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自分達の作品をじっくりと見る

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11月9日、台東区立黒門小学校にて学芸員の出張授業を行いました。
対象学年は6年生。
図工担当の先生からのご希望で、
ギャラリートークの体験とその方法を伝授しました。

まずは、美術館で働く学芸員の仕事、美術館の概要や
作品を鑑賞するときのコツやルールについてレクチャー。
次いで、ギャラリートークの体験。体験は三段階に分けて行いました。

<第一段階>
校内展覧会で展示する絵画作品「校内のお気に入りの場所」の鑑賞。
代表者1名の作品(校内にある冷水機を描いたもの)を黒板に掲示し、
全員でよく観察し、発見したことやなぜその場所を選んだのかを想像してもらい
発表してもらいました。

こどもたちからは、
「冷水機が実際より高い位置にある」
「細かいところまで描いている」
「壁が実際より白い」
などいろいろ気がついたことを発言してくれました。

そして、作者がなぜこの場所を描いたのか、
こどもたちが考えた理由は、
「おいしい水を飲めるから」
「たくさん水を飲むから」
「立体的なものをかきたかったから」
などでした。

その後、クラスにいる作者に理由を聞いたところ、
自分は背が低くてなかなか冷水機にとどかなかったのだけれど、
背が伸びて初めて冷水機で水を飲むことができるようになってとても嬉しかったから、
ということでした。
自分の身体的な成長への喜びを実感できたのがこの冷水機だったのです!

<第二段階>
班ごとに「校内のお気に入りの場所」作品1点を配り
鑑賞し、話した内容をワークシートに記述。
ここでは観察、想像するだけでなく、楽しく会話することも重視したので、
教室内がとても賑やかでした。
色彩やサイズ感の違いだけでなく、描いた道具の違いを発見したり
他のものに見立てたり、楽しそうに会話していました。
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<第三段階>
みんなの前で発表してもらい、ワークシートに書いた内容を共有しました。
こどもたちは少し恥ずかしながらも考えたことや発見したことをきちんと話し、
聞いているこどもたちは共感したときはうなずき、友達の発表を聞くことが楽しそうでした。
また、作品を制作した作者にもインタビューをして、
自分達が想像してみた場合と、実際の作者の制作意図とを比べて、
様々な考え方があることを知ったようです。
描きやすそうと思って描いたという理由から6年間の思い出を振り返って
制作している作品もあり、1つの作品には様々な思いが込められていることが分かりました

また、担当の図工教員からは、授業終了後以下のようなコメントをいただきました。

「難しいと言っていた児童もいたが、
よく見る・感じるがしっかりできたように思います。
作品を見られるということにとまどいを感じていた児童もいました。
もう少し学年が低い方がはずかしさといったものはないのかもしれません。
(でも本人はしっかり自分の作品について話してくれました。)
こどもたちの中に何か残るものがあったようです。」

今回の授業を元に12月の校内展覧会でギャラリートークを行うそうです。
こどもたちにとって自分達の作品をじっくりと見て、
観察力と想像力をフル活用した1日でした。(G、N)