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2014年9月 2日

「食」と「裏の世界」

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6月から始まったワークショップ「日・伊の『往復書簡』」も
3回目(8月24日実施)を迎えいよいよ中盤。
今回廣瀬さんから届いた手紙は、いつもにも増してずっしりと重く、
手紙以外にまたまたいろいろな「おまけ」が入っていました。


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「空」の写真、ポストカード、レーターセット、そして廣瀬さんの
「シチリア旅日記」なるオリジナルの食のエッセイなど。
毎回趣向が凝らされた廣瀬さんのおまけを参加者の皆さんも楽しみにしています。
もちろん、参加者一人ひとりにあてた廣瀬さんのお返事も深く心にしみ入ります。


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さて、今回は、廣瀬さんからこのワークショップの大テーマでもある
「生活の質」について皆さんでディスカッションをしましょうという
提案がありました。一言で「生活の質」といっても大変難しいテーマです。
ワークショップを通じて世の中や日常の見方を変えるという経験を積み重ねている
参加者のみなさんが考える「生活の質」とは...。例えばこんなものが出ました。

「最近、使っていたソファーを捨てたことで部屋がシンプルになり結果、
掃除をするようになった」という自身の行動の変化。
「日々忙しい中での小さなことへの気付き。それが心地良く、
そんなちょっとした行動を起こす大切さ」「モノでないコトで満たすこと」
「ある程度の収入は必要。そうした状況が保たれた中でのプラスアルファの精神面の充実」
「気に入ったものをいつまでも使うこと」など、モノからコト、精神性への変化が
「生活の質」を考える上での大きなヒントになりそうです。


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ディスカッションの後は、3回目のホームワークで撮影してきてもらった
「食」と「路上観察」の記録の発表。日々出会った食べ物、
日本人の食の原点としての「米」や「水」、自分の中の大切なものなど
食を捉える視点も様々。「食」は生きて行く上で必要なものだからこそ、
あえてじっくりと対峙することで見過ごしていた「何か」が見えてきたようです。
また、路上観察では、皆さんの生活する日常の中での驚きや再発見があったようです。

そして、本日のフィールドワークを実施。今回は、「裏の世界」がテーマ。
物事には裏と表があるように裏側に注目して考えることも「豊かな世界」について
考察するためには重要なことです。
美術館も普段一般の人が入れない裏側の世界があります。
というわけで、今回は美術館の裏側(バックヤード)を巡りました。


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展覧会という華やかな表の顔だけではない、
美術館の裏側にある機能や諸室を案内し、
所々でクイズを交え楽しくツアーをしました。
表の華やかさとは別に人が作っているのだということの認識や
現場の大切さを実感したようです。


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ツアーの最後は館長室へ。皆さんで「館長とその仲間たち」といった感じで
記念撮影を行い終了しました。

次回(9月28日)はワークショップもいよいよ後半戦。
これまでの応用編といった感じでワークショップは続きます。(G)

記録撮影:後藤武浩

2014年9月 1日

夏休みの教員研修会

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この夏休み中、当館では多くの学校教員のための研修会を
受け入れ実施しました。
その数全部で16件(学校への出張研修会も含む)、
565人もの教員の方々に対応しました。

研修内容は、事前に研修担当の教員の方と相談しながら決めていきますが、
やはり美術館ですので「鑑賞」ということがメインになります。
一口に鑑賞といってもその切り口は様々。
「鑑賞」と「表現」をどう結び付けるかを考えたり、
「キーワード」を足掛かりに作品へのアプローチを促すプログラムなど
いろいろなバリエーションの研修を行いました。

そんな中、今年新たな取り組みとして実施したのが、
展覧会で掲げられている「テーマ」そのものを題材にし、
作品鑑賞を通じながら、学校現場で起きている問題や教員の方々が
日頃抱えている悩みをデスカッションする活動です。

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これは、経験年数10年以下の若手教員を対象に、
当館と森美術館が連携して行った教員研修会です。
丁度夏休み中に開催していた企画展が2館とも「こども」を
テーマにしたものでした。

森美術館では、作品に表れるこどものイメージを通して、
社会で起こっているさまざまな事象に注目した
「ゴー・ビトゥイーンズ展:こどもを通して見る世界」を開催。
一方、当館では、こどもたちの身近にあって、興味の対象である
フルーツや電車などのモチーフをアート作品にした作家による
インタラクティブな空間体験を促す「ワンダフルワールド」展を
開催していました(いずれも8月31日に終了)。

教員の皆さんには、日を変えてそれぞれの美術館に出向いてもらい、
各館の教育普及担当スタッフが対応し、ディスカッションでは、
教員と両館の教育普及担当スタッフが一緒になって、展覧会を通じて
感じた「こども」をテーマにした話題を議論しました。

ディスカッション後の教員の皆さんの意見には以下のようなものがありました。

「『こども』の捉え方にもいろいろあり、教育現場以外の目線でも考えることができた」
「アーティストと教育者のこどもに対するねらいは異なっている。
でも、どちらもこどものことを考え、こどものためにという思いはあるので、
両者を理解した上で共に高めあえると良い」
「こどもみたいに楽しむこと、感じることができる大人でいたい」
「自分にないものがたくさんうまれた感覚を得た」
「いつもと異なる切り口から考えることでこどもの可能性をさらに感じた」
「学校やこどもは周りの世界からどう思われているのかを知ることができた」

展覧会のテーマそのものをきかっけにした議論や異なる館を
結び付けての連携研修会はいつもの研修会とは違った思考の
広がりをもたせてくれました。
また他館の教育普及担当スタッフ同士の交流という意味でも
非常に有意義な研修会となりました。

今後も異なる館同士で連携した教員研修会を継続していきたいと思います。(G)