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アーティストの一日学校訪問(棚田康司さん)レポート1

当館の所蔵作家の方を学校にお連れして授業を行う「アーティストの一日学校訪問」。
続いてご紹介するのは、彫刻家の棚田康司さんによる授業の様子です。

【1校目】2017年10月20日(金)  新渡戸文化高等学校 1年生美術コース8人
テーマ:粘土のかたまりから自分を彫り出そう

今回の授業では、粘土を付け加えて造形していくプラスの仕事(モデリング)に対して、
粘土の塊から彫り出していくマイナスの仕事(カービング)を通して
立体を捉える感覚と向き合います。
はじめに、棚田さんからご自身の作品についてご紹介いただいた後、
今回の授業で取り組む内容の説明がありました。

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今回のために用意された粘土の量は、なんと一人20kg! 
生徒は一人ずつ粘土の重みを感じながら自分の机に運びます。
今日はこの粘土を使って、「自分の頭部」の制作に取り組みます。
"粘土を通して、客観的な視点で自分を捉える"ために
このテーマが選ばれました。

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巨大な粘土の塊を叩いたり、手やひじを使って押したりしながら
頭部を作り出すためのベースを作っていきます。
これだけの分量の粘土を使うことはなかなかありません。
一人ずつ苦労しながらも、大きく形を捉えていきます。

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「感覚でやるのではなく、形を意識するために粘土にデッサンしてごらん」
「作品から離れて大きな構成を考えよう」
「いろいろな方向から視点を変えてみることが大切」
棚田さんは一人ひとりに丁寧にアドバイスをしていきます。

約1時間30分に及ぶ制作を経て、20㎏の粘土の塊は
生徒一人ひとりの頭部へと生まれ変わりました。
完成した頭部は実物よりも大きなものばかり!


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最後にみんなで1点ずつ作品を鑑賞し、棚田さんからコメントをしていただきました。

粘土の塊を通して自分と向き合い、表現された形は、どれも個性に溢れるもの
ばかりでした。
これらの作品は、後日学校の授業で制作を進め、文化祭で展示されました。


【2校目】2017年10月26日(木)  板橋区立板橋第六小学校 6年生2クラス64人
テーマ:巨大な先生の顔をつくろう!

今回の授業は、個人制作ではなく、友達と協力しながら大きな立体物を
作り上げるというダイナミックな感覚を体験してもらうことを目的に実施しました。

6年生2クラスは、クラス別に2時間ずつ実施。
それぞれ8名程度のグループに分かれて制作に取り組みました。

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棚田さんご自身の作品紹介では、制作の過程で出てきた
クスノキの木屑が用意され、こどもたちはクスノキ独特の香りも
味わいながら、話を聞きました。
中には初めてクスノキの香りをかいだ、という子も!

今回取り組む「巨大な先生の顔」作りのために、担任や支援の先生に加え、
なんと校長先生までがモデルを務めてくれました。
事前に作り方はレクチャーせず、どうやって顔を大きく立体的に作るかを、
こどもたち自身に考えてもらう過程を重視しました。

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校長先生の顔を良く観察して、デッサンするグループ。
こどもたちは棚田さんからアドバイスをもらいながらも、自分たちで
試行錯誤しながら制作を進めていきます。

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顔のパーツを手分けして作るグループもあれば、
みんなで相談しながら全体的な設計図を考えるグループも。
それぞれが勝手に進めていくのではなく、グループ内で声を掛け合ったり、
確認したりとみんなで協力して一つの作品を作り上げていきます。

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大きなダンボールをベースにして、発泡スチロールを目や鼻に見立てたり、
廃材のダンボールのカーブをうまく生かして顔の立体感を表現したり。

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今回の授業では、こどもたちがじっくり考えて作品と向き合う時間を
重視したため、完成までは行き着きませんでしたが、
校内展覧会で展示をしたいという希望があったため、
制作の続きは、図工の先生の方で進めてもらいました。

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展覧会に展示された作品の数々。
色がつけられ、それぞれの先生らしさが増した作品が完成しました。
(A.T)
(レポート2へつづきます)