« 2015年9月 | メイン | 2015年12月 »

2015年10月29日

アーティストの特別授業!

江戸川第二小出張ブログ1.jpg
前回報告した学芸員による出張授業以外に、
現代美術館では、スクールプログラムの一環として、
アーティストによる一日学校訪問というプログラムを実施しています。

これは当館のコレクション作家の中から毎年1名を選び、
都内の小・中・高・特別支援のうち6校を訪問し授業を行うものです。
その年度に実施する事業に関しては、費用は全て美術館で負担します。

しかし、過去に訪問したアーティストに授業に来てほしいという
リクエストが個別にあった場合、作家への謝金や交通費などを
学校に負担していただき、美術館が学校とアーティストの間を
取り持つことも行っています。

今回、江戸川区立下小岩第二小学校から
開校60周年を記念してぜひアーティストとこどもたちを
出会わせたいというリクエストがありました。

希望は全校児童に体験させたいというもの。
前回の青山小学校もそうでしたが、
やはり特別な授業は特定の学年だけでなく、
全てのこどもたちに体験させたいようです。

そこで今回は、2014年度に訪問作家として選定した
森千裕さんにお願いし、授業は10月16日(金)に行いました。
※森さんによる学校訪問の詳細は、過去のブログ記事(2015年3月)を
ご参照ください。

授業の内容は、森さんの学校訪問で以前実施したプログラムを
学年ごとに分けて丸1日かけて実施しました。

1、2年生は「小さな落書きを巨大にしてみよう」。
透明なシートに落書きをしてOHPで拡大しました。
自分や友達の絵が、一瞬で大きくなる不思議な感覚を
体験してもらいました。
江戸川第二小出張ブログ2.jpg
江戸川第二小出張ブログ3.jpg


5、6年生は「今はないものを絵に描いてみよう」。
自分の身の回りで無くなったもの、夢で見た世界、食べ物の記憶など
今はない、記憶にだけ存在しているものを絵に描いてもらいました。
江戸川第二小出張ブログ4.jpg
江戸川第二小出張ブログ5.jpg


そして今回新たに行った授業として
身の回りから集めてきた気になる「マーク」や「ロゴ」を集めてきて、
再構成して描く授業「気になるマークを集めて作品にしてみよう!」を実施しました。
こちらは3、4年生で実施しました。
江戸川第二小出張ブログ6.jpg
江戸川第二小出張ブログ7.jpg


授業を行った森さんは、
「こどもたちの純粋な頭の中をみんなで同時に覗くことが
できてとても楽しかったです!」と感想をくれました。

また、図工の担当の先生によると、
この日完成しなかった気になるマークの制作の続きを
後日4年生の図工の時間にやったそうです。
みんな集中して取り組み、身の回りのものを見ると
ついついロゴに目が行ってしまうという子もいたそうです。
早速、森さんの授業の影響があらわれているようです。

普段の学校生活ではなかなか出会わないアーティストという第三者が
介在する授業は、こどもたち、学校の先生、そしてアーティスト自身に
とって大いに刺激となり、さらに普段の図工では見せないこどもたちの
新たな側面に気づかせてもくれるようです。

こうした変化があるからこそ、この学校訪問の意義があり、
こどもたちの「生きる力」も育まれていくのではないでしょうか。(G)


2015年10月26日

げいじゅつさがし大会!

青山小出張授業 ブログ1.jpg

東京都現代美術館では、
リクエストがあれば教育普及担当学芸員による
出張授業にも応じています。
内容は、もちろん各学校との相談の上決定していきます。

今回は、港区立青山小学校から開校140周年を記念して
全校児童でできる図工の授業をお願いしたいと依頼がありました。

全ての児童が対象となるとなかなか難しいオーダーです。
1年生と6年生では理解度が違いますので。

しかし、青山小学校では、日頃から縦割り班といって
6年生が班長となり、異学年のこども達と一緒にグループ活動を
行う場面が多々あるそうです。
であれば、一緒に共同作業を行うことも可能なので、
全員で活動するイメージがわきました。

そこで、この出張授業では普段生活する学校で
自分が芸術だと思うものを探してもらう
「げいじゅつさがし大会」をやってみようと提案をしました。
(2015年10月3日実施)

何気ない図工室の床の絵具の汚れが絵画に見えたり、
階段の手すりの謎の突起物が彫刻に見えたり、
天井の換気扇や壁の模様もいろいろな視点や角度でみることで「げいじゅつ」に見えます。
これは作品鑑賞をするうえでも大切な「観察」する行為。
そして、それに自分なりに意味を見出し「想像」する行為へとつながっていきます。
いわばそうした取組を学校全体を使ってやってみようというものです。
普段生活する学校という日常が、芸術であふれる場として変容し、
こどもたちの物の見方がひろがっていくことを期待しました。

青山小出張授業 ブログ2.jpg
青山小 ブログ3.jpg
青山小 ブログ4.jpg

事前に学芸員が学校を訪れ、まずは学芸員の視点で学校の中にある芸術
(に見えるモノ)を探しそれらをまとめた「芸術発見取材帳」を作成しました。
こども達には縦割り班の活動で、この手帳にのっている芸術を学校内(一部校庭)で
探し出してもらいます。全て探し終えると、最後は自分たちでオリジナルの芸術を
学校内でみつけ出し、その絵を描いてもらい、代表者を選出し、全校児童の前で発表して終了。

普段生活している学校のはずなのに、手帳にのっている「げいじゅつ」がみつからず、
四苦八苦しながらもようやく発見できると、みな一様に歓喜していました。
最後の発表会でも、面白い視点で見つけた「げいじゅつ」が沢山発表されました。

担当の図工の先生からは、授業後のこども達の様子について、
「高学年のこども達は、活動によって自分の視線・視点が変化したことに
気が付いていたようです。
中学年や低学年のこども達は図工の授業の中でふとした瞬間にあらわれる
ちょっとしたいい感じのものに"げいじゅつ"だねえといったりしています」
と後日コメントを下さいました。

また、保護者や他の先生方からも、こども達に様々な角度から物事を
見る事の大切さを気付かせるのにピッタリな授業だったという感想をいただきました。

日常の見方を変えることで見えてくる新しい感覚の広がり。
こうした体験は全ての授業においても大切な力となってくると思います。(G)