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アートで紙芝居!-新たな鑑賞体験へ

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先月、「アート紙芝居-アートで、ものカタリしよう!」と題し、
教員編(1月12日)と一般編(1月19日)のワークショップを
実施しました。
企画・指導は、小学校で図工教員を30年間務めた辻政博さん。

昨今、図工の授業に鑑賞の指導が取り入れられており、
また鑑賞から表現へと結びつけることが求められています。
そこで、元図工教師である辻さんにこのテーマをなげかけ、
美術館としてもひとつの答えが示せればと思いこのワークショップを
企画しました。

今回のワークショップは、教員編、一般編ともに同じ内容の
プログラムを実施しました。はじめに今回の企画・指導者の
辻さんが工事現場のヘルメットをかぶって登場。
やおら拍子木を叩きワークショップ開始の口上を述べ始めると、
参加者のみなさん一様に何が始まるの? といった感じで
不安と期待が入り混じった表情になっていました。

辻ws(教員編)記録写真 390.JPG

続いて辻さんから今回のワークショップを始めるにあたっての
3つのお願い〈なかよく〉〈子ども心〉〈恥も外聞もかなぐり捨てて〉が
伝えられ、「私の中には子どもの心があります」と、もぞもぞと懐から
こどもの形をした可愛らしいお手製マスコットを取り出しました。

それを見たみなさん、ほっとした様子で笑顔になりました。
「子ども心」をもって臨むことは大切です。

午前中の主な活動は、グループの方々と仲良くなるために
現代美術館特製のアートカード(収蔵作品の絵柄がカードに
なっています)を使ったゲームをしました。
例えば、2枚同時にめくって、「どちらの作品が美味しそうか?」を
瞬時に判断したり、次々にカードをめくってお話しを作ってつなげたり、
自分のお気に入りのカード3枚を使って物語を考えたりと、
大いに盛り上がりました。
これは午後の活動でアート紙芝居を作る際のいわば、
ウォーミングアップにもなっています。

辻ws(教員編)記録写真 112.JPG 2013.1.19辻ws一般 086.JPG 

ひとしきりカードゲームをしたあとは、展示室にでかけ、
実際に作品鑑賞を行いました。
今回は“アート”紙芝居ですから、声ばかりでなく身体で
表現することもOK! はじめは抽象的な彫刻作品を身体で
表現する体験をしてみました。

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その後、今回アート紙芝居でお題となる作品、小林孝亘さんの
《Working Man》をみんなでじっくりと鑑賞しました。
この作品は、フレームだけの建築物の中で溶接工が一人工事を
しているシンプルな絵なのですが、光の美しさと静寂さを感じさせます。
それゆえにいろいろな想像が膨らみます。絵の中で気が付いたことや、
この絵の前後のシーンを想像しグループで話し合い発表してもらいました。

辻ws(教員編)記録写真 203.JPG

この鑑賞活動では、同じ一枚の絵を見て参加者同士が意見を共有すると
ともに他人の見方を通じ新たな発見や自分との違いなどを再認識し、
より深く作品と向き合う時間が持てたようです。

午後は、小林さんのこの作品が掲載されているチラシやポスターを
素材として活用し、絵を5分割してストーリーを考え、それを演出する
効果音や小道具を各シーンにあてはめ、リハーサルをして発表に備えました。

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アート紙芝居の発表会では、作品の鑑賞体験から紡ぎだされた
秀逸なストーリー展開とみなさんとても素人とは思えない驚愕の演技力で
始終笑いと感動に包まれていました。

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今回取り組んだ「鑑賞」と「表現」のワークショップ、各自の鑑賞体験が、
他人との共感・共有を通じて生み出されたアート紙芝居という表現に
置き換えられることで、再び各自に新たな鑑賞体験としてフィードバックされていく、
そんな未知なる経験ができたのではないでしょうか。

作品を見ることと、その見たことから表現をすることは、実は行ったり来たりしながら
つながっているのだと実感できた一日となりました。(G)

写真:中村麻由美