら塗りこんでいきます。
もう1班は、外の部分に描いた線と線の間の面を、
違う色で塗りつぶしていきます。
こうして、巨大なタペストリーが2枚完成しました。

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後日、校舎の表と裏に飾られたタペストリー。
泥絵の中の生き物は、冬空の下でまるで生きているかのように
はためいていました。
(J.O.)

※写真:かくたみほ

アーティストの一日学校訪問(淺井裕介さん)レポート その2

当館収蔵作家の淺井裕介さんによる、
2016年度の「アーティストの一日学校訪問」。
内容別に、各学校での活動をご紹介しています。

<マスキングテープ>
【1校目】2016年10月25日 墨田区緑小学校 「"緑小の木"をつくろう」

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小学6年生50人が参加してくれました。
1月の展覧会に向けて、会場となる体育館の壁に
マスキングテープで"緑小の木"をつくることになりました。
まずは、淺井さんがご自身の作品をスライドで紹介したのち、
これから作る木の幹、枝、葉のかたちについて解説します。
さらに、どうやってテープでかたちを作ったらいいのか、
お手本を見せてくれました。


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早速、こどもたちは体育館の床に敷いたビニールの上に、
テープでトリのかたちを作ってみます。
横棒に羽を付けると横から見たトリ、W型に貼れば正面から見たトリになります。
あとはペンで好きな色を塗って、ビニールから剥がせばできあがり!


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こどもたちは、淺井さんの指示に従い、
さらに木の葉や枝をせっせと作っていきます。
軸となるテープからうまく剥がしていかないと、かたちが壊れてしまいます。
ゆっくりと、慎重に剥がします。


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こどもたちから受け取ったトリや木の幹、枝、葉を用いて、
淺井さんが体育館の壁に、大きな木を茂らせていきます。
もともと飾ってある校章や、100周年記念で製作された絵画をうまく活かしながら、
はしごに登って、慎重に作業を進めました。


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授業終了後も、淺井さんは制作を続けてくれました。
昼休みを利用し、手伝いに来てくれた子たちもいて、放課後にようやく完成!
自分たちの作った一つひとつのテープ作品が
大きな壁画に変身したのを目の当たりにし、大きな歓声が上がっていました。


【2校目】2017年1月27日 東京都立八王子盲学校 「自分たちの感情をかたちにしよう」

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この授業には、中学部・高等部の生徒21人が参加してくれました。
淺井さんにとって、目の不自由な生徒たちとの活動は初めてのこと。
事前に授業の様子を見学したり、先生と念入りに打ち合わせをしたりして、
「たのしい・うれしい」「いたい」「おなかすいたー」
などの感情を、体育館の壁の防護用クッションをカンヴァスにして、
マスキングテープでかたちにしてみることにしました。


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まずは、体育館の床にマスキングテープで絵を描く練習です。
あらかじめ淺井さんが画用紙の上にいろんなかたちをテープで貼り、
それを感熱性発泡紙にコピーして凹凸を付け、
指でかたちがなぞれるようにサンプルを用意しました。
淺井さんの声掛けに合わせて、ひとりずつ、サンプルを手がかりにお花を作ってみました。


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次に、2人1組になって、カードで配られた「感情」をテーマに、
壁のクッションにマスキングテープを貼っていきます。
作業面の境界線には、目印になるようオレンジの養生テープを貼っておきましたが、
生徒たちは思いのほか自由にテープを壁に貼り付けていきます。


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先生方も一緒になって参加し、みるみるうちに壁面が線や面で埋め尽くされていきます。
あちこちからテープのお代わりをする声が上がり、
テープが伸びる感触そのものを楽しみ始める生徒も現れました。
やがて体育館中が、縦横無尽にテープが走る巨大な作品に変化していきました。


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作品完成後は、1組ずつ、何を思って描いたかを発表してもらいました。
わざと、壊れているはしごを作って「さびしさ」を表現した生徒がいたり、
普段はあまり関わらない生徒同士が団結して一つの作品を作ったり。
生徒や先生、そして淺井さんや私たちにとっても、驚きや発見がある授業となりました。
(J.O.)

アーティストの一日学校訪問(淺井裕介さん)レポート その3

昨年の10月から今年の1月にかけて実施した、
淺井裕介さんによる「アーティストの一日学校訪問」。
その3では、巨大なペン画の授業をご紹介します。

<ペン画>
【1校目】2017年1月20日 大田区立開桜小学校 「点と線の宇宙」

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小学6年生85人が一度に参加することになったこの授業。
事前に体育館いっぱいに模造紙ロールを貼り合せて、巨大な画用紙を作りました。
こどもたちはその上に座って、淺井さんの作品説明に聞き入ります。


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こどもたちには用意したクレパスやチョークを1つずつ持ってもらいます。
まずは淺井さんが、足元に小さな丸を描いてお手本を見せます。
次に、全員で模造紙の上をぐるぐる歩いてもらい、
淺井さんがストップをかけたら、自分の足元に丸を10粒描きます。


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これを繰り返し、紙の上に丸の数が増えていったら、
今度は一方の足を軸にして、手が届く範囲で描けるだけの線を引きます。
実線や点線など、淺井さんの声掛けに合わせて線が変化していきます。
浅井さんが何人かを指名して、その人の後に付いて列になって線を描いたり、
身体を動かすことを楽しみながら、画面を点や線で埋めていきました。


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次は、宇宙にただよう生き物をひとりずつ描きます。
といっても、一つひとつが衛星になるように、丸で囲むのを忘れずに。
その後、全体の画面の中に、淺井さんが大きなイヌや、トリや、キツネなどの
動物のシルエットを黒い線でかたち作っていきます。


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そのシルエットを、今度はこどもたちが水性マジックで塗りつぶしていきます。
淺井さんの描いた生き物が星座のように浮かび上がる中、
小さな生き物の衛星たちが飛び交う、そんな宇宙の絵が出来上がりました。


【2校目】2017年1月31日 杉並区立大宮小学校 「点と線の宇宙」

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こちらも6年生の、残り少ない三学期を使った授業で、32人の参加となりました。
淺井さんの自己紹介のあと、早速模造紙の上でウォーミングアップです。
こどもたちが手にしているのは水性ペン。
2本同時にペンを走らせると、虹のように線が展開していきます。


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この後、こどもたちに何を描きたいか多数決を取って、
この学校も「宇宙」をテーマに描くことになりました。
淺井さんが描いた「生き物の衛星」をお手本に、
さまざまな生き物が画面に出現していきます。

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この授業では、自然発生的に何人かで大きなお花を描いていたり、
地球を生み出していたりしたのが印象的でした。
さらに、浅井さんが画面の中にかたち作った大きな生き物を、
あらかじめ仕込んでいた、箒の先にペンを付けた筆でなぞってみたり、
のびのびと絵を描く姿が見られました。


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今度は、最初にみんなで引いた線を活かしながら、
淺井さんの生き物の中を色塗りしていきます。
最後には、紐を付けて体育館のバルコニーから吊るして鑑賞しました。
まるで、大きな舞台装置のようなペン画が出来上がりました。


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授業終了後は、大きな生き物のサイズに合わせて、模造紙を切り分けておきました。
事後授業で、周囲にスタンプやスパッタリングで星を増やして、
それぞれ別の作品として完成した宇宙の星座たち。
年度末、行事の多かった体育館に、華を添えてくれたとのことです。
(J.O)

アーティストの一日学校訪問(淺井裕介さん)レポート その4

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こうして、3つの内容別に行った6校の授業が無事終了しました。

授業後にいただいた先生からのアンケートを読むと、
「こどもたちがどんどん手を動かすのにびっくりした」という感想が目に付きました。

浅井さんが授業テーマに掲げた「絵が生まれてくる場所は、どこにでもある!」。
この「場所」とは、単に物理的な空間を指すものではなく、
作品が表われ出る際の衝動や、根源を指していたような気がします。

今回の学校訪問においては、淺井さんが実際に描いている姿や声掛けによって
揺さぶられるこどもたちの心や、友だちや先生たちとのコミュニケーションから、
絵は、どんどん生まれていたように思いました。

最後に、淺井さんからの感想をいただきましたのでご紹介します。


「描くという運動」
 
6つの学校でこどもたちと一緒に作品を作ることができ、思ったのは、
絵を描くのは、なんて挑戦的でドキドキすることなのだろうということ。

さっきまではなかったものが、2時間後には目に見える、
手に触れられる形になってそこに生まれている。
精一杯真剣に、夢中になって、丁寧に、野蛮に、
暴力的にたくさんの手が一つの作品の中に入っていく。

様々な時間を重ね、つなぎ、折り合わせていくような運動の数々。
小さな点がビックバンを起こしてあっという間に広がっていく、その驚き。
開始5分後と、終了5分前のこどもたちの手の動きの違いを見て、
この描くという運動の先にはいったい何があるのか、
まだよくわからないけど、それでもそれは挑戦だし、
もっともっと描き続け、この描くという行為そのものを伝えていきたいなと、
たくさんの勇気をもらったように思います。
 
今回限られた時間と条件の中で、テープやペン、土など
それぞれ精一杯制作を行えたこと。
一緒に作ったこどもたち、
打ち合わせと全然違う展開になることもちらほらあり、
多大なご協力とご心配をかけた先生方、
そして美術館のスタッフの皆様に感謝します。

――――――――――――――――――――――――――――――――――― 淺井裕介


来年度も、学校側のニーズに寄り添いながらも、
アーティストにとって新たな活動の場ともなる「学校訪問」の意義を、
さらに深めていければと思います。
また新たなこどもたちや、先生との出会いを楽しみにしています。
(J.O.)

2016年9月12日

校内展覧会について考える

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夏休み中に行った教員研修会の様子をお伝えします!

今回研修会を実施した場所は墨田区立曳舟小学校。
墨田区の図工部は、毎年夏休みに当館を研修の場として
活用してくださいます。
しかし、今年は休館中ということもあり、
学芸員が学校に出向いて研修会を実施(8月26日)しました。

研修担当の先生と今年はどのような研修内容にするか
事前に打ち合わせをしたところ、
毎回校内展覧会について頭を悩ますそうで、
今年はこの校内展覧会をテーマに研修をすることになりました。

新任や若手の先生にとってもベテランの先生からノウハウや校内展覧会に
対する考え方を伺える良い機会となります。

研修ではまず初めに、学芸員がこれまで見たいろいろな校内展覧会について、
その時に感じた疑問や展示の工夫などをお話しながら、
そもそもなぜ校内展覧会をやるのか? 
という基本的な問いについて、先生方とディスカッションを行いました。

「校内展は、こどもたちの図工のがんばりを紹介するだけではなく、
こどもたちの作品を通じて見た人が自分と向き合い、つながる場」

であるとベテランの先生がおっしゃってくれたことが印象的でした。
また体育館などで展示をすることが多いのですが、
そのことに関し別の先生は、

「いつも見慣れた場所が違った場所、異空間へと変化する
"わくわく感"を演出する」

と、展示空間そのものが未知なる体験の一端を担う場となる
重要性を説いてくださいました。


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さて、校内展覧会についてあれこれ議論したあとは、
美術館ではどのように展覧会が作られるのか、
その作り方をレクチャーしました。
個展やクループ展に分かれていること、展覧会の構造、テーマの設定など、
基本的な展覧会の作り方を校内展覧会と比較しながらお話しました。


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研修後半は、グループに分かれて現代美術館オリジナルの
アートカードを使って、展覧会を作ってみる実践を行いました。
テーマや見せ方、使用作品はグループ毎に考えてもらい、
全部で4つの展覧会が完成しました。

完成後は、各グループの展覧会を鑑賞し、
どんな展覧会なのかを想像してもらった後に、
グループ毎に展示テーマなどを発表してもらいました。


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「壁にたくさんの覗き穴が開いていて、穴のまわりには
キーワードが書いてあり、覗くと該当作品が見える仕掛けに」


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「展示室全体がフライパンになっていて、壁面に飾られた作品を
ぐるりと見ていくと、ひとつの料理が完成するストーリー仕立ての構成」


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「"生きる、ということ"をテーマとしたメッセージカードを
手にしながら展示室を巡り、洞窟のような場所を潜り抜け、
階段を上り下りしながら人生について考えてもらう展示」


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「作品の絵柄に合わせてアスレチックのように運動したり、
パズルをしたり、回してみたりと各所でアクティビティが用意されている展覧会」

研修会に参加した先生からは、

「展覧会のイメージが全くなかったので、
テーマの立て方や展示の仕方など具体的にイメージできました」(教員1年目)

「若手に全てをまかされているような気がしてプレッシャーを
感じていますが、アートカードでの活動を通じてもっと前向きに楽しく
展覧会作りをこどもたちとしてみたいと思いました」(教員2年目)

「空間を作り出すという発想が今まで無かった。
このようにしかけのある面白い空間を作ってみたい」(教員12年目)

「校内展覧会は、私たちにとって大きな大変な仕事ですが、
お互いがどんな思いで取り組んでいるのか相談しあえることが
出来てとても良い機会でした」(教員33年目)

などと振り返りの感想があり、今回の研修会がお互いに刺激となり、
実際の展覧会作りに向けて多数のヒントを得たようです。(G)

2016年6月 1日

こどもの表現について考える

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休館前最後の教員研修会を5月28日(土)に実施しました。
この研修会では、「図工表現の"見せられない世界"」として
こどもの表現について考えることをテーマにしました。

参加したのは、今年4月に教員になったばかりの若手から
10年以上というベテランの都内小学校図工専科の教員13名。

まずは、「キセイノセイキ」展を鑑賞し、展覧会の感想を伺った後、
日頃の図工の授業の中で表出される問題表現や、
教育的配慮から展示できない作品などについて指導上の悩みや
表現の実情について意見交換を行いました。

先生方には実際のこどもたちの作品を持ち寄っていただき、
具体的な表現例を見ながらディスカッションしました。

例えば、既存のキャラクターが描かれた絵、地獄の絵、銃などの武器の表現、
人物のオブジェの画像を細かく切って首だけを並べて構成した絵・・・などなど。

授業そのもののテーマ設定に不備があったという自己反省や、
視点を変えれば受け入れられる表現なのではないかとか、
それらを表現することの何が良くないことなのかをきちんとこどもに伝え、
互いに納得した上で表現させる。
途中で止めさせるのではなく、その後の表現の変化も見ていくことで
その子が何を表現したかったのかを見取ることも大事などと意見がでました。

また、絵で表現できないので文字で説明を描いてしまう、
棒人間(丸を頭にして一本の線で胴体と手足を表現する)しか描かないといった
悩みなどもでました。

一方、こどもから出てきてしまう表現よりも、
学校教育の立場上、周囲からは人権への配慮を促されたり、
社会の目を強く意識しなければならないといった、
現場ならではの事情や苦悩も伺えました。

今回は「キセイノセイキ」にも出品しているアーティストの小泉明郎さんに
ゲストとして研修会に同席してもらいました。
小泉さんはアーティストの立場から、
「作品を作るということはとても個人的なこと、本能や感性の表象世界。
これらが大きくなればなるほど社会と乖離していく」
と語ってくれました。

個人の表現を認めたいとする一方で、法律などの社会の規制がはたらいたり、
学校教育への配慮などが必要なのも現実。

研修会に参加した教員からは、
「図工でやって良い事、ダメな事の判断はすごく難しいと感じた」
「自分自身で規制をかけてしまっているかも」
「表現の良さや楽しさを感じられる図工の時間だが、
それらを外に向けて発表する際には、社会の反応があるのは当たり前で、
その中でうまくバランスをとっている自分がいることに今日気がついた」
「周囲からの指摘に悩むこともあるが、周りを変えていく、変わっていくことも
大事なんだと思った」
などと感想がでました。

表現によってはかなり過激なものもあり、
教員が一人で立ち向かえるほどこどもの表現は軟弱ではないことを
あらためて今回の研修会で伺い知ることができました。
リニューアルオープン後も、継続して教員研修会は実施いたしますので、
教員のみなさま、取り上げてほしい研修テーマがありましたらぜひご相談ください。(G)


2016年3月15日

アーティストの一日学校訪問(関根直子さん)レポート その1

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2001年度から始まった「アーティストの一日学校訪問」。
アーティストとの交流を通じ、現代美術の動向を
感じ取ってもらうことを目的にしています。

本年度は、収蔵作家の関根直子さんをお招きし、
昨年の10月から今年の2月にかけて都内の6校
(小学校5校、特別支援1校)にて実施しました。

関根さんは紙と鉛筆という、学校の授業で最も身近な画材で
絵画を制作しています。
しかし、彼女の絵は想定した完成図を再現するのではなく、
"線をどう描くか"という意識に基づく、
音楽にも近い抽象表現を特徴としています。
授業のテーマは「動きや速度をイメージした線の抽象表現―
描く事で自分自身を体験しよう」。
こどもたちの感覚的な記憶から鉛筆を動かしてもらい、
その痕跡として表れる"絵画"を制作してもらいました。


【1校目】2015年10月26日 青梅市立藤橋小学校 「手の動きから作品が生まれる」

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最初の授業に参加してくれたのは青梅市立藤橋小学校の6年生37人です。
はじめに、関根さんがご自身の作品を画像で紹介。
さらに、実際の作品も2点持って来てくださいました。
こどもたちは作品鑑賞のマナーについてレクチャーを受けたのち、
関根さんが回って見せた作品を興味深そうに眺めていました。


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さて、いよいよ制作開始です。
4、5人1班で、ひとつの大きな画用紙に"何も考えずに"
自由に線を描いてもらいました。
普段とは違った描く方法に戸惑いながらも、不思議と勢いよく
こどもたちは画用紙に自在に鉛筆を走らせていきます。
次の画用紙には、"何かをイメージしながら"線を描いてもらいました。
無意識に描くことと、意識的に描くときの違いを感じながら、
「手の動きから作品が生まれる」ことを関根さんは伝えたかったそうです。
出来上がった絵を集めて、ひとかたまりに並べてみると、
さらに大きな"絵画"が出来上がりました。


【2校目】2015年11月13日 足立区立足立入谷小学校 「線のバリエーションを広げる」

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訪問授業2校目は、足立区立足立入谷小学校3年生30人で行いました。
この日、関根さんはあらかじめ画用紙に描いたドローイングを持参されました。
まずは、小学3年生にもこれからの制作が理解できるように、
そのドローイングに線を足すデモンストレーションを行いました。


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こどもたちが班ごとに分かれて画用紙に線を描き始めると、
関根さんはご自分のドローイングをはさみで切り分け、
それを各班に配り、2か所すきな位置に貼ってもらいました。
作家の描いた線をきっかけにして、こどもたちはその線のバリエーションを
さらに広げていきました。
班ごとの絵が仕上がると、いくつかの班の絵を持ち寄って、
絵と絵の間に新しい紙を挟み、さらに線をつなげていきます。
最後には、全部の絵を2列に並べ、体育館の壇上からみんなで鑑賞しました。
(J.O.)

(その2へつづきます)

アーティストの一日学校訪問(関根直子さん)レポート その2

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当館収蔵作家の関根直子さんによる、
2015年度の「アーティストの一日学校訪問」。


【3校目】2015年12月14日 葛飾区立こすげ小学校 「自分なりの線を探す」

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3番目に授業を受けたのは、葛飾区立こすげ小学校4年生の73人です。
作品を鑑賞したのち、何枚かの画用紙を少しずつ重ねて広げた上に、
関根さんが線を描いて見せます。
その線が描かれた画用紙を班ごとに1枚ずつ渡しました。
こどもたちは「画面いっぱいに描く」「いろんな線をみつける」ことを
テーマに自分なりの線を探して、渡された画用紙に鉛筆を走らせました。


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こどもたちの様子を観察してみると、
持ち方によって線の描き方を工夫しているのがわかります。
鉛筆を3、4本束ねて持ったり、
濃く塗った箇所に消しゴムで白い線を描いてみたりする子も。
画用紙をつなげて並べてみると、班の数が多いこともあって
今までで一番巨大な"絵画"ができあがりました。


【4校目】2015年12月21日 福生市立福生第三小学校 「負けじと線を膨らます」

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4校目は、福生市立福生第三小学校の5年生25人です。
この学校では、関根さんがあらかじめ描いたドローイングが再び登場。
関根さんが描く線は、さまざまな要素を示しながら
紙の上で変化し、増幅していきます。
こどもたちは、その様子を見て負けじと線を膨らませていきました。
どの子も、手やひじが真っ黒になるのをいとわずに、
紙の上に競って手を伸ばしていたのが印象的でした。


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いったん立ち上がって、描いた線を少し離れて鑑賞してみます。
関根さんからアドバイスを受けたこどもたちは、
うなずきながら、また紙に線を描き重ねていきます。
最後は、各班の作品を横2列に並べて、全体を見て仕上げていきました。
壇上からの鑑賞タイムでは「この部分が面白いね」「もう少し描きたかった」
などの意見や感想が飛び交いました。(J.O.)

(その3へつづきます)

アーティストの一日学校訪問(関根直子さん)レポート その3

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昨年の10月から今年の2月にかけて実施した、
関根直子さんによる「アーティストの一日学校訪問」。

関根さんは作品に使用する鉛筆を、いつもカッターで削っています。
鉛筆は作られた国によって硬さや風合いが違うため、
いろんな国のものを使っているそうです。


【5校目】2016年1月21日 東京都立葛飾ろう学校 「さらに自由に線を広げる」

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5校目の訪問校は東京都立葛飾ろう学校。
参加してくれたのは中学3年生の16人です。
関根さんのお話は、学校の先生方に手話で通訳していただきました。
まず、生徒の人数分の画用紙を環状に床に広げると、
関根さんはそこにさまざまな線を描いてくれました。


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この画用紙を、今回は一人一枚ずつ配り、
さらに自由に線を広げてもらいました。
中学生になると、線の描写がより繊細になってくるのがわかります。
紙を継ぎ足してはまたさらに描くを繰り返し、
多彩な線を持つ"絵画"が出来上がりました。
授業が終わった後も、何人かの生徒さんが戻ってきて
さらに絵を大きくしてくれたのが心に残りました。


【6校目】2016年2月16日 港区立青山小学校 「全体を見ながら白い場所を埋める」

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最後に訪問した学校は、港区立青山小学校です。
もうすぐ卒業を迎える6年生28人に向けて授業を行いました。
最初に、関根さんが表現についてのアドバイスを伝えます。
その雰囲気にこどもたちも集中して耳を傾けているのが伝わってきました。
前回と同じように、人数分の画用紙を環状にして関根さんが線を描き、
その後一人一枚ずつの制作に移りました。


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一人ずつの制作が佳境に入ったころ、それらの作品を一つに集めて、
関根さんが新しい紙を足しながら、川のように繋いでいきます。
今度は全体を見ながら、白い場所を埋めていく共同作業です。
男の子も女の子もあちこちに散らばりながら、
大きな"絵画"を懸命に完成させていきました。


こうして、無事に6校の学校訪問が終わりました。
訪問を重ねていくごとに、授業の内容も
関根さんやこどもたちの線のように広がり、
展開していく様子はとても興味深いものでした。

こどもたちは身近にあまりいない「アーティスト」と出会うことによって、
通常の図工・美術の授業とは全く異なる体験を味わいます。
その邂逅の新鮮味は、制作された作品の中だけでなく、
普段接している先生方がびっくりするくらい、
こどもたちの態度や反応に現れているようでした。
この授業が、これからの彼らの人生や、学校現場において、
新たな感性や価値観を呼び込むものであれば嬉しく思います。

後日、こどもたちから送られてきた感想文を見た関根さんは、
「少し彼らの固定的になっている視点もずらせたのかなとかんじられました。
また授業後「自由!」や「きれい!」とこどもたちが発しているのを聞いて
やってよかったと思いました。」とのコメントを寄せてくださいました。

来年度は、どんなアーティストさんや、こどもたちとの出会いがあるのか、
今から楽しみです。(J.O.)


2015年3月24日

アーティストの一日学校訪問(森千裕さん)レポート その1

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2001年度から始まった「アーティストの一日学校訪問」。
アーティストとの交流を通じ、現代美術の動向を
感じ取ってもらうことを目的にしています。

本年度は、収蔵作家の森千裕さんをお招きし、
今年の1月から3月にかけ都内の6校(小学校4校、中学校2校)
にて実施しました。

森さんは「わけのわからない感覚」や「自分の中の気になる気持ち」
と常に向き合いながら、作品を制作しています。
訪問授業では、こどもたちが純粋に自分の感覚に集中して、
言葉にできない自分の感覚や気持ち、興味のようなものと向き合う時間を持ち、
それを形にして残すという試みを行いました。

森さんが企画した授業テーマは3つ。
最初のテーマは「小さな落書きを巨大化してみよう!」。

ふだんは授業で描くと叱られてしまうような「落書き」。
この授業では、そんな小さな落書きを巨大化させる、
ふしぎな感覚をみんなで味わってもらいました。

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この授業に参加してくれたのは福生市立福生第五小学校の5年生67人です。
最初に、こどもたちに落書きへのヒントを与えるべく、
森さんがレクチャーを行いました。
また、幼い頃に描いたドライブ中の風景に色を付けて再制作した
《トンネルの絵》を持って来てくれました。(写真上)

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次に、こどもたちに透明シートの上に油性ペンで
自由に落書きを描いてもらいました。

森さんは、その落書きをOHP(オーバーヘッドプロジェクタ)
に次々と載せていきます。

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体育館のスクリーンには突如巨大化した落書きが登場。
小さな落書きが大きくなったり、組み合わせや重ね方を変えたり
することによって全く違う絵に見えてしまう面白さを体験しました。
全員の作品をドサッとOHPの上に載せると、スクリーンは真っ黒に。
こどもたちからひときわ大きな歓声が上がりました。
(J.O.)

(その2へつづきます)

写真:後藤武浩

アーティストの一日学校訪問(森千裕さん)レポート その2

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当館収蔵作家の森千裕さんによる、
2014年度の「アーティストの一日学校訪問」。

次に行った授業テーマは「『今はないもの』を絵に描いてみよう!」です。

前は確かにあったはずなのに、何らかの理由で今はもうない、
でも心の中には残っているもの。
この授業では、そうした記憶を呼び起こして、絵に描いてみました。

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この授業を受けたのは全部で3校。
まずは、港区立麻布小学校5年生の27人です。
最初に、森さんにとっての「今はないもの」について、
作品の画像を見ながらお話を聞きました。
見間違い、聞き間違いといったものも、「今はないもの」の中に含まれます。
それを踏まえて、こどもたちは思い思いに画用紙に線を走らせました。

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描き終えると、掲示版に作品を貼り出し、何を描いたかを発表してもらいました。
夢に出てきたもの、大好きな食べ物...。
こどもたちのさまざまな「今はないもの」が現れました。


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2校目は、練馬区立練馬第三小学校の5年生52人です。
この小学校では、森さんから事前のお便り『森だより』が届き、
それを読んだこどもたちが「今はないもの」を書いてくれました。
その中から、森さんが気になったものを発表。
自分が何を書いたのか、次々と名乗り出てくれて、
森さんとのやりとりが大いに盛り上がりました。

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こどもたちは、指や新聞紙をちぎったもので、
器用にパステルを画用紙の上にぼかしていきます。
描いた作品は、床に広げてみんなで鑑賞しました。


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3校目は、新宿区立牛込第三中学校3年生の82人です。
この中学校では、森さんが影響を受けたアニメや映画を鑑賞したのち、
クラスごとに教室で絵を描きました。
自分の腕をじっと観察しながら描いたり、
なかなか題材が思いつかずに机に突っ伏したり。

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出来上がった作品は、自分たちで掲示板に貼り出します。
もうすぐ卒業を迎える3年生が、最後に美術と向き合う時間を過ごしました。

最初はなかなか筆が進まない人もいましたが、
「今はないもの」を思い出すために、自分の心の中に入っていく作業と、
それを色やかたちで表してみる体験をしました。
(J.O.)

(その3へつづきます)

写真:後藤武浩

アーティストの一日学校訪問(森千裕さん)レポート その3

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今年の1月から3月にかけて実施した、
森千裕さんによる「アーティストの一日学校訪問」。

最後の授業テーマは、「小さな自分の『仏像』を作ってみよう!」です。

誰にでも、自分の願い事を託し、お守りにしたいものがあるはず。
この授業では、そうした自分の「念」のようなものを、
樹脂粘土を使って、いわゆる「仏像」にしてみました。

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この訪問授業を受けたのは2校。
まずは、足立区立青井中学校2年生の50人です。
最初に、昔の仏像や、現代美術作家が作った作品を、森さんが写真で見せます。
さらに、森さんの作品の「千手観音」や「虚無僧」が紹介され、
これから作るものへのイメージをふくらませました。
中学生は粘土を持たせると、立ち上がって勢いよくこね始めます。

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人型を後ろに反り返らせて複雑なかたちにしたり、
お団子をいくつも作って重ねてみたり。
完成後は、教室にあった花瓶や果物のサンプルと一緒に森さんが窓際に展示。
学校の一室に不思議な空間が出現しました。


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もう1校は、品川区立城南小学校5年生の47人です。
小学校では、粘土をあらかじめ水で練っておきました。
手を真っ黒にしながら、メロンパンやハンバーガーを作る人がいるかと思えば、
竹串を思い切り刺したものや、恐竜のようなかたちも登場。

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出来上がった作品を、いろいろな場所で自由に置き、
その場所で写真を撮ってみました。

昔の人々にとって信仰の対象であった「仏像」は、
今を生きるわたしたちにとって、どのようなかたちで表すことができるのか。
そんなことも考えてもらう機会になりました。

こうして、6校の訪問授業は無事終了しましたが、
実はこの「アーティストの一日学校訪問」の様子が、
現在開催中のMOTコレクション「コレクション・ビカミング」
で紹介されています。

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森さんの作品とともに、森さんが選んだこどもたちの
「今はないもの」の作品と「仏像」作品が
作家本人のインスタレーションによって展示されています。
また、「小さな落書きを描いてみよう!」で
こどもたちが描いた落書きを展示室の壁に投影し、
その一部を森さんが壁面に描き写しています。

会期中に、この展示はさらに変化していく予定です。
森さんとこどもたちの交流の成果をぜひご覧ください。
(J.O)

写真:後藤武浩(展示室を除く)


2014年9月 1日

夏休みの教員研修会

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この夏休み中、当館では多くの学校教員のための研修会を
受け入れ実施しました。
その数全部で16件(学校への出張研修会も含む)、
565人もの教員の方々に対応しました。

研修内容は、事前に研修担当の教員の方と相談しながら決めていきますが、
やはり美術館ですので「鑑賞」ということがメインになります。
一口に鑑賞といってもその切り口は様々。
「鑑賞」と「表現」をどう結び付けるかを考えたり、
「キーワード」を足掛かりに作品へのアプローチを促すプログラムなど
いろいろなバリエーションの研修を行いました。

そんな中、今年新たな取り組みとして実施したのが、
展覧会で掲げられている「テーマ」そのものを題材にし、
作品鑑賞を通じながら、学校現場で起きている問題や教員の方々が
日頃抱えている悩みをデスカッションする活動です。

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これは、経験年数10年以下の若手教員を対象に、
当館と森美術館が連携して行った教員研修会です。
丁度夏休み中に開催していた企画展が2館とも「こども」を
テーマにしたものでした。

森美術館では、作品に表れるこどものイメージを通して、
社会で起こっているさまざまな事象に注目した
「ゴー・ビトゥイーンズ展:こどもを通して見る世界」を開催。
一方、当館では、こどもたちの身近にあって、興味の対象である
フルーツや電車などのモチーフをアート作品にした作家による
インタラクティブな空間体験を促す「ワンダフルワールド」展を
開催していました(いずれも8月31日に終了)。

教員の皆さんには、日を変えてそれぞれの美術館に出向いてもらい、
各館の教育普及担当スタッフが対応し、ディスカッションでは、
教員と両館の教育普及担当スタッフが一緒になって、展覧会を通じて
感じた「こども」をテーマにした話題を議論しました。

ディスカッション後の教員の皆さんの意見には以下のようなものがありました。

「『こども』の捉え方にもいろいろあり、教育現場以外の目線でも考えることができた」
「アーティストと教育者のこどもに対するねらいは異なっている。
でも、どちらもこどものことを考え、こどものためにという思いはあるので、
両者を理解した上で共に高めあえると良い」
「こどもみたいに楽しむこと、感じることができる大人でいたい」
「自分にないものがたくさんうまれた感覚を得た」
「いつもと異なる切り口から考えることでこどもの可能性をさらに感じた」
「学校やこどもは周りの世界からどう思われているのかを知ることができた」

展覧会のテーマそのものをきかっけにした議論や異なる館を
結び付けての連携研修会はいつもの研修会とは違った思考の
広がりをもたせてくれました。
また他館の教育普及担当スタッフ同士の交流という意味でも
非常に有意義な研修会となりました。

今後も異なる館同士で連携した教員研修会を継続していきたいと思います。(G)


2014年3月19日

アーティストの一日学校訪問(冨井大裕さん)レポート その1

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今年の1月から3月にかけて、
2013年度の「アーティストの一日学校訪問」を、
都内の6校(小学校4校、中学校1校、高校1校)にて実施しました。

訪問するアーティストは、美術家の冨井大裕さん。
日常のありふれた品を組み合わせることによって、
ものの意味や機能を解き放ち、新たな作品として発表している、
当館の収蔵作家です。

今回の訪問授業は、冨井さんにより「ファウンドコンポジション」
と名づけられた活動が中心となりました。
これは、学校の様々な場所を歩き回り、気になった、
あるいは美しいと思った「彫刻」(コンポジション)を
発見(ファウンド)し、それを授業会場に持ち帰り、再度組み立てる、
というプログラムです。
組み立てながら説明書を制作し、時間があればその説明書を元に、
他の生徒に再度組み立ててもらいます。

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最初の訪問校は八王子市立川口小学校です。
参加した児童は5年生56人。
まずは体育館で、冨井さんが自身の作品を画像で紹介しました。
スーパーボールやストローで出来ている作品の数々に、
こどもたちからは驚きの声が上がります。
冨井さんが師と仰ぐ海外作家の作品や、
身の周りの何気ない風景から切り取られた
「彫刻」と冨井さんが捉える画像から、
これから自分たちが作る作品のイメージが湧いてきたようです。

4人の班に分かれ、「面白いもの」を探しに、中庭やグラウンド、
そして自分たちの教室を捜索開始!
外で見つけたジョウロやすのこを抱えきれないほど
体育館に運び入れていきます。(右)

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「彫刻」を組み立てたら、次は誰もがそれを作ることができるように
説明書を書きます。冨井さんが黒板に書いた例(左)を参考に、
材料の数や組み立てた順番を書きだしていきます。

まだ土がついているブロックや丸太に、箒や傘をバランス良く載せて完成!
色の配置にも気配りがみられました。


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2校目は武蔵野市立第三中学校。
2年生28人が参加してくれました。
冨井さんのレクチャーにも熱が入り、
檀上でゴミ箱などを使っての実演が始まりました。(左)
この回の制作会場は、地下にある集会室。
柔道の稽古に敷かれる畳が早速材料に使われています。(右)

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組み立てる作業はみんな夢中でしたが、いざ説明書を書く段になると
作品を鑑賞する眼が必要になります。
作業が早く終わったので、違う班の作品を、説明書を見ながら
組み立ててみます。
「これって何のこと?」ああでもない、こうでもないと真剣そのもの。(右)
中学生ということで、一段階踏み込んだ行程まで進むことができました。


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3校目の富士見丘高等学校では、
対象が2年生の美術選択者7名と少人数だったため、
冨井さんと一緒に職員室や廊下を歩き回って
「面白いもの」を発見してまわりました。
物干しラックに提げられた雑巾も、
冨井さんからの呼びかけによって
新たな「構成物」として浮かび上がってきます。(左)
この学校では捜索場所を美術室に限定し、ひとりずつでの制作作業です。
雑誌や定規、スケッチブックや馬簾など、
普段見慣れた材料が作品へとかたちを変えてゆきました。

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説明書を作ったら、作品を一度解体し、台車に載せて移動。
廊下の一角に展示してみました。
展示は自分の作品ではなく、他の生徒の説明書を見て行います。(左)
学校に突如現れたギャラリースペースに通りがかった生徒たちもびっくり!
(J.O.)

(その2へつづきます)


アーティストの一日学校訪問(冨井大裕さん)レポート その2

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今年の1月から3月にかけて実施した、
当館収蔵作家の冨井大裕さんによる、
2013年度の「アーティストの一日学校訪問」。

全6校の訪問授業後半は、小学校3校にて、
「ファウンドコンポジション」を行いました。

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4校目の訪問先、江東区立第四大島小学校では、
5年生全員、総勢71名のこどもたちが参加。
授業会場の体育館には、台座代わりのベニヤ板が
班ごとに置かれているのですが、それとは
おかまいなしに小作品が次々と生み出されていきます。

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そうかと思えば、ベニヤ板を枠組みとしてびっしりと
ひとつの色の材料を並べはじめる子もいます。
図工室や算数教材室、そして自分たちの教室など
学校のあらゆる場所から集められた材料は
ほんのつかの間、作品として結実し、そして授業が終わると
元に戻される運命なのです。


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5校目は、新宿区立鶴巻小学校。
4年生21人が参加してくれました。
冨井さんの作品紹介で、使われている材料を冨井さんが質問すると
「画びょう!」と口ぐちに答えるこどもたち。
普段見慣れた図工室では、何が使えるか、棚を真剣に眺めています。

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作品を作ったあとは、班のみんなで模造紙を前に
説明書づくりの相談です。
この学校では、説明書をとてもカラフルに書いているのが
印象的でした。


IMG_0223.JPG IMG_0230.JPG 最後の訪問先、豊島区立高南小学校では、
6年生39人が最後の図工の授業として取り組みました。
図工準備室は多くのこどもたちが詰めかけて
ごったがえしています。
材料の発見場所から制作会場の体育館までは
長い廊下を静かに歩かなくてはなりません。

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この学校では体育館の檀上にあったようかん台などを使った
大がかりな作品が目立ちました。(左)
6年生にとっては、卒業前に心に残る思い出ができたのでは
ないかと思います。

こうして、6校の訪問授業は終了。
今年度は、冨井さんが開発したプログラム
「ファウンドコンポジション」を通して、
自分の目と足で美術作品を発見し、観察し、発表することも
作品を作ると同じくらい大切なことだということを
知ってもらうまたとない機会となりました。(J.O.)

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2013年7月17日

鑑賞授業の可能性を考える

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7月11日、東京都教職員研修センターの教員向け研修会、
「各教育団体との連携研修 図画工作科ⅠⅡ」の一環で、
現在開催中の「オバケとパンツとお星さま」展を活用した鑑賞授業を行いました。
テーマは「図画工作科における表現と鑑賞の指導〜美術館との連携を通じて」。
授業者は、台東区蔵前小学校の図工担当教諭、堀江美由紀先生です。
堀江先生は、昨年こどもたちを現代美術館に連れて来て鑑賞授業を行っています。

なぜ、この「オバケとパンツとお星さま」を使って鑑賞授業をすることにしたのか?

一般に学校団体などが美術館に来た際の鑑賞方法として、
作品の前にこどもたちをつれていき、トーカーとよばれる人とこどもたちが
作品についてあれこれ話しながら見る、いわゆる「対話式」による鑑賞が
近年の主流となっています。

しかし、この展覧会は、1点1点の作品が独立してあるのではなく、
空間全体がひとつの作品(インスタレーション)になっているため、
じっくりと一つの作品の前で見るという鑑賞方法には正直不向きです。
しかし、そんな展覧会だからこそ、対話式以外の鑑賞方法の可能性を
探ることができるのではないか。
堀江先生との事前打ち合せでそんな提案を行いました。

また、堀江先生は展覧会のサブタイトル「こどもが、こどもで、いられる場所」という
テーマにも非常に興味を示してくれました。

それは、今回美術館でのルールを緩やかに解放し「さわったり」「はしゃいだり」を
許可しており、これによって、通常の美術館でのルールとは異なる展示室内での
こどもたちのありのままの姿、振る舞いを伺い知る事ができるのではないかということ。
これは、こどもが鑑賞するということを考える上でとても大切なことであり、
美術館と学校双方の思いが合致した点です。
(ちなみに、上記写真は、突然始まった星座ごっこ)

これらの理由から、本展覧会で鑑賞の授業を行う事になりました。

授業の内容は、実にシンプル。
3年生(68人)を美術館に引率し、初めに展示空間内で簡単なギャラリートークを行った後、
こどもたちに自由に本展覧会を鑑賞してもらうというもの。

研修に参加している先生(小・中・高・特別支援)は、鑑賞しているこどもたちの様子を見学し、
そこでのこどもたちの発言や振る舞いを観察し、こどもたちの表情や行動から
「作品に興味をもち、楽しもうする関心、意欲、態度」、
「作品や友達の感じ方のよさや面白いさに気付こうとしてるか、
自分らしい見方や感じ方を見付けているか」などを探ります。

展示室内に解き放たれたこどもたちは、一気に方々へちらばっていき、
その後を追いかける研修に参加している先生の表情も初めは困惑気味でしたが、
目の前に展開するこどもたちの自由でそして創造的な振る舞いに、
いつしか真剣な眼差しでこどもたちの様子を観察していたのが印象的でした。

今回の展覧会は、最後の部屋で大量の布をつかって自由に衣装をつくれる
(展覧会の印象を身体感覚によってフィードバックしてもらうことを狙っています)
変身コーナーを設けています。そこでも、こどもたちは思い思いに変身していました。

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授業終了後、本授業の内容について話し合う協議会と文部科学省の教科調査官、
岡田京子氏による講評が行われました。

協議会では、どこもたちを観察した様子として、
「ドキドキ、わくわくがつながっていた」「非日常を楽しんでいた」
「友達との関わりが見えた」「変身コーナーでは、自分を造形化していた」
「こどもの気持ちを解放していた」などの意見が出ました。

また授業をみることで生まれた自分の中のひらめきや感想については、
「変身コーナーの大量の布が魅力的」「中学生には幼く感じさせる展示内容かもしれない」
「カメラをもたせて、気に入ったポーズをとらせ何を感じたかみてみたい」(本展は一定条件で
撮影が可能です)などの意見がでました。

講評で、岡田氏は、
「こどもの心と身体を動かす企画であった。
こどもの興味や動きを想定した企画内容で、学校の授業作りにも似ている。
変身コーナーでは、最終的に何か作りたくなる図工室のような設えになっており、
見てきたこと(鑑賞)が作ること(表現)につながっている」と
評してくれました。

また、一見すると「ただ美術館で遊んでいるだけじゃないの?」と見えるかもしれないが、
それが「こどもにとってどんな意味があったのかを考える」ことが重要であるとも。

確かに、今回の鑑賞の授業はたからみるとこどもが楽しくはしゃいでいるだけとも見受けられますが、
こどもの振る舞いの一つひとつには必ず意味があります。
それがどのような意味があるのかを意識的に考える事は、
教員側も美術館側も非常に重要であるのはいうまでもありません。

そして最後に「評価」につても触れ、
「たくさんの評価の場面を設定して、評価に追われては意味が無い」と
おしゃっていました。

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今回の研修会は、鑑賞授業の組立て方を学ぶというよりも、こどもたちが美術館にくると
どのように振る舞い、作品と対峙するのかをダイレクトに見て感じてもらう内容でした。

一人ひとりがこども達の振る舞いを通じて、
いろいろなことを考えさせられた一日となりました。
今後、この授業を通じて、鑑賞授業の可能性がひろがっていけばよいと思います。(G)

2013年5月21日

カッコイイ色をつくる!

5月21日(火)、画家の内海聖史さんによる特別授業が、
豊島区立長崎小学校にて行われました。

授業を受けたのは、6年生の皆さん28人。
実は4年生の時、当館で「靉嘔 ふたたび虹のかなたに」展
を鑑賞し、色彩豊かな作品の数々にふれたこども達です。

そうした美術館での鑑賞体験をふまえ、「色」をテーマに、
アーティストの授業を実現したい、という先生の相談を受け、
当館がコーディネイトを引き受け、内海さんをご紹介しました。
※授業の実施費用や材料は、学校でご用意いただきました。

内海さんは、2008年度の「アーティストの一日学校訪問」や、
今年2月にも杉並区天沼小で特別授業を行ってくださった方です。
これまでの授業の様子はこちら↓
http://www.mot-art-museum.jp/kyoiku/school05.html?year=2008
http://www.mot-art-museum.jp/blog/edu/2013/02/post_419.html

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内海さんが考えてくださった授業テーマは、「カッコイイ色」。
絵を描くための基本的な要素である「色づくり」に焦点をあて、
自分が「カッコイイ!」と思える、こだわりの色をつくろうというものです。
まずは図工室で内海さんから、ご自身の制作活動や、色についての
レクチャー。その後、体育館に移動。

くじ引きで<赤><青>< 黄><緑>など、各自が担当する色の
カテゴリーを決め、その色について、各自が「カッコイイ!」と思う色を、
絵具を自由に混ぜてつくります。

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「黄色って、どうやってつくるんだ…?」
「赤からずいぶんと紫になってきた気がする…」
「全部の色まぜちゃえば、良い色が出るかもよ?」
「…なんか、変な色になった」
「色が変化してきた!」
「この色、入れなければ良かった~!」
あちこちから、色づくりに奮闘するつぶやきが聞こえてきました。

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一度つくった色は、90cm×90cmのベニヤ板に、
その色を使い切るまで、ハケでどんどん塗っていきます。
納得できる色ができるまで、色づくりと色塗りをくり返しました。

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大胆にアクションペインティングのように描いたり、手で塗ったり、
塗り方にも個性がみられます。

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色づくり&色塗りの後は発表会。
かつて、フランスの現代美術作家イヴ・クラインが、
自ら開発した青に「インターナショナル・クライン・ブルー」
と命名したことに倣って、自分の色にオリジナルの名前を
付けて発表しました。

「アグレッシブ・ピンク」
「レジェンド・レッド」
「ポイズン・パープル」
「やみのグリーン」

など、どれもこの世に一つしかない色の名前となりました!

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発表会の後は、体育館や校庭で集合写真を撮影。
並んだ板は、色のグラデーションとなります。
色々な場所で、色々な並べ方を試して楽しめそうですね。

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そして最後は、教室に内海さんの作品が飾られている
というサプライズ!
作品と作家本人を前に、こども達から質問が続出。
内海さんから直接メッセージを受け取って、皆大いに
刺激を受けていたようでした。

色づくりひとつとっても、自分のこだわりを大切に
追求することで、絵を描くときの表現の幅がぐっと
広がるものだということを、体験的に学べたのでは
ないでしょうか。
自分のこだわりを大切に、今後の学校生活でも、
色々な表現活動に挑戦していってほしいと思います。
(G.I.)

2013年4月17日

「ティーチャーズ・ウィーク」開催!

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展覧会ごとに、学校の先生方を1週間無料でご招待している
「ティーチャーズ・ウィーク」。
今回ご覧いただいた展覧会は、「フランシス・アリス展」「桂ゆき展」
そして「MOTコレクション」です。

4月6日から14日までの期間中に来館された教員数は63名
(事前申込人数は93名。来館率68%)。
新年度早々の開催にもかかわらず、多くの先生方にお越し
いただきました。
参加動機には、学校の展覧会の計画や運営の参考にしたい
という方もおられ、近年学校で取り組まれている「鑑賞」と「表現」
を結びつけようとする機運が感じられます。

13日(土)には、先生向けのレクチャーを開催し、14名の先生方に
ご参加いただきました。
教育普及担当学芸員による、スクールプログラムの紹介を行ったあと、
実際に常設展示室で、学校団体鑑賞時に行っているギャラリートーク
を体験していただきました。
「少人数でのレクチャーはよかった」「絵の前で理解に苦しんでいたところ、
学芸員の方が解説して下さってとても助かった」「教科書だけではなく、
本物に触れることが大切だと感じた」などのご意見が寄せられました。
また、開催時期についてもさまざまなご提案をいただきました。
今後の参考にさせていただきたいと考えています。

より多くの先生方に美術館に親しんでいただくため、
「ティーチャーズ・ウィーク」は展示替えごとに開催していく予定です。
図工・美術専科以外の先生も参加できますし、出張依頼状の発行にも
対応しております。
学校教員の皆様方、これからもお気軽にご活用ください。(J.O.)

2013年3月 7日

アーティストの一日学校訪問(石田尚志さん)レポート その2

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昨年12月から今年2月にかけて実施した、
当館収蔵作家の石田尚志さんによる、
2012年度の「アーティストの一日学校訪問」。

全6校の訪問授業後半は、小学校2校、中学校1校にて、
16mmフィルムを使った映像制作を行いました。

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4校目の訪問先、杉並区立泉南中学校では、
フィルムを4秒分(96コマ)ずつ配り、各自で映像制作をしました。
透明のフィルムには、ペンで直接描き込み、(左)
黒いフィルムは、カッター等で削って描きます。(右)
思いおもいに、自由に描いてもらいました。

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後半は全員のフィルムをつないで上映会。
石田さんがBGMとして選んだのは、今流行の曲。
すると…
おどろくほど映像と音楽がシンクロして、まるで
ミュージックビデオのよう!
意外な組み合わせと、その出来栄えに、皆さん
少しはにかみながら、満足そうな表情を浮かべていました。

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5校目は、北区立八幡小学校。
コの字に並べた机にフィルムを張り巡らせ、
ペンなどで、直接絵を描いていきました。

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後半は別室で上映会。1秒=24コマの16mmフィルムに
皆で描いた絵の一コマ一コマは、1/24秒の色とりどりの
光の残像となって、次々と映し出されます。
映像をバックに、皆で色々な影をつくって楽しみました。

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最後の訪問先、玉川学園小学部では、
図工室の机をずらりと一直線に並べ、フィルムを延ばしました。
石田さんもところどころでアドバイスしつつ、皆で映像制作。

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上映会では、複数の映写機やプロジェクターを駆使し、
皆で制作した映像に加え、半世紀前の抽象アニメーション作品
なども重ねて投影。
複雑に折り重なる光の世界を、ぞんぶんに楽しんでもらいました。

こうして、6校の訪問授業は終了。
今年度は、映像づくりや石田さんの作品鑑賞を通して、
こども達にとっても当たり前の感覚になってしまっている、
「絵が動く」ことへの新鮮な驚きを取り戻すとともに、
作家が追求する映像表現の魅力や奥深さを垣間見る
ことのできる、絶好の機会となりました。
(G.I.)

アーティストの一日学校訪問(石田尚志さん)レポート その1

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昨年12月から今年の2月にかけて、2012年度の
「アーティストの一日学校訪問」を、都内の6校(小学校2校、
中学校1校、高校2校、特別支援1校)にて実施しました。

訪問アーティストは、画家/映像作家の石田尚志さん。
有機的な線描による抽象アニメーションや、ライブ・
ドローイングなどを発表している、当館収蔵作家です。

今回の訪問授業は、主に16mmフィルムに直接絵を描く映像制作と、
石田さんによるレクチャーの二本柱で展開しました。

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最初の訪問校、都立石神井特別支援学校(中学部)では、
環状に並べた机上にぐるりとフィルムを張り巡らせ、
ペンやインクで自由に絵を描いてもらいました。
まわりの紙にもはみだしながら、のびのびと描く皆さん。(左)
その予想以上の勢いに、石田さんもびっくり。

フィルムを巻き取り、後半は上映会。
描いた絵が、光の絵となって映写機から映し出されます。
スクリーンの前で光の絵を浴びながら、皆でポーズを取ったり、
身体を動かしたり。幻想的なひと時となりました。(右)

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2校目は都立総合芸術高校。
一人4秒分(1秒=24コマ)の映像制作を体験しました。
線香でフィルムを溶かすという大胆な手法にもチャレンジ。

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レクチャーでは、ご自身の制作過程についてのお話も。
無数のうごめく線が、コマ撮りという手法で生み出されて
いることなどが紹介されました。(左)
その後、全員で石田さんの映像作品を鑑賞。(右)

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授業後。
作業に使った下敷き用の段ボールを回収していると…
石田さんのうごめく線のような、無数の線が描き残されていました。
誰かが、石田さんのお話を、熱心に“メモ”していたようです。
この学校は美大志望の生徒さんが多く、授業後も熱心に質問に来る姿が
印象的だった学校訪問でした。

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3校目の和洋九段女子高校では、生徒の皆さんがちょうど
「時間」をテーマにした絵画制作に取り組んでいるということで、
石田さんにその作品を見てもらい、コメントをいただきました。(左)
その後、「時間を描く」というテーマのもと、現代美術の歴史を踏まえつつ、
ご自身の作品制作の歩みも絡めながらレクチャー。

10代の頃から絵画制作を始め、その後ライブ・ドローイングなどを経て、
映像表現へとたどり着いたというお話とともに、映像作品も鑑賞。(右)
皆、真剣な面持ちで石田さんのお話に耳を傾けていました。
(G.I.)

(その2へつづきます)

2013年2月22日

美術館の本がやってきた!

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2月22日(金)、立教小学校にて、6年生に向けて、
学芸員と当館美術図書室の司書スタッフによる
出張授業を行いました。

題して、
「学校の図書館に美術館の本がやってきた!」
当館の美術図書室が所蔵するアートの本を、
学校の図書室に持ち込んで紹介するというもの。

司書の出張授業という依頼は初めてのケースでしたが、
ちょうど展示替え休館中で、美術図書室も休室中のため、
実施が可能となりました。

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この学校の図書室内は、絨毯敷きやこたつのコーナーなど、
本に親しむための工夫がなされていて、何とも居心地良い空間。

また、全学年で「読書」の授業があり、毎年この時期、
6年生は<本の構造>について学習しているのだそうです。
その授業を担当する図書室の先生から、
「世の中には色々な本があることを紹介してもらいたい」
とご相談をいただいたのが、今回の授業のきっかけでした。

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授業では、選りすぐりの12冊を、3つのコーナーに分けて配置。
はじめに学芸員が美術館の概要を紹介した後、
3人の司書が、こども達をグループにわけて各コーナーを案内し、
ブックトークを展開しました。

都内の有名建築が「飛び出す絵本」になっている本(左上)や、
見返しの3Dメガネで、中の絵を立体的に見て楽しめる本(右上)、
表紙が銅板でできていて、ずっしりと重たい本(左下)、
粉末洗剤の箱そっくりの本(右下)などなど、
アーティストが手がけた本や、珍しい装丁本などを、
実際に手に取って楽しんでもらいました。

わずか40分1コマという短い時間でしたが、あちこちで驚きの
歓声があがる、大盛り上がりの授業となりました。

こども達の感想には、
「今まで見た事のない本でびっくりした!」
「自分の考えでは本ではないと思ったけど、面白いしすごいと思った」
「もっとさわって、じっくり読みたかった」
「この世の中には色々な本があるのだなぁ」
「とてもスゴかった(としか言い表せない…)」
「美術館に行って、作品も見てみたい」
などがあり、それぞれに新たな興味を喚起する授業と
なったようです。

今回は「図書」という切り口から、新たな取り組みが
生まれました。
美術館と学校の連携について、今後も様々なかたちを
模索していければと思います。(G.I.)

2013年2月 8日

かっこいい「緑」をつくろう!

2月8日(金)、画家の内海聖史さんによる特別授業が、
杉並区立天沼小学校にて4年生を対象に行われました。

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授業を行った内海さんは、当館スクール・プログラムの一つ、
「アーティストの一日学校訪問」の、2008年度訪問作家です。
※当時の授業の様子はこちら↓
http://www.mot-art-museum.jp/kyoiku/school05.html?year=2008

今回は、校内展に併せて、アーティストによる授業を実施したい
という図工の先生からのリクエストを受け、当館が橋渡し役となりました。
※この場合、授業の実施費用は全て学校でご用意いただいています。

今回の授業のテーマは「色」。
中でも、学校のスクールカラーである「緑」を取り上げました。
絵具を混ぜて自分なりに「かっこいい!」と思う緑色をつくり、
画用紙いっぱいに、ひたすら「塗る」という体験をしてもらおう
という内容です。


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こども達は、色のチョイスを自由に試しつつ、自分だけの緑色を
つくり、ハケを使って画面を埋めていきました。(写真左)
一人ひとりに声をかける内海さん。(写真右)
中には、ちょっと茶色っぽくなっちゃった?という子にも、
「その色も、よく見るとちゃんと緑が入ってるよ。」
と、励ましてくれました。


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色の塗り方にも、それぞれに工夫が見られ、
たとえば、赤い絵の具を垂らした模様を加える子も。(写真左)
つくった緑色が、より生かされる色づかいですね。
塗り終わった画用紙は、ドライヤーですぐに乾かします。(写真右)
この作業は、保護者の皆さんも大勢手伝ってくださいました。

こうして、授業の終わりには一人あたり4枚、
全員分で約240通りの「緑」が生み出されました。
そして…
皆の画用紙をつなぎ合わせ、吹き抜けの上階から吊るすと、
巨大な色面が姿を現しました!

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また、最後にはサプライズが。
校内の和室のふすまを開けると…

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なんと、そこには内海さんの作品が展示されていました。
この授業のために、はるばるアトリエから作品を搬入して
くださったのです。
思わず、ため息のような感嘆の声が上がりました。
大きな作品を、じっくり間近で見ているうちに、
日々、こつこつと画面に挑み続ける内海さんのパワーを、
皆ひしひしと感じとっているようでした。

ふだんは何気なく使っている「色」について、
あらためて意識を向ける機会となったとともに、
アーティストの作品にも直に接することができ、
非常に思い出に残る特別授業となったのではないでしょうか。
(G.I.)

2012年9月25日

山川冬樹さん、再び

山川さん特別.jpg
スクール・プログラムの一環として、現代美術館が実施している
「アーティストの一日学校訪問」。

これは、当館のコレクション作家から1名を選出し、
都内の学校を対象に、年6校に出向いて行うプログラムです。

今回出張授業を行った山川冬樹さんは、
昨年度の出張授業アーティスト。
なので、この授業は、本来ならば終了しているのですが、
学校からリクエストがあり、ぜひ山川さんに授業をしてほしいということで、
美術館が橋渡し役となり、特別にプログラムを実施することになりました。
(この場合、実施に関わる経費は全て学校側でご用意いただいております)

授業を行った学校は、江戸川区立鹿骨東小学校。
対象は、全校生徒約500人!
この学校は、前の週に6年生が美術館に団体鑑賞に来てくれたり、
学芸員による出張授業なども実施しており、
当館との連携が盛んな学校です。

今回は、生身のアーティストによる授業。
体育館も薄暗く、なにやらドキドキする雰囲気で、
「これから何が始まるの?」っと、みなさん興味深々。

“感覚をひらく”をテーマに、山川さんによるホーメイの演奏や
心臓の鼓動を光に変換したり、骨伝導マイクを使った
パフォーマンスなどが披露され、こどもたちにも実際に
ホーメイをやってもらうなど、全校生徒が参加できるプログラムも行いました。

山川さんは、ご自身が「芸術家」であり、それを生業にしているということ、
作品はお金で買えるということ、そして新しい価値や考え方を生み出すことも芸術ですと、
こどもたちにもわかりやすい言葉がけで、授業をすすめてくださいました。

山川さんの表現は、身体性を用いたものなので、
体育館全体に伝わる空気の揺れや床の振動、点滅する光など、
体全身でパフォーマンス(作品)を味わえるのが特徴です。

みなさんそれぞれに“感覚”を開き、目で、耳で、
そして身体全身で今回の授業を体感してくれたようです。(G)

2012年5月30日

アーティストの一日学校訪問(山川冬樹さん)レポート

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昨年12月から今年3月にかけて、2011年度の「アーティストの一日学校訪問」を
都内6校(小学校3校、中学校1校、高校1校、特別支援1校)で実施しました。
訪問したのは、当館の収蔵作家でホーメイ歌手/アーティストの山川冬樹さん。
いったい、どんな授業となったのでしょうか。


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最初に、スクリーンに大きく映された「パ」の文字。
登場した山川さんは、
「今日、僕はこの“ハにまる(〇)のついた音”を使わずに授業をします。」
と語り始めました。

実はこれ、現在、山川さんが行っている『「パ」日誌メント』というパフォーマンス。
自分が発声する「パ」という音節をアートコレクターに100万円で売ってしまったため、
この授業中はもちろん、普段の生活でも山川さんは「パ」と言えないのです。
「不便じゃないの?」「なんでパなの?」
開始早々、次々と質問が飛んできます。質問に一つずつ丁寧に答えながら、
「あえてひとつの音を発しないということも、ひとつの表現になり得る」と語る山川さん。

その後、様々な機材も用いながら、“もっとも身近なメディア”、身体にまつわる音の
パフォーマンスが次々と展開されました。


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モンゴルの隣、トゥバ共和国に伝わる「ホーメイ」の実演。(左)
馬頭琴に似たイギルという楽器を手に、二つの声を同時に出す歌声が非常に特徴的です。
つづいて、ホーメイを電気的に進化させたパフォーマンス。(右)
骨伝導マイクを使い、手で額を叩く音や歯を鳴らす音をパーカッションのように響かせて
ホーメイを歌うと、思わずどよめきが聞こえてきました。


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そして、生徒の皆さんもホーメイに挑戦!
耳に手をあてて、ホーメイの技法の一つである「川のせせらぎ」の音を、自分の声から
聴きとる練習をしました。ピントを合わせるようにして注意深く自分の声に耳をすませると…
あちこちで「聞こえた!」という声が上がりました。


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心臓の鼓動をつかったパフォーマンス。(上段左)
電子聴診器で鼓動の音を増幅させ、電球の明滅とリンクさせます。
その音と光に、一同、息を飲んで見入ってしまいます。

山川さんの実演のあと、生徒の皆さんにも体験してもらいました。
ある学校では、生徒の鼓動に合わせてギターをかき鳴らし始める山川さん。
思いがけないセッションとなりました。(上段右)
またある小学校では、男の子が体育館を走って一周。(下段左)
すると、鼓動の明滅はいっそう力強くなりました。(下段右)


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二人の声を分離・合体する実験。(左)
ホース状のマイク付き装置を使って、一人が「あ~」と発声しながら、
もう一人が口パクで口を動かすと、二人の声から一つの声が生まれます。
先生の声も合体!(右)

授業の中で、「“表現”つまり表に現す前に、まずは世界をよく見ることやよく聴くことが大事」
と語っていた山川さん。
つまり、“感覚をひらく”ことが、今回の学校訪問を通して、山川さんが伝えたいことでした。

生徒の皆さんは、はじめて体験する音や光に圧倒されつつも、もっとも身近であり、そして
様々な可能性が潜む、身体を用いた表現の魅力を実感していたようです。

そうした実感をともなう授業だったためか、後日寄せられた感想にも、山川さんの表現活動
について直感的な理解を感じさせる深いコメントがたくさん見受けられました。

そして、時折「授業」という形式を超えて、まるでパフォーマーが観客と一緒につくる
「ステージ」のような一体感のある盛り上がりが印象的だった、2011年度の学校訪問でした。
(G.I)


※山川さんの『「パ」日誌メント』は、ブログ形式でウェブ上に公開されています。
http://pa-nisshi.net/blog/
(授業の様子は、2012年2月14日、27日、28日、3月2日などの記事で紹介されています)

2011年8月19日

高校生ボランティアが活動中です

夏休み真っ只中。現在、高校生ボランティアが館内各所で活動中です。

当館の高校生ボランティアは一年間の登録制で、今年度は都内の
各校から67名が集まりました。
学校が夏休みの8月は、一年の中でも最もボランティア活動しやすい時期。
8月9日から28日まで、毎日4~8名ずつが活動しています。

美術図書室でのポスター整理(写真左上)や、常設展示室入口でのこども向け
ポケットガイド配布(右上)、ときには、朝早く集合し、開館前の「名和晃平展」
会場で、真っ白なリノリウムの床を磨くという作業まで。(左下)
中には単調な作業もありますが、どの活動でも皆さん熱心に、自ら楽しみつつ
活動している姿には本当に脱帽です。

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先日は「名和展」床清掃の日に、たまたま取材で来館していた名和さんご本人に
お会いするという一幕も。(写真右下)
対面の瞬間は全員緊張の面持ちでしたが、名和さんから感謝の言葉をもらって、
一同大感激でした。

2007年に都立高校で「奉仕の時間」(ボランティア活動)が義務化されたのを契機に、
当館でも活動の場の一つとしていただこうとスタートした高校生ボランティア。
でも実は、あまり足を運ばない年代である高校生の皆さんに、少しでも美術館を身近に
感じてもらいたいという思いも込められています。
この活動が、高校生の皆さんと美術館の距離を縮める良いきっかけになればと思っています。
(G.I)

※常設展示室入口での高校生ボランティアによる「ポケットガイド」配布は
8月28日まで。

2010年8月25日

「こんな授業ができそうシミュレーション」!?

夏休みシーズンの美術館には、こどもたちだけでなく学校の先生も
たくさんやってきます。

今日、来てくださったのは、墨田区の図工の先生方。
ここ数年、毎年当館で鑑賞をテーマに研修会をする"お得意様"です。
今回も事前の入念な打ち合わせを経て、研修当日を迎えました。
まずは、地下のスタジオでウォーミングアップ(頭の体操)をして、
MOTコレクション(常設展)の展示室に移動します。

今回の研修テーマは、「こんな授業ができそうシミュレーション」。
先生方一人ひとりで作品をじっくり鑑賞し、「こんな授業ができそう」
というアイディアを考え、発表し合う、というものです。
課題作品(作家)は次の四点。

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泉太郎                    日高理恵子《樹の空間からⅦ》

IMG_7655ss.jpg  IMG_7623ss.jpg
ディヴィッド・ホックニー           モナ・ハトゥーム《Web》
 
作品の前では、座り込んだり、浮かんだアイディアを熱心に書き留めたりする
先生方の姿が。
約1時間という限られた時間での作業でしたが、後半の発表会では、
ワークシートのアイディアや、鑑賞のための事前授業、事後の指導、
作品をヒントにした独自の表現活動と、バラエティに富んだ授業案が出されました。

じつは、「授業づくり」という作業をとおして、先生方により能動的な鑑賞を
体験していただくというのも、今回の研修のねらいの一つ。
普段はこどもたちの引率などで忙しく美術館での時間を過ごす先生方も、
今日の研修は、自分の目と体全体を使って感じ、考え、ご自身が心ゆくまで
作品と向き合う好機となったのではないでしょうか。(G.I.)

2010年5月13日

学芸員の仕事~岩沼市立玉浦中学校

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今日は宮城県の中学生5人が
美術館に来てくれました。
みなさん、2泊3日で東京に修学旅行に来ている最中で、
朝は浅草寺、夕方からはディズニーランドという
ハードスケジュールを縫っての訪問です。

美術館に来るのが初めての人もいましたが、
事前にしっかり調べてきたせいか、
美術館や学芸員の仕事に対する
鋭い質問が飛んできました。

「海外から美術作品を運ぶ場合、
到着したらすぐに展示しても大丈夫ですか?」
「美術作品を展示する上で大切にしていることは
何ですか?」

そして、
「仕事をしていて一番、嬉しいのは、
どういう時ですか?」

みなさんの滞在時間は
わずか1時間程度しかありません。
こうした質問タイムもテキパキと済ませ、
その後は常設展示室の作品もしっかり鑑賞してもらいました。
(写真はエルネスト・ネトの作品を見ているところです。)

「わぁ~やわらかそう。」「さわってみたい」
「穴が口に見える」「人の内臓みたい~」

実際の作品を前にすると、
次々と意見や感想が口をついて出てきます。

こんな風に作品を楽しそうに見てもらえること・・・。
学芸員にとって一番嬉しいのは、
まさにこれなんです。
(C.M.)

2010年3月 6日

アーティストの卵たちへの授業 学校訪問 芸術高校1

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アーティストの卵たちが通う都立芸術高校。
今回の「アーティストの1日学校訪問」は、この学校で石川直樹さんによる授業です。
この学校には、油画、日本画、彫刻、デザインなど
様々な種類の制作を学んでいる学生さんがいらっしゃいます。

第1回目の授業は映像を交えた石川さんのレクチャーと質疑応答。
これまで訪問した学校と異なり、みんな鑑賞者ではなく制作者側とあって、
質問の内容も制作している人たちだからこそのものばかり。
これまでの訪問授業では、石川さんの冒険家としての側面が強調されることが多かったのですが、
今回の芸術高校では、写真家の部分が強調され、
多感な世代のみなさんが日々直面している制作に関する悩みや迷いが、
先輩アーティストへの質問としてあらわれたのでした。

次回の授業までに、生徒のみなさんが写真を撮影するという課題が石川さんから出されました。
どんなものを撮影するのかについても、いくつかテーマが提示されました。
次回の授業は作品発表会。
どんな写真を撮るのか、とても楽しみです。
                      (武)

2010年2月13日

高校生の胸の内とは 都立新宿高校2

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1月に「アーティストの1日学校訪問」で一度やってきた都立新宿高校。
この日が写真家・石川直樹さんによる第2回目の授業です。
2回目、とはいっても、
実は前回の授業の後で石川さんの作品を実際に見るべく
先日みなさんは写真美術館に出掛けて、石川さんのお話を聞いていました。
ですので、石川さんと会うのは実は3回目。
そんなちょっとうちとけた雰囲気の中、生徒さん達の撮影した写真を見ていきます。

自宅近くの風景を撮る人、家族を撮影した人、自宅の中にある日常的なものを撮影した人など、
撮影したものも人それぞれです。
ある生徒さんの撮影した写真では、どれも光が重要なポイントとなっていて、
撮影者が光というものに反応していることがわかりました。
石川さんが本人にそのことをたずねてみると、
それほど意識して撮影したわけではないとのこと。
どうやら、一人ひとりのこだわりが知らず知らずのうちに写真にあらわれてくるようです。

その後、石川さんから
「みんなが今考えていることを話してほしい」という提案があり、
生徒のみなさんに、将来なりたいもの、いま夢中になっているものなどを話してもらいました。
生徒同士も、先生も初めて聞く話もあったようで
改めてお互いを知る時間にもなったようです。
それぞれが、いろいろなことに悩んだり迷ったりしながら、
充実した素敵な青春時代を送っている様子がわかりました。

20100212 学校訪問 新宿高校第2回 (58).jpg

授業の最後に、石川さんが生徒さんのポートレートを撮影しました。
ちょっと照れながらも、カメラの前にしゃんと立つ姿はみんなとても素敵でした。
今度はぜひ、現代美術館にも石川さんの作品に会いにいらしてくださいね。
                                        (武)

ふつうのお兄さんのすごい旅のお話  東寺方小学校

「アーティストの1日学校訪問」で石川直樹さんと訪れたのは、
聖蹟桜ヶ丘駅にある多摩市立東寺方小学校。
今日、石川さんが授業を行うのは、4年生のこどもたち。
クラスごとに1コマずつ、少人数で石川さんに出会える授業です。

図工担当の石丸先生は、
石川さんがクリスマス島に行った時の映像などを
事前授業で少しだけ見せていたそうで、
こどもたちは本物の石川さんに会ったらぜひ聞きたいことがたくさんあったようです。

石川さんがチョモランマに登った時の映像や、
北極のシリーズの作品映像をみせながら、
こどもたちに石川さんの旅での出来事と旅した場所について丁寧に話してくれました。
初めて聞く言葉もたくさんあったはずなのに、
みんな石川さんのお話とはじめて見るような映像に夢中になっていました。

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そしてこの日、石川さんは山に登るときの服装に、
道具も持ってきてくれ、みんなに見せました。

20100212 学校訪問東寺方1.jpg


↑写真は、石川さんが北極などで使っていたグローブ(手袋)。
ミトンに人差し指を入れる場所が別についている特製のものだそうです。

お話の後は質問の時間。
こどもたちからさまざまな質問が出ました。
「冒険しようと思ったきっかけは?」
「旅先で病気になったことはありますか?」
「危険な目にあったことはありますか?」
「冒険の映画を見ることはありますか?」
「一番うれしかったことは?」などなど・・・・。
さらに、参観にいらしていたお母さんからも
「学生の頃に旅に行く時にお家の方はどう声かけをされましたか?」
という質問が飛び出すなど、質問は尽きません。

石川さんとこどもたちで集合写真を撮影し、授業は終了。

「筋肉隆々で見るからに冒険家っぽい」という感じからかけ離れた、
石川さんの普通のおにいさん的な自然さが、
さらにこどもたちを魅了し授業が終わっても
石川さんの元を離れがたい様子のこどもたちでした。
                           (武)

2010年2月 4日

ぼくの/わたしの冒険計画 巣鴨小学校

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今年度のアーティストの1日学校訪問、この日が訪問第2回目。
前回訪問した学校は高校でしたが、今度は年齢が下がり、小学6年生。
彼らは5年生の時に富士山に登りに行ったそうで、
電子黒板を使用した石川さんの映像や冒険についてのお話にとても真剣に聞き入って、
雪山のクレバスの恐ろしさや、温暖化で海面が上昇している北極の島の様子に驚いていました。
また、これまでに絵本などを通じて
「北極は氷だらけでアザラシとシロクマしかいない」というイメージを持っていたのか、
人間が暮らしていることに驚いたという人もいたようです。

石川さんのトークの後は、
「ぼく/わたしの冒険計画」ということで、こどもたちにも冒険の計画を立ててもらいました。
石川さんの探検話が地球で一番高い山などについてだったため、
とくに男子はそれを越えるような冒険を考えたのか、「宇宙探検」の人が多くみられました。
ほかには、オートバイで世界を一周するという人や、チョコレートの国ガーナに行きたいという人も。
ガラパゴスに行くというグループの持ち物の中にはなぜか「トランプ」。
やっぱり旅を楽しむアイテムとしては欠かせませんね。

普段は家と学校などのご近所の往復する毎日を送るこどもたちですが、
この時は世界や宇宙へと気持ちが広がったようでした。
                             (武)

2010年1月22日

学校訪問始まりました 都立新宿高校ー1

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21年度の「アーティストの1日学校訪問」がいよいよスタートしました。
今年の訪問アーティストは、写真家で冒険家の石川直樹さんです。
訪問1校目は都立新宿高校の選択美術を取っているみなさんです。
新宿三丁目の駅からすぐという超都会にある、
7階建ての超近代的な学校です。
美術室に集合し、
石川さんの撮影した映像を見ながら
冒険を始めたきっかけや、旅した土地の話など
さまざまなお話を聞きました。
石川さんがインドに一人旅をしたのも、
ちょうど今日の生徒のみなさんと同じ年ごろの時のこと。
そんなこともあってか、
生徒のみなさんは最後まで真剣に旅のお話を聞いていました。

今回の新宿高校での訪問授業は2回連続授業。
この日は「各自で写真を撮っておく」という課題を生徒のみなさんに知らせ、
次回の授業で生徒さんの撮影した写真を石川さんと一緒に見ることになっています。

みなさんはどんな写真を撮るのでしょうか?
次回の授業がとても楽しみです。
                 (武)

2009年11月18日

中野区の図工部研修会

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当館のMOTコレクション(=常設展示)には、
よく小学校の団体が来てくださるのですが、
そういう時に引率の先生たちは大変です。

子どもたちが騒がないよう、作品に触れたりしないよう、
監視をしてくださるのに一生懸命で、
美術館を楽しむ余裕はなさそうです。

今日はそんな先生方が忙しい時間の合間を縫って、
美術館に研修会で集まってくださいました。
中野区の図工の先生方、14人です。

まず学芸員から当館の「スクール・プログラム」の概要を
お話させていただいた後、展示室に移り、
学校向けの鑑賞教室(ミュージアム・スクール)を
模擬体験していただきました。

今日は引率者ではないので、
先生方はいつもよりリラックスした表情。
作品を前にして、活発な意見が飛び出します。

「大きな花の中にいる虫みたいな気分」と、
エルネスト・ネトの作品(写真右)を見て一言。
ゆっくりとくつろいで鑑賞できるのも
研修会だからかもしれません。

美術館ならではのおもしろさ、楽しさ、発見。
それを先生ご自身が実感していただくこと。
それが「スクール・プログラム」の第一歩。

先生たちの実感を通して、
子どもたちに「美術館の楽しみ」を
伝えていきたいですね。(C.M.)

2009年9月26日

秋田県の先生方

秋田県の図画工作・美術の
指導主事の先生方が当館のスクールプログラムの調査にいらっしゃいました。

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先生方は対話型の美術鑑賞教育について
これまでもかなり詳しく研究をなさっていて、毎年報告書も出していらっしゃいます。
当館のスクールプログラムが「対話型」というだけでなく、
「体験的な鑑賞」ということを謳っているため
その部分に未知のものを感じられたそうです。
というわけで、
当館のスクールプログラムについて説明後、
実際にこども達が見学に来た時に我々がどのようなトークをしているのかを
先生方に体験していただきました。

ひとつめは、
アトリウムにあるエルネスト・ネトの作品で
作品に使用されている材料を触りながら鑑賞するもの。
ふたつめは
栗田宏一の土の作品で
アーティストからいただいたサンプルの土をじっくり見ながら鑑賞するもの。
最後に
金氏徹平の作品で、触るものは何もないけれども
こどもが興味を持つところ(キャラクター)を手がかりに深く鑑賞するもの。
先生方からは
こうした五感を刺激する体験とトークが
もう一度作品を最初よりも詳しく見ようという気持ちにさせ
感性を高めることにつながる点がとても良い、
という感想をいただきました。
指導主事の先生方ということは学校現場では教頭先生?
美術館での鑑賞授業に理解のある教頭先生がいらっしゃると
学校も見学に出やすくなることと思いますし、うれしいことですね。
美術館での鑑賞授業が先生方から県全体に広がることを願っています。
ぜひいつか、学校のこどもたちといっしょに来てくださいね。
                               (武)

2009年8月11日

夏休みの先生

夏休みの先生は長いお休みでいいなぁ…
なんて思っていたこともありましたが、
それは全くの勘違い!
こども達はお休みでも、先生方は毎日勉強です。
当館でもこの夏休み中に
先生方にじっくりと現代美術について考えていただける機会を
ということで、「夏休み先生のための研修会」を開きました。
募集人数30名のところ、50名以上の先生に参加していただきました。

午前中は「メアリー・ブレア」展について担当学芸員の特別レクチャー。
メアリーが小さなこどもがいる母親でありながら
東海岸から西海岸へ通勤していた時期があることなど
さまざまなエピソードを交えたレクチャーを聞いたあとで
展示室を自由に鑑賞しました。

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昼食をはさんで、午後は「伊藤公象」展の研修会。
ふだん学校で陶芸の授業をすることもあるという先生もいらっしゃったのですが、
焼き物でありながら伝統工芸的手法ではなく
「自然にゆだねる」という伊藤公象氏の制作方法は新鮮だったようです。

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展示室では特別に作品の一部に触れながら鑑賞したり、
特製のワークシートを手がかりとして自由に鑑賞しました。

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最後のアンケートには、
「学校のこどもを連れてきたい」という嬉しいコメントもいただきました。
丸一日現代美術にどっぷりと浸る、濃密な1日だったことと思います。
先生方、本当にお疲れ様でした!
                 (武)

2009年6月23日

「お気に入り」の一点! 練馬区立練馬第三小学校

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蒸し暑いくらいの空気
本格的な夏を感じるお天気の中
今日は練馬区立練馬第三小学校の5年生
合計87人のみんなが美術館に来てくれました。

午前中にグループに分かれてトークを聞いた後は
自由時間にじっくりと作品を鑑賞しました。
その間に持参してくれたワークシートに「お気に入り」の作品を記入。
みんなとっても真剣な表情・・・。
ここでは、名和晃平《Pixcell—Deer#17》が圧倒的な人気でした!
「可愛い!」「なんかちょっと怖い・・・」と、様々な意見が飛び交います。

そしてお昼ごはんをはさんで
今度は、実際に作品の前で一人ひとりが「お気に入り」の一点を紹介します。
このときには、奈良美智《サヨン》に描かれている女の子の表情から
睨まれているけれども何故か気になってしまう・・・という面白い意見があったり。
また、67点からなる大竹伸朗《日本景》では
各々が色や形、そして制作方法にまで目を凝らし
独自の着眼点を披露してくれました。

発表するにあたり、ちょっぴり緊張していた子もいたようですが
自分の好きなものを自分のことばで表現してくれるみなさんの様子からは
非常に頼もしい印象を受けました。
87人のみんながいれば、87通りの「お気に入り」がある。
そんな思い入れがぎゅっと詰まった発表だったのではないでしょうか。

帰りがけには、「今度は弟を連れてこよう!」
「今日のことを家族に自慢したい!」という声も。
これは、何とも嬉しいかぎり!
自分の気に入った作品を、ぜひ周りの人に教えてあげてくださいね。
また美術館でお待ちしています。(前)

2009年6月11日

図工の先生の研修会 都図研研修会 その1

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東京都の小学校は、1316校あるそうです。
そしてそれぞれの小学校に一人ずつ図工の先生がいます。
ということは、1300人以上?!

さて、そんな図工の先生方のための
美術館での作品鑑賞をテーマにした研修が行われました。
図工の先生方の研究会「都図研」と
わが現代美術館をはじめ、東京国立近代美術館、東京国立近代美術館の工芸館
そして国立西洋美術館の4つの美術館とが連携して行われる研修会です。

当館の常設展示室の作品を使って
まずは他館の学芸員のみなさんによるギャラリートーク。
そして、そのあとで先生方によるディスカッションです。
どんな投げかけがあればもっと作品をじっくり鑑賞できるようになるか、とか
こども達の想像を膨らませるにはどんな切り口がよいのか
など。

トビアス・レーベルガーの、ガレージ模型の作品では
学芸員から「ここに1日いられるとしたら、どんなことがしたいですか?」
という問いかけがありました。
それを受けた一人の先生は「ここで1日暮らしてみたい。」とのこと。
「外部が透けて見えるので、太陽の光や月の光の移り変わりを楽しんだりしたい」
というご意見でした。
確かに、この作品の天井からお月さまや星々が眺められたら
本当に素敵ですよね!

この研修会は2回もの。
次回は26日に、現代美術館近くの小学校のこども達に
学芸員と先生がギャラリートークをする予定です。
こども達はこの作品の中で何がしたいと言ってくれるのか
とっても楽しみです!                 (武)

お友達と一緒に美術館! 豊島区立長崎小学校

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雨が降ったりやんだりのお天気の中を
電車に乗り継ぎやって来てくれたのは
豊島区立長崎小学校の4年生のみなさん。
学校で美術館に見学に来るのが初めてのこどもたちは
到着したときからやや興奮気味です。

今回の見学では
村山悟郎の作品のトークを先生からのリクエストでいただいていました。
見学後の授業として、
「ひもを交差して編んで上から絵をかくような制作」をする予定なのだそう。
村山悟郎の作品の展示室に入ると
足もとまで広がるたくさんのひもにすっかり釘付けのこどもたち。
この作品のひもが「縦と横に通して編まれていること」を確認してから
木枠に貼られた市販のカンヴァスをみんなに見せました。
カンヴァスに貼られた布も、この作品と同じように
縦糸と横糸を組み合わせて編んである、ということを改めて実感したようです。
そのあとで、丸く渦を巻いたような《神の宿る部分》を見ながら、
みんなでどの部分に神が宿ってるのか、考えました。
「真ん中の丸いところは地面を掘った穴を表していて、その穴の中に住んでいる」
「いろんな魂が真ん中の丸いところに集まっているみたい」
などいろいろな発想が出てきました。スゴイ!
そして、作品がまるで回転しているみたいに見えるので、
どちらがわに回転しているか考えてみたり。

その後、内海聖史の《三千世界》について話をしようとすると
こちらはまだ何も言っていないうちから、ほとんどの子が手を挙げて
作品を見て気づいたさまざまなことを話してくれました。
そのどれもがとても鋭い。
先ほど見せたカンヴァスのことを覚えていて
「さっきみたいなカンヴァスに描いてある」と言ってくれた子もいました。

みんな活発に手を挙げて、ひとりひとりが自分の言葉でたくさん話してくれました。
とても感性豊かなこども達。ぜひまた遊びに来てくださいね!
                               (武)

2009年6月 9日

みんなちがってみんないい 二上小学校

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二上小学校の図工の伊藤先生は
前任校のときにもよくMOTを利用してくださっていたのですが、
二上小学校で見学に来るのは今回が初めてです。
見学に来てくれたのは、5年生98人!
お友達がいっぱいの学校です。

はじめに4つのチームに分かれてギャラリートークです。
藤本由紀夫の《Ear with chair》は、誰もが体験したくなる作品。
「普通にしているときに聞こえているはずなのに意識しないでいる音」を
長い管を通して聞いてみるのです。
まず作品を体験する前に
「今、トビアスの作品を見ていたときにどんな音がしていたか覚えてる?」
とみんなに訊ねてみましたが、もちろん覚えていません。
そう質問している私だって覚えていませんから。
するとみんな「今ここでしている音」を意識し始めます。
そのあとで何人かの子にこの作品の音を聞いてもらいました。
その感想を言ってもらうと、一人一人違います。
「ウワンウワン言ってる」とか「ビヨビヨビヨ・・・っていってる」とか、実に様々です。
同じ音を同じように聞き、みんな真実を言っているはずなのに、
ほとんど同じにならない。不思議ですよね。
だってこれが一つの計算式だとしたら、誰が解いても同じ答えになるはずです。
そこが美術のおもしろいところです。
「みんなちがってみんないい」のです。
トークの時はみんなに体験してもらうことができないのが残念なのですが、
自由見学の時間になるとたくさんの子が
「自分だけの体験」をもとめて、この作品の前に行列ができるのでした。

ひとつひとつの作品の話をとても一生懸命に聞いてくれたこどもたち。
その集中力は本当にすごかったです。
これからも、ひとりひとりの「自分だけの体験」を
大切にしていってほしいと思います。
                               (武)

2009年5月15日

お気に入りの作品をメモ 金曽木小学校

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台東区の金曽木小学校の6年生が見学に来てくれました!
午前中学校で授業を受け、給食後に来館です。
まずは3チームに分かれてトーク。
オスジェメオスの、スプレーで描いた不思議な絵に惹きつけられたり
3階の《ゴミ男》をみてだれも気にとめないものの魅力を感じたり。
どの作品も予想外だったかもしれません。

チームでの鑑賞の後は、各自が自由に展示室を回り
お気に入りの作品をメモします。
人気があるのは名和晃平のガラスのビーズがついた動物たちの作品。
周りにつけられたビーズで実体がよく見えないシカやバンビは、
幻想的でさまざまな物語を感じる一方で、どうやって作られているのかが
とても気になるのです。
みんなのメモには鹿のまわりに小さな丸がいっぱい描いてありました。
ほかには大竹伸朗の《日本景》のなかの1枚をメモしている女の子たちも。
あんなにたくさんの絵が並んでいる中でも
しっかりお気に入りの1点を見つけるなんて素敵ですね。
自由時間があまりなかったけれど、みんな時間をうまく工夫して
しっかり鑑賞しながら、メモもきちんと取っていました。
また来てくださいね!
            (武)

2009年5月 1日

展示室は高校生でいっぱい! 都立工芸高校

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MOTのガイドスタッフは
毎日2時からコレクションのトークをしています。
この日は特別に高校生の皆さんにトークしました。
見学に来てくれたのは、グラフィックアーツ科の1~3年生。
108人の生徒さんを6チームに分けて、
6人のガイドスタッフがご案内です。

トークがスタートすると
展示室のあちこちに高校生がいっぱい!
ほとんどの高校は美術の授業が選択科目のため
見学に来てくれても数十人の団体である事が多く、
この日のように100人以上の高校生が展示室で見学している光景というのは、
普段あまり見られないものなのです。

ガイドスタッフの面々はというと
トーク歴3年の方から10年以上というトークのベテランまで、
スタッフ全員が、みなさんに分かりやすい解説を、と
いろいろな工夫を凝らしてトークします。
刷毛を片手にステラ作品の描き方を話したり、
展示作家の別の作品資料を見せながらトークしたり。
生徒の皆さんも、普段は制作側の人なだけあって、
作品を見る目はとても真剣です。

平面から、立体、インスタレーションまで、じつにさまざまな作品の数々が、
生徒の皆さんの制作のインスピレーションにつながるといいですね。
                                  (武)

2009年4月23日

東京でしか見られないもの 酒田第三中学校

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修学旅行のグループ学習で見学に来てくれた
山形県酒田市立酒田第三中学校2年生の女子6人。
グループ学習のテーマは
「東京でしか見られないもの」だとか。
6人のみなさんは東京にある様々な場所の中から、
MOTを選んでくれたのです。

見学に到着した時に、
常設展出品作家の内海さんがちょうど来館中で、
作家に直接質問できるチャンスとなりました。
作家に会って話ができるというのは、現代美術ならではのこと。
内海さんは、みんなの様々な質問のひとつひとつに
とても丁寧に、そして誠実に答えてくれました。

その後は、企画展示室の「池田亮司展」を見学し、
入口のジャイアント・トらやんと記念撮影。
短い時間でしたが、MOTを満喫してくれました。

修学旅行終了後に、この体験をレポートにまとめるそうです。
どんなレポートになるのでしょう?

今度は個人旅行でMOTに遊びに来てくれると嬉しいです。
                              (武)

2009年1月15日

かっこいい紫色をつくろう 中野区立谷戸小学校

「アーティストの1日学校訪問」2校目は、中野区立谷戸小学校。
この学校のスクールカラーは紫色。
その慣れ親しんだ色をテーマに、ということで、
授業は「かっこいい紫色をつくろう」。

「紫色は何色でつくる?」と内海さんがこどもたちに尋ねると、
「青と赤!」という答え。
そこで内海さんが
「今日はそれ以外の色も混ぜてみて、かっこいい紫をつくろう」
というと、こども達は
「じゃあ、緑混ぜちゃおうかな」「オレンジ混ぜてみよう!」
とおそるおそるチャレンジ。
すると、なんと自分だけの何とも言えない紫色ができました。

2009.15 中野区立谷戸小学校 052.jpg

内海さんはみんなの独特な紫色を見て、
「おっ!いい色だね~!」と声をかけます。
中には、限りなく茶色っぽい紫や、ほとんど黒に近い紫、など
一見よく知っている紫色から遠い色もあり、
だんだん不安になってきたたこどもたちにも
内海さんは「自分が紫だと思うものは紫でいいんだよ」とか、
「大丈夫!いい紫色だよ!」と声をかけます。

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一人がだいたい4枚ぐらいの画用紙を使って
それぞれ違う紫色を塗りました。
最後にそれを全部つなげると
大きな紫色の作品が壁から吊りあがりました。
さっき紫色じゃないのではないかと心配していた子のものも
壁に吊り下げた中にありますが、
しっかりと紫色の画面を構成しています。

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紫色の多様さと色の美しさを目の当たりにしたこども達。
そのあとで、内海さんの青い作品をみんなに見せると
青い色が何種類も使われていることに驚き、きれいさにため息が漏れました。
簡単な制作をとおして、色彩の奥深さを実感できた時間でした。
(武)

2009年1月14日

学校訪問スタート! 東大和市立第一小学校

今年度の「アーティストの1日学校訪問」がいよいよスタートしました。
今年度の訪問アーティストは、画家の内海聖史さん。
当館では、2008年春の「屋上庭園」展に出品していました。
絵の具の色の美しさをテーマに絵を描いてます。

訪問授業第1回のこの日、
やってきたのは東大和市の第一小学校。
温かい感じのするアットホームな学校でこどもたちはとっても元気!
図工の先生が「今日だけの図工の先生」内海さんを紹介。
絵の具の色をテーマに、「かっこいい緑色をつくる」という授業がスタートです。

2009.1.14東大和市立第一小 005.jpg

普段は青と黄色を混ぜたり、緑色の絵の具をそのまま使っているこどもたちですが
今日は赤やオレンジ、紫色など緑とは関係ないような色も混ぜて、
「自分だけのかっこいい緑色」を作ります。
緑色ができたら、四つ切の画用紙に刷毛を大きく動かしながら塗ります。
完成したら、「もっとかっこいい緑色」を作って別の画用紙に塗る…
こうして、一人ひとりが4~5枚の画用紙を使って違う緑色の絵を作りました。

09.1.14東大和市立第一小 029.jpg


全員の絵をテープでつないで廊下の壁に貼り、
大きな緑色の画面が出来上がりました。
その壁の前に立つと視界が緑色でいっぱいになり、
全身が緑色に包まれるような感覚になります。
みんなで一緒に緑色の壁を眺めていると、
「緑っていろいろあるんだね」という声。
内海さんはポケットから拾ってきた草や葉をいくつか出して、
「自然の中にもいろいろな緑があるんだよ」と話しました。
色を作る途中で「緑色じゃなくなった~」と言っていた子のものも、
こうしてみると緑色の一つになっています。

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その後は質問タイム。
「好きな色は何ですか?」という質問から、
「彼女はいるんですか?」というものまでさまざまな質問が飛び出し、
「サインしてください」とサインをせがまれる一幕も。
こうして、
内海さんの学校訪問初日はあっという間に終わりました。
                               (武)

2009年1月 9日

みんなの運動靴にも・・・! 港区立御田小学校

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昨日から雪が心配されていましたがお天気は雨。
そんななか、バスに乗ってやって来たのは、港区立御田小学校。
御田小学校は以前にも美術館に来てくれましたが
なんと今日来てくれたのは1年生!!
お友達と一緒に美術館に来るなんて初めてで
ワクワクが抑えきれない様子です。

「はじめてのびじゅつかん」なので
今日は自由見学は無しにして、
3チームに分かれて最初から最後まで
お散歩のように展示室を鑑賞しました。

アトリウムにあるトビアスの作品の中に入ると
まず、「声がひびく!!」と
作品の中の感じが違うことに気づきました。
この作品はガレージの模型なので
実は組み立てたり、しまったりが簡単にできるようになっていて、
接着ものりではなくマジックテープを使っています。
「ちょうどみんなの運動靴と同じように・・・・」と話すと
こどもたちは一斉に自分の靴のマジックテープを
ペリペリペリペリとはったりはがしたりしはじめました。
みんな自分で実際にやってみて、どういうことなのかを
確かめていたのです。
「みんなの靴がのりで貼り付けてあったらどうしよう?」と聞くと
すぐに「とれないからこまる!ぬげない!」という答え。
「組み立てたり、しまったり出来る」という言葉の意味を
しっかり理解したようです。

展示室を一周しましたが、
奈良美智の絵を見て「すごい!」
草間弥生のボートを見て「すごい !! 」
足立喜一郎の電話ボックスを見て「すごい !!! 」
と、ひとつひとつに驚くこどもたち。

2年生になった時に、ぜひまた来てもらいたいですね。
                         (武)

2009年1月 8日

切なさを思い出した作品・・・足立区立寺地小学校

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2009年最初に見学に来てくれたのは
足立区立寺地小学校の5年生の皆さん。
「三菱ふそう」さんの協力によるバスに乗ってやってきました。

まずはチームに分かれて展示室で鑑賞です。
大竹伸朗の「ゴミ男」では、まずは触らないように近づいて
どんなものが材料に使われているのかじっくり観察。
絵の具のチューブ、電卓、ギターのネック、写真、などなど
いろいろ発見しました。
そしてこれが作家のスタジオから出たごみで出来ていることを明かすと
「え~」という静かなどよめきが。
その後
「自分にとってはとても大切なものだったのに、
家族にゴミと間違えられて捨てられたことのある人いますか?」
と聞いてみました。
するとほとんどのこどもたちが手を挙げました。
その時のみんなのちょっと切なそうな表情といったら・・・。
そして、この作品に使われている一見ゴミのようなものたちは、
実は大竹さんにとってはゴミではないのかも知れない、と
思い始めたようでした。

その後の自由見学では
図工の島田先生特製のワークシートに
お気に入りの作品などを書き込みながら鑑賞。
帰り際にみんなのワークシートを見るといっぱい書いてあって
一生懸命に鑑賞したことが伝わってきました。
                        (武)

2008年9月20日

みんなでみると、いろいろみえる

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19日の午後に常設展を見学に来たのは、押上小学校の4年生。

今日は東京都の職員研修会も兼ねていて
たくさんの知らない先生たちがこどもたちの後ろで見ています。
みんな緊張しちゃうかな?と思いきや
作品を見ながら思ったことをいろいろ教えてくれました。

友達が言うまでは全然そんな風に見えなかったり、思わなかったことも
友達に言われてみると
そういえばそうも見えるし、そうかもしれないと思えてきます。
さらに、そうだとしたらあれはこういうことなんじゃないか?なんて
どんどん想像が膨らんでいき、世界が広がっていきます。

3チームに分かれて学芸員と一緒に作品を見た後は
図工の平田先生とこどもたち全員で
大竹伸朗の《ゴミ男》を見ました。
いろんなゴミ(?)が張りつけられてできた作品をみながら
気づいたことを話していきます。
人によって見ているところが違うので
みんなの気づいたことを集めるといろいろ見えてきます。

最後にタイトルをつけてみると
「ゴミ王子」とか「あやしいホテル」など
ひとりひとりが違った視点でじっくり観察していることがうかがえます。

友達といっしょに話しながらみることで
自分の気付かない視点を見つけ、広がりのある鑑賞ができること。
家族で来るのでなく、学校で美術館に来るからこそ得られる体験ですね。
(武)

2008年8月 5日

全員くぐり抜けられました!~調布市立第三中学校

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今日は雨天の中、
調布市から中学生が見学に来てくれました。
みなさん美術部の生徒さん。
いつもは学校でポスターのデザインをしたり、
それぞれが積極的な活動をしているようです。

さてこの写真は前回もご紹介した島袋道浩さんの
《輪ゴムをくぐり抜ける》という作品です。

作品、と言ってもそこに絵や彫刻があるわけではありません。
そこにあるのは、ごく普通に売られている輪ゴムだけ。
来た人はそれを一つずつ手に取り、
輪の中をくぐり抜けてください、という作品です。

直径約4センチの輪ゴムなので、
この中を無事にくぐり抜けられるか、
みなさん半信半疑です。
「輪ゴムが切れそうでこわい~!」という
つぶやきもちらほら聞こえてきます。

おそるおそる始める人が出てくると、
みんなにその余波が伝わり、
全員が輪ゴムと格闘を始めました。
頭から始めたり、足から始めたり、
やり方はそれぞれです。

途中で髪の毛に引っかかったりもしましたが、
最終的には全員が見事、
くぐり抜けることに成功しました。

現代美術の作品は、
時として私たちの見方や考えを
少しだけ変えてくれたり、
新たな視点を提供してくれることがあります。

本来くぐるものではないはずの輪ゴム。
それを思い切ってくぐってみた後、
ちょっとした驚きや嬉しさがみなさんの表情に浮かびました。
(C.M.)

2008年6月25日

未来に向かって・・・御田小学校

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10:00の開館とともに
黄色いマイクロバスに乗って
港区立御田小学校の5年生が来てくれました。
今日のテーマは「未来に向かって」。
岡本太郎の《明日の神話》を鑑賞し
それをヒントに、後日自分達も作品を作ってみるとのこと。

3チームに分かれて、《明日の神話》などを
作家が作品にこめた思いについて考えながら鑑賞しました。

《明日の神話》の中に登場する不思議な生き物を
ひとつひとつ見ていってみると、
「炎」「炎に包まれる人々」「逃げる生き物」といったモチーフや、
画面を覆う青黒い色や灰色の雲などから、
こども達は戦争を連想したようでした。
そのあとで画面の左端の三人の姿の話になると、
その部分だけが虹のような色合いであることに気づきます。
こどもたちの中には、この三人のことを「妖精」ではないかという人がいました。
「妖精」というのは本当に素敵な感じですね!

制作当初に飾られる予定だったメキシコの、
その国の人々が骸骨から抱く「死と再生」のイメージと、
そして「明日」という言葉のついた作品の題名から、
今回のテーマの「未来」を感じてもらえたのではないでしょうか。

今回の鑑賞が
皆さんの制作にどんな風に関係してくるのか、
とても楽しみです!
(武)

2008年6月24日

深海の魚になった気分?・・・西巣鴨小学校

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巣鴨から地下鉄を乗り継いでやってきてくれたのは、
豊島区立西巣鴨小学校の6年生のみなさん。
この美術館は駅から歩くと10分以上かかるので
梅雨の晴れ間でお天気に恵まれ、良かったです♪

到着後、早速
3チームに分かれて、常設展示室へ。
3階の展示ロビーからスゥ・ドーホーを見下ろすと、
別のチームがトークを聞きながら鑑賞中。
そのみんなの様子が、まるで水の中にいるように見え、
「すごい!深海の魚みたい!」という声。
その後で1階に下りると、
水中にいるみたいに見えることを意識して、
泳ぐマネをしたり、手を振ってみたりと、
今度は上から見ている別のチームにサービスしていました。

また、
柳幸典の《ヒノマル・コンテナー》では
中に入って最奥部の丸い部分の天井と床を覗いて、
どこまでも続く井戸の中に吸い込まれるような不思議な感覚に
「怖いけれど、もう一度見たい」と、何度もその感覚を味わう人も。

最後にアンソニー・カロに登って学校へと戻っていきました。
暑い中、たくさん歩いてやっとたどり着いた美術館。
でも、作品を十分楽しんでくれたようで、良かったです。
ぜひまた来てくださいね!
(武)

2008年6月11日

美術館の裏側って・・ 東川小学校

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今日は江東区立東川小学校の6年2組のみなさんが
歩いて美術館まで来てくれました。
美術館のご近所の小学校なので、
いままでにここに来たことのある子がたくさんいました。

今日は図工の高松先生のたっての希望で
美術館の裏側もちょっと紹介しました。
《明日の神話》などいくつかの作品を見た後、
展示室からバックヤードへ。

展示室の壁のすぐ裏側に
大きな作品用のエレベータがあることに
驚いていました。
振動が起きたり温度や湿度が変わることが
作品には良くない事なので
美術館は作品の移動中でもなるべく
そういうことのないような仕組みになっているのです。

美術館から外へ作品を運び出すときの出入り口となる荷受では
トラックと美術館の床の高さの段差をスムーズに移動するための
テーブルリフターを見学。
こどもたちが作品の代わりとなって
リフターに乗って上がったり下がったりすると
とても静かにゆっくり動くので
作品に振動を起こさないために工夫されていることを実感したようです。
作品がとてもデリケートだとわかったこどもたちは、
その後の自由見学の時間でもマナーを守って鑑賞していました。

あしたは6年1組がやってきます!
(武)

2008年6月10日

気になる作品ベスト3 南鶴牧小学校

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今日は多摩市立南鶴牧小学校の5年生が
バスに乗ってやってきてくれました。

道路が思ったよりも空いていたおかげで、
予定よりも早く到着したとのこと。
開館と同時に美術館に入ってきた時には
木場公園でひと遊び終えた後だったので
うっすら汗をかいて元気いっぱいの様子です。

初めに図工の横道先生を先頭に
展示室全体をみんなで一周して
第一印象で気になる作品をそれぞれがチェック。
その後で2チームに分かれて
気になったベスト3の作品を見ました。

気になった第1位は、やっぱり《明日の神話》。
画面全体にながれる雰囲気などを感じつつ
描かれているものをひとつひとつ見ていきました。
メキシコのホテルのロビーに飾られる予定だったことを知ると
「そのホテルに泊まっていたら怖くてトイレに行けない」
と言っていたこども達でしたが、
メキシコでは骸骨は死と再生の象徴であることを伝えると
中央にある大きな骸骨は「きっと守り神なんだね」と
ちょっと安心したようです。

気になった第2位は、宮島達男のデジタルカウンターの作品。
緑色の電気コードでつながった2つのカウンターの関係を確かめたり
自分のペースにぴったりのカウンターを探したり。

そして第3位は、スゥ・ドーホーの《リフレクション》。
作品に使われている布をさわってみると
「思っていたのとはちがった」という人が多く
意外な布のコシや硬さに驚いたようです。

自由見学の時間に数人のこども達と《IKAROS》を見ました。
はじめに何が描いてある絵なのか
みんなが思いついたことを言ってみました。
するとみんないろいろなものが見えてきました。
その後でイカロスの墜落の話を教えると
これは空を飛ぶ場面なのか、あるいは墜落するところなのか、
イカロスの神話のどんな場面を描いたものなのかで
話が盛り上がりました。

どんな作品でも活発に意見が飛び出すので
一緒に作品を見ているととても楽しくなります。
ひとつの作品を見ながら
みんなで思ったことを話す楽しさを
こどもたちにも感じてもらえたら嬉しいです。
(武)

2008年6月 4日

感じ方いろいろ、お気に入りいろいろ・・・根岸小学校

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毎年6年生が見学に来てくれる台東区立根岸小学校。
今年の6年生は108人。
毎年3クラス規模の大きな団体さんです。
ですから
展示室でのギャラリートークはできませんので
講堂で映像をつかってお話をし、その後各自で本物に出会う、
という方法です。

講堂に映像が投影されると室内が暗くなるので、
居眠りしてしまう人がいるのではないかと心配しましたが、
みんな元気に映像を見ながら質問に答えてくれました。

そしていよいよ展示室へ。
講堂で話したそれぞれの作品の話をヒントに、
各自が自分の感じ方でしっかり鑑賞していました。

お気に入りの作品3つをスケッチすることになっていましたが、
《明日の神話》を描く人、川崎小虎の絵をスケッチする人、
ほかにも中ハシ克シゲや堀内正和、吉仲太造、菅井汲など、
スケッチの対象となる作品は実にさまざま。
お気に入りはひとりひとり違いましたが、
みんな自分の感じたことを一生懸命に描いていて、
どれもすごい迫力があって、素敵なスケッチに仕上がっていました。

見学の最後にはアンソニー・カロの《発見の塔》にのぼりました。
塔の上から見える見晴らしの良い景色に笑顔がこぼれます。
いろいろな発見ができるという《発見の塔》。
ここでもそれぞれ違った何かが発見できたことでしょう。
(武)

ただいま執筆中~豊田市藤岡中学校

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今日は、豊田市から修学旅行で中学生4人がやってきました。
自分の将来を考えるために、
興味のある場所を選んで「調査」「体験」「取材」をする
「追究学習」というプログラムの一環です。

美術館の仕事を体験してもらうために
挑戦してもらったのはMOTコレクション(常設展示)の
中学生用リーフレットづくりでした。

今、MOTコレクションで配布しているのは
大人用のリーフレットのみ。
そこで、中学生の視点で、
中学生が興味を持って読んでくれるような
解説を書いてみること。
それが今日のミッションです。

写真は、図書室で真剣に勉強している様子。
展覧会カタログなど資料を読みながら、
何を書こうかアイデアをまとめているのでしょうか?

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さて完成したのは、このリーフレット!
平易な言葉で
作品の魅力がまとめられています。
(配布はしておりませんが、見たい方がいらっしゃたら、
 ご連絡ください!)

「自分の言葉で、何かを伝えるのって難しい」
「・・・・でも勉強になりました!」とのこと。
美術館の仕事の難しさとおもしろさ。
その両方を感じてもらえたでしょうか?
(C.M.)

2008年5月29日

抽象画から感じ取る 練馬区立練馬第三小学校

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学校からバスに乗ってやってきたのは、練馬区立練馬第三小学校の5年生。
学校が練馬区立美術館のおとなりにあるそうで
さすが、みんな美術館に行ったことがあるとのこと。

スゥ・ドーホーの門では
作品の布の柔らかさを想像してから
実際に作品に使われている布のはぎれにさわってみましたが
「思っていたとおりだった」というカンの良い子が続出。

さらに
「何が描いてあるのかがよくわからない作品を見る練習をしよう」
ということで、山本直彰の《イカロス20013》を見てみると
「白いイルカがいる」
「飛行機が飛んでいる」
「アーチェリーの弓が飛んでいる」
「船がひっくり返っている」
「なにかが爆発している」など
さまざまな意見が飛び出しました。
一見はっきりわかるものがない作品のなかからでも
子どもたちがそれぞれ自分の力で感じ取っているのがわかります。

その後の自由見学の時間に
気に入った作品を見つける時も
抽象画を選んでいる人が何人もいて
きれいにスケッチしてあったのが印象的でした。
(武)

2008年5月27日

「お富さん」と若い世代 自由の森学園高校

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今日常設展を訪れたのは
自由の森学園高校の生徒さんたち。

1階展示室から3階へ移動する階段の踊り場から、
中ハシ克シゲの《OTOMI》を見ましたが、
若い世代の彼らには、
「OTOMI」+「粋な黒塀、見越しの松」=「お富さん」
の数式も、解説なしには行き着けません。
でも、金属でひとつひとつ丁寧に作られた松の様子や、
人工と自然の関係について見ていくと、
どんどん味わいが出てきました。

ファッションもそれぞれこだわりがあり
ひとりひとりの個性が光っている皆さん。
それぞれが自分のお気に入りを見つけてくれたらうれしいです。
(武)

2008年5月10日

先生のための研修会

ただいま開催中の企画展「大岩オスカール:夢見る世界」展と「屋上庭園」展を
学芸員のレクチャー付きで鑑賞する、先生限定の研修会。
31名の先生方が参加して行われました。

はじめに、各展の担当学芸員によるスライドレクチャーがあり
その後展示室へ移動、各自のペースで鑑賞しながら
疑問がわいたら学芸員に質問。
動物の姿があちらこちらに見え隠れするオスカールの絵画や
「庭」という親しみやすいテーマを多角的にとらえた「屋上庭園」展は
展示方法のテクニックの質問から、モチーフやテーマについてまで、
さまざまな質問がありました。

参加された先生方は、
当館に初めて来館したという先生から
学校での利用はないものの、個人的には企画展ごとにいらしているという先生
そして、学校で毎年利用している先生まで、
学校の事情もあって、美術館と先生との距離はいろいろ。

学校での利用が前提でない先生にも
こうしたプログラムに気軽に参加してもらって
学校での授業のヒントとしても活用していただければ、と思います。
(武)

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2008年2月 1日

履き物の街で「はけない靴」をつくる

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訪問第3校目は台東区立浅草小学校。
校舎を入ってすぐの吹き抜けにある大きなステンドグラスがとてもきれい。
そこには五重塔や仲見世の様子が描かれていて、
さすが浅草!素敵です。

浅草といえば、履き物の街。
この日授業をおこなった5年生の中にも
靴を作っている家だったり、履物屋さんの人など、
靴に関係のある家の人が何人もいました。
とはいえ、「はけない靴」なんて見るのは初めて。
アーティストの佐藤さんが作った
不思議な形の靴の作品が次々に登場すると
「あれじゃ足がぬれちゃうよ」とか「歩けないよ」という言葉が。
ひとつひとつの作品がとても立派に作られているので
ついつい「はけない靴」であることを忘れてしまいます。

作品を体験した後は、自分の「はけない靴」づくり。
制作開始の前に先生が「アイディア浮かんだ人いますか」と聞くと
大勢の人が手を挙げていました。早い。
授業の最後の発表では、
つま先が異常に長い靴や、三角形の靴、チーズケーキみたいな靴など
個性的な楽しい靴がいっぱい。
みんなのアイディアの豊富さに脱帽です!
(武)

2008年1月22日

一番人気は・・・・?

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社会科見学の一環で来館してくれたのは、
八王子市立由井第2小学校の4年生。
先週企画展が終わったばかりの館内で
常設展をゆったりと鑑賞しました。

まずは2チームに分かれて鑑賞。
宮島達男のデジタルカウンターの作品では、
「すごく早くてずっと消えないみたいに見えるもの」
「止まっているのかと思うぐらいすごく遅いもの」
「ちょうど良いもの」を探しました。
みんなそれぞれちょうど良いテンポが違います。
さらに
緑のコードでつながっている二つのカウンターの関係について尋ねると、
「片方の数字が「9」までいくともう片方のカウンターの数字が増える」
というしかけをあっという間に見破ってしまいました。
すごい観察力!

自由見学の時間に
子ども達はミュージアムショップで
お気に入りの絵葉書を1枚だけおみやげに買うことになっていました。
「1枚だけ」という緊張感に、みんな真剣。
一番人気はどうやら《明日の神話》のようです。

最後にカロの《発見の塔》に登って、
彫刻作品を体ごと体験した子ども達。
また遊びに来てくださいね。
(武)

2008年1月15日

履けない靴

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学校訪問2校目は、町田市にあるつくし野小学校。
閑静な住宅街にある小学校です。

裸足になって集合し、
アーティストの佐藤さんが考えた「履けない靴」の作品を体験したあとで、
早速自分達でも「履けない靴」を制作。
しかし、実際やってみると、
はけない靴を作ることは意外と難しいのです。
写真の作品は靴底が丸くなっているので、
ぐらぐらして自立で出来ない靴。
ほかにも消火器のかたちをした靴や
履く人によってサイズが変えられる靴、
二人で一緒に履く靴など
面白いアイディアが満載です。

「靴は履けて当たり前」と思っていた子ども達。
おそらく「一生で一度の履けない靴作り」をみんな楽しんでいました。
(武)

2007年12月18日

みるみるうちに・・・・ 堤小学校

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堤小学校の6年生は
朝学校でみんなで一緒におにぎりを作り
お弁当持参で美術館にきてくれました。

まずは常設展示を鑑賞。
イエロー、ピンク、ブルーの3チームに分かれて2つほど鑑賞。
ウォーホルの《マリリン・モンロー》の前では、
「一番元気そうに見えるのは?」「一番さびしそうなのは?」
「一番怖そうなのは?」と同じ表情でも
色によって性格が変わって見えることや
人それぞれ感じ方が違うことを体験しました。

そして、岡本太郎の《明日の神話》へ。
子ども達が作品から見つけたことをどんどんメモしていき、
図工の南先生がみんなの見つけたことを入口にして
話を進めていきます。
話はどんどん盛り上がり、いつまでたっても尽きません。
なんとこの作品だけで50分も鑑賞しました。
みるみるうちに時間がたってしまい、あっという間の50分。
まだまだ時間が足りない様子の子ども達。
どんどん膨らむ想像力、本当にすごい!です。

あのお弁当を公園で食べた後は
「SPACE FOR YOUR FUTURE」展を鑑賞。
このときも子ども達は「公園で遊ぶよりもほかの作品が見たい」
と言ってくれたそうです。
どんな大人になるのか、将来がとっても楽しみな子ども達でした。
(武)

2007年12月14日

学校訪問、はじまりました!

ブログいちのえ.JPG

2007年度の「アーティストの1日学校訪問」がはじまりました!
今年度の訪問アーティストは、
履けない靴をつくるアーティスト、佐藤一朗さんです。

訪問第1回目に行ってきたのは江戸川区立一之江小学校。
この小学校は、現代美術館にもよく見学に来てくれます。
この授業では
佐藤さんが持ってきた履けない靴の作品を
特別にはいてみることができます。
つま先だけの靴や二人三脚のように二人で履く靴など、
様々な靴を体験したあとで
実際に子ども達も履けない靴づくりに挑戦。
様々な履けない靴が子ども達の手で生み出されました。
写真は、ビニール袋の中に毛糸などふわふわの素材の詰まった「靴」。
両足を一度に入れて履き、移動するときはぴょんぴょん飛ぶのだそうです。
「中に足を入れるとても暖かいから
コレを履いて椅子に座って勉強するんだよ」とのこと。
素敵なアイディアですね!
(武)

2007年12月13日

「SPACE FOR YOUR FUTURE」展楽しい!でも《明日の神話》もすごい!

東せん.JPG

住吉近くにある東川小学校。
今回は6年生が見学に来てくれました。

まずは「SPACE FOR YOUR FUTURE」展を鑑賞。
カーステン・ニコライの作品では
入口が真っ暗で、どこかお化け屋敷の入口を思い出すらしく
ついつい声が出てしまいます。
そこで「音の出ている作品だから静かにしてそっと入ってみてね。
そうするときれいなものが見えてくるよ。」と教えると
そっと耳を澄まして入ってくれます。
そして霧の水滴で紫色にきらめく光を見つけると、
今度は静かな歓声が。
「わーきれい」「すごい」と口々につぶやきながら
その美しさに見とれる瞬間です。

企画展のあとは常設展をほんの少し見ました。
《明日の神話》ではなんといっても作品の巨大さにびっくり。
描かれているモチーフをひとつひとつ見ながら
少しずつ作品全体の様子を把握していくと
子ども達の心の中でさまざまな物語が生まれ始めます。
5分だけ常設展の自由見学時間がありましたが、
「面白いから」と言って、先生の作ったワークシートに
黙々と《明日の神話》のモチーフをスケッチする子が何人も。

短い時間でしたが、美術館を丸ごと楽しんでくれました。
(武)

2007年12月11日

身近なもので

第5砂町.JPG


12月11日。
午後から第5砂町小学校の5年生が来館。
チームに分かれて、「SPACE FOR YOUR FUTURE」展を鑑賞しました。

嶺脇美貴子の不思議なアクセサリーの数々の前では、
それぞれがどんなものから出来ているのかを推理しながら鑑賞しました。
リコーダー、おろしがね、サインペン、キングギドラのソフビ人形、
漆塗りのように見えるプラスチックのおわん、パソコン、
そして100円ライター。
種明かしするたびに
身近なものがすっかり姿を変えてそこにあることに
みんな驚きの声を上げます。

男子はガンプラに釘付けになって、
「これはザクかな」「これは武器だね」と
元になったパーツがガンダムのどの部分なのか詳しく見ています。
女子はひとつひとつをじっくり見ています。
まるでアクセサリー売り場に来たかのように
自分が身につけたときのことを想像し、選んでいたのかもしれません。

また、水辺にある空気の作品では、
「恋する空気?!」とわくわくするやら、恥ずかしいやら。
ふんわり柔らかな香りも相まって、女の子に人気です。
自由見学の時間には気に入ってしまって
入ったまま出てこなくなってしまう女の子も。

男子も女子もお気に入りの作品を見つけてくれたようです!
(武)

2007年12月 7日

美術館のご近所さん

かずや.JPG

美術館のごく近くにある、
江東区立数矢小学校の皆さんが常設展示の見学に来てくれました。

まず初めに講堂で映像を見ながら展示のポイントをチェック。
「様々な大きさの丸が集まった絵のなかに数字が見える作品」
「中に入るとなにかがたくさん見えてくる作品」
「まるで本物のお客さんのようにリアルな人物像」
「一見屏風絵のようなのに裏を見るとふすまで出来た絵」
「旅の写真のなかのどこかにお地蔵様が写った作品」
「名画かと思ったら、果物の中に人の顔がある作品」
など、見所がもりだくさん。

そのあとで展示室に移動し実際の作品を見て回りました。
「シロナガスクジラのように巨大な壁画」
と紹介した岡本太郎の《明日の神話》では、
「裏から見るとばらばらになっていたものをつないだ跡が見えるよ」
と教えると、みんな興味深そうにじっくりと裏を観察していました。
ここにある巨大なものがばらばらになっていたってこと、
確かに不思議ですよね。

なんといっても近所の美術館ですから、
ぜひこれからも放課後などに気軽に美術館に足を運んでくださいね!
(武)

2007年12月 6日

どんなおはなし? 中川小学校

なかがわ.JPG

給食のあと、バスに乗って美術館に来てくれたのは、
墨田区立中川小学校の3年生。
実は今日の見学は墨田区の図工の先生方の研究授業にもなっていて、
子ども達は大勢の大人たちが見守るなか、
緊張しつつも夢中になって現代美術を楽しんでくれました。

はじめに2チームに分かれて展示室で作品を鑑賞。
ローゼンクイストの《バンディーニのために》では、
画面のあちこちにちりばめられた、
バンディーニにまつわる物語を読み取りました。

そのあとは、
子ども達が学校で描いた物語の絵を鑑賞し合いました。
「ハートの雲が空に浮かんでいるのを見た犬が、
またハートの雲を見たいなぁと思っている」
など、さまざまなお話を絵にしてくれていました。

そして最後は、
《明日の神話》を鑑賞。
さまざまなモチーフの描かれた大きな作品を見て、
どんなお話が描かれているのかを考えました。
「真ん中にいる悪魔が町を襲っている」という子がいると思うと、
「真ん中のガイコツは楽しそうに踊っている。
踊りを踊って悪いことを吸い取っている」
という子もいて、見方はじつにさまざま。
「ホテルのロビーに飾られるはずだったんだったら、
ガイコツがお客さんを守ってくれているのかも」
と言った子もいました。

子ども達の無限の想像力には、脱帽です。
(武)

2007年11月16日

六本木高等学校への出前授業

今日は東京都立六本木高等学校に
出前授業に行きました。

アーティストを連れていく、
“アーティストの一日学校訪問”は
毎年普通に実施しているのですが、
今回のように私たち学芸員だけが学校に出向き、
講師になるのはじつは特別なケースなのです。

さて今回のレクチャーは美術の授業のためではありません。
2003年度より高校に導入された「産業社会と人間」という、
“自分が生きている社会について理解し、
さらに将来の生き方や進路について考える”科目のためなのです。

美術館の人間が、この科目で何を話すべきか・・難しいところですが、
今回は常設展示室で公開されている《明日の神話》と
作家岡本太郎自身について
取り上げることにしました。

20世紀の混乱の時代を全力で駆け抜けた巨人、岡本太郎。
そして、戦後の復興期の最中に描かれ、その後40年近くたって
再発見された幻の壁画《明日の神話》。

日本社会の移り変わりや、日本という国の役割、
そして岡本太郎という勇気ある生き方について、
90分のレクチャーを行いました。

《明日の神話》の公開は来年4月まで。
今回のレクチャーをきっかけにして、
若い生徒のみなさんにもどんどん美術館に
足を運んでいただきたいですね。
何と言っても、この作品の迫力は言葉を超えていますので。
(C.M.)

2007年11月15日

初めての現代美術 赤羽小学校の3年生

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「SPACE FOR YOUR FUTURE」展のミュージアムスクールがはじまり、
見学に来てくれたのは、おなじみ赤羽小学校。
今日は3年生が初めての現代美術鑑賞です。
最初にクラスごとに分かれて、学芸員と一緒に見学です。

SANAAの《フラワーハウス》では、
「この家では、丸見えだから着替えたりできないよ」
と、初めは驚いていたみんなでしたが、
「家つきの庭」のイメージを話すと、
どんどんこの家に魅了されてきた様子。
部屋を仕切るドアが無いということにも、
自然と気づきました。
そのあとで「この家に住んでみたい人」と聞くと
みんなが手を挙げるほどの人気でした。

また、エルネスト・ネトの作品では、
「これ、なんだと思う?」とたずねると、
すかさず「かお!」「ぞう!」という声が。
たしかに、顔みたいですし、
鼻が長くて、本当に象みたいなんですよね。
「実はこの作品、着れるんですよ」というと、
ちょっと不思議そうな表情。
そしてひとりの子に、代表して実際に体験してもらいました。
背負ってみると「重い、動きにくい」というコメントでしたが
そのまま腰を下ろして、上に座ってみると・・・
「きもちい~い♪」

驚きや気持ちよさと一緒に
現代美術の楽しさを体験してくれました。

4年生になったときにまた会いたいですね!
(武)

2007年11月14日

放課後にも遊びにきてね 北砂小学校

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今日常設展を見に来てくれたのは、同じ江東区にある北砂小学校。
美術館まで学校から30分ほどかけて歩いて来てくれたとのこと!
そんな歩き疲れも見せず、
興味深々で現代美術を見てくれました。

「これから鯨と同じぐらいの大きさの作品を見ます」
と予告してから、《明日の神話》の部屋に入ると、
「すごい!」「でっかい!」と驚きの声が。
さらに太陽の塔と同じ頃に描かれたことを知り、
またもや「すごい!」との声。
1分間で作品の隅々まで観察したあとで、
作品に出てくるキャラクターを探すクイズ。
船の形をした生き物が何かを引っ張っていることを教えると、
「あ、魚だ!」「じゃあ、あそこは水なんだ」と
自発的に画面の一番下が水面であることを発見。
さらにテーマが原爆でありながら
画面に様々な場面が描かれていることや、
「明日」という未来があらわされたタイトルであること、
ガイコツにこめられた再生の意味などを感じてくれたようです。
中央のガイコツは神様なのだそう。

見学の終わりに子ども達から質問を受けました。
「こどもは入場料はいくらですか」
「何時までやっていますか」
という質問。
放課後にまた美術館に作品を見に来たいのだそうで、
そのためのリサーチだったのです!

ぜひ、自転車に乗って遊びに来てくださいね。
いつでも待ってます♪
(武)

2007年11月 1日

いい美術館とは?

デンキ大.JPG

今日は東京電機大学の情報環境学部の学生さんが来館。
みなさんは人間環境デザインコースの方々で、
「美術館の設計」という課題があるのだそうです。

そんなわけで、本日はバックヤードをご案内しました。
まずは普段のギャラリートークのように常設展示室へ。
実は展示室の一ヶ所に作品を搬入出するための、
バックヤードとつながった可動壁があるのです。
普段作品を見ているときには気づかないのですが、
よく見ると壁にアーチ型の隙間が。
その横にあるくぐり戸から裏側へまわると、
作品運搬用の大きなエレベーター。
そして、収蔵庫をはじめ、企画展準備のための部屋や、荷捌きなどを巡りました。
作品を輸送するトラックヤードのスロープの角度ひとつとっても、
さまざまな配慮があり、
随所に美術館だからこそ必要な設計が満載であることを実感しつつ、
最後まで真剣に見学していました。

最後に「いい美術館を設計してくださいね」と言うと、
学生さんの中から、
本当にいい美術館とは何なのかを問うような意見が。
今現場を見てきたからこそ、その問いが深まったようでした。
(武)

2007年10月26日

学校で習ったよ

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展示替え直後の常設展に見学に来てくれたのは、
横川小学校のみなさん。

前回に引き続き展示中の作品、
スウ・ドーホー、岡本太郎の《明日の神話》につづき、
今回より久々に展示室に登場の柳幸典作品をみんなで鑑賞。
「どんな形をしているのか見てみよう」
と周りを一周してもらったところ、
「前方後円墳!」という言葉が聞こえてきました。
「社会の授業で習った」そうで、みんな知っていました。
さすが6年生!

この作品は2~3人ずつ中に入って楽しむもの。
まず1人が代表でなかに入って、
中の様子をみんなに伝えてもらうことにしました。
すると「あっ!お金!・・・お金がいっぱい~!」というコメント。
外で待っていた人から
「自分の欲望を言ってるの?」という言葉がありましたが、
実はこの作品は誰が見てもお金がいっぱい見えるのです。
しかも無限に。

自由見学の時間にみんなも中に入り、
お金がいっぱい(?)の世界を堪能したのでした。
(武)

2007年10月17日

現場の悩み・・・

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教員研修の一環として先生方が、
美術館に来られることもありますが、
逆に学芸員が学校に出向いてお話する機会もあります。

今日は、新宿区立中学校教育研究会美術部に出向き、
当館で実施している学校団体向けのプログラムを中心に、
お話をしてきました。

せっかくの機会なので、なぜ美術に目覚めたのか、
先生方のアート初体験を伺いました。

「小学生の頃に体育館で見たピカソの記録映画に大興奮した」
「幼少の頃、はじめてのオペラ鑑賞で、その舞台美術に感銘を受けた」
「お菓子のおまけシールのキャラクターを描くのが楽しかった」
「工作が好きで、オリジナルのおもちゃを作っていた」
「小さい頃からベレー帽をかぶっており、風景画を描くのが好きだった」

などなど、みなさんいろいろなエピソードをお持ちで、
非常に盛り上がりました。
やはり、幼少の頃の体験が、将来美術の道に進もうという
きっかけに少なからずなっているようです。

普段我々が行っている子ども向けのプログラムも
そうした経験の一つとして将来その子が美術好きに
なってくれるきっかけになれば良いなと思います。

現場の先生からは、現行の授業時間数では、
美術館に連れて行きたくても時間が確保できない、
生徒に現代美術を見せても楽しんでもらえるか不安と
いった苦悩や率直なご意見が多数寄せられました。

こうした研修会で、学校と美術館双方の人間が直接顔をあわせ、
意見を交わしたり、情報交換をすることは、
とても意義のある事だと思います。

学校との連携、お互いに知恵を出しあって、
より良い方向や方法を探っていけたらと思います。

                                (G)

2007年9月21日

現代美術館のすみずみまで

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この日、美術館を訪れたのは若杉小学校の5年生。
午前中に「男鹿和雄展」について
ジブリ美術館のスタッフから解説を受けて見学し
お弁当を食べたあとで
常設展示を見学です。

じつは彼らは
去年「アーティストの1日学校訪問」で
荒木珠奈さんが授業をおこなったクラス。
美術館は初めてでも
現代美術は初めてではないのです。
それもあって
どの作品を見ても活発な意見が飛び交います。

スゥ・ドーホーの作品では
じっくり鑑賞し、布を触ってみたあとで
「スゥさんは男性なのか、女性なのか」という話題になりました。
布を縫うという作業や、スゥさんという名前からなのか、
女性だと思っている人は大人の中にもよくいます。
子ども達にスゥさんの写真を見せると
なかなか体格のよい男性なので
意外だと思った人も多いようでした。

子ども達は常設展見学後、
磯辺行久展も見て帰りました。
現代美術漬けの一日だったことでしょう。
12月には学校の展覧会もあるとか。
今日見たことが子ども達の制作のヒントになるといいですね!
(武)

2007年9月12日

岡本太郎探検隊?!

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今日、かなりの雨が降るなかを見学に来てくれたのは
墨田区立中和小学校の4年生。

《明日の神話》の展示室に入ったところで
はじめに図工担当の渡邊先生から
「今日、みんなは岡本太郎探検隊です。
この作品のことをいろいろと調査して見つけてください!」
というお話が。

みんなは《明日の神話》に何が描かれているのかはもちろんのこと、
壁画の裏側を観察して、番号が書かれていることを見つけたり、
下図を見て画面の下方の炎は下図に描かれていないことに気づいたり。

その後、みんなで話し合いながら改めて壁画を鑑賞。
「いろんな生き物が逃げている」
「生き物達は何かに襲われているみたいだ」
「いや、生き物が襲いかかっているのかも」
「悪い空気が全体的に漂ってる」
「戦争?」
「真ん中のガイコツが悪のかたまりなんだ」
「ガイコツは人みたいだけど、人間じゃなさそう」
「ガイコツはムシみたいにも見える」
「ガイコツはいろんなものの骨の集まった姿かもしれない」
「そういえば両端から白いものが真ん中に吸い寄せられているみたいだ」
「でも、右端から左端に物語が進んでいるようにもみえるよ」
「いや、左端が始まりかもしれない」
「左の平和な世界が始まりで、悪い妖怪達がやってきて戦いがおきた。
でも最後に右端のところで悪いやつらは逃げていってるのかも」
などなど、じつに様々な見方を教えてもらえました。

みんなは、次回の図工の時間に
この《明日の神話》をもとに授業をするのだそうです。
感性豊かなこどもたち。
どんな制作になるのかとても気になります。
(武)

2007年9月11日

雨ニモマケズ

赤羽ブログ用.JPG

今日は港区立赤羽小学校の4年生が来てくれました!
今日は朝からどんよりとした曇り空でしたが、
子ども達が大江戸線から美術館に向かう道中で雨が降り出し、
雨にぬれてしまった子もいました。

美術館に到着後、まずは講堂で映像をみました。
映像の途中で
スゥ・ドーホーの布の質感や
白髪一雄の制作方法について質問をしてみると
みんな手を挙げて積極的に答えてくれました。

じつは
彼らはこの美術館に学校のみんなで来るのは
今日が初めてではないのです。
去年みんなが3年生のときにも
カルティエ展を見に来てくれていました。
「ビーズの庭」「大きな女の人」、そして
「途切れ途切れに流れるボクシングの映像」など、
そのときに見たもののことも、みんなすごく良く覚えていました!

講堂で映像を見た後は
実物に出会いに展示室へ。
さっき映像で見た作品のヒントをもとに、
それぞれの作品をじっくり見てくれました。
今日見た「水の中に浮かぶ門」や
「巨大なガイコツの絵」や
「本物そっくりに描かれた水滴の絵」のことも
ずっと覚えていてくれるかな?

去年の様子はこちら
http://www.mot-art-museum.jp/blog/edu/2006/06/post_8.html

(武)

2007年8月28日

磯辺ワールドにどっぷりつかる

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今日は、現在開催中の磯辺行久展関連企画として
学校の先生を招待し、特別レクチャーを実施しました。

磯辺展担当の学芸員と磯辺氏本人によるスペシャルトークです。
磯辺氏の学生時代のお話や、芸術家を志した動機など
展覧会だけではわからない貴重なお話がたくさん飛び出しました。

続いて、展示室内で磯辺氏本人によるギャラリートークを実施。
作品が作られた経緯や作品に込められた意味など、
これまた直接お話を聞かなければわからない裏話なども満載の
特別レクチャーとなりました。

参加した先生方も展覧会の内容が深まり
いろいろと考える良い機会になったと好評でした。

磯辺ワールドにどっぷりとつかり、
作家本人と過ごし貴重な時間は、
先生方にとっても非常に刺激的だったようです。(G)

2007年8月27日

美術館のお仕事

中学生のみなさん.JPG

今回のクルーズでは、
深川第四中学校の2年生5人が手伝ってくれました。

裏方としてクルーズで使う材料を準備したり、
クルーズ中のこどもたちの発言をメモしたり、
こどもたちのエアドーム作りを手伝ったり、と
大活躍です。
参加者のこどもたちからも
「中学生のおねえさん」は大人気でした。
やっぱり、少し年上のおねえさんというのは
頼りがいがあるようです。

5人のなかには以前小学生のときに
クルーズに参加したことのある人もいました。
参加者からスタッフへと立場が変わり、
ずいぶん色々なことに気がついたそうです。

今回のクルーズに参加した小学生が
中学生になったとき、
今回の彼女達の活躍を思い出して、
「私もああなりたい!」と思う子がでてくるといいですね!
(武)

2007年8月22日

夏休みの先生たち

豊島区.JPG

夏休みのあいだでも、
学校の先生方は毎日さまざまな場所へ研修に出かけています。
夏休み真っ最中の8月21日。
しかも一日の中で一番暑い昼下がり。
豊島区の小学校の図工担当の先生方が、
美術鑑賞の研修にいらっしゃいました。

常設展示室でいくつかの作品を一緒に鑑賞しながら、
子ども達が見学に来たときに使っている
様々なアイテムや参考写真を見たり、作品を体験していただいたりしました。

アトリウムにある藤本由紀夫の《Ears with Chair》では、
先生方が1人ずつイスに座ってどんな音が聞こえるのかを体験しました。
子ども達からはよく「輪ゴムをビヨビヨしたときの音」とか、
「飛行機の音」などといわれていますが、
先生方にはどう聞こえたでしょうか?

学校から引率で来館したときは、
この作品で音を聞くことだけでなく
スゥ・ドーホーの布のサンプルを触ったりするのも
子ども達が体験するだけで時間がなくなってしまい、
先生方は意外と体験できないままに帰る時間になることが多いのです。
夏休みこそ、
涼しい美術館で、ゆっくりと体験していくチャンスなのかもしれません。
(武)

2007年7月24日

未来のアーティストたち

今日は横浜市にある
橘学苑高等学校デザイン美術コースのみなさんが見学に来てくれました。
普段から自分が制作することでアートとは近い位置にいながらも、
なかなかアーティストの作品を見る機会が少ないという皆さん。
リキテンスタイン作品で正方形の画面の構成をじっくり考えたり、
スゥ・ドーホー作品の布を触って質感を確かめたり、
実感を持って鑑賞してくれました。

《明日の神話》では、
ホテルのロビーに飾られるはずだったと話すと、
「ロビーにこれがあったら怖い」との声。
そこから、なぜ明るいはずのホテルのロビーに飾るために
あえてこの作品を描いたのか、
画面の左側の明るい雰囲気のイメージや、
「明日の神話」というタイトルなどから、
ちょっと考えてくれたようでした。
また、「岡本太郎は一体いくらでこの仕事を受けたのか」
という質問も飛び出しました。
こうした、作品が飾られる場所のイメージのことや
制作の契約金額について思いをめぐらしながら鑑賞するのは、
やはりみんなが作品を制作する側の人、
つまり未来のアーティストだからなのでしょう。

これからも、たくさんの美術作品を見て、
感性を磨いていってくださいね。
(武)

2007年6月30日

学芸員の卵たち

ブログ.JPG

美術館で働きたい!美術関係の仕事がしたい!
・・という人たちが増えています。
この日は“学芸員”の資格を取ろうと学習院大学で学んでいる
大学生(主に4年生)が見学に来てくれました。

マルレーネ・デュマス展の担当者から直接話を聞いたり、
小学生向けのギャラリートークを(子どもの気持ちになって)体験してもらったり、
せっかく美術館に来たのですから、
繕うことのないナマの声を伝えて、
現場ならではのリアリティを感じてもらおうとプログラムを組んでみました。

みなさんの興味を引いたのは、
やはりデュマス展の話でしょうか。
「作家とのコミュニケーション」「海外との交渉」「展示の難しさ」など・・。
展覧会には、綺麗な展示室を見るだけでは中々わからない
沢山の地味で大変な仕事が潜んでいるのです。
その話に驚きつつ一生懸命聞き入る学生たちの姿が印象的でした。

明日の美術界を担っていく学生さんたち。
色々なものを見て、体験して、
ぐんぐん大きくなってください!
(C.M.)

2007年6月29日

なににみえる?

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今日は、墨田区立押上小学校の4年生が見学に来てくれました!
きょうは私たち学芸スタッフが作品を解説する、というよりも、
「この作品はこう見える」ということを
子ども達に話してもらうのがメインでした。

山本直彰の《イカロス20013》の前に座ったとたん、
まず「人面魚!」という声や「大きな口をあけた鳥がいる」という声が。
そういわれると確かにそう見えてきました。
クラスの子どもたちほとんど全員が手をあげて、
見えるものを教えてくれます。
そして「小さな鳥が逃げようとしている」、
「青い眼のオバケがいる」、「雨が降っている」、
などなど、いろいろ思いつきはじめました。
さらに続いて、
中央左の黒い部分とその下の白いラインのあたりを見るだけでも、
「新幹線が白いオバケに驚かされている」とか
「飛行機が墜落しているみたい」とか
「船がさかさまになっている」
など、様々な見方があって、いくら見ていても尽きません。
何も作品の情報は伝えていないのですが、
見ているだけでなんとなくテーマに近づいていくのがスゴイ!

最後に3クラスで《明日の神話》の中から、
気になる生き物を探し名前をつけました。
図工の平田先生が、何人かの子ども達に発表させると、
「シリメダマ」「魔界」「ちびっこモンスター」などなど、
これまた独創的な楽しい名前がいっぱい!
本当に想像力豊かで、のびのびとした押上小の子どもたち。
この感性をずっと失わずに持ち続けて欲しい!と思います。
(武)

2007年6月20日

お気に入りをスケッチ、スケッチ!

根岸小ブログ用.JPG
とっても暑かったこの日、台東区立根岸小学校
6年生102名のみなさんが美術館に来てくれました。
まずは、講堂に集合して美術館常識クイズに挑戦!
「美術館が出来たのは何年?」「美術館のお休みは何曜日?」
「常設展示室を見るための小学生の料金は?」などなど、
悩みながらも全問正解の子が何人もいました。
でも、みごと全問不正解の子もちらほら。。。
今展示されている作品の見所をスライドで簡単に紹介してから、
いざ展示室へ出発。
めいめいにお気に入りの作品が見つかると、
一生懸命にスケッチを始めました。
人気の作品は、スゥ・ドーホーの《リフレクション》と
岡本太郎の《明日の神話》。
スゥ・ドーホーは「迫力がある!」と1階から見上げたり、
3階から眺めたりといろいろな角度からスケッチをしていました。
岡本太郎は「骸骨が印象的」といってスケッチに臨むのですが、
なんせ巨大な作品。全部はとても紙には収まりません。
みんな悪戦苦闘していました。
でも、一人ひとりお気に入りが見つかり、
スケッチもすんで満足げな表情が印象的でした。
最後は、アンソニー・カロの野外彫刻作品《発見の塔》に
一人ずつ登り、美術館を後にしました。
帰り際、「楽しかったよ!」といって握手を求められた時は
うれしかったですが、ちょっと照れました。
みなさんまた来てくださいね。
                                (G)

2007年6月13日

子どもに返った先生たち

浦安市ブログ用.JPG
昨今、鑑賞教育への関心は非常に高く、図工・美術の先生方が
研修の場として当館を活用していただく機会が増えています。
今日は、浦安市の小中学校の先生15名が図工研修の一環として来館なさいました。
当館に来るのは、初めてという先生がほとんどでした。
我々教育普及担当の学芸員が対応し、普段子どもたちにどのようなギャラリートークを
実践しているのかを説明しながら、コレクション展を一緒に鑑賞しました。
どの先生方も子ども達が見るのと同じように反応してくださり、
まるで子どもに返ったようでした。
研修に参加した先生からは、
「自分のクラスの子どもをぜひつれてきたい」
「ちょっとした工夫やヒントで鑑賞がより楽しくなることが実感できた」
「現代美術はとても自由で、子ども達にとってアートの楽しさを思いっきり
感じることができるものだと思った」
「このような機会があったらまた参加したい」
など様々な感想を寄せていただきました。
現代美術の楽しさをまずは学校の先生方に知ってもらい、
その経験を学校現場に持ち返っていただき、次回はぜひ、
子ども達をつれて美術館を教室の一部として活用していただけたらと思います。
                                             (G)

2007年6月 5日

真剣な眼差し

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私たち美術館のスタッフは、毎日のように作品を見ているのですが、
それでも誰か別の人と一緒に見ると、
新たな発見があって嬉しくなるものです。

この日、美術館に来てくれたのは、
葛飾ろう学校高等部の生徒さん。
「うまく作品を紹介できるかしら?」と最初はトークに不安もありましたが、
引率の先生のスムーズな手話通訳のお陰で、
普段と変わらず作品についてお話することができました。

みなさんデザイン系専攻とあって、
作品を見る眼差しが真剣、そして好奇心一杯です。
また「この作品にはどんな色、どんな形がある?」
「なにでできている?」「どうやってできている?」など質問を投げかけると、
それぞれ一生懸命に考えて、ユニークな答えを返してくれました。
「岡本太郎のこの作品。いったいどういう場面なんでしょう?」という質問には、
「戦争」「火事」「海のイメージ?」などなど。

作品の前に立ち、
本物が持つパワーを、全身で読み取ろうとしている生徒さん。
その集中力は・・・・すごい!
ひたむきな姿から、大切なことを学んだひと時でした。(C.M.)

2007年6月 2日

こんな近くで見る太郎

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6月2日の土曜日の午前中。武蔵野東中学校の生徒さんが、
MOTコレクションを見にきてくれました。
その多くは現代美術館の初体験者。
最初はとまどっていたのでしょうか?
静かに鑑賞していた生徒さんでしたが、
岡本太郎の《明日の神話》の部屋に入ると「お、大きい!」と驚きの声があがりました。

縦5.5メートル、横30メートルのこの巨大な作品。
その中に「いろんな生き物がいる!」のです。
それに気づいて一つ一つ発見するのも楽しそう。

そしてぐっと近づいて見ると「思ったよりたくさんの色が使われているよ!」
・・・・とは引率の新堂先生。
そう。遠くから見ると一つに見えた色も、
近くで見るといろいろな色が使われていて、
何度か筆を重ねた跡もよく見えます。

間近でじっと画面を見つめていた生徒さんたち。
太郎の息づかいは耳に届いたでしょうか?(C.M.)

2007年5月31日

現代美術に興味津々!

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この日、木場公園に遠足に来ていた江戸川区立清新第二小学校の
5、6年生の皆さんが、美術館に見学に来てくれました。
ほとんどの子ども達が現代美術館は初体験。展示室に入るやいなや、
初めて眼にする現代美術の世界に興味津々。ほんものそっくりな水滴が
描かれた作品に驚き、大竹伸朗の「ゴミ男」の中にゴミ男らしき姿を発見
しては「みつけたよ!」と得意げな笑顔になっていました。
その他、白髪一雄の足で描かれた作品の絵具の盛り上がりを見て、
「近くでみるとぐちゃぐちゃだけど、離れてみると迫力がある!」と
自分なりの鑑賞の仕方を見つけたようでした。
引率した図工の先生も子ども達の反応ぶりにちょっと驚いていましたが、
満足げな様子でした。
普段はなかなか接することのない現代美術。子ども達は、自由な感性で
作品と対峙する達人だとあらためて実感した一日でした。
(G)

2007年5月30日

はじめての美術館

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この日見学に来てくれたのは、上小岩小学校の6年生のみなさん。
「現代美術館ははじめて」という子どもたちがほとんどでしたが、
スゥ・ドーホー作品の布の意外なハリの強さに驚き、
大竹伸朗のスクラップブックの重量の重さに驚き、、、、
と、驚きの連続で現代美術を楽しんでくれました。
今回の常設展示室の目玉である岡本太郎の《明日の神話》では、
たくさんのさまざまな顔が描かれていることを発見してくれました。
また、「大きい」「少しこわい」「もやもやしてる」といった意見のほかに、
「まんなかから右側は暗い色でこわい感じだけれど、
左側は明るい色で希望のある感じがする」という、
じっくりと作品を鑑賞したことをうかがわせるようなコメントがありました。
子どもたちが岡本太郎について理解しやすくするための小道具として、
スタッフは太陽の塔のフィギュアを用意。
それを子ども達に見せたところ、
「あっ!それ、アニメで見たよ!」との声。
えっ!?アニメに出てくるの!?
我らの方が岡本太郎について知らなかった情報を
子ども達に教えてもらってしまいました。
(武)

2007年2月23日

2メートルか!?巨大ピニャータ 宮上小学校の学校訪問

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八王子市の宮上小学校では、
6年生2クラスでピニャータ作りの授業を行いました。
クラスで1つずつのピニャータを作るということから、
当然大きなものになるわけですが、
なんと、直径160センチの風船ではりこを作り、
そこにツノの飾りを付けることに。
メキシコに何年か暮らしていた荒木さんでさえ、
「メキシコでも、こんな巨大なピニャータは、
ディスプレー用(実用でないもの)でしか見たことがない!」
という程の記録的な大きさ。
(ギネスブックに載るかもしれませんね!)
さらに、それぞれのクラスごとにピニャータのストーリーがありました。
「小学星(しょうがくせい)を割ったら、
中から中学星(ちゅうがくせい)が出てくるようにしたい」という1組と、
「花模様の卵のなかから、殻を割ってひよこが生まれてくるようにしたい」という2組。
それぞれ小学校の6年の思い出のこもった、素敵なピニャータができました。
どうせやるなら想像を超えるようなことをした方がいい、という
チャレンジ精神を持った図工担当の高木先生は、
子どもたちのどんどん膨らんでいく発想を、真摯に受け止め、
それをなんとか実現へと導いてくれます。
こどもの立場により添って考える先生、いいですね!
(武)

2007年2月22日

木彫のことは先生に聞いてみて! 横川小学校

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業平橋から路線バスに分乗して、遊びに来てくれたのは、
横川小学校の6年生の皆さん。
3チームに分かれて舟越桂や土屋公雄などの作品を鑑賞しました。
実は横川小学校の図工の先生は、
ご自身でも木彫作品を作られているそうで、
木彫の制作の際の細かなことや、
木材の特性ゆえの扱い方については、とても詳しいのです。
打合せの時にも先生から楠材のことなど、
いろいろ教えていただきました!
ところが、舟越桂の作品のトークの時に、
「楠のことは先生に聞くといろいろわかるよ。」と言うと、
子どもたちは先生が木彫をやっていることを全く知らなかったようで、
ちょっと驚いた様子。
先生のこれまで知らなかった一面を知った子どもたちは、
先生の素敵さを改めて感じたようでした。
いいですね!
(武)

2007年2月10日

アーティストとの貴重な出会い 芳水小学校の学校訪問

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「アーティストとのせっかくの出会いですので、
荒木さんとお話しする時間をゆったりとりましょう」
と提案された、芳水小学校の図工担当の松尾先生。
荒木さんの普段の活動や作品についての説明のあと、
質問タイムなどゆったりとした時間が設定されました。
子どもたちからは、作品制作についてや、メキシコでの生活のことなど、
さまざまな質問が出ました。
また、この日は荒木さんの作品のミニチュア版を持って行っていたので、
何人かのこどもたちは、
くもの巣状に張られた糸に小さなイスをぶら下げるという体験ができました。
「じゃあ、9月生まれの人!」と荒木さんが声をかけると、
「やった~!」とか、「え~っ!いいなあ~!」とか、
「それじゃぁ、僕の番が来ないよ~」など、
子どもたちそれぞれに、さまざまな心模様があったようです。
その後は、ピニャータのツノつくり。
体育館のマットや平均台の上にきれいに並べられたカラフルな材料が、
制作意欲をかきたてます。
こうした、制作の空間を上手く利用した、心づかいの数々からは、
子ども達に、より楽しく図工の時間を過ごしてもらおうという、
松尾先生の気持ちが感じられました。
体育館が体育館であるからこそ、
そこでしかできない素敵な制作の空間となっていました。
(武)

2006年12月22日

展示作品の空間でアーティストに出会う! 八王子市立宮上小学校

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常設展の荒木珠奈さんの空間も残すところあと数日に迫ったこの日、
南大沢から宮上小学校の皆さんが、わざわざ見学に来てくれました!
実は、この宮上小学校は、
年明けの2月に荒木さんが学校訪問をする予定になっている学校なのです。
そこで、訪問授業を受ける前に、
今度授業をするアーティストが作る作品はどんなものなのかを
見に来てくれたのです。
見学にあわせて、荒木さんも美術館に来館してくれ、
展示空間でその作品を作ったアーティストと出会う、
という貴重な時間が実現しました。
荒木さんが自身の作品を説明した後、
コンセントに子どもたちが家の明かりをともしました。
自由時間になっても、
子どもたちから荒木さんへたくさんの質問があり、
自分たちの学校に来るアーティストへの興味は尽きないのでした。
(武)

2006年12月14日

桜とタコと・・・ 第一日野小学校の学校訪問

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この日訪問授業に訪れたのは、五反田にある第一日野小学校。
4年生と一緒に体育館でピニャータ作りを行いました。
第一日野小では、ピニャータの形を子どもたちが考えることになりました。
荒木さんから、
ピニャータがどういうもので、どんなときに使われるものなのか、
というお話を映像を交えて聞いたあと、
早速グループごとにどんな形にするかを考えました。
どの子もみんなさまざまに想像を膨らませて、
あれもいいし、これもいいし・・・と、
グループのみんなの意見をまとめるのに一苦労。
思いが強すぎてお友達と衝突しそうになることもありましたが、
最後にはきちんとまとまりまるあたりは、さすがです。
春をイメージした桜の花のかたちのピニャータから、
タコ型ピニャータや、ケーキ型ピニャータまで、
子どもたちの豊かな想像力によって、
さまざまな形のピニャータに決まりました。
案が決まったあとは、その形にするためのはりこ作りでしたが、
あっという間に進んでいきます。
ひとつの目標に向かって進む子どもたちのものすごい団結力。
これこそが、みんなで作る醍醐味なのですね!
(武)

2006年12月13日

2学年一緒に図工の授業 若杉小学校の学校訪問

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若杉小学校は1学年1クラスごとのアットホームな学校。
それを生かして、4年生と5年生の合同での、
荒木さんの訪問授業となりました。
アーティストの学校訪問の訪問校のなかでも、
2つの学年の子どもたちがアーティストに出会えることは、
めったにないのです。
さて、事前の授業で全身を使って小麦粉と奮闘し完成したはりこが、
図工室に所狭しと並びます。
荒木さんが訪問した日は、ツノの飾り付けをしていきました。
後日子どもたちが送ってくれた感想文でも
「ツノの飾り付けがいちばん大変でした」ということばが多くありましたが、
このツノをつけるところは、
いろいろ工夫ができて楽しい反面、結構大変なのです。
きらきらの色紙やセロハンを駆使して、
思い思いに飾り付けが進みます。
さて、若杉小学校の図工担当の竹内先生は、
実はアーティストとの授業について前々からいろいろと考察していらしたそう。
異学年同時の授業、教師と異なる「アーティスト」という存在、など
さまざまな特別な要素が重なりながらも、
授業がスムーズに進んだのは、
先生のこれまでの考察あってのことだったのでしょう。
子ども達にさまざまな授業の可能性を切り開いている若杉小。
うらやましいです。
(武)

2006年12月 1日

思いやりのあふれる図工 小松南小学校の学校訪問

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毎年美術館に見学に来てくれている小松南小学校。
今回初めて美術館のほうから学校に伺いました!
図工室には「図工の時にできる思いやり」という言葉とともに、
「集中していたら話しかけない」「いいところを言ってあげる」「人の片づけを手伝ってあげる」
などの言葉が掲示されていたり、
また別の壁には「何のために図工を勉強するの?」というチャートがあり、
「心が優しく豊かになる」「みんなと一緒に活動する」という言葉が掲示されています。
子どもたちにもわかりやすく、優しい言葉がふと目に入り、
自然と気持ちも優しくなる素敵な図工室です。
この日の荒木さんの訪問授業に合わせて、
子どもたちはあらかじめカラフルなはりこを作ってくれていました。
そしていよいよ荒木さんと一緒にピニャータの飾りつけです。
メタリック系の素材がたくさん用意され、
個性的でまぶしく光るピニャータが完成しました!
子どもたちの豊かな発想と、
材料の特徴をきちんととらえつつ、
どんどん作業を進めるその手際のよさには驚きました。
技も気持ちも図工の達人ぞろいの小学校でした。
(武)

2006年11月21日

毎日アートにふれる月間! 北砂小学校

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今日来てくれたのは、美術館のご近所さん、北砂小学校の5年生。
事前に学校で現代美術館の作品をスライドで見て、
本物の作品に出会う気持ちをあたためてきてくれました。
展示室で実物とご対面したこどもたちは、
河原温の日付絵画を見て、3点の地色が微妙に違っていることや、
絵葉書の作品では「河原さんはこの日は起きるのが遅かったんだね」など、
じっくり見ていろいろなことに気づいてくれました。
1階の《大漁》では、
「スライドだとケンカしているみたいに見えたけど、魚を釣り上げていたのか!」
と、スライドでは見えにくかった部分が実物を見てクリアになったようです。

北砂小学校では、11月は芸術月間ということで、
毎日美術だけでなく演劇や音楽など、さまざまなアートに触れるのだそうです。
うらやましい!
(武)

2006年8月14日

先生たちの夏の研修会

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今日は月曜日ですが、世の中の“お盆休み”にそなえて美術館は特別に開館しています。
おかげさまで朝から多くの方々にお越しいただき、
特にディズニー展の入口には朝から列ができています。

さてここ最近の猛暑にもかかわらず、
北区の図工の先生たちが先週の金曜日に美術館に来てくださいました。

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2006年7月12日

美術図書室で美術の授業

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先日の大泉中学校の見学では、
授業の一部を美術図書室で行いました。
当館の美術図書室は、多くの美術の専門家が都内をはじめ地方からも
調べにおとずれる、日本最大級の美術専門図書室。
学校の図書室や近所の図書館とはまったく異なる種類の書籍が
たくさん集まっているわけです。
普段はページを開くこともめったにないような展覧会のカタログなどを眺めながら、
生徒の皆さんはグループごとに作品や作家について話し合いながら、
わかったことなどをまとめていきました。
こうした若い皆さんにも気軽に美術図書室を利用していただけるといいですね。
(武)

2006年7月10日

鑑賞からひろがる授業

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学芸大学付属大泉中学校で美術を担当されている小池先生から、
学校と美術館との連携した授業のお話をいただいたのは、
まだ寒い時期のことでした。
そして、より作品鑑賞を深めることができるようにと、
学校での事前学習を含んだ、美術の授業の中で、
美術館で実際の作品を鑑賞することを中心に据えた、
拡がりのある授業展開をしていこうということになったのでした。
それを実現するために幾度も打合せを行い、
とうとう生徒たちが美術館に来てくれたのは、7月はじめでした。
いくつかの身近なキーワードをもとに作品を鑑賞、
生徒各自が思うところをディスカッションし、
鑑賞した作品についてもう少し詳しく知ってもらうために、
美術図書室でアーティストや作品について調べました。
あるグループでは「癒し」をキーワードにモンティエンの作品を鑑賞。
癒しの多様さ、癒しには個人差がある、アートも癒しのひとつになる、など
いろいろな意見を話してくれました。
また別のチームはダダンやチャーチャイの作品から、
アジアのさまざま状況に思いをめぐらせてくれました。
社会や生活と美術は密接につながっていることを感じてくれたようでした。
(武)

2006年7月 1日

先生の夏休みは忙しい?

カルティエ展のミュージアム・スクールも無事に終了しホッと一息ですが、
今日、土曜日なのにもかかわらず、美術館に来てくださったのは学校の先生でした。
北区立西ヶ原小学校の河野先生は、夏休みの相談にやってきたのです。
といっても、もちろんヴァカンスの相談ではありません。
(夏休みといっても先生たちには生徒のような長~いお休みはありません。
その間、次なる授業の準備に、お忙しい日々を送っているようです。)

北区の図工の先生たちは、毎夏、色々な美術館で「研修会」を実施しているそうですが、
今年、白羽の矢があたったのは東京都現代美術館!
ということで、今日はその研修会の内容について詳しく打合せをしました。

当館にとっても、先生たちが美術館に集まってくださるのは大歓迎です。
普段はお忙しい先生たちとじっくりお話しできるのは、何といっても貴重なチャンス。
意見交換を通して、学校と美術館とのいい関係を模索していけたらいいですね。
(C.M.)

2006年6月30日

カルティエミュージアムスクール トリの巻

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カルティエ展も今週末で終了。
そんななかカルティエ展ミュージアムスクールのトリを飾ってくれたのは、
佃島小学校の6年生のみなさんでした。
今日は朝からとても暑く、
清澄白河駅から歩いてくるだけでも、とても大変だったことと思います。
やっと着いた美術館、5チームにわかれて、さっそく展覧会を鑑賞しました。
アトリウムのサラ・ジーの作品では、
羽やペットボトル、綿をはじめ、
食器洗い用のスポンジ、洗濯バサミ、電球、などなど、
とてもじっくり観察して、
さまざまな素材が使われていることを実感してくれました。
先生から渡された、気に入った作品について書くカードには、
みんなひとりひとりが違った作品を、自分の目で選んでいました。
(武)

2006年6月21日

自分のカードを持って見学 江戸川小学校

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カルティエ展オープン直後に実施された先生のためのレクチャー。
それに参加されたおりに展覧会を気に入ってくださり、
「子供たちに見せたい!」と学校での来館を決断してくださったのは、
江戸川小学校の図工担当・池田先生。
6月20日の蒸し暑い午後2時。
ボブ・マーリィのTシャツを着たおしゃれな池田先生といっしょに、
江戸川小学校の6年生のみなさんが駅からの長い道のりを歩いてきてくれました。
冷水器の水で喉の渇きをひとまず癒し、
早速展示室に出発。
事前に学校でピクニックカードをカットして、
きちんと作った専用ケースに入れて持参したこどもたちは、
メンディーニ、ライザ・ルー、ミュエク、松井えり菜、
アウスラー、オッペンハイム、キンゲレス、コールマンなどなどを鑑賞。
カードの写真では発見できなかったものが
本物の作品を見ると見えてきます。
オッペンハイムの黒と白の人形の作品では、
人形に顔を近づけ、じっくりと観察してくれました。
元気一杯、興味も一杯の、素敵な6年生でした。
(武)

2006年6月17日

押上小学校の試み

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6月16日、押上小学校の4年生がやってきてくれました。
こどもたちにとって「絵を見ること」が思い出深い体験となるように、
この日のために図工の平田先生と何度も打合せを重ねました。
平田先生と私たち学芸員がそれぞれ「一枚の絵」について、
こどもたちにあてて手紙を書き、
こどもたちはその手紙からさまざまな想像を膨らませて、
とても素敵な絵を描いてくれていました。
そして、とうとうその「一枚の絵」にみんなが出会う日が来たのです。
こどもたちとその絵を前にして、
こんなふうにも見える、あんなふうにも見えると話し合うのは、
本当に貴重で素敵な時間でした。

またいつか、こんなすてきな鑑賞を、もう一度できたら、、、
平田先生、貴重な機会を作ってくださって、本当に有難うございました!
(武)

2006年6月16日

高輪台小学校 ミュージアムスクール(カルティエ展) その2

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先週、ピカピカの1年生が来てくれた高輪台小学校。
15日には2年生が来てくれました。
今回もチームに分かれて作品を鑑賞。
エントランスホールに展示されている、
メンディーニの《プルーストの安楽椅子》の
点描の模様を見ながら、
「こっち側は海でこっち側は空だよ」と教えてくれました。
う~ん、するどい!
みんなでかがんで椅子の下を覗き、
どんな素材でできているのかもしっかりチェック!
さすが2年生!ですね。
(武)

2006年6月14日

こわいの大好き!

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今日のお客さまは江東区立東川小学校の6年生55名。美術館のすぐ近くと言うことで、元気に歩いてきていただきました。巨大な目の作品、トニー・アウスラーの《ミラー・メイズ》を見る前に、「こわいの大丈夫?」と聞くと「こわいの大好き!」とさすが6年生、心強い発言。みんなでいくつかの作品をじっくり見た後は、各自で自由見学。先生が作ってくれたワークシートを使って、集合時間までしっかり楽しんでいました。(AS)

2006年6月10日

ある日の打合せ・・・

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来週の来館を控え、押上小学校の平田先生と打合せ。
今回の鑑賞授業は、先生の企画した学校での制作と美術館での鑑賞が連携した授業。
この日の打合せでは、子どもたちの作品を持ってきてくださいました。
これらの作品は、
あらかじめ先生+美術館スタッフがそれぞれひとつの絵について書いた手紙をもとに、
こどもたちが想像力をはたらかせて描いたもの。
こどもたちの発想の豊かさを改めて実感しました。ほんと、凄いです。
また、手紙に書かれた言葉のどの部分をこどもたちが強く心に留めたのか、
描く時にどの言葉が影響するのかなど、
普段はなかなか知りえないことがわかって、
今後のギャラリートークにも参考になりました。
こどもたちと実際に会って話せるのが、本当に楽しみです。
(武)

2006年6月 9日

高輪台小学校 ミュージアムスクール(カルティエ展) その1

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毎週火曜日と木曜日に実施しているカルティエ展のミュージアムスクール。
6月8日は、港区立高輪台小学校の1年生がバスに乗って来てくれました。
真新しい黄色い帽子を被った子どもたちは、
いくつかのチームに分かれて鑑賞しました。
チームで分かれてみるときは、
クラス単位やクラスの半分ずつ、
あるいは各クラスがすこしずつ混合になったチーム、
などになることが多いのですが、
今回のチーム分けは男の子チームと女の子チーム!!(MOT初です)
サラ・ジーのはしごを使った彫刻に夢中になったチームや、
アウスラーの巨大な目玉の作品に果敢立ち向かうチームなど・・・。
この4月に小学生になったばかりの子どもたちでしたが、
「美術館のおきて」をよく守って、
初めて出会う現代美術を楽しみました。
えらいです!

*「美術館のおきて」詳しくはコドモット4ページを見てみてくださいね!
http://www.mot-art-museum.jp/kyoiku/kodomot/
(武)

2006年6月 6日

ミュージアムスクールは続く・・・芳水小学校

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今日、美術館に来てくれたのは品川区立芳水小学校の5年生。JR大崎駅からはるばるここまで電車を乗り継いで来てくれました。
さて、5年生ともなると、小学生とはいえかなり物知りです。
アフリカのアーティスト、キンゲレスの国をズバリ当ててくれた子どももいました。答えは「コンゴ民主共和国!」 
カルティエ展には、世界各国のアーティストが勢ぞろい。フランス、ブラジル、ベルギー、ロシア、オーストラリア、キューバ・・・そしてもちろん日本のアーティストも。ひとときの世界旅行をみなさんも楽しんでみませんか?
(C.M.)

2006年6月 2日

赤羽小学校 ミュージアムスクール(カルティエ展)

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カルティエ展の見学にやってきた小・中・高校に学芸員が解説する、
「カルティエ展ミュージアムスクール」。
6月1日(火)の開館と同時に、白い帽子を被り水筒を持ってやってきたのは、
港区立赤羽小学校の3年生のみなさん。
4チームに分かれて、展示室内で作品を前に話し合いながら鑑賞しました。
ライザ・ルーの作品では、
「ハチがいる!」「チョウチョも!」
「バーベキュー!」「芝刈り機も!」
「フラミンゴ!・・・?」といろいろなものを見つけてくれました。
「作者はどうしてビーズで庭を覆いつくしたのかな?」という学芸員の質問に、
「みんなにすごいって言われたかったから!」
というシンプルかつ核心をつくナイスな意見が。
その後は自由見学。
子どもたちは事前に図工の高木先生からいくつかの作品のヒントを聞いていたので、
お目当ての作品の本物に出会うべく、各自で見てまわりました。

みんな、今度は常設展をみにきてね!

ミュージアムスクールはカルティエ展(火・木限定)と常設展で実施中。
事前予約制です!
(武)

http://www.mot-art-museum.jp/kyoiku/55/