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2013年2月22日

美術館の本がやってきた!

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2月22日(金)、立教小学校にて、6年生に向けて、
学芸員と当館美術図書室の司書スタッフによる
出張授業を行いました。

題して、
「学校の図書館に美術館の本がやってきた!」
当館の美術図書室が所蔵するアートの本を、
学校の図書室に持ち込んで紹介するというもの。

司書の出張授業という依頼は初めてのケースでしたが、
ちょうど展示替え休館中で、美術図書室も休室中のため、
実施が可能となりました。

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この学校の図書室内は、絨毯敷きやこたつのコーナーなど、
本に親しむための工夫がなされていて、何とも居心地良い空間。

また、全学年で「読書」の授業があり、毎年この時期、
6年生は<本の構造>について学習しているのだそうです。
その授業を担当する図書室の先生から、
「世の中には色々な本があることを紹介してもらいたい」
とご相談をいただいたのが、今回の授業のきっかけでした。

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授業では、選りすぐりの12冊を、3つのコーナーに分けて配置。
はじめに学芸員が美術館の概要を紹介した後、
3人の司書が、こども達をグループにわけて各コーナーを案内し、
ブックトークを展開しました。

都内の有名建築が「飛び出す絵本」になっている本(左上)や、
見返しの3Dメガネで、中の絵を立体的に見て楽しめる本(右上)、
表紙が銅板でできていて、ずっしりと重たい本(左下)、
粉末洗剤の箱そっくりの本(右下)などなど、
アーティストが手がけた本や、珍しい装丁本などを、
実際に手に取って楽しんでもらいました。

わずか40分1コマという短い時間でしたが、あちこちで驚きの
歓声があがる、大盛り上がりの授業となりました。

こども達の感想には、
「今まで見た事のない本でびっくりした!」
「自分の考えでは本ではないと思ったけど、面白いしすごいと思った」
「もっとさわって、じっくり読みたかった」
「この世の中には色々な本があるのだなぁ」
「とてもスゴかった(としか言い表せない…)」
「美術館に行って、作品も見てみたい」
などがあり、それぞれに新たな興味を喚起する授業と
なったようです。

今回は「図書」という切り口から、新たな取り組みが
生まれました。
美術館と学校の連携について、今後も様々なかたちを
模索していければと思います。(G.I.)

2013年2月 8日

かっこいい「緑」をつくろう!

2月8日(金)、画家の内海聖史さんによる特別授業が、
杉並区立天沼小学校にて4年生を対象に行われました。

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授業を行った内海さんは、当館スクール・プログラムの一つ、
「アーティストの一日学校訪問」の、2008年度訪問作家です。
※当時の授業の様子はこちら↓
http://www.mot-art-museum.jp/kyoiku/school05.html?year=2008

今回は、校内展に併せて、アーティストによる授業を実施したい
という図工の先生からのリクエストを受け、当館が橋渡し役となりました。
※この場合、授業の実施費用は全て学校でご用意いただいています。

今回の授業のテーマは「色」。
中でも、学校のスクールカラーである「緑」を取り上げました。
絵具を混ぜて自分なりに「かっこいい!」と思う緑色をつくり、
画用紙いっぱいに、ひたすら「塗る」という体験をしてもらおう
という内容です。


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こども達は、色のチョイスを自由に試しつつ、自分だけの緑色を
つくり、ハケを使って画面を埋めていきました。(写真左)
一人ひとりに声をかける内海さん。(写真右)
中には、ちょっと茶色っぽくなっちゃった?という子にも、
「その色も、よく見るとちゃんと緑が入ってるよ。」
と、励ましてくれました。


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色の塗り方にも、それぞれに工夫が見られ、
たとえば、赤い絵の具を垂らした模様を加える子も。(写真左)
つくった緑色が、より生かされる色づかいですね。
塗り終わった画用紙は、ドライヤーですぐに乾かします。(写真右)
この作業は、保護者の皆さんも大勢手伝ってくださいました。

こうして、授業の終わりには一人あたり4枚、
全員分で約240通りの「緑」が生み出されました。
そして…
皆の画用紙をつなぎ合わせ、吹き抜けの上階から吊るすと、
巨大な色面が姿を現しました!

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また、最後にはサプライズが。
校内の和室のふすまを開けると…

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なんと、そこには内海さんの作品が展示されていました。
この授業のために、はるばるアトリエから作品を搬入して
くださったのです。
思わず、ため息のような感嘆の声が上がりました。
大きな作品を、じっくり間近で見ているうちに、
日々、こつこつと画面に挑み続ける内海さんのパワーを、
皆ひしひしと感じとっているようでした。

ふだんは何気なく使っている「色」について、
あらためて意識を向ける機会となったとともに、
アーティストの作品にも直に接することができ、
非常に思い出に残る特別授業となったのではないでしょうか。
(G.I.)

2013年2月 1日

発見して考えて、想像することの楽しさ

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今年度最後(2月4日~4月5日まで休館となります)の
団体鑑賞は、美術館の近所にある元加賀小学校の4年生が
来てくれました。
4つのグループに分かれ、常設展と企画展(「アートと音楽」展)を
それぞれグループごとに鑑賞しました。

現代美術館には、野外と展示室内に体験できる作品が
たくさんあります。
今日はそんな作品のひとつ、ピピロッティ・リストの作品を
体験してもらいました。

この作品(写真)は、展示室の中に大きなカーテンで
区切られた暗い空間があり、その中に入って鑑賞します。
中には入ったこどもたちは、
「提灯があった!」「森林の中にいるみたい。」
「自分が小さくなった気がする!」など、気づいたことや
想像したことをたくさん教えてくれました。
現代美術館ならではの体験できる作品に、
とてもワクワクしていたようです。

また、「なんでこわいんだろう」「映像の中の場所は、
どんな場所なんだろう」と自分たちの気づいたことから
生まれた疑問に対しても、一生懸命向き合ってくれました。
鑑賞後も「すごくおもしろかった、なんだかすごくドキドキしてる」と、
強く印象に残り、楽しい時間を過ごしてくれたようです。

いろいろなことを発見することを得意とする子が多く、
私自身とても楽しかったです。
今回の鑑賞を通して、現代美術作品を鑑賞する楽しさが
少しでも伝わればうれしいです。
(インターン山中)

アートで紙芝居!-新たな鑑賞体験へ

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先月、「アート紙芝居-アートで、ものカタリしよう!」と題し、
教員編(1月12日)と一般編(1月19日)のワークショップを
実施しました。
企画・指導は、小学校で図工教員を30年間務めた辻政博さん。

昨今、図工の授業に鑑賞の指導が取り入れられており、
また鑑賞から表現へと結びつけることが求められています。
そこで、元図工教師である辻さんにこのテーマをなげかけ、
美術館としてもひとつの答えが示せればと思いこのワークショップを
企画しました。

今回のワークショップは、教員編、一般編ともに同じ内容の
プログラムを実施しました。はじめに今回の企画・指導者の
辻さんが工事現場のヘルメットをかぶって登場。
やおら拍子木を叩きワークショップ開始の口上を述べ始めると、
参加者のみなさん一様に何が始まるの? といった感じで
不安と期待が入り混じった表情になっていました。

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続いて辻さんから今回のワークショップを始めるにあたっての
3つのお願い〈なかよく〉〈子ども心〉〈恥も外聞もかなぐり捨てて〉が
伝えられ、「私の中には子どもの心があります」と、もぞもぞと懐から
こどもの形をした可愛らしいお手製マスコットを取り出しました。

それを見たみなさん、ほっとした様子で笑顔になりました。
「子ども心」をもって臨むことは大切です。

午前中の主な活動は、グループの方々と仲良くなるために
現代美術館特製のアートカード(収蔵作品の絵柄がカードに
なっています)を使ったゲームをしました。
例えば、2枚同時にめくって、「どちらの作品が美味しそうか?」を
瞬時に判断したり、次々にカードをめくってお話しを作ってつなげたり、
自分のお気に入りのカード3枚を使って物語を考えたりと、
大いに盛り上がりました。
これは午後の活動でアート紙芝居を作る際のいわば、
ウォーミングアップにもなっています。

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ひとしきりカードゲームをしたあとは、展示室にでかけ、
実際に作品鑑賞を行いました。
今回は“アート”紙芝居ですから、声ばかりでなく身体で
表現することもOK! はじめは抽象的な彫刻作品を身体で
表現する体験をしてみました。

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その後、今回アート紙芝居でお題となる作品、小林孝亘さんの
《Working Man》をみんなでじっくりと鑑賞しました。
この作品は、フレームだけの建築物の中で溶接工が一人工事を
しているシンプルな絵なのですが、光の美しさと静寂さを感じさせます。
それゆえにいろいろな想像が膨らみます。絵の中で気が付いたことや、
この絵の前後のシーンを想像しグループで話し合い発表してもらいました。

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この鑑賞活動では、同じ一枚の絵を見て参加者同士が意見を共有すると
ともに他人の見方を通じ新たな発見や自分との違いなどを再認識し、
より深く作品と向き合う時間が持てたようです。

午後は、小林さんのこの作品が掲載されているチラシやポスターを
素材として活用し、絵を5分割してストーリーを考え、それを演出する
効果音や小道具を各シーンにあてはめ、リハーサルをして発表に備えました。

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アート紙芝居の発表会では、作品の鑑賞体験から紡ぎだされた
秀逸なストーリー展開とみなさんとても素人とは思えない驚愕の演技力で
始終笑いと感動に包まれていました。

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今回取り組んだ「鑑賞」と「表現」のワークショップ、各自の鑑賞体験が、
他人との共感・共有を通じて生み出されたアート紙芝居という表現に
置き換えられることで、再び各自に新たな鑑賞体験としてフィードバックされていく、
そんな未知なる経験ができたのではないでしょうか。

作品を見ることと、その見たことから表現をすることは、実は行ったり来たりしながら
つながっているのだと実感できた一日となりました。(G)

写真:中村麻由美