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声でレポートしよう!(その1)

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休館中の現在、美術館の外に出向いて活動するいわゆるアウトリーチとして
「学芸員の出張授業」を行っています。
既存のプログラムを実施することもありますが、基本的には毎回、
学校の先生との相談によって授業の内容を考え作り上げていきます。

今回紹介するのは、江戸川区立下小岩第二小学校6年生での授業の様子。
(実施日:2016年10月14日、20日の2回実施)
こんな図工担当教員の相談から始まりました。
それは、6年生が本当に興味のあること、面白いことって何なのだろう。
視覚的ではない身体感覚を働かせて活動することが何かできないか、
というものでした。
いいこどもたちだからこそ、先生の提案したことを受け入れてくれる、
今どきのこどもたちなのではないか?という疑問。

そんな相談内容に答えるべく、ならば直接こどもたちが考えていることや
気持ちをダイレクトに聞いてみる授業はどうだろうか?
絵でも工作でもない「声」という自分の身体を使った表現を行う。
6年生だからこそ感じている6年間の思い出がたくさんつまった学校という「空間」、
また精神的、肉体的にも大きく変化する年齢の「声」という今の自分を特徴付ける
身体を使う。

授業は2回に分けて行いました。

(1回目)
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学芸員の自己紹介のあと、今回の授業の流れを説明。
こどもたちには事前授業で、学校内のお気に入りの場所を
考えておいてもらいました。
その場所で何をし、どのように表現するかについては説明していません。
そのため今回の授業で初めてその表現方法を知ることとなります。
それは自分たちの「声」で表現すること。
しかも、カセット・テープという古いメディアを使用し、
お気に入りの場所を自分の声でレポートし録音するというのが
今回の授業です。
それを知って「えー!」と一様に驚きの声があがりました。
いつもは、絵を描いたり、工作をしたりといった表現を
用いることが多いですが、今回は「声」という"身体表現"。
カセット・テープは、メディアとしては古くてなじみが無くても、
こどもたちにとっては"新鮮な道具"となります。

声は長年保存されるということを実感してもらうために、
図工担当教員が赤ちゃんだった時の声を、父親が録音していたものを聞かせました。
次いで、カセット・テープの操作に慣れてもらうために、
別室に用意されたカセット・テープ・レコーダーにカセット・テープを
入れて録音の練習。録音の要領を得たところで、
グループ毎にお気に入りの場所へいって、レポート&録音作業を行いました。

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ちなみに、こどもたちが選んだお気に入りの場所は、
「図工室」「図書室」「体育館」「校庭」「給食室の前のベンチ」
「屋上につづく踊り場」「6年生の教室」の7か所。
そこから見える風景や置いてあるものをレポートする子もいれば、
その場所での思い出を同じ場所を選んだメンバー同士で語り合う子、
中にはラップ調でリズミカルにレポートするこどもたちもいて、
各自それぞれ工夫をこらしながらレポートし録音していました。

図工担当の教員は、
「録音ということで、抵抗感のあるこどもたちも居るのではないかと
心配していましたが、予想に反して、どの子も笑顔で活動していたのが
印象的でした。普段、控えめにしている子も、抵抗感なく録音する姿が
見られ、どんな子でも、声に出したい気持ちがあるのだなと感じました。
声に出すこと、とても身近でシンプルな表現方法だと思いました。
普段、あたりまえのように毎日会話をしている私たちは、
毎日表現しているということを改めて考えさせられました。
人が生きていることも、そういうことなのだと思えた一日でした」
さらに、
「こどもたち一人ひとりが、場所を感じ取っていることに、
その場所に真摯に向き合っている姿に驚かされました。
どのテープも、その場所で録音するからこそ起こる反応、
声に魂がやどるというか、そのような感じを覚えました。
毎日使い慣れた声だからこそ、みえない何かに即座に反応
できるのかも知れません」
「最近転校して来た子が、ここからの景色は好きな電車も見れるし、
お母さんが働いているお店も見えるし、ごはんのいいにおいもするし、
この街に来てよかったなどと録音していて、心が温かくなりました」

みな無事に録音を終えて授業1回目が終了。
次回2回目は、みんなの録音したレポートを聞く「鑑賞」の時間です。
(その2に続く)(G)